京都市交響楽団第713回定期演奏会
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<京都市交響楽団第713回定期演奏会ホールリハーサル公開>
2026年7月8日(水)11:45開演 沖澤のどか指揮/京都市交響楽団 ドビュッシー/交響詩「海」から第1楽章「海の夜明けから真昼まで」(途中まで)、第2楽章「波の戯れ」 座席:自由 <京都市交響楽団第713回定期演奏会> 2026年7月11日(土)14:30開演 沖澤のどか指揮/京都市交響楽団 林光/吹きぬける夏風の祭(1985年度京都市委嘱作品) 座席:S席 3階C3列26番 |
京都市交響楽団の7月定期は、沖澤のどかが指揮。前半に京都市委嘱作品が2曲、後半にフランス音楽が2曲のプログラムです。
沖澤のどかは6月下旬から8月下旬まで日本に滞在します。まず、東京交響楽団を2公演指揮(「第742回定期演奏会」2026.6.27 サントリーホール、「第146回新潟定期演奏会」2026.6.28 りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館コンサートホール)。続けて、第31回七夕チャリティーコンサート(関係者のみ公演、主催は京都商工会議所女性会)で、反田恭平とモーツァルト「ピアノ協奏曲第20番」で共演(2026.7.1 京都コンサートホール大ホール、オーケストラは京都市交響楽団)。さらに、広島交響楽団を初めて指揮(「第463回定期演奏会」 2026.7.5 広島文化学園HBGホール)して、本公演を迎えました。
<京都市交響楽団第713回定期演奏会ホールリハーサル公開> 7月8日(水)11:45~12:45
第711回定期演奏会ホールリハーサル公開に続いて、今年度3回目の「ホールリハーサル公開」が行なわれました。今回も定員は200名で、小学生以上が対象です。申込期間は6月1日~14日で、京都市交響楽団のホームページから申し込み。応募者多数の場合は抽選でしたが、6月24日に当選のメールが届きました。「当選者は200名を予定していたが、多数の応募があったため、予定より多くの方を当選とした」とのこと。やはり沖澤のリハーサルは応募が多いようですね。
京都市交響楽団のX(@kyotosymphony)によると、本公演のリハーサルは10日(火)から京都コンサートホールで始まったので、この日はリハーサル2日目です。なお、近畿地方はこの日に梅雨明けしました。平年より11日早い。昨年は6月27日と最も早い梅雨明けでしたが、今年の梅雨は昨年よりも雨傘の出番がありました。
11:00から2階の大ホール入口で受付開始。当選番号を伝えて、入場料の500円を現金で支払い、「公開PASS」を受け取りました。しばらくホールのロビーで整列して待機。11:30にホール客席に入場。「公開PASS」の裏面に着席位置が図示されていて、前回と同じく1階席18列~31列の座席に着席するようにとのこと。
ステージは前の時間帯の練習が終わったところでしたが、沖澤は5分程度は指揮台の周りに集まった奏者の質問に答えていました。その後、ステージマネージャーとチェレスタのセッティングの調整。沖澤にとっては休憩中もやることが多い。また、開始前に楽団長の松井孝治(京都市長)とステージ上で歓談。先月末に北陸新幹線の敦賀以西ルートについて与党のヒアリングを受けた松井市長には「北陸新幹線どうするねーん!」と突っ込みたくなりました(その後、7月15日に「小浜・京都ルートの桂川案」に決まったと報道されました)。
休憩終了後3分前からステージにメンバーが続々と登場しました。コンサートマスターは石田泰尚(ソロコンサートマスター)。今年度の定期演奏会には初登場です。石田はスカートのような私服でしたが、杉江洋子(第2ヴァイオリン副首席奏者)のInstagram(@yokovn)によると、SOU・SOUの「風靡北斎」で、今回のプログラムにこんなにふさわしい服装はありません。さすがです。石田の隣は泉原隆志(コンサートマスター)。沖澤は指揮台の上のイスに座って指揮。
いつものように、どの曲を練習するのか不明でしたが、最初に、前の時間帯の積み残しと思われるドビュッシー作曲/交響詩「海」から第1楽章「海の夜明けから真昼まで」の冒頭を練習。冒頭から弱音で音量を抑えた演奏ですが、3小節からのチェロに沖澤は「響きが満ちてくる感じでひとつずつの音符を膨らませる」と指示。6小節のヴァイオリンの入りは「光が差し込むように」と音符単位の細かい指示。練習番号5のデクレシェンドの位置を調整。練習番号4の2小節で「音量が大きくなるので繊細に聴かせたい」と話して、スコアのppをpppに変更して、メンバーも楽譜にメモ。コンサートマスターが石田だからか、繊細で透明感があります。大阪フィルハーモニー交響楽団第598回定期演奏会のタバシュニクほどではありませんが、ハープを聴かせました。67小節までで第1楽章の練習は終わり。
続いて第2楽章「波の戯れ」を冒頭から練習。練習番号18のホルンで、沖澤はイスの上で跳び跳ねるような指揮。練習番号19で、ヴァイオリンのみ取り出して練習。「もう少しニュアンスがあったほうが」「トリルの始まりをはっきりしないで」と指示。練習番号22でテンポアップ。99小節のpp subitoの前で「響きが落ちてくる隙間が欲しい」。練習番号32の2小節前で「ファゴットとホルン×2を隠さないように」と指示して、トゥッティだと聴こえないメロディーを取り出して練習。音楽づくりがとても細かい。練習番号35からテンポが速い。練習番号37から1小節を1拍振り。強奏が終わった結尾部(練習番号40とか)はあまり意識してきませんでしたが、こんなに繊細なんですね。練習番号42からのシンバルはこすって音を出しました。12:20に終わり。
メンバーが入れ替わって、ラヴェル作曲/「鏡」(管弦楽版)から「海原の小舟」の練習。沖澤は「ドビュッシーの「海」を意識して書かれた作品」とメンバーに説明しました。初めて聴きました。「すぐデクレシェンドしてハープが聴こえるようにしたい」など、音量バランスを調整。ラヴェル特有の和音は薄めです。弱音でソロが何の楽器のソロかよく分かりませんでした。ティンパニと大太鼓は激しく叩きました。クレシェンドの調整をして、12:35に終わり。
続けて、「道化師の朝の歌」。冒頭からテンポが速い。弦楽器の和音が楽しめました。打楽器が強めでスパニッシュ。最初のトゥッティ(練習番号3)で、タンバリンにテンポが走らないように指示。木管楽器のソロが繊細です。トランペットの弱音での連符もうまい。最後までテンポを遅くせずに走り切りました。演奏後に「音符を離して欲しい」とアーティキュレーションについて細かなリクエスト。打楽器がちょっと強く感じましたが、本番はどうでしょうか。12:45に終了。
事務局からのMCで退場。土曜日のチケットはほぼ完売だが、金曜日はまだあるとのこと。「1週間の締めくくりにいかがでしょうか?」と本番のチケットを誘導するのはうまい宣伝文句です。
リハーサル全体を通じて、本番と同じホールで練習できる環境だから、細かな表情づけができると感じました。なお、翌日の7月9日に、2027-28シーズンの定期演奏会ラインナップが発表されました。昨年(6月17日)ほどではありませんが、かなり早く、日本のオーケストラでで一番乗りです(詳細は後述)。

<京都市交響楽団第713回定期演奏会> 7月11日(土)
2日公演の2日目を聴きました。「セレクト・セット(Sセット)」のチケットを使って、一般発売日の3日前に購入。本公演のチケットは前日に完売しました(1日目の公演は当日券発売)。開演前に1階の前田珈琲で、春限定メニューの「アサリと菜の花のペペロンチーノ」(税込1480円)を食べました。ロビーでは、来シーズンの定期演奏会ラインナップが配布されました。
14:00からプレトーク。沖澤は「暑いですねぇ」からスタート。白い髪どめをしていました。「常任指揮者4期目になるが、就任にあたってお願いしたことが2つあった。1つは学校公演の指揮を振りたい。もう1つは京響が委嘱したスコアと音源をください。その中から演奏するべき2曲を前半で取り上げる。どちらも京響のために作曲された作品。林光も吉松隆も同じ高校(注:慶応義塾高校)の卒業」と説明しました。各曲の解説は後述します。最後に「プロコフィエフの陣~交響曲全曲演奏会「弐」」を「暑い夏をさらに熱くする」と宣伝。グッズ販売について「気分転換にお立ち寄りください」と話して10分で終了。早口でよくしゃべりました。
客演首席ヴィオラ奏者は柳瀬省太(読売日本交響楽団ソロ・ヴィオラ奏者)。特別首席チェロ奏者の藤原秀章が出演。客演首席トロンボーン奏者は、風早宏隆(東京都交響楽団首席トロンボーン奏者)。半円形の雛壇を客席に近づけるフォーメーション(広上シフトと勝手に呼んでいる)での配置で、雛壇最後列の打楽器が多い。
プログラム1曲目は、林光作曲/吹きぬける夏風の祭。1985年度京都市委嘱作品で、第279回定期演奏会(1985.12.26 京都会館第一ホール)で、小林研一郎(第8代常任指揮者)の指揮で初演されました。プレトークで沖澤は「祇園祭からインスパイアされた作品。さわやかで明るい輝く響きがする。過去から未来に吹く風かもしれない」と話しました。冒頭から弦楽器の特徴的な連符のパッセージが繰り返されます。中間部は木管楽器のソロですが、伴奏がちょっとおどろおどろしく、さわやかな夏風を感じる作品ではありません。後半は弦楽器のぬめっとしたハーモニーで、ホルンの高音やティンパニの連打。最後はフルートソロで終わります。INAMORI ミュージック・デイでも聴きましたが、あまり好きになれない作品です。なお、沖澤はこの作品が気に入ったのか、この後札幌交響楽団でもこの曲を演奏しました(2026.8.5 「hitaruシリーズ定期演奏会 第26回」)。
プログラム2曲目は、吉松隆作曲/ファゴット協奏曲「一角獣回路」。ファゴット独奏は、ソフィー・デルヴォー。女性で、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団とウィーン国立歌劇場管弦楽団の首席ファゴット奏者を務めています。1988年度京都市委嘱作品で、馬込勇のファゴット独奏と、デヴィッド・シャローンの指揮で初演されました。
プレトークで沖澤は「ファゴット協奏曲が珍しく、オーケストラを超えて響かせるのが大変。昨日の公演に来場した吉松に聞いたところ、初演ではスピーカーが必要だった」とのこと。京都会館の音響なら分かる気もします。「一角獣とはキリンで、長刀鉾の幕に描かれている。初演した馬込さんは有名なファゴット奏者で、ファゴットは角に見える」と解説。「3つの楽章で秋、冬、春のタイトルがついている。夏はないが、1曲目の林光は夏なので、前半のプログラムで四季が完結する」と説明しました。ソフィー・デルヴォーについては「とんでもなく上手」と絶賛。
全員が退場して打楽器のセッティングを変更。弦楽器は少し人数が減りました。デルヴォーは黒のドレスで登場。黒髪で背が高い。楽譜を置いて立って演奏。ファゴットは高音がよく出てきます。速い連符や音の跳躍などかなりの難曲ですが、デルヴォーはすばらしいテクニックで、軽々しく演奏。ファゴットの意外な魅力が伝わるおもしろい作品ですが、季節感は感じませんでした。マラカス×2、トライアングル、カスタネット、おりんなど打楽器が活躍します。
第1楽章「Autumn Input」は、ファゴットのタンギングで速いパッセージ。中間部のチェロのソロで細かな音符のパッセージがあります。ファゴットソロはかなりの高音が出てきます。第2楽章「Winter Bias」はファゴットが高音でソロ。弦楽器がいかにも吉松隆らしいハーモニーで、NHK大河ドラマ「平清盛テーマ曲」に似ています。第3楽章「Spring Output」は打楽器が活躍して、カオスのような強奏に発展。ファゴットと打楽器の掛け合いの後、長いカデンツァがあります。
拍手に応えてデルヴォーがアンコール。M.アラール作曲/パガニーニの主題による変奏曲よりを演奏。有名なパガニーニの主題をもとにして、モーリス・アラールがファゴット独奏のために1986年に作曲。全曲では8分半かかるようで、抜粋で演奏。ソロでも聴きごたえがあり、速いパッセージもよく指が回ります。沖澤も後方の席に座って聴いていました。
休憩後の後半は、プレトークで沖澤が「後半はジャポニズムをテーマにした曲」と解説。休憩後のプログラム3曲目は、ラヴェル作曲/「鏡」(管弦楽版)から「海原の小舟」「道化師の朝の歌」。プレトークで沖澤は「海原の小舟」について、「絵画でも船が動く情景を遠くから見る感じ」。また、「あの有名な葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」の前に小舟は書かれている」と話しましたが、確かに船が3艘も描かれていますね。富士山に目が行ってしまって気がつきませんでした。「道化師の朝の歌」については「スペイン風でカラッとした曲。京響の打楽器軍団の大技が見もの。ファゴットソロもあり、今日はファゴットが楽しめる演奏会」と話しました。
2曲を続けて演奏。「海原の小舟」は、首席フルート奏者の上野博昭が金髪パーマになっていてびっくり。響きは濃厚ではなく分厚さもありませんが、繊細で精緻に組み立てられた演奏。打楽器のバランスはちょうどいい。前曲と続けて聴くと、吉松に通じるところがあります。「道化師の朝の歌」は、公開リハーサルよりも整った響き。打楽器のバランスも含めて、リハーサルで響きが成熟されたようです。練習番号16からのトゥッティで沖澤の拍振りが特徴的。ラストはテンポアップ。トロンボーンのグリッサンドも速いテンポのまま突っ込みました。もっと和音をぶつけて響きを濃くしてもいいように感じました。ちなみに、組曲「鏡」は5曲からなり、「海原の小舟」は第3曲、「道化師の朝の歌」は第4曲で、ラヴェルがオーケストラに編曲したのはこの2曲だけです。
プログラム4曲目は、ドビュッシー作曲/交響詩「海」。プレトークで沖澤は「ドビュッシーが楽譜を出版する際にあの絵を使って欲しいと話した」と紹介。特別演奏会「第九コンサート」での「第九」の快速アプローチを思い出しました。沖澤はバカデカイ音量で鳴らすことはしません。第1楽章「海の夜明けから真昼まで」は弱音でゆっくりスタート。か細い響きで繊細そのもの。やや速めのテンポで進みます。72小節からのトランペット×2があまり聴こえません。98小節からテンポが速い。ラストはハープをやや強調してややテンポアップ。意外にあっさり。
第2楽章「波の戯れ」は、リハーサルよりもオーケストラの響きの一体感が増しました。鉄琴の響きやハープと弦楽器のピツィカートなど、波の水しぶきに見えてくる部分がありました。最後の弱奏まで手を抜きません。第3楽章「風と海との対話」は、冒頭のティンパニのクレシェンドとデクレシェンドをやや強調して雷鳴のように響きました。56小節からはやや速めのテンポで、どんどんテンポよく進めていきます。110小節付近からフルートとオーボエの細かな音符の掛け合いを聴かせました。119小節と121小節の2発のタムタム(ドラ)が大炸裂。157小節からの第1ヴァイオリンの高音のppの伸ばしの音程があまり合っていなくて残念。195小節からもテンポを落とさずに演奏。210小節でチェロの3連符のスタッカートをわざわざ強調。237小節からなんとドビュッシーが最終的に削除したトランペット×2がファンファーレを演奏。ただし強めの音量ではなくやや弱めに演奏。現在ではほとんどの演奏が採用していないので、まさか聴けるとはびっくり。沖澤は京都市交響楽団大阪特別公演のチャイコフスキー「交響曲第5番」でもシンバルを追加したりおもしろい解釈をしますね。258小節からの弦楽器のスタッカートが超短いのでスリムな音響。速いテンポを維持して、286小節からの3連符のファンファーレはなし。高速テンポであっさり終わりました。
カーテンコールの最後に、沖澤からヴィオラ奏者の前山杏に花束贈呈。本人は驚いた表情でしたが、8月末で退団することがプログラムに封入されて、本公演が最後の定期演奏会出演でした。プログラムの冊子には掲載されていなかったので、最近決まったのでしょうか。2023年4月に入団して、京の音楽会Vol.1「「市役所」の音楽会」にも出演しました。楽団員も拍手。いい楽団ですね。京響よりも待遇がいいオーケストラはどこ?と思いましたが、松井市長のX(@matsuikoji)によると、ドルトムント・フィルハーモニーに首席代行に就任されるとのこと。終演後に、ここ家で送別会も開催されたようです。ヴィオラパートはまた欠員ができてしまいましたね。
上述したように、7月9日に京都市交響楽団2027-28シーズン定期演奏会ラインナップに関する記者発表が開催されて、沖澤と松井市長が出席しました。来年度はテーマがないのでしょうか。第722回(2027年6月)と第729回(2028年1月)を除いた9公演が、金曜夜と土曜昼の2回公演です。第722回(2027年6月)はひさびさの日曜昼公演です。常任指揮者の沖澤のどかは4回指揮。第721回(2027年4月)でストラヴィンスキー「春の祭典」を指揮して、これでストラヴィンスキー三大バレエ音楽が完結します。第726回(2027年9月)のホルスト「惑星」は、沖澤はイギリス音楽とは距離があると思っていたので意外な選曲。第728回(2027年12月)では、ベートーヴェン没後200年記念で、ミサ・ソレムニスを取り上げます。第731回(2028年3月)でマーラー「交響曲第4番」を指揮しますが、沖澤がマーラーの交響曲を取り上げるのは初めてとのこと。首席客演指揮者のヤン・ヴィレム・デ・フリーントは2回指揮。第722回(2027年5月)は「オペラ・コンチェルタンテ」としてベートーヴェン「フィデリオ」(演奏会形式)。第729回(2028年1月)のブルックナー「交響曲第9番」は注目したいです。その他の公演では、第723回(2027年6月)のファリャ「三角帽子」がおもしろそう(指揮はケレム・ハサン)。また、大阪フィルハーモニー交響楽団第599回定期演奏会でハマったショスタコーヴィチ「交響曲第11番「1905年」」が沼尻竜典の指揮で聴けます(第727回(2027年10月))。
