京の音楽会Vol.1「「市役所」の音楽会」
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2025年11月6日(木)16:00開演 京都市役所正庁の間
豊永歩(第1ヴァイオリン)、長谷川真弓(第2ヴァイオリン)、前山杏(ヴィオラ)、中西雅音(チェロ)
モーツァルト/ディヴェルティメントヘ長調K.138 ドヴォルザーク/弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」
座席:全席自由
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「京の音楽会」の第1回公演に行きました。「京の音楽会」は、京都市交響楽団70周年記念アウトリーチ事業として、9月17日の「京都市交響楽団70周年記念事業記者発表」で発表されました。京響メンバーが、京都ならではの「伝統文化」や「近現代文化」を代表するような施設に出向いて、アンサンブルを演奏します。京都市内の各所でクラシック音楽を演奏するという点では「Kyoto Music Caravan」と似ていますが、別の事業で、2025年11月から2026年10月にかけて、京都市交響楽団のメンバーが京都市内の施設10ヶ所で演奏します。具体的には、京都市役所 正庁の間、西陣織会館、京都伝統産業ミュージアム、京都国際マンガミュージアム、京菓子資料館、京都芸術センター(いけばなプレゼンテーション2026)、松栄堂 薫習館、長楽館、染・清流館、マールブランシュ ロマンの森で、博物館や資料館が多い。「大阪クラシック」のようなイベントを目指しているのかもしれません。京都市が所管している施設が多いですが、銀行やビルなど民間の施設でも演奏できるとよいですね。なお、アンサンブルの編成や出演するメンバーは公表されていません。
第1回の今回は「「市役所」の音楽会」と題して、京都市役所の正庁の間(せいちょうのま)で開催されました。料金は無料でしたが、定員は70名で抽選。京都市交響楽団ホームページのオンラインフォームから申し込み。10月28日に「ご当選のお知らせ」のメールが届きました。誰が出演するのかは申し込み時点では不明でしたが、当選メールに「京都市交響楽団メンバーによる弦楽四重奏」と記載されていました。
京都市民なのに京都市役所に行く機会はほとんどなく、建物の中に入ったのは、2018年7月に改修前の京都市会議場の一般公開で行って以来で今回が2回目でした。京都市役所の外観はボロいですが、本庁舎の改修工事が2017年6月から2021年8月まで行われて、地下街のゼスト御池から京都市役所本庁舎の地下2階に直結する地下通路ができました。また、本庁舎地下1階にはきれいなオープンスペースができました。こんな場所があったとは知らなかったのでびっくり。本庁舎、北庁舎、西庁舎、分庁舎が連結しています。本庁舎内はとても静かで、廊下は広く人通りが少ない。京都府庁とはずいぶん雰囲気が違いました。
正庁の間は本庁舎の4階で、ちょうど市長室の真上の位置です。15:30に開場。入口で紙を受け取って、出演メンバーと演奏曲を知りました。部屋はそんなに広くありません。
開演前に京都市交響楽団の演奏・事業係長の濱田正和があいさつ。本公演の応募はなんと500人あったとのことでびっくり。500÷70で倍率は約7倍ですね。よく当選したものです。濱田は「京の音楽会」について、「いろんな建物に足を運んでいただきたい」と語り、正庁の間については、「来賓を迎える格式の高い部屋で、初めて中に入った」と話しました。なお、京都市のホームページによると、正庁の間は、武田五一(関西近代建築の父)の監修で1927年に創建されましたが、今回の改修工事で、約1億1,600万円をかけて当時の姿を復元したようです。「多くの市民等が参加する審議会、表彰式、式典や記者会見のほか、来賓の方の歓迎行事等に使用しています」と説明されていますが、日常的には使われていないようです。
西隣の前室からメンバーが登場。中央にステージが設置されていましたが、狭いためか、ステージ上ではなく、ステージの下で座って演奏。左から、第1ヴァイオリン(豊永歩)、第2ヴァイオリン(長谷川真弓)、チェロ(中西雅音)、ヴィオラ(前山杏)の順です。長谷川真弓は京都市交響楽団第1ヴァイオリン奏者ですが、本公演では第2ヴァイオリンを担当。中西雅音(まさお)は京都市交響楽団副首席チェロ奏者で、メガネをかけて演奏しました。なお、豊永、長谷川、前山の3人は、京都市交響楽団メンバーによるアンサンブル「The BraString Kyoto(ザ ブラストリング キョウト)」のメンバーです。
プログラムは、抜粋ではなく、2曲を演奏する本格的なプログラムでした。プログラム1曲目は、
モーツァルト作曲/ディヴェルティメントヘ長調K.138。
石田泰尚氏による京都市ジュニアオーケストラ公開レッスンで聴きました。室内が意外に響かないので、生の音や弓使いが聴こえて、間近で聴けたのは貴重でした。楽章ごとにお客さんから拍手が起こりました。クラシック音楽をあまり聴いたことがない人が多かったようですね(「アメリカ」でも同じ)。第3楽章はヴィオラとチェロが盛り上げて、掛け合いが楽しい。
長谷川がマイクでMC。「「ディヴェルティメント」とはイタリア語が語源で「楽しませる」という意味」と解説しました。続いて、「京響の演奏を聴いたことがある人?」と聞くと、多くの手が挙がりましたが、「京響友の会会員は?」は私を入れて数人でした。
プログラム2曲目は、ドヴォルザーク作曲/弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」。プラハ市と京都市が姉妹都市30年を迎えるので選曲したとのこと。緊密で濃密なアンサンブルで、4人とも芯のある音色です。豊永と長谷川のハモりがいい。さすがに普段は同じパートに所属しているだけあります。第2楽章はいいメロディー。第3楽章は快活な演奏。第4楽章はやや速めのテンポで、ラストは力を入れて白熱した演奏でした。
拍手に応えてアンコール。岡野貞一作曲/ふるさとを演奏。「夢は今も巡りて」はピツィカートで演奏。16:50に終演しました。
出口で「京都市役所本庁舎ガイドブック」が配布されました。せっかくなので、庁舎内を散策。屋上庭園が開放されていました。そもそも本庁舎の屋上に行けることを初めて知りました。御池通りが見渡せていい眺めです。工事費に約500万円がかかって無駄な出費と批判された漆塗りのエレベーター扉は本庁舎1階にあります。誰でも乗れますが、意外に地味ですね。
本公演にもしかしたら、京都市長(京都市交響楽団楽団長)の松井孝治がふらっと姿を見せるかもしれないと思いましたが、現れませんでした。京都市ホームページの「市長の動き」によると、松井市長はこの日の午前中は東京で予算要望活動をされ、夜には京都に戻って、仁和寺で世界歴史都市会議理事会の夕食会を開催しました。この夕食会の記事で本公演に言及されているのですが、2026年11月に姫路市で開催される世界歴史都市会議理事会のメンバーが京都市を視察していて、本公演も鑑賞したようです。正庁の間の左右に置かれたソファに座って聴いていたのはこの方々だったということでしょう。その後、11月12日には第20回会議のエクスカーション(視察旅行)先として、京都市と奈良市が決定したことが発表されました。本公演も一役買ったということでしょう。