大阪フィルハーモニー交響楽団第598回定期演奏会


    2026年5月23日(土)15:00開演
フェスティバルホール

ミシェル・タバシュニク指揮/大阪フィルハーモニー交響楽団

ブラームス/交響曲第3番
ストラヴィンスキー/組曲「プルチネルラ」
ドビュッシー/交響詩「海」

座席:A席 2階R6列1番


大阪フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会を2ヶ月連続で聴きます。まず5月定期の指揮は、ミシェル・タバシュニク。ブリュッセル・フィルハーモニック名誉指揮者、ノールト・ネーデルラント交響楽団名誉指揮者を務めています。初めて聴きますが、本公演は変わったプログラムで興味を持ちました。2日公演の2日目です。なお、タバシュニクは本公演の前々週には、新日本フィルハーモニー交響楽団で2公演を指揮しました(2026.5.8&9 第670回定期演奏会)。

チケットを購入したのが3月末頃だったので、イープラスで購入。イープラスシステム手数料220円とセブンイレブン店頭発券手数料165円がかかりました。初めて2階ステージ向かって右側のブロックにしましたが、ステージとの距離が近くて、視覚的にはかなりいい席でした。客の入りは8~9割。

14:30から1階席後部メインホワイエでプレトーク・サロン。放送でのアナウンスはありませんが、わらわらと150人くらいが集まりました。楽団事務局長の福山修が指揮台に登壇しました。タバシュニクについて、福山は「スイスの巨匠」と紹介。「83歳で、大フィルへの客演は3回目で、前回はツァラトゥストラだった」と話しました。調べたところ、初共演は第562回定期演奏会(2022.10.21&22)で、ウェーベルン、ストラヴィンスキー、チャイコフスキーのプログラムを、2回目の共演は第577回定期演奏会(2024.4.12&13)で、モーツァルト、ベルク、R.シュトラウスのプログラムを指揮しました。福山が「今回のこのプログラムはどうやって決まったか?」について話し、「前回の終演後の楽屋でタバシュニクが「次やるならブラームス3番と海」と話したのを、大フィル側が「両方やりましょう」と即答した。つまりプログラムは2年前に決まった。プルチネルラは大フィルからの提案」と明かしました。また、「タバシュニクは作曲家としても有名。近現代音楽を取り上げてレパートリーが広い」と紹介しました。タバシュニクにこのトークがあることを伝えたところ、「3つの異なる年代と国の作曲家の作品を旅するように楽しんで欲しいと言われた」と紹介。福山はボキャブラリーが豊富で、楽しいプレトークです。各曲の解説は後述します。
「ここから本題」ということで後半の残りの短い時間で質問コーナー。「来年のプログラムの曲目は決まっているか?」の質問に、福山は「大フィルは来年80周年になる。素晴らしい指揮者は2年くらい先を抑える必要がある」と回答。「物価高の影響は大丈夫か?」の質問には、渡りに船とばかりに寄付を呼びかけました。20分程度で終了しました。

チェロの客演奏者で一樂恒(京都市交響楽団チェロ奏者)が出演されて、一樂もゆる(大阪フィルハーモニー交響楽団首席ヴィオラ奏者)と夫婦でご出演。いつものように、団員の入場時に拍手はなく、コンサートマスターの須山暢大の入場時に拍手。チューニングが終わるとすぐにタバシュニクが登場。非常にゆっくりとヨチヨチ歩きで、両腕でバランスを取りながら登場。指揮台の横に小さな踏み台が置かれていました。メガネをかけています。全曲譜面台なしで指揮しました。歩く姿はやや弱々しかったですが、指揮台の上では年齢を感じさせませんでした。

プログラム1曲目は、ブラームス作曲/交響曲第3番。プレトークで福山は「ブラームスの交響曲で一番演奏されることが少ない。他の3曲より短いのと、静かに終わるのでカップリングが難しい。ネタバレになるが、昨日の演奏のテンポは非常にゆっくりだった。第1楽章から第3楽章までじっくり深く演奏する。第4楽章は普通のテンポに戻る。リハーサル後にタバシュニクがフランス語で「命を捧げるくらいの強度で」と話していた」と解説しました。
プレトークで触れられたように、テンポが遅い。第1楽章冒頭のヴァイオリンの音圧はもっと強く欲しいし、アーティキュレーションももっと合わせて欲しいです。座席のせいか音像が少し遠く感じましたが、コントラバスはよく聴こえました。第2楽章はたっぷり歌って、遅いテンポにうまく対応した演奏。第3楽章のメロディーは、独特のアゴーギクでテンポを揺らしました。大変格調が高い。第4楽章は標準的なテンポで、一転して別の曲のようにアクセント気味でシャープ。しかも途中でアッチェレランド気味にせき立てる躍動的な演奏でした。40分かけて演奏。いい曲なので、もっと演奏会で聴きたい作品です。

休憩後のプログラム2曲目は、ストラヴィンスキー作曲/組曲「プルチネルラ」。プレトークで福山は「40人くらいの小編成なので、定期演奏会で演奏されることが少ない。クラリネットはいない。ソロはたくさん出てくるので、大フィル奏者のソロが堪能できる」と聴きどころを紹介。また、「8曲あるが、2曲目からしばらく切れ目なく続けて演奏されるので、数えないでください」と言って笑わせました。続けて、「バロック調でロイヤルミルクティーを飲みながら聴きたい。ホール内は飲食禁止だが」と話しました。
弦楽器の首席奏者(第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ)の4人が指揮台の1列目に集まりました。コントラバスも1人だけ他の奏者よりも前の位置で演奏しました。これは、弦楽器が独奏群と総奏に分けられているためでしょう。スリムな音響を追求して、見通しがよくて明るい。大阪フィルには合わない作品と思っていましたが、意外に好演。弦楽器が室内楽的で立体的に聴こえます。曲によって活躍する楽器が違うのもバラエティーがあっておもしろい。第1曲「序曲」は、ビブラートが少なめ。第2曲「セレナータ」は。ヴィオラがピツィカートを響かせました。トランペットとトロンボーンが活躍する第5曲「トッカータ」の最後は、タバシュニクが左手でコントラバスの最後の音符を強く指示。第7曲「ヴィーヴォ」は、トロンボーンのグリッサンドが連続します。コントラバスのソロもあります。ヴァイオリンとヴィオラはほとんど休みでした。

プログラム3曲目は、ドビュッシー作曲/交響詩「海」。プレトークで福山は「大フィルは何でもできる。大は小を兼ねる」と大編成で演奏される点を解説しました。大阪フィルのX(@Osaka_phil)に掲載された動画で、タバシュニクは「おそらくオーケストラの全作品の中で私の一番好きな作品です」と語っています。一気に大編成での演奏。
第1楽章「海上の夜明けから正午まで」は、響きが軽く透明感があります。31小節に向けてのクレシェンドでテンポアップ。ハープ×2をよく聴かせます。ホルンソロやトランペットソロは抑えめです。95小節からハープに乗せてテンポアップ。以降のクレシェンドとデクレシェンドは、よく抑揚をつけます。132小節からハープ音符の粒がはっきり聴こえました。135小節から金管楽器の和音の移り変わりを聴かせて欲しかったですが、音色がやや汚くて残念。137小節は倍速で演奏。
第2楽章「波の戯れ」は、鉄琴(グロッケンシュピール)が大活躍で、きらびやかさを与えます。ハープも引き続きよく聴こえて、ここまで鉄琴とハープを強調する演奏は珍しい。
第3楽章「風と海との対話」は、色彩感があります。大阪フィルとは思えない見通しのよさで、こんなにスッキリした響きになるとは驚きでした。海にふさわしい大きなうねりを形成。237小節からホルンとトランペットによるファンファーレは演奏されませんでしたが、今日のような演奏ならファンファーレ付きで聴きたかったです。
カーテンコールではタバシュニクは両腕を広げて拍手をあおるようなアクション。17:00に終演しました。

タバシュニクと大阪フィルは相性が非常によいと感じました。レパートリーも豊富ですばらしい。また聴きたいです。

 

フェスティバルホール(渡辺橋から望む) プレトーク・サロンのご案内 メインホワイエから渡辺橋を望む プレトーク・サロン ステージのモニター映像

(2026.6.18記)

 

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