| 2010年5月8日(土)18:30開演 2010年5月9日(日)17:30開演 グランキューブ大阪 メインホール 椎名林檎(vox&guitar)、伊澤一葉(key&cho.)、浮雲(guitar&vox)、亀田誠治(bass&cho.)、刄田綴色(drums&cho.) 座席:1階 Ak列 25番(5月8日) |
東京事変のひさびさのライヴツアー「ウルトラC」に行きました。2月24日にリリースされた4枚目のアルバム「スポーツ」を引っさげてのツアーです。ライヴとしては、昨年末の「COUNTDOWN JAPAN 09/10」以来。ライヴツアーとしては「東京事変 live tour 2007 Spa & Treatment」以来2年半ぶりです。「ウルトラC」の意味は、広辞苑によると「体操競技の用語。最高難度Cを超える意で、もっとも難度の高い独創的な演技の称。」。東京事変が、今現在のベストパフォーマンスを見せるという意気込みの表れでしょうか。
今回のツアーは、北は札幌から南は大分まで、18都市で22公演。メンバー5人の故郷(椎名林檎=福岡、刄田綴色=島根、亀田誠治=大阪、浮雲=千葉、伊澤一葉=岡山)で開催されるのが特徴です。ライヴハウスで行なわれた「東京事変 live tour 2007 Spa & Treatment」とは異なり、今回はいずれもホールでの開催です。3月下旬から5月下旬まで、約2ヶ月の日程です。
近畿圏では大阪公演(グランキューブ大阪メインホール)のみ。5月8日(土)と5月9日(日)の2日間で、どちらも土日というラッキーなスケジュールでした。仕事はないので、1泊2日で参戦です。グランキューブ大阪メインホールは、2,754席のキャパシティです。
チケット確保
チケットは全席指定で6500円。席種のランクはありません。林檎班会員とSR猫柳本線ポケット会員を対象に、それぞれ先行予約がありました。まず11月上旬に林檎班会員を対象に先行チケット予約がありました。大阪公演を2日とも申し込みましたが、5月8日(土)は当選しましたが、5月9日(日)は落選しました。土日開催ということで、他府県からの参加も多かったのでしょうか。続いて、11月中旬にSR猫柳本線ポケット会員を対象に先行チケット予約があり、5月9日(日)を申し込んだところ、めでたく当選しました。
チケットは、開催寸前の4月下旬に郵送で届きました。チケットのデザインは、孔雀が描かれたメダルが赤いヒモにぶら下がっています。ただし、「林檎班会員先行予約」と「SR猫柳本線ポケット会員先行予約」で印刷が異なり、「林檎班会員先行予約」はカラー印刷ですが、「SR猫柳本線ポケット会員先行予約」は赤色の1色刷りでした。わざわざ変えたのは会費の違いでしょうか。また、「林檎班会員先行予約」にはステッカーが1枚入っていました。ステッカーには「チケット着地成功、高得点が期待できます」と書かれていました。
グッズ購入
開場前にグッズの先行販売が行なわれました。今回のツアーも大量の特殊開発グッズが製作されました。人気は「ニッポニアジャージ ホーム」(13,000円)。アルバム「スポーツ」でメンバー5人が着ていた白と赤のジャージです。あまりの人気ぶりに品薄となったため、ツアー後にWEB販売も決定しました。
グッズは1日目に購入しました。先行販売開始時間は14:45。京阪中之島線の終点中之島駅から歩いて、15:00頃に着いたところ、グランキューブ大阪1階のプラザ(屋外)にすでに500人くらい並んでいました。1階の正面出入口で入場制限されていて、スタッフの誘導で少しずつ中に入ります。この行列が予想以上になかなか進みません。16:30になってようやく中に入れました。スタッフの先導でエスカレーターに乗って、5階まで進み、今度は5階の廊下に並びます。グッズ販売会場は、メインホールホワイエでした。
開演準備のため、グッズ先行販売は17:15で終了することがアナウンスされて、メインホールホワイエの入口が封鎖されました。17:20頃にようやく買えました。ギリギリセーフ。あやうく買えないところで、あと10分着くのが遅かったら買えなかったでしょう。椎名林檎のグッズ購入でこんなに並んだのも初めてでした。販売開始時刻にすでに並んでいないと、グッズが買えないというのは一体どうなのでしょうか。時間がかかるのはやはりグッズの種類が多すぎるからでしょうか。また、クレジットカードで購入すると、手続きに時間がかかるようです。
以下の4つのグッズを買いました。今回からレシートが発行されましたが、下部に「勝ったのはワシらではない。事変サポーターだ。」というメッセージが印字されていました。
・ヴィクトリーTシャツ "測定"(白・L)(3000円):シングル「能動的三分間」のジェットとほぼ同じ緑色のストップウォッチが首からかけられているようなデザイン。表には「BPM-120」「03'00"00」「TOKYO INCIDENTS SPORTS」、裏には「VICTORY! INCIDENTS TOKYO ULTRA C LIVE TOUR 2010」と書かれています。
・手旗パクス(300円):シングル「能動的三分間」やアルバム「スポーツ」でも使われている5色の丸いロゴマークが白地の旗に描かれています。旗としては、「手旗ドメス」(東京事変 DOMESTIC! Virgin LINE)、「手旗エキス」(椎名林檎(生)林檎博'08 〜10周年記念祭〜)に続いて3つ目です。「パクス」がどういう意味かよく分かりませんでしたが、後述の「人型カード5体」にヒントがありました。
・東京事変 優勝パレードセット(2200円):以下のアイテムが透明の袋に入っていました。
「人型カード5体」:メンバー5人のイラスト。アルバム「スポーツ」と同じ白いジャージ(ニッポニアジャージ ホーム)を着ています。裏面には担当楽器名とコメントが書かれています。椎名林檎は「手旗パクスを掲げる椎名。“パクス・ジヘニカ(事変)”があってもいい。」と書かれています。「パクス・ジヘニカ」とは、おそらく「パクス・ロマーナ(ローマの平和)」をもじった造語で、「東京事変の最盛期」という意味でしょう。上述した「手旗パクス」の「パクス」もここから引用されているようです。
「ミニ写真4枚」:白黒写真が4枚。スタジオで撮影された練習風景のようで、椎名林檎がギターを弾いています。裏面にはそれぞれ「EXCITEMENT AND EMOTION」「VICTORY」「COOPERATION」「GLORY」とタイトルが記されています。
「ポチ袋2枚」:正方形の小さな袋。金箔が埋め込まれていてのし袋のようです。孔雀マークとツアーロゴマークの2種類です。
「コースター」:白くて丸いコースター。表面は金色の字で孔雀マーク、ツアーロゴ、INCIDENTS TOKYO ULTRA C。裏面には「tel」と「mail」の記入欄があります。
「付箋」:孔雀マークにかたどられた小さな厚紙です。付箋として使えるとは思えませんでした。
「キラキラ文字飾り2個」:色とりどりのカラフルな銀紙が赤いリボンで横につながっています。横に広げるとかなり大きく、「INCIDENTS TOKYO」と「ULTRA C 2010」の文字がつながって読めます。
・ステッカー "C特需"(500円):ツアーロゴなどのシールが7枚。黒地に赤字で描かれた「戦」のステッカーは、刄田綴色が書いた字のようです。
ご当地観光スタンプ
グッズ販売ブースの隣に、スタンプが置かれていました。今回のツアーでは、各会場にそれぞれデザインが異なる「ご当地観光スタンプ」が用意されました。もちろん大阪公演も各日でスタンプは異なりました。スタンプを押す用紙として、後述する「事変好みの観光スタンピード」が用意されていますが、開場後に渡されるのでまだありません。グッズ購入の段階では、「手旗パクス」の白いの部分に押しました。
<1日目> 赤色のインク。右上に「2010.5.8」の日付。上部に「東京事変 live tour 2010 ウルトラC 大阪」。中央に「大阪城」「漫才」「串カツ」「通天閣」のイラストと文字。下部には「なんぼでも行けるんちゃうんかな 大阪初日」と「我慢」の歌詞から引用された文書が横書きで記されています。
<2日目> 黄色のインク。日付はもちろん「2010.5.9」。イラストは「太陽の塔」「阪神タイガースの応援」「たこ焼き」「グリコネオン」でした。1日目と違って、文字はありません。下部は「インシデンツトーキョーフレーフレーフレーフレー」。
また、スタンプの隣には、来場者限定携帯FLASH「手かざしファイブ」にアクセスできるFeliCa端末が設置されていました。ちなみに、SR猫柳本線ポケット会員には、毎回のライヴ終了後に「メルマガポケット・ツアースペシャル」のメールが届きました。各公演の簡単なライヴレポートが届きましたが、私が行く大阪公演以外の情報が先に届いてしまうのはけっこううっとうしい感じでした。
開場
5階のメインホールホワイエでグッズを購入した後、今度は入場列の最後尾に並び直し。ふたたび1階に下りました。入場方法はグッズ購入と同じルートですが、エスカレーターに乗るのでなかなか列が進みません。またまた大行列ができていました。1日目は観客をホールに収容するのに時間がかかって、開演が10分ほど遅れました。2日目はエレベーターを併用して5階に上げたので、いくぶん改善されました。2700人以上を1階から5階に上げるだけでもかなり時間がかかりますね。
事変好みの観光スタンピード
チケットをもぎられた後、入口で透明の袋を渡されました。袋の中には、「事変好みの観光スタンピード」と「特殊開発グッズのご案内」が入っていました。「事変好みの観光スタンピード」は日本地図に「ウルトラC」の開催場所と開催日時が示されています。さらにメンバー5人の出身地には、マークで記されていて、「大阪府」には亀田誠治を表す亀マークがありました。右下に「ご当地観光スタンプ」の押印スペースがありました。
裏面は「ツアー連動スペシャルコンテンツのお知らせ」が掲載されています。「SR猫柳本線ポケット」で配信されるヒントをもとにクロスワードパズルを解いて22公演分のキーワードで、オリジナルFLASHゲーム「雨天決行絶体絶命GAME」がプレゼントされるとのこと。私はやっていないので詳しくは分かりません。
開演! (全体の感想は後述します)
※5月12日の東京公演2日目を収録したDVD「ウルトラC」(2010年8月25日発売)を見て補筆しました。
<1日目> 1階席中央の前方。かなりいい席です。もともとオーケストラピットになっている座席で、ライヴ中に観客が跳んだり跳ねたりすると床が激しく揺れてちょっと酔いました。サウンドのバランスとしては、刄田綴色のドラムが強く感じました。
<2日目> 2階席の前から2ブロック目の最前列。ステージ向かって右側のブロックでした。ステージ全体は見えましたが、2階席とステージはかなり遠く、倍率3倍の双眼鏡で見てもメンバーの顔の表情は分かりませんでした。ステージと距離があるためか、落ち着いて冷静に聴けました。1階席の様子もよく見えて、手旗パクスが振られる風景は壮観でした。2階席でも少し床が揺れました。
開演前のBGMはこれまでは洋楽が流れていましたが、今回はクラシックでした。よく聴くと、すべてラヴェルの作品で、「クープランの墓」「亡き王女のためのパヴァーヌ」「ボレロ」でした。椎名林檎の選曲なのでしょうか。
「ボレロ」が終わるとすぐに照明が消えて開演。メンバーが登場。これまでは椎名林檎は1曲目の前奏中に登場することが多かったですが、今回は5人全員が同時に登場しました。椎名林檎は短髪ですが、なんと金髪に髪を染めていてびっくり。なんだか別人みたいです。5人の衣装はほぼ同じで、原始人のような毛皮をイメージさせるベージュの衣装でした。椎名林檎は肌色の長いブーツを履いています。男性メンバーもひざが隠れるほどの丈のスカートを履いていました。スポーティーな衣装を期待していたので、ちょっとびっくり。浮雲は髪を後ろで縛っていましたが、上中下の3段になっていました。歩くと揺れるのがおもしろい。メガネはかけていませんでした。刄田綴色は「COUNTDOWN JAPAN 09/10」での赤い蛍光色の髪に黒が混じっていました。
メンバーの配置は、「COUNTDOWN JAPAN 09/10」と同じで、左から、伊澤一葉、浮雲、亀田誠治、椎名林檎、刄田綴色の順。「SOCIETY OF THE CITIZENS vol.2」までと比べると、浮雲が椎名林檎の隣に出てきて、ツインボーカルの性格を強くしました。亀田誠治は浮雲と椎名林檎の間の後列で、ひな壇の上に立って演奏しました。ステージは客席のキャパシティに比べると、横幅が広くありません。
1曲目は「勝ち戦」。「COUNTDOWN JAPAN 09/10」で新曲として披露されました。椎名林檎がギターを弾きました。歌詞が英語ですが、日本語の訳詞(縦書き)が緑色の光でホリゾントやホールの左右の壁に映し出されました。DVDでも日本語訳詞の字幕が画面右端に出ます。歌い終わると椎名林檎がピックを客席に投げました。
2曲目は「FAIR」。前奏で椎名林檎が短いMC。1日目は「大阪のみなさん、こんばんは」、2日目は「上方のみなさん、こんばんは。東京事変ただいま参上しました」でした。DVDでは「ようこそいらっしゃい。東京事変ただいま戻ってまいりました」と低い声で話します。間奏で浮雲のギターソロがあり、スポットライトで照らされました。椎名林檎は「何とも思って居ない」からのサビは、マラカスを振るように右手を上下に動かしながら歌いました。DVDを見ると右手に緑色の卵サイズの楽器(マラカス?)を持って上下に振って歌っています。楽器が小さかったので、会場からは見えませんでした。
休みなしに続けて3曲目は「電波通信」。椎名林檎がギターを弾きました。「安否も判らぬ事態なんて」では「なんて」をエコー効果で響かせました。照明がチカチカ付いたり消えたりして明滅がすごい。東京事変史上最高の照明効果でしょう。DVDでも強烈なストロボが確認できます。
4曲目は「シーズンサヨナラ」。「電波通信」からの流れは、アルバム「スポーツ」と同じです。男声コーラスは会場ではアルバム「スポーツ」ほど聴こえませんでしたが、DVDではよく聴こえます。
休みなしに5曲目は「OSCA」。椎名林檎は拡声器で歌いました。前奏の「ワン、ツー、ワン」で指を突き上げました。歌いながらステージを左右に動いて、客席最前列の客と握手。「相棒かも sista」の後の「OSCA」は、オーディエンス全員で大声でコール。後半が始まるきっかけとなる亀田誠治のベースソロは低音を駆使して長めに演奏。客席から拍手が起こった後、後半が始まりました。この曲は盛り上がりますね。DVDでは伊澤一葉は立ち上がってキーボードを弾いています。
休みなしに6曲目は「FOUL」。DVDでは冒頭で椎名林檎がクラクションを吹いています。引き続き拡声器で歌いました。「COUNTDOWN JAPAN 09/10」で初めて演奏したときはあまり盛り上がりませんでしたが、今回は大盛り上がり。アルバム「スポーツ」よりもテンポが速い。「あなたはこのまま ブランクなフェイスでいて」は1オクターヴ上げて歌いました。間奏では亀田誠治がジャンプするなどノリノリ。
ここまで一気に歌い切ったあと、しばらく間を空けて7曲目は「ありあまる富」。今回のライヴでは唯一の椎名林檎ソロ名義の曲です。「COUNTDOWN JAPAN 09/10」と同じアレンジのようで、前奏は伊澤一葉のキーボードソロ。間奏では浮雲と伊澤一葉が「ウーウ」と歌いました。椎名林檎は途中から黒色のタンバリンを叩きながら歌いました。DVDで見ると、右手でタンバリンを持って左腕に当てて叩いています。やはりこの曲は名曲ですね。
8曲目は「生きる」。アルバム「スポーツ」では1番はアカペラのコーラスでしたが、ライヴでは椎名林檎だけが歌って、伊澤一葉がピアノで伴奏しました。高音での絶叫がすごい。声をつぶしたり足を振り上げたりまさに熱唱。2番は速いテンポ。椎名林檎が腰をかがめながらステージの左右を歩き回りました。2日目は歌い終わった椎名林檎がマイクをスタンドに直したときにマイクが落ちたようで、舞台袖からスタッフが直しに出てきました。珍しい。
9曲目は「絶体絶命」。椎名林檎がタンバリンをドラムと同じリズムで叩きました。ホリゾントに「あ」「ま」「り」「に」「も」と1文字ずつ表示されました。
終わると、「あまりにも」の歌詞が何回か録音で繰り返され、天井からパトカーの赤色灯が15個くらい5列くらいに分けられて降りてきました。赤い照明のなか、10曲目は「遭難」。懐かしい。東京事変第1期の曲で、浮雲と伊澤一葉が加わった演奏は今回が初めてでした。CDよりもテンポが速く、音程も高い。伴奏がサイレントになる「下品な芝居で定刻」の前で、椎名林檎は「チッチ」と舌打ちしました。
11曲目は「修羅場」。浮雲がバックコーラス。天井から降りてきたランプが今度は白いフラッシュを発していました。
後奏中に、ホリゾントに「-03:00:00」と赤く表示されて、大きな歓声。続けて12曲目は「能動的三分間」。前奏が始まると同時にストップウォッチのように秒数が減っていきます。BPM=120(=1秒に2拍)のテンポをきっちり刻み続けます。浮雲はギターを預けてステージを左右に歩きながら歌いました。ギターを弾かないで歌うだけの浮雲は今回が初めてでした。伊澤一葉も一緒に歌っていました。終盤では椎名林檎が旗を左右に振りました。最後のキーボードの「ピー」という音で、ホリゾントの表示がぴったり「00:00:00」になりました。大歓声。
休みなしに13曲目は「我慢」。シングル「能動的三分間」のカップリング曲で、「COUNTDOWN JAPAN 09/10」でも「能動的三分間」と続けて演奏されました。「能動的三分間」と対になる曲ということでしょうか。椎名林檎がギターを弾きました。
14曲目は「スーパースター」。懐かしい。キーボードの伴奏で始まりました。椎名林檎がこの曲もギターを弾きました。亀田誠治がジャンプしたり、伊澤一葉がキーボードを弾きながら頭を上下に激しく揺らしたり、メンバーもノリノリで演奏。
15曲目は「某都民」。椎名林檎、浮雲、伊澤一葉の3人で歌います。浮雲の歌がうまくなりました。「日本の宮処はそう此処、東京(TOKYO)」は「東京事変 live tour 2007 Spa & Treatment」では「そう此処、大阪」と歌いましたが、今回は2日とも「そう此処、東京」でした。DVDでは東京公演ということもあって「そう此処、東京」をオーディエンスが合唱しています。椎名林檎が「師匠!」と紹介して、亀田誠治のベースソロがありました。後奏はいつものように「歌舞伎」。
16曲目は「キラーチューン」。椎名林檎は上半身を左右に揺らしながら歌いました。間奏では笛を吹きました。2番からは旗を持って元気よく左右に振りました。2日間とも歌詞を間違えました。2番の「ご覧 険しい日本(ここ)で逢えたんだ」を、1番と同じ「ご覧 ほらね わざと逢えたんだ」と歌いました。2番の「険しい日本(ここ)で逢えたんだ」の歌詞が好きなので聴けなくて残念。DVDでは間違わずに歌っています。
17曲目は「乗り気」。ホリゾントにメンバー5人のアニメーションが映し出されました。オートバイに乗ったり、ハードルを跳んだり、敵?を蹴ったり。最後は椎名林檎の顔と「YOU WIN」の文字が表示されました。ゲームのようなアニメでした。間奏では、伊澤一葉が肩からキーボードをかけて、前へ。浮雲と亀田誠治の3人でコラボレーション。椎名林檎はその間に亀田誠治が立っていた台に移動。3番は椎名林檎が左右にステップしながら歌いました。
椎名林檎のMC。1日目は「ご一緒できてうれしかったです。最後の曲です」、2日目は「大阪のみなさん、本日は濃密なやり取りをどうもありがとうございました」。「濃密なやり取り」とは曲間の声援が大きいということでしょう。DVDでは「どうも貴重なお時間割いてお越しいただきまして誠にありがとうございます。最後の曲でございます。今日はどうもありがとう」と話しています。18曲目は「雨天決行」。左手で金色の傘を差しながら歌いました。ホリゾントには、雨、雲、雷、太陽など天気に関するアニメーションが映りました。最後は、ビルの合間から、孔雀のマークと「東京事変 ウルトラC」の文字が日の出のように出てきました。椎名林檎はステージ中央に傘を置いて退場しました。
メンバーも退場。1日目は刄田綴色が椎名林檎が置いた傘を差して退場しました。暗転。アンコールを待つ間、赤いランプがゆっくり大きくなったり小さくなったりしました。照明が全照になって、アンコールがスタート。1日目と2日目で曲が違いました。
<1日目> 亀田誠治が1人でクラシカルギターを持って登場。衣装は紺のジャケットに、白のシャツとズボンでした。頭の右上に白い布?のようなものをつけていました。「12歳まで大阪の千里山で育ちました。そのときから好きだった曲を弾き語りで」と話し、アンコール1曲目を披露。聴いたことがない曲でしたが、レノン=マッカートニーの「Blackbird」。英語の歌詞で、音程がちょっと外れていました。かなり緊張していたようです。
他のメンバーが登場。椎名林檎以外は亀田誠治と同じ衣装で、椎名林檎は紺の胸元が露わなキャミソールに、バレリーナのような白のスカートでした。アンコール2曲目は「スイートスポット」。浮雲と伊澤一葉も歌いました。歌詞の日本語訳が縦書きでホリゾントに白字で映りました。
アンコール3曲目は「閃光少女」。伊澤一葉がギターをノリノリで演奏。後奏で椎名林檎は旗を左右に振りました。
「お越しくださってありがとうございました」と椎名林檎が落ち着いて話し、深く一礼した後、アンコール4曲目は「極まる」。かがんだままのすごい体勢で歌います。椎名林檎は体が柔らかいですね。脱力していて、刄田綴色のドラムの一撃があるたびにしゃきっとして起き上がろうとします。浮雲のギターはDVDで見るとネック(左手で弾く部分)が2つある楽器を使っています。最後まで歌い終わると、右手を高く上げて、マイクを床に落としました。かっこいい。ステージの左右からスモークが噴射されて、暗転。しばらくすると後奏を演奏する4人がスポットライトで照らされましたが、椎名林檎はいなくなっていました。しばらくするとスモークがまた噴射。ステージは真っ暗になり、アルバム「スポーツ」と同じような「ガー」という轟音が響きました。音がなくなって照明がついたのは、4人とも退場した後で、ホリゾントに孔雀マークと「INCIDENTS TOKYO」の文字が映し出されました。そのまま終演しました。
<2日目> 5人全員が登場。衣装は1日目と同じです。MCなしで、アンコール1曲目は「スイートスポット」。1曲目が終わると、亀田誠治のMC。「アンコールどうもありがとう。僕はね12歳のときまで大阪は千里山というところで育ちました。僕が今こうやってここに立ってるのも小さいときから大阪の空気をいっぱい吸い込んでそして今こうやって音楽ができていてとても幸せな毎日です。これもみんなのおかげです。本当にありがとう。今日は1曲、僕が作った曲をちょっと弾き語りでやってみてみたいと思います。大阪スペシャルだよ。この歌詞に出てくる女の子のように僕もこの歌詞のように生きることができたらいいなといつも思っています。聴いてください。声援ありがとう」と話し、新曲を演奏するのかと思いましたが、アンコール2曲目は「閃光少女」。確かに亀田誠治が作曲した曲です。アコースティックギターを弾きながら歌いました。亀田の歌の音程は怪しい。観客も一緒に大合唱。DVDの特典映像に収録されています。1番まで歌うと、メンバー全員で演奏。椎名林檎が改めて1番から歌いました。より力強い歌声でした。後奏で椎名林檎は旗を左右に振りました。椎名林檎のMC。「今宵お目にかかれて光栄でした。あと何度お目にかかれるでしょう。その日までお元気で」と話しました。アンコール3曲目は「極まる」。これは1日目と同じでした。
アンコールの内容は、開催場所によって内容を変えているようです。他の公演では、開催地の名所をメンバーが訪れたときの写真がスライドショーで映し出されて、それをMCで紹介することもあったようです。うれしいことに、メンバーの出身地のご当地スペシャルは後述するようにDVDに収録されました。大阪公演では大阪出身の亀田誠治が2日とも登場しました。亀田は「東京事変 “DOMESTIC!” Just can't help it.」の大阪公演1日目で、母校の「吹田市立千里第三小学校校歌」を歌いましたが、「亀の恩返し」では恥ずかしがって歌わなかったので、歌をあまり得意としていないようです。亀田の歌声が聴けて貴重でした。
終演。BGMはガーシュウィン「ラプソディー・イン・ブルー」。DVDのエンドクレジットでも流れます。退場に際して「濃霧のため視界が悪くなっているので注意して歩いてください」というアナウンスが流れました。グッズ販売ブースと「ご当地観光スタンプ」コーナーが大行列でした。
全体の感想
あっという間に終わってしまいました。約1時間45分のステージでしたが、約2時間だった「東京事変 live tour 2007 Spa & Treatment」と比べると、実際に時間が短かったようです。ただし、曲数は22曲で同じでした。メンバーのMCがほぼ皆無(椎名林檎と亀田誠治だけ)で、時間が短縮されたようです。「東京事変 live tour 2007 Spa & Treatment」や「椎名林檎(生)林檎博'08 〜10周年記念祭〜」ではあった椎名林檎の着替えも、今回は本編ではありませんでした。椎名林檎のMCも感情をあまり表に出さないドライな話し方でした。「東京事変 live tour 2007 Spa & Treatment」では、大阪滞在中に行った場所を紹介したりして親近感が沸きましたが、今回はそういう話もまったくなし。大阪公演では大阪出身の亀田誠治がメンバーを代表して挨拶したということでしょうか。「椎名林檎(生)林檎博'08 〜10周年記念祭〜」や「COUNTDOWN JAPAN 09/10」でもそうでしたが、最近のライヴではMCが短くなる傾向があります。
セットリストでは、アルバム「スポーツ」に収録されている13曲はすべて演奏しました。「遭難」「修羅場」「スーパースター」などの懐かしい曲もあり、椎名林檎(東京事変)の曲はいい曲が多いと実感しました。演奏もライヴとは思えないほど完成度が高い。CD級の完成度でした。椎名林檎はやはり声量がすごい。DVD「東京事変 Spa & Treatment」の特典映像に、椎名林檎がタバコを吸っている映像があって衝撃を受けましたが、喫煙の影響はないようです。短髪が似合っています。ギターを弾く姿もかっこいい。男声4人のバックコーラスはCDほどは聴こえませんでした。主に歌っているのは浮雲と伊澤一葉で、亀田誠治と刄田綴色が歌っているのはDVDで見たところ「OSCA」くらいのようです。また、DVDで確認すると、バックコーラスなどステージ以外の音声をかなり加えていることが分かります。録音を流しているのは演奏効果を高めるためでしょうが、これ以上増えるとライヴらしくなくなるので興ざめするかもしれません。
照明がかなり凝っていました。音楽と一体化していて、とても効果的。おまけ扱いではなく、音楽にマッチしていました。歌詞が英語の曲は日本語訳がホリゾントに映し出されましたが、せっかくなのでCDの歌詞カードにも載せてほしいですね。
退場は今までは演奏終了後に歓声のなか退場しましたが、今回はスモークとともに消えるというのが非常にユニーク。静かに終わるので味気ない感じはしますが、ステージの余韻を持たせるには最高の演出でしょう。
観客は「手旗パクス」を振るのを忘れるくらい、聴き惚れている人が多かったです。1日目よりも2日目のほうが歓声が大きかったです。日曜日だったからでしょうか。
なお、『東京事変/スポーツ オフィシャル・スコア・ブック』(2010年8月25日発売)に、ライヴ写真が掲載されています。また、『ROCKIN' ON JAPAN』2010年6月号(2010年4月30日発売)に、「東京事変 独占ツアー取材 序盤戦ノ巻」という記事が掲載されました。写真込みで8ページと短いですが、ツアーの途中で記事が組まれるとは珍しい。
DVD「ウルトラC」
2010年8月25日にライヴDVD「ウルトラC」がリリースされました。9月8日にはブルーレイディスクでも発売されました。5月12日(火)の東京公演2日目(東京国際フォーラム ホールA)を収録しています。全曲が収録されていて、カットや別撮り映像がないのが評価できます。
伊澤一葉のキーボードに歌詞が貼ってあるのが確認できます。黄色の蛍光塗料で印字されていて、ステージが暗くても見えるようになっているようです。バックコーラスで歌う「雨天決行」の歌詞が見えました。また、左手の薬指の指輪もよく見えます。
「特典映像」として、メンバーの出身地で行なわれたスペシャル・メニューを収録しています。いい企画です。大阪公演の亀田誠治は上述したので、それ以外の公演について触れておきます。
千葉公演(4月8日 千葉県文化会館)は、浮雲の出身地。伊澤一葉が浮雲について「ずっと彼は浮雲様はカントリーが好きでずっとやってまして、浮ちゃんが披露したいということで」と紹介。浮雲が「椎名林檎さんにバッキングを弾いてもらうということで」と話しました。オーディエンスからの「ウッキー主役!」の声には「いや、いいんですよ俺は」と謙遜しています。曲は「Release Me」(作詞・作曲:Eddie Miller, Robert Yount, and James Pebworth)。浮雲がギターを弾きながら、英語の歌詞を歌います。ミディアムテンポで気持ちよさそうに歌います。椎名林檎が隣でアコースティックギターを弾いています。
福岡公演(4月22日 福岡サンパレスホテル&ホール)は、椎名林檎の出身地。椎名林檎の長いMC。「ご存知な方もいらっしゃるかもしれませんが、わたくしボーカル椎名はここら辺育ちでございます。ただいま帰りました」「そのデビューの当時クロスFMのパーソナリティをさせていただいていてですね、すごいお粗末ながらやらせていただいていて、その頃からレコード聞いて下さってる方はいらっしゃるのかしら。ありがとうございます。うれしい」「照れると、もーあのー」「そしたらみなさんもう大人になられたわけですよね、同じように。10年ねぇ、ありがとうございます。そしたらお子さんがおできになった方もいらっしゃるんですか。だいぶ変化しちゃって、私もしたんですけど」「まあそういういろいろな経緯がないと事変に書いてこなかったような曲を、今日ここ福岡だけでちょっとやらしていただこうかなと思います。1曲さして下さい」と話し、「黄昏泣き」(作詞・作曲:椎名林檎)を演奏。ピアノ主体の伴奏です。椎名林檎の目には涙が浮かんでいます。
島根公演(5月22日 島根県民会館)は、刄田綴色の出身地。「太鼓 畑日出光 舞 刄田綴色」とホリゾントに表示されます。父子共演です。烏帽子をかぶった白装束の日出光が歌いながら和太鼓を叩きます。いい声です。演目は「慶びの歌」。刄田綴色は金箔の着物を着て舞います。左手に手旗パクス、右手に扇子を持っています。最後は速いスピードで回転します。
岡山公演(5月23日 倉敷市民会館)は、伊澤一葉の出身地。「楽しんでくれてますでしょうか。私の故郷ということでちょっとお時間もらいまして1曲歌わせてもらいます」と話し、「母の光」(作詞・作曲:伊澤啓太郎)を歌いました。伊澤啓太郎は伊澤一葉の本名。伊澤一葉が所属するバンド「あっぱ」の自主制作CD-R「GIGS」(2006年2月4日発売)に収録されています。キーボードを弾きながら歌います。あっぱではヴォーカルを担当しているだけあって、歌がうまくてびっくり。特に高音はきれいな声です。
なお、東京公演(5月12日)のアンコールは「丸の内サディスティック」。歌詞が英語と日本語の両方で歌われます。アレンジとしては、アルバム「三文ゴシップ」に収録されている「丸の内サディスティック(EXPO Ver.)」に近いです。英語の歌詞は、画面右端に日本語訳詞が字幕が出ます。後奏の歌詞の訳詞が「早死にすれば ロック教の殉教者決定」とかすごい。また、MCでは「とうとう念願叶って丸の内でお目にかかれてうれしかったです」と笑顔で話しています。東京国際フォーラムでのライヴは初めてだったようで、客席から大歓声が送られています。
1.勝ち戦 (作詞・作曲:椎名林檎)
2.FAIR (作詞:椎名林檎 作曲:浮雲)
3.電波通信 (作詞:椎名林檎 作曲:伊澤一葉)
4.シーズンサヨナラ (作詞・作曲:浮雲)
5.OSCA (作詞・作曲:浮雲)
6.FOUL (作詞・作曲:浮雲)
7.ありあまる富 (作詞・作曲:椎名林檎)
8.生きる (作詞:椎名林檎 作曲:伊澤一葉)
9.絶体絶命 (作詞:椎名林檎 作曲:伊澤一葉・椎名林檎)
10.遭難 (作詞・作曲:椎名林檎)
11.修羅場 (作詞・作曲:椎名林檎)
12.能動的三分間 (作詞・作曲:椎名林檎)
13.我慢 (作詞:椎名林檎、作曲:伊澤一葉)
14.スーパースター (作詞:椎名林檎 作曲:亀田誠治)
15.某都民 (作詞:椎名林檎 作曲:浮雲)
16.キラーチューン (作詞:椎名林檎 作曲:伊澤一葉)
17.乗り気 (作詞:椎名林檎 作曲:伊澤一葉)
18.雨天決行 (作詞:椎名林檎 作曲:伊澤一葉)
<アンコール 5月8日>
1.Blackbird (作詞・作曲:レノン=マッカートニー)
2.スイートスポット (作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎・伊澤一葉)
3.閃光少女 (作詞:椎名林檎 作曲:亀田誠治)
4.極まる (作詞・作曲:浮雲)
<アンコール 5月9日>
1.スイートスポット (作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎・伊澤一葉)
2.閃光少女 (作詞:椎名林檎 作曲:亀田誠治)
3.極まる (作詞・作曲:浮雲)
2010.5.29 記
2011.5.5 更新