Kyoto Music Caravan 2025「打楽器アンサンブル・コンサート」


2025年5月6日(祝・火)18:00開演
北野天満宮文道会館ホール

川西結、黒澤雄太、丹治樹、柳野伽耶(打楽器)

ジュリー・ダビラ/スツール・ピジョン
イヴァン・トレヴィノ/2+1
ギャレス・ファー/チューブズ
ダン・ニップル/リサイタル・デュオ
ジョシュア・ウェブスター/ノック・オン・ウッド
ネボイシャ・ヨハン・シヴコヴィッチ/トリオ・パー・ウノ
三木稔/マリンバ・スピリチュアル

座席:全席自由


 
2023年に京都市立芸術大学新キャンパス移転と文化庁京都移転の記念事業として開催された「Kyoto Music Caravan 2023」が、2025年度も「Kyoto Music Caravan 2025」として開催されることになりました。2023年度の「Kyoto Music Caravan 2023」は、2023年4月から2024年3月まで京都市内の寺社や観光地などで12公演が開催され、「ありがとう沓掛キャンパスコンサート」(京都市立芸術大学沓掛キャンパス講堂)と8月の「サクソフォーン四重奏コンサート」(壬生寺)と「スペシャル・コンサート」(京都市立芸術大学堀場信吉記念ホール)の3公演を聴きました。
 
今年度の「Kyoto Music Caravan 2025」は2年ぶりの開催で、主催は京都コンサートホール(公益財団法人京都市音楽芸術文化振興財団)と京都市。今回は京都コンサートホール開館30周年記念事業として企画され、2025年5月から2026年3月まで京都市内の名所・観光地の10ヶ所で開催されます。順番に、北野天満宮、二条城、くろ谷金戒光明寺、有斐斎弘道館、壬生寺、妙心寺、知恩院、醍醐寺、東寺で開催され、最後の「ファイナル・コンサート(バリアフリーコンサート)」は、京都コンサートホール大ホールで開催されます。なお、特別協賛として洛和会音羽病院がスポンサーに入ってバックアップして、「Special support by 洛和会音羽病院」として開催されます。パンフレットには「クラシック音楽が、京都のまちと人びとをつなぐ」や「市内各地で行われる、一大クラシック音楽イベント」の文字が躍り、京都コンサートホールプロデューサーの高野裕子も「京都とクラシック音楽の高い親和性」を開催する理由に挙げています。また、今回はスタンプラリーも企画されました。各会場で公演当日に押印されるスタンプを5個以上集めると、抽選で賞品が当たります。つまり、全10公演のうち5公演を聴く必要がありますね。
 
本公演は「Kyoto Music Caravan 2025」のトップバッターで、北野天満宮での「打楽器アンサンブル・コンサート」。当初は紅梅殿ステージで開催される予定でしたが、前日にKyoto Music Caravan 2025のX(@KyotoMC2025)で、「明日は雨天予想のため、会場は文道会館ホールに変更になる」とアナウンスされました。ちなみに、「Kyoto Music Caravan 2023」でも「ピアノ三重奏コンサート」(2024.3.10)が文道会館ホールで開催されました。
 
北野天満宮はひさびさに行きました。せっかくなので開運招福厄除割符(災難厄除)を初穂料500円で購入しました。雨は止んで、提灯のライトアップがきれいです。この日はゴールデンウイークの最終日でしたが、周辺の店舗は意外に火曜日定休日が多くて残念。また、この日は史跡御土居青もみじ苑の夜間特別拝観ライトアップの最終日でした(詳細は後述)。
 
本公演は入場無料で事前申し込みも不要でした。会場の文道会館は2017年に新築されました。楼門の手前にあります。ホールは文道会館の1階にあり、絨毯が敷かれてあって、ホテルの宴会場のような雰囲気です。それほど広くありません。椅子にプログラムが置かれていました。椅子は100席ほど置かれていましたが、想定以上の来場があったようで、追加で設置されましたが、それでも立ち見が出ました。お客さんは120名程度でしょうか。
 
京都コンサートホールプロデューサーの高野裕子が司会。最初に洛和会音羽病院理事長の矢野があいさつ。音羽病院には音楽療法士のスタッフが5人もいるとのこと。続いて、北野天満宮禰宜(ねぎ)の白江(しらえ)があいさつ。「令和9年に半萬燈祭を予定している。過去においては北野天満宮は発表の場であった。このコンサートも菅公の御霊を沈めるものとして考えている。前回は梅の時期で窓から梅苑も見える」と話しました。なお、緑色のぬいぐるみが置かれてあったのですが、洛和会ヘルスケアシステム公式キャラクターの「らくの助」で、恐竜のように見えましたが、ラッコのようです。
 
出演者は4人とも京都市立芸術大学打楽器専攻の在学生・卒業生です。打楽器専攻生のアンサンブルは、昨年冬の管・打楽三昧がユニークなプログラムで、技術レベルが高かったので、期待大です。川西結は学部卒業生で、小澤征爾音楽塾オペラプロジェクトに出演しました。黒澤雄太は4回生で、第8回京都市立芸術大学サクソフォン専攻生によるアンサンブルコンサート「Saxtation」に出演しました。また、7月の「京都市立芸術大学音楽学部・大学院音楽研究科第177回定期演奏会」でソリストを務める予定で将来有望です。丹治樹(たんじたつき)は、修士課程修了。京都市交響楽団の定期演奏会や、関西フィルハーモニー管弦楽団第354回定期演奏会「グロリオーザ…ローマの栄光&神尾真由子の十八番」などで、打楽器客演奏者として名前をチラホラ見かけます。柳野伽耶(やなぎのかや)も修士課程修了。とよなかARTSワゴンレジデントアーティスト第5期生やこおろぎ社契約アーティストを務め、「Kyoto Music Caravan 2023」でも「マリンバ&ヴィブラフォン アンサンブルコンサート」(隨心院)に出演しました。なお、練習風景を撮影したPR動画が、京都コンサートホールのYouTubeチャンネルに掲載されました。
 
プログラム1曲目は、ジュリー・ダビラ作曲/スツール・ピジョン。この曲は、RYUKOKU Clarinet × Percussion Orchestra 2023で聴きました。4人がスティックを叩きながら登場。木製の丸イスを叩きます。スティックを立てて叩いたり、隣のイスを叩いたり、叩きながら位置が入れ替わったり、視覚的にも楽しい作品。
 
メンバーが順番でMCを担当して、その間に自分たちで楽器をセッティングします。なお、「演奏前にご祈祷してお神酒をいただいた」と話していて、お神酒のせいかMCのトークがやや陽気でした。
プログラム2曲目は、イヴァン・トレヴィノ作曲/2+1。2+1という曲名ですが、3人ではなく、マリンバの左右に1人ずつ向かい合って、2名で演奏します。片手に2本ずつのマレットで全部で8本で、1つの曲を作り上げます。
 
プログラム3曲目は、ギャレス・ファー作曲/チューブズ。ファーはニュージーランドの作曲家と紹介されました。楽器は金属のパイプで、MCでは「コーナンで買って自分たちで4つに切った」と紹介されました。パイプの長さが違うので、音程が違います。パイプを左手に1人ずつ持って、右手に持っているスティックで叩きます。軽く上に投げて宙に浮かせると音が変わります。簡単そうに見えて難しいかもしれません。繊細な音楽です。 

プログラム4曲目は、ダン・ニップル作曲/リサイタル・デュオ。2人がドラムセットで演奏。左の奏者がスネアドラムとペダルを踏むフットドラム、右の奏者がスネアドラムと足で鳴らすハイハット・シンバルです。フットドラムが一定のテンポを刻んで、メロディーはなく、リズムで会話する作品です。

プログラム5曲目は、ジョシュア・ウェブスター作曲/ノック・オン・ウッド。1台のマリンバに、4人が横一列に並びます。冒頭はマレットを上下逆にして、持つほうで叩いて拍感を出します。8本のマレットのトゥッティでは、マリンバのいい響きがします。4人が密集して叩くので、間違って隣の人の手を叩いてしまうことがあるそうですが、楽しげなメロディーです。
 
プログラム6曲目は、ネボイシャ・ヨハン・シヴコヴィッチ作曲/トリオ・パー・ウノ。3人が中央に配置された大きなバスドラムを取り囲むように立って、1人につき、ボンゴ×2と寝かせたチャイニーズゴング×2を配置されます。テンポが速いですが、よく揃っています。チャイニーズゴングの音がユニークで、後半の連打は楽しめました。

プログラム7曲目は、三木稔作曲/マリンバ・スピリチュアル。MCで「後半の魂振り(たまふり)のみ演奏する」と紹介されました。柳野が前でマリンバを演奏。わざわざ法被を着て演奏しましたが、秩父屋台囃子がもとになっているためのようです。後ろは左から、鉦とボンゴ、小太鼓、大太鼓です。マリンバは音程が広いので左右に忙しい。これは大変な難しい作品で、取りつかれたように演奏しました。後ろの3人は「やっ!」という掛け声や雄叫びを上げながら、祭りのように盛り上げました。大太鼓は途中でスティックの代わりにほうきのようなもので叩きました。
 
拍手に応えてアンコールは、菅野よう子作曲/花は咲く。マリンバ×3とカホンの編成。カホンは砂混じりの音がしました。19:10に終演。
 
Kyoto Music Caravan 2025の初回は大成功と言えるでしょう。雨は止んだので、会場を変更しなくても当初の野外ステージでも演奏できたように思いましたが、室内のホールのほうが落ち着いて聴けてよかったです。いろいろな打楽器が楽しめていい選曲でした。楽器の運搬もお疲れ様でした。
 
この日は、20時まで史跡御土居青もみじ苑の夜間特別拝観ライトアップが行なわれていたので、せっかくなので見に行きました。入苑料は500円。かなり広いのに、人は少なくて、穴場スポットと言えるでしょう。紙屋川に架かる鴬橋などは絵になります。
 
Kyoto Music Caravan 2025の第2回は、5月17日(土)に元離宮二条城香雲亭で開催される「木琴&ギター デュオコンサート」で、通崎睦美(木琴)と永田参男(ギター)が出演しました。要事前申し込みで、なんと限定30名の狭き門でした。京都コンサートホールの応募フォームから申し込みましたが、残念ながら当選通知は届かず落選しました。この日のお客さんにも落ちたと言っていた人がいたので、倍率が高かったようです。

北野天満宮一の鳥居 北野天満宮御本殿 開運招福厄除割符 北野天満宮紅梅殿 「Kyoto Music Caravan 2025」の看板 北野天満宮楼門 北野天満宮文道会館 文道会館の扁額 洛和会ヘルスケアシステム公式キャラクター「らくの助」 提灯のライトアップ 青もみじマップ 史跡御土居青もみじ苑の夜間特別拝観ライトアップ 史跡御土居青もみじ苑の夜間特別拝観ライトアップ(鶯橋) 史跡御土居青もみじ苑の夜間特別拝観ライトアップ

(2025.5.29記)

 

関西フィルハーモニー管弦楽団第354回定期演奏会「グロリオーザ…ローマの栄光&神尾真由子の十八番」 Kyoto Music Caravan 2025「弦楽四重奏コンサート 音楽劇「アトリエ王国 旅する王様」」