高槻城公園芸術文化劇場オープンデー~ふらっと♪TAT~


  2024年8月17日(日)
高槻城公園芸術文化劇場南館

座席:自由


2023年3月18日に開館した高槻城公園芸術文化劇場南館で、初めてのオープンデーが開催されました。事前申込プログラムを除いて、南館の全館が無料で開放されました。兵庫県立芸術文化センター オープンデイロームシアター京都1周年記念 プレイ!シアターアクリエひめじ開館1周年記念イベント「Arcreaみらいラボ」に似たイベントです。「ふらっと♪TAT」のTATとは、Takatsuki Arts Theatreの略で、「タッと」と読みます。本イベントの主催は、公益財団法人高槻市文化スポーツ振興事業団(高槻市の指定管理者)。

南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が8月8日から15日まで発表されて、やや異例の夏休みになりましたが、多くの人が集まりました。高槻城公園芸術文化劇場に行くのは、高槻城公園芸術文化劇場開館記念 ベートーヴェン「第九」演奏会以来です。なお、高槻城公園芸術文化劇場は、2023年度JIA優秀建築賞(日本建築家協会)と第65回BCS賞(日本建設業連合会)を受賞しました。また、南館の北側(野見神社の近く)に、4月からCafe N+ができました。ちなみに、高槻城公園芸術文化劇場の北館は、中ホール(602席)とレセプションルーム(定員400人)などは稼働中ですが、旧高槻現代劇場の高槻市民会館は、取り壊されました。

高槻城公園芸術文化劇場南館


9:45〜 ふらっと♪トリシマホール トリシマホール

最も大きい大ホールのトリシマホールが自由に開放されました。ネーミングライツパートナーの株式会社酉島製作所はポンプメーカーで、10年間で3000万円で契約されました。1階席983席と2階席522席の1505席で、前後の座席の間隔に余裕があるのがいい。
トリシマホール入口 トリシマホール1階席

毎時00分からデモンストレーションが行なわれて、10時からの回に参加しました。まず女性のアナウンスで、緞帳披露。これは、こけら落としで披露したデモンストレーションの再現とのこと。緞帳の中央に、高槻城の三層の天守が描かれていて金屏風に似たデザインです。緞帳は10メートル×22メートルの大きさとのこと。
トリシマホール緞帳

続いて、舞台監督の男性の説明で進行。まずは舞台機構の説明。照明バトンが天井から定速で降りてきました。ジョーゼットはバレエで使うとのことですが、こんな素敵な幕が収納できるんですね。美術バトンは3本あって、10%、30%、100%と速度が変えられるとのこと。続いて、音響装置。ステージ両サイドのスピーカーに加えて、客席前方の床下にもスピーカーがあって、 両サイドのスピーカーが聴こえない中央前方の客向けとのこと。目には見えませんが、本格的な装置が備わっています。
照明バトン ジョーゼット 美術バトン

最後は体験コーナー。舞台に上がりましたが、奥行きがすごく広い。ステージから客席を見ると、2階席が多く見えます。暗転でホール内を真っ暗にしたり、中央にスポットライトを当てたり、普段と違うホールが体験できました。緞帳を下げると、中央に縦書きで「火の用心」と書いてありましたが、これは昔から書かれているとのこと。客席からは見られないので貴重です。
ステージから客席を望む 緞帳の「火の用心」


過去公演サイン展示 トリシマホールホワイエ

これまでの公演に出演したアーティストのサインが展示されました。高槻城公園芸術文化劇場開館記念 ベートーヴェン「第九」演奏会の指揮者と独唱者全員のサインもありました。また、第81期名人戦七番勝負第3局(2023.5.13~14)で対局した渡辺明名人(当時)と藤井聡太竜王のサインもありました。
この劇場を盛り上げた皆さんのサイン ベートーヴェン「第九」演奏会出演者のサイン 藤井聡太(中央)と渡辺明(右)のサイン


さがせ!おでかけはにたん 南館一帯

京都芸術大学アートプロデュース学科の「アート・マネジメント演習Ⅰ」(3年生の必修科目)受講生の企画で、館内に隠れている高槻市のマスコットキャラクターの「はにたん」を探すシールラリーです。透明のケースに入っている、はにたんのぬいぐるみを探して、同じポーズのシールを台紙に貼ります。参加費は無料で、先着300枚。はにたんは館内各所に点在して置かれているので、あちこち見て回れる仕掛けで、ラリーをすべてクリアすると、劇場周辺の店舗で使えるクーポン券がもらえました。また、はにたんも館内を巡回しました。
はにたんのぬいぐるみ はにたん


見つけたら幸せになれるシャボン玉マシーンおじさん 屋外

吉光清隆が自動的にシャボン玉を大量に作れる機械を台車に乗せて、館外を移動します。通りすがりの人を館内に呼び込むための企画でしょう。浴衣と麦わら帽子の格好でしたが、吉光清隆の本業は映像作家のようです。
シャボン玉マシーンおじさん


11:00~11:30 大道芸 1階ロビー

東映京都撮影所の企画協力で、「南京玉すだれ」と「ガマの油売り」が披露されました。南京玉すだれは東映太秦映画村などで見たことがありましたが、ガマの油売りは初めて見ました。ガマの油として使ったのはニベアクリームで、実際には刀で切った腕の切り傷から血は出ていないようですが、迫真の演技で本当に切れているように見えました。
南京玉すだれ ガマの油売り


11:30~12:30 ふらっと♪コンサート(①クラシックコンサート) 太陽ファルマテックホール

小ホールの太陽ファルマテックホールで、高槻音楽家協会の会員による室内楽コンサートが開催されました。ネーミングライツパートナーの太陽ファルマテック株式会社(注:ファルマティックではない)は固形製剤を製造する会社で、10年間で1000万円で契約されました。205席で縦長のホールです。天井が高く、ステージの位置が低いのは、豊中市立文化芸術センター小ホール(ゴルトベルク変奏曲(チェロ独奏版)出版記念リサイタルツアー 大阪公演)に似ています。京都市立芸術大学がパートのアンサンブルコンサートで使用するようになりましたが、思ったほどステージが広くありません。管楽器アンサンブルだと、少し容量が小さいように感じました。

高槻音楽家協会は1990年に音楽系大学の卒業生で発足して、現在は250名の会員がいる とのこと。今回の出演者は全員女性でした。1曲目は、ロウ作曲/「マイ・フェア・レディ」より踊り明かそう。女声ヴォーカル、フルート、ピアノの3人で演奏。ピアノがかなり響きます。2曲目は、岩河三郎編曲/「童謡絵巻」より、どんぐりころころ、シャボン玉、証城寺の狸囃子。岩河三郎の合唱曲は「巣立ちの歌」や「野生の馬」を小学校や中学校で歌ったので懐かしい。ピアノがマイクなしの女性ヴォーカル3人よりもよく響きます。アレンジがユニークで、「証城寺の狸囃子」は、「ぽんぽこぽん」と両手でおなかをたたくようなアクション。
続いて、フルートとピアノのデュエットで、3曲目は、ウィーラン作曲/Riverdance。これくらいの編成がこのホールにはちょうどいい。佐渡裕とスーパーキッズ・オーケストラ2023のアンコールで聴きました。続けて4曲目は、ジュナン作曲/ヴェニスの謝肉祭。3拍子ですが、フルートのダブルタンギングが難しい。
5曲目は、サン=サーンス作曲/「動物の謝肉祭」より、第1曲「序奏と堂々たるライオンの行進」、第4曲「亀」、第7曲「水族館」、第12曲「化石」、第13曲「白鳥」、第14曲「終曲」。1台のピアノを2名が連弾で演奏。「この日のためのお話」ということで、実際に動物園で動物を見て歩くというストーリーを、曲間でマイクで話しながら進行。園長という設定でライオンのぬいぐるみが置かれていました。全曲繰り返しはなしで演奏。久々に聴きましたが、ユニークな作品ですね。
続いて、女声ヴォーカルとピアノのデュエットで、6曲目は、久石譲作曲/「崖の上のポニョ」より、海のおかあさん、崖の上のポニョ。「崖の上のポニョ」はお客さんと振付をして一緒に踊りました。続いて7曲目は、ロッシーニ作曲/フィレンツェの花売り娘。イタリア語で歌いました。8曲目は、出演者全員で、ロジャース作曲/ドレミの歌。客席も一緒に歌いましたが、歌詞をまだ覚えているもので、歌えました。
太陽ファルマテックホール入口 太陽ファルマテックホールのモニター映像


13:30~14:00 忍者・侍ショー サンユレックホール

地下1階の大スタジオのサンユレックホールで、東映京都撮影所の企画協力で、「忍者・侍ショー」が開催されました。先着168名でしたが、満席でした。大人気です。ネーミングライツパートナーのサンユレック株式会社は合成樹脂の会社で、昨年11月から10年間で年額100万円で契約されました。演劇やダンスに特化したスタジオで、客席は最大168席で、ひな壇のように階段状です。
高槻城から名付けられたと思われる姫の「槻姫」と侍の「たかじょう」と、忍者2人と頭(かしら)の5人が出演。「忍者・侍ショー」でいきなり姫が出てきたのでびっくりしましたが、槻姫役の大脇あかねがかわいい。見事な殺陣を披露。普段は映画村で実演されているようです。ショー終了後にチャンバラ教室を開催。客席から希望者を募って、殺陣の練習と実演がありました。効果音もついていて本格的です。
サンユレックホール入口 忍者・侍ショー チャンバラ教室


私が参加した企画以外では、「Let's Try タカラヅカ!※事前申込プログラム」(中スタジオ1)、「TAKATSUKI城を描こう!※事前申込プログラム」(1階エントランス)、「ふらっと♪いけ花体験 ※有料(1000円、先着40名)」(小スタジオ6)、「ふらっと♪コンサート(②邦楽演奏会&お箏体験)」(太陽ファルマテックホール)、「きらり☆ペインティングディスコ」(中スタジオ3)などの企画がありました。また、空いている部屋を飲食可の休憩スペースとして2室も開放しているのは好感が持てました(1階の会議系スタジオ「中スタジオ4」、地階の音楽系スタジオ「中スタジオ2」)。館内は予想以上に多くの人が来ていて、大賑わいでした。気軽にホールを運んでもらうイベントの趣旨は十分達成されて、企画は大成功だったと言えるでしょう。

休憩スペース(中スタジオ4) 休憩スペース(中スタジオ2) 高槻市役所総合センターR階展望フロアから望む

(2024.9.1記)

大阪フィル✕尾高忠明 マーラー交響曲第2番「復活」 京都市交響楽団第692回定期演奏会