大阪音楽大学第66回定期演奏会


  2023年12月2日(土)18:30開演
ザ・シンフォニーホール

井上道義指揮/大阪音楽大学管弦楽団
菊本和昭(トランペット)

芥川也寸志/交響管弦楽のための音楽
アルチュニアン/トランペット協奏曲
ストラヴィンスキー/バレエ音楽「春の祭典」

座席:座席指定 2階AA列22番


第62回定期演奏会第63回定期演奏会第64回定期演奏会第65回定期演奏会に続いて、5年連続で大阪音楽大学定期演奏会に行きました。今年も土曜日の開催です。

今年の指揮は井上道義。第61回定期演奏会(2018.12.8)、第63回定期演奏会に続いて、3回目の指揮です。井上は2024年12月での引退を表明していますが、よく呼べたものです。井上道義を聴くのは、2週間前の東京芸術劇場マエストロシリーズ 井上道義&読売日本交響楽団以来です。
 
チケットは全席指定で3,500円。10月10日から「大阪音楽大学オンラインストア」で申し込みが開始。備考欄に座席の希望を記入して、クレジットカードで決済。チケットがレターパックで届きました(送料無料)。
 
大阪音楽大学管弦楽団は、管弦打楽器専攻で選抜された学生を中心に編成され、プログラムによるとメンバーは121名で、大学院2年1名、大学院1年3名、大学専攻科4名、大学4年32名、大学3年28名、大学2年12名、大学1年9名、短大専攻科1名、短大1年2名、教員4名、演奏員16名、卒業生9名。管楽器はほぼ在学生ですが、弦楽器は教員、演奏員、卒業生が多く、ヴィオラはなんと大学2年の1人しかいません。ちなみに、管楽器専攻の在籍者数は217人、打楽器専攻は29人ですが、弦楽器専攻は26人です(2023年5月現在)。
大阪音楽大学は2022年度に開設したミュージックビジネス専攻で、開設わずか1年で教員の3分の2にあたる14人が離任してニュースになりました。2010年度から2021年度まで定員割れが続いていたというのが驚きです。大阪音楽大学ホームページに掲載されている音楽学部の2013年度の学生数は、収容定員900人に対して、在籍者数は879人です。
 
井上道義オフィシャルウェブサイトのX(旧Twitter、@michiyoshi_web)には、「交響管弦楽のための音楽」のリハーサルの動画と「良い音楽会になる。記憶に残る音楽をしよう!」と投稿しました。客は7割ほどの入り。ポディウム席の発売はなし。高校生以下は今回も無料でしたが、昨年の第65回定期演奏会ほど吹奏楽にはなじみがないプログラムだからなのか、昨年よりは少なかったです。
 
井上が両手を上げながら登場。指揮台なしで指揮しました。この日は全曲指揮棒なしで指揮。
プログラム1曲目は、芥川也寸志作曲/交響管弦楽のための音楽京都大学交響楽団第174回定期演奏会で聴きました。第1楽章は、管楽器ソロの音色がもう少し洗練されてほしい。井上の指揮は優雅な舞いのようです。第2楽章は、井上は一転して腕を左右に動かして激しい指揮で、冒頭のトランペット×3が立奏。その後にトロンボーン×3も立ちました。弦楽器はもう少し厚みが欲しい。井上は左右にステップを踏んで、全休止で井上道義が一回転。最後は全員で立ちました。
 
プログラム2曲目は、アルチュニアン作曲/トランペット協奏曲。トランペット独奏は菊本和昭。大阪音楽大学客員教授で、NHK交響楽団首席トランペット奏者を務めています。2004年から約7年間は京都市交響楽団に在籍していました。洛南高校から京都市立芸術大学・大学院に進んだので、大阪音楽大学の出身ではありません。アルチュニアンは1920年にアルメニアで生まれ、この曲は1950年に作曲されました。3楽章から成りますが、休みなく続けて演奏されます。約16分程度の短い作品。
菊本はメガネをかけて、譜面台を置いて井上の左で、両足を広げて立って演奏。エキゾチックなメロディーで、オーケストラ伴奏も軽快でリズミカルで、この日一番の演奏でした。第2楽章はトランペット独奏はカップミュートをつけて演奏しました。トランペットのカデンツァも菊本は高音のスラーを軽々と吹いて、のびやかな音色を堪能できました。
菊本がアンコール。ベーメ作曲/24の旋律的練習曲集より11番Graziosoを演奏しました。
 
休憩後のプログラム3曲目は、ストラヴィンスキー作曲/バレエ音楽「春の祭典」。休憩中に指揮台が設置されました。井上は表情豊かな指揮後ろ姿だけで何を表現したいか伝わりましたが、残念ながら演奏レベルは井上が求めるレベルには程遠い。ホルン×9は圧倒的な存在感とパワーでしたが、弦楽器がもう少し多いほうがいいですね。
井上が拍通りに振らなかったので、井上の指揮につられて、「春のきざし」練習番号18の2小節前トランペットが遅れました。「賢人の行列」の最後のフェルマータは、井上は胸の前で両手で大きく×。「大地の踊り」練習番号75から大太鼓をひたすら連打させました。そのまま第2部へ。「乙女たちの神秘的なつどい」練習番号98は、トランペットの裏で、イングリッシュ・ホルンを聴かせて、ゆらぎが強調されました。練習番号103の11連発は速めのテンポ。続く「生贄への賛美」は井上の指揮がユニークで、変拍子を右腕と左腕を巧みに使い分けました。「祖先の儀式」は、タンバリンの裏打ちが安定しないのが残念。「生贄の踊り」は、第63回定期演奏会での三善晃「交響三章」に似た、両手両足を使った「大」の字になっての指揮。最後は左手を上に突き上げました。
演奏後は井上はヴィオラの男子学生に抱きつきました。演奏終了後は少し疲れたご様子でした。最後は全員で礼。20:20に終演しました。
 
ブログ「Blog ~道義より~」によると、井上道義が春の祭典を指揮するのは今回が最後だったとのこと。「ヨレヨレの腕を足腰の蚊が血を吸うように彼らのエネルギーをもらうつもりで決めたプログラム。(中略)でも、どうも結果は逆さまで俺の血をみんなは吸いまくっていたのかもしれないと感じた」と綴っています。
 
なお、来年の第67回定期演奏会は、第64回定期演奏会に続いて、尾高忠明が指揮します。日曜夜の開催が予定されています。
 

ザ・シンフォニーホールのイルミネーション

(2023.12.28記)

 

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