大阪音楽大学第62回定期演奏会


  2019年12月6日(金)19:00開演
ザ・シンフォニーホール

飯森範親指揮/大阪音楽大学管弦楽団
石橋栄実(ソプラノ)
大阪音楽大学合唱団

ラター/マニフィカート
マーラー/交響曲第1番「巨人」

座席:座席指定 2階BB列27番



大阪音楽大学の定期演奏会に初めて行きました。大阪音楽大学のオーケストラは今回初めて聴きます。定期演奏会は年に1回開催されていて、プログラムの中村孝義理事長の挨拶文によると、選抜メンバーが出演しているようです。

指揮は飯森範親。日本センチュリー交響楽団首席指揮者、いずみシンフォニエッタ大阪常任指揮者、ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団名誉指揮者などを務めていて、大阪にはなじみがあります。飯森は大阪教育大学教育協働学科芸術表現専攻音楽表現コース・教養学科芸術専攻音楽コース第61回定期演奏会でマーラー「復活」を指揮していて、今回も大阪の学生オーケストラでマーラーを取り上げました。また、首席指揮者を務める日本センチュリー交響楽団の第245定期演奏会(2020年5月14日)でも、マーラー「巨人」の1893年ハンブルク稿を指揮する予定です。
飯森範親のTwitterやInstagramで練習風景が発信されました。それによると、11月に練習2回と12月3日からの集中リハーサルで当日を迎えたようです。

チケットは全席指定で3,000円。大阪音楽大学ホームページから申し込みできました。備考欄に座席の希望を書いたところ、考慮していただけました。ありがとうございます。郵送されてきた振込用紙で入金。当日に払込金受領証を受付で提示すると、チケットが渡されました。客の入りは8割程度で、制服姿の高校生もいました。

大阪音楽大学管弦楽団は、管弦打楽器専攻の学生を中心に編成されています。プログラムによると、大学専攻科1名、大学4年33名、大学3年34名、大学2年9名、大学1年7名、短大専攻科1名、短大2年3名、短大1年3名、教員4名、演奏員7名、オペラハウス管弦楽団6名、卒業生1名の109名。
大阪音楽大学合唱団は、ポディウム席に3列で並びました。左からソプラノ、アルト、テノール、バスの順。楽譜を持っています。声楽専攻の学生を中心に編成され、プログラムによると、大学4年から短大2年までの、ソプラノ31名、アルト27名、テノール10名、バス15名の83名。

プログラム1曲目は、ラター作曲/マニフィカート。ラターの作品は、京都市立京都堀川音楽高等学校第46回オーケストラ定期演奏会でも選曲されていて、最近流行りのようです。マニフィカートは、1990年に作曲されました。7曲からなります。飯森に続いて、ソプラノ独唱の石橋栄実(大阪音楽大学声楽専攻教授)も入場。
大阪音楽大学合唱団は大人数ですが、クリアでまとまった響きが耳に心地よい。よく練習されていますが、高音はやや音程が乱れるのが残念。ソプラノ独唱の石橋は、ホルンの後方で歌いました。明瞭で芯がある美しい声がよく響きました。ブラボー。オーケストラは中編成。スマートな響きで、ヴァイオリンは透明感があります。飯森は円を描くように大きな指揮。
カーテンコールでは、飯森がオーケストラのトップ奏者と握手。合唱指導の本山秀毅(大阪音楽大学・大阪大学短期大学部学長)も登場しました。

休憩後のプログラム2曲目は、マーラー作曲/交響曲第1番「巨人」。飯森は譜面台なしで指揮しました。たまにうなりごえや鼻歌が聴こえました。全体的に速めのテンポ。第1楽章冒頭の木管楽器は精度がいまひとつで残念。162小節の反復記号はスコア通り。ヴァイオリンが清らかで流麗。きれいに整っていて、乱れが少ない。大人数の割にはコンパクトで抑制気味の響きでしたが、ヴィオラ、チェロ、コントラバスの人数の差を考えて音量を抑えたのかもしれません。352小節以降は速いテンポ。

第2楽章43小節の反復記号もスコア通り。ホルンが大健闘。50小節からのゲシュトプや、136小節からの強奏も見事。第3楽章もやや速めのテンポ。冒頭の各ソロは緊張感がありました。139小節からも意外なほどあっさり。休みなく第4楽章へ。トランペットとトロンボーンが本領発揮でよく鳴りました。冒頭から速いテンポで疾走。375小節(Pesante)からも速い。ティンパニ2台も荒々しい。657小節からのホルンの立奏では、ホルンの後ろに配置されたトランペット1本とトロンボーン1本も立奏させました。

カーテンコールで飯森が挨拶。「そんなに練習する時間はなかったのですが頑張ってくれた。このなかにはプロのオーケストラに入る奏者もいる。これからも応援していただきたい。日本センチュリー交響楽団もよろしくお願いします」と話しました。

音大生のオーケストラや合唱団はさすがにハイレベルでした。特にヴァイオリンは他のオーケストラでは聴けない音色でした。来年は井上道義が指揮するということで楽しみです。

開場前のザ・シンフォニーホール

(2019.12.8記)


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