第27回京都の秋音楽祭開会記念コンサート 公開リハーサル


   
    2023年9月10日(日)10:30開演
京都コンサートホール大ホール

広上淳一指揮/京都市交響楽団

マーラー/交響曲第5番 第1楽章~第4楽章

座席:自由



今年も「京都の秋 音楽祭」が始まります。オープニングを飾る「開会記念コンサート」は、広上淳一が指揮する京都市交響楽団。広上淳一は2022年3月の京都市交響楽団第665回定期演奏会で、京都市交響楽団第13代常任指揮者兼芸術顧問を退任し、現在は、オーケストラ・アンサンブル金沢アーティスティック・リーダー、日本フィルハーモニー交響楽団フレンド・オブ・JPO(芸術顧問)、札幌交響楽団友情指揮者、京都コンサートホール館長を務めています。

広上が京都市交響楽団を指揮するのは、今年1月の特別演奏会「ニューイヤーコンサート」以降では、第30回京信ニューイヤーコンサート<関係者のみ>(2023.1.9 京都コンサートホール大ホール)、大阪特別公演(2023.5.27 ザ・シンフォニーホール)、第13回名古屋公演(2023.5.28 愛知県芸術劇場コンサートホール)に続き、本公演の2日前の9月8日(金)に「文化庁京都移転記念事業 Opening Celebration 「きょう ハレの日、」記念コンサート」(ロームシアター京都メインホール)に出演しました。

開会記念コンサートの曲目は、モーツァルト「ピアノ協奏曲第23番」(ピアノ独奏:津田裕也) と、マーラー「交響曲第5番」。マーラー「交響曲第5番」は、2年前の広上淳一指揮 京都市交響楽団兵庫公演で聴いたので、演奏会の本番のチケットは購入しませんでした(その後、「広上淳一 京響常任指揮者ファイナルコンサート in 東京(京都市交響楽団 東京公演)」(2021.11.7 サントリーホール)でも演奏)。チケットは7月16日に一般発売されて、8月3日に早くも完売しました。

京都コンサートホール・ロームシアター京都Club会員と京響友の会会員を対象に、本番当日のリハーサルが公開されました。リハーサルというよりも、正確にはゲネプロですね。8月19日(土)締切で、定員は200名。本番を聴きに行く予定はありませんでしたが、リハーサルに興味があったので、ファックスで申し込み。めでたく当選して参加票のハガキが届いたので、昨年の第26回京都の秋音楽祭開会記念コンサート 公開リハーサルに続いて聴きに行きました。広上の練習を見学するのは、JUN'ICHI'S Café~京都コンサートホール館長の音楽談義~Vol.3「広上淳一館長の『音楽づくり』に迫る」以来で、京響との練習に限ると第17回京都の秋音楽祭開会記念コンサート本番前リハーサル公開以来で、実に10年ぶりでした。事前にリハーサルの曲目は発表されなかったので、モーツァルトかマーラーか分かりませんでした。

10:00から受付。着席範囲(1階17列~31列)が図示された紙が渡されて、ホワイエで整列して待機。10:15に客席に入場。団員はステージ上で音出し中で、ステージにピアノがなかったので、演奏曲はマーラーだと分かりました。私はマーラーでよかったですが、モーツァルトを期待していた人もおられたようですね。コンサートマスターは知らない男性でしたが、後で調べたところ、おそらく水谷晃(オーケストラ・アンサンブル金沢 客員コンサートマスター)でしょうか。ハープが指揮台の正面に置かれていました。具体的には、第2ヴァイオリンとチェロの間の2列目(フルートの前)で、広上淳一指揮 京都市交響楽団兵庫公演に近い配置です。

10:30にリハーサル開始。広上がステージのヘリを歩いて登場。半円形の雛壇を客席に近づけるフォーメーション(広上シフトと勝手に呼んでいる)だったので、歩くスペースが狭くてステージに落ちそうです。黒の京響ポロシャツを着て、その上に白いタスキのようなものを背中に装着していました。背中を矯正するサポーターのようでしたが、肩を痛めておられるのでしょうか。メガネをかけています。「おはようございます。全部はやりません」と言って、第1楽章からスタート。指揮台の上のイスに座って指揮。たまに立ち上がりました。1階席だと低音が直接的に響きます。練習番号2からの弦楽器のメロディーは遅めで、弦楽器の音色のブレンドを味わって噛み締めるように進みます。響きが温和で柔らかく、京響の特色が生かされてます。練習番号7(Plötzlich schneller. Leidenschaftlich. Wild.)からも「より早く」の指示ですが、遅いテンポ。


広上は一言も話さず、練習番号12まで通すと「第2楽章いきます」と言って、第2楽章へ。遅いテンポですが、堂々とした風格があります。練習番号5(Bedeutend langsamer(im Tempo des ersten Satzes "Trauermarsch"))からのチェロの伴奏の木管楽器が、表情豊かで京響らしい。練習番号27(Pesante(Plötzlich etwas anhaltend) )からのトランペットがやわらかい。結局第2楽章は最後まで通して演奏しました。


第3楽章は最初から始めて、練習番号11の途中で止めて、練習番号17の4小節前に飛びました。そのまま最後まで通しました。最後のトゥッティがすごい。指示はなし。


第4楽章はハープを前に配置した効果が表れてよく聴こえます。広上は腕を大きくのばして、弦楽器の後ろに座っている奏者にも目配り。音色がひとつの楽器になるようにあわせているようでした。練習番号2(Fliessender.)からは指揮台の上でよく動いて、アーティキュレーションに機敏に反応して、濃厚に表現。練習番号3で演奏を止めて、練習番号3の3小節目の第2ヴァイオリンに指示。早口でよく聴こえなかったのですが、「スコアはppだが、弱くしすぎない」ように指示したようです。すごく細かな表情の調整です。指揮台の右前に置かれていたピアニカを吹いて説明しました。再度演奏すると、「ナイス!そうです!」と納得しました。また、最後の4小節のコントラバスのアクセントに指示。「ディミヌエンドが書かれているが、ラスト3小節のアクセントを響かせてからディミヌエンドする」ように指示。ここもものすごく細かな音楽づくりです。「そのまま続けていきます」と言って、そのまま第5楽章へ。Allegro Giocoso. Frisch.に入るとやめて、「よろしくお願いします。休憩にしましょう」と話して、11:30に終了。第5楽章は休憩後のようです。

広上と京響の間に信頼関係が感じられて、お互いに余裕がある演奏でした。ほとんど話さずに通して指揮したのに、本番前にこだわったところが、第4楽章の弦楽器の微妙な音量調整だったのが意外でした。背中にサポーターをしていたのが少し心配で、肩がだるいのか、指揮台の後ろのバーに左腕を乗せて右腕だけでする部分もありました。ちなみに、広上が次に京響を指揮するのは、第687回定期演奏会(2024.3.15&16)の予定です。

京都市交響楽団では、練習場で毎月練習風景を公開していましたが、コロナ禍で中断してしまいました。感染状況も落ち付いてきたので、そろそろ再開してくれたらうれしいです。

 

地下鉄北山駅出入口1階段の広告 屋根付き遊歩道 京都コンサートホール

 

(2023.9.13記)


祝100周年! オオサカ・シオン・ウインド・オーケストラ特別演奏会「カルミナ・ブラーナ」 スティーヴ・ライヒ/ドラミング 湖国が生んだ打楽器奏者の協演