広上淳一指揮 京都市交響楽団兵庫公演


   
   
2021年4月18日(日)15:00開演
兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール

広上淳一指揮/京都市交響楽団
金川真弓(ヴァイオリン)

メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲
マーラー/交響曲第5番

座席:A席 3階3A列26番



スプリング・コンサートから1週間後に、京都市交響楽団が兵庫公演を開催しました。指揮は、第13代常任指揮者兼芸術顧問を務める広上淳一。もともと2020年3月22日(日)に開催予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の状況を考慮し、中止されました。本公演は約1年後のリベンジとなります。曲目もソリストも同じです。主催は兵庫県と兵庫県立芸術文化センターなので、京響の自主公演ではありません。

チケットは1月24日から発売され、その後、2回目の緊急事態宣言が解除されて、イベント開催制限が緩和(50%→100%)されたため、3月6日から隣席を空けない通常の配席で、追加座席が販売されました。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、4月5日から神戸市や西宮市などに「まん延防止等重点措置」が適用されました。それでも感染拡大は収まらず、演奏会前日には兵庫県内で541人が新たに感染して、2日連続で過去最多の感染者数を更新しました。プログラムが入った袋に「第4波危機! 感染拡大防止緊急要請」と書かれた兵庫県知事名のチラシが封入され、不要不急の外出自粛などが呼びかけられました。

近隣のコンサートホールでは珍しく、2階(1階席)のビュッフェが営業していました。座席は3階席最前列の中央にしましたが、ステージを見下ろすような高さ。3階には屋上庭園があって、外に出られました。客の入りは8割程度。この状況なのによく集まりました。

コンサートマスターは泉原隆志。プログラム1曲目は、メンデルスゾーン作曲/ヴァイオリン協奏曲。ヴァイオリン独奏は、金川(かながわ)真弓。1994年生まれで、2019年のチャイコフスキー国際コンクールで第4位を受賞しました。グレーのドレスで登場。アーティスト写真よりも若い。高周波が多そうな音色で。シャープなボウイング。第1楽章カデンツァは長め。広上淳一はメガネをかけて指揮。動きは少ないですが、オーケストラの表情は豊かでした。
拍手に応えてアンコール。金川が自分で曲を紹介して、J.S.バッハ作曲/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番より第3楽章ラルゴを演奏。あまり大きな音量を出さずに聴かせました。なお、カーテンコールで広上淳一は登場しませんでした。第544回定期演奏会でもそうだったので、たまにありますね。

休憩後のプログラム2曲目は、マーラー作曲/交響曲第5番。京響の演奏では第545回定期演奏会(下野竜也指揮)以来です。 広上淳一の指揮で聴いたマーラーは、京都市交響楽団第577回定期演奏会で第1番「巨人」を、京都市立芸術大学音楽学部第136回定期演奏会「更なる復活」で第2番「復活」を、無観客ライブ配信となった京都市交響楽団第643回定期演奏会(2020年3月28日)で第4番を聴きました。そして、京響常任指揮者の最後を締めくくる京都市交響楽団第665回定期演奏会(2022年3月28日&29日)では第3番を指揮する予定です。
ハープがチェロの後ろでオーボエの前に配置されました。ひさびさに聴きましたが、この曲を演奏するのは体力的にすごく疲れますね。楽想も散漫なところがあるので、集中力を維持するのも大変かもしれません。クラリネットはベルアップが多い。視覚的にも音響的にも効果的ですが、脳震盪を起すのではないかと思うほどです。
京都コンサートホールよりもよく響いて、低音がよく聴こえました。広上は大きく「ハァー」と息を吐いたり、何か言葉を発しながら指揮。第2楽章では体を左右にひねって弦楽器を歌わせました。第3楽章はホルンソロ(首席ホルン奏者の垣本昌芳)が堂々としてすばらしい。垣本は右足を乗せるために踏み台を使用していました。ホルンはいつもは向かって左側に配置されますが、今日は中央だったので気がつきました。第4楽章はわざわざ前方に配置したハープがよく聴こえました。よく聴くと難しいリズムです。弦楽器は濃厚な響き。休みなく第5楽章へ。ティンパニの<>の後の581小節でパウゼを入れました(スコアでは「’(カンマ)」)。

カーテンコールでは、広上淳一はパートごとに立たせましたが、ティンパニの中山航介(首席打楽器奏者)をあえて一番最後に立たせました。スプリング・コンサートでもそうだったので、新ネタでしょうか。
広上が挨拶。「この状況でこれだけ多くの方に集まっていただいて感謝です。感染に気を付けていただいて、でも演奏会には来てください」とスプリング・コンサートとほぼ同じ挨拶。アンコールはR.シュトラウス作曲/歌劇「カプリッチョ」から月光の音楽を演奏。第1番「巨人」を演奏した第577回定期演奏会と同じアンコールで、またもホルンソロがありました。なお、アンコールの曲名は兵庫県立芸術文化センターのホームページに掲載されました。終演後はソーシャルディスタンスを呼びかけるアナウンスはありましたが、規制退場はありませんでした。

兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホールで京響を聴いたのは初めてでしたが、京都コンサートホールよりもよく鳴って、このホールと相性がいいようです。このホールで京響のブルックナーを聴いてみたいですね。昨年度中止になった第646回定期演奏会のリベンジとしてどうでしょうか。

なお、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、4月23日(金)に3回目の緊急事態宣言が発令されたたため、兵庫県立芸術文化センターは4月25日(日)から臨時休業となりました。すべての公演が中止か延期となってしまったので、この演奏会の開催が翌週だったら、中止になっていたところでした。まさかの2年連続で、ステイホームを強いられるゴールデンウィークとなりました。

KOBELCO大ホール開場 KOBELCO大ホール屋上庭園

(2021.5.2記)

京都市交響楽団スプリング・コンサート 【無観客ライブ配信】京都市交響楽団第656回定期演奏会