第17回京都の秋音楽祭開会記念コンサート


   
      
<第17回京都の秋音楽祭開会記念コンサート本番前リハーサル公開>

2013年9月15日(日)10:30開演
京都コンサートホール大ホール

広上淳一指揮/京都市交響楽団

J.ウィリアムズ/リバティ・ファンファーレ
ムソルグスキー(ラヴェル編曲)/組曲「展覧会の絵」
ブラームス/ハンガリー舞曲第6番

座席:自由


<第17回京都の秋音楽祭開会記念コンサート>

2013年9月15日(日)14:00開演
京都コンサートホール大ホール

広上淳一指揮/京都市交響楽団
松田理奈(ヴァイオリン)

J.ウィリアムズ/リバティ・ファンファーレ
ブルッフ/ヴァイオリン協奏曲第1番
ムソルグスキー(ラヴェル編曲)/組曲「展覧会の絵」

座席:全席指定 1階 19列14番


毎年恒例の「京都の秋音楽祭開会記念コンサート」が開催されました。今年も常任指揮者の広上淳一が指揮します。今回のプログラムは、京都市の姉妹都市であるボストン、ケルン、キエフにゆかりのある作品とのこと。具体的には、1曲目のJ.ウィリアムズ作曲/リバティ・ファンファーレは、ボストン・ポップス・オーケストラによって初演されました。2曲目のブルッフ作曲/ヴァイオリン協奏曲第1番は、ブルッフがケルン生まれ。3曲目のムソルグスキー作曲(ラヴェル編曲)/組曲「展覧会の絵」は、最後に「キエフの大きな門」が登場します。J.ウィリアムズは、昨年度の第16回京都の秋音楽祭開会記念コンサートでも「オリンピックファンファーレとテーマ」が演奏されたので、広上淳一のお気に入りのようです。
チケットは京都コンサートホールClub会員を対象に先行販売がありました。当日券なしの全席完売。



<第17回京都の秋音楽祭開会記念コンサート本番前リハーサル公開> 10:30開演

京都コンサートホールClub会員を対象に、本番当日午前中のリハーサルが公開されました。定員は80名。ファックスで申し込んだところ、めでたく参加票のハガキが届きました。
ホールの内外だけでなく、地下鉄北山駅にも音楽祭のデコレーションが施されていました。10:00に開場。しばらくロビーで待機。10:20頃に事務局の案内でホール内に入りました。指定エリア(1階席中央の通路よりも後ろの席)での見学です。開会記念コンサートということで、指揮台の前には花が装飾されていました。団員は私服で音出し中でした。10:30に音が鳴り止んで事務局から連絡事項。プロモーション用のビデオを撮影するので、テレビカメラが入っているとのこと。3台ほど確認できました。コンサートマスターの泉原隆志が立ち上がってチューニング。広上淳一が舞台袖からスコアを持って登場しました。泉原と握手して指揮台へ。「おはようございます」と挨拶。黄緑色の半袖を着ていました。

まず、J.ウィリアムズ作曲/リバティ・ファンファーレ。大学時代に吹奏楽編曲を演奏したことがあるので、懐かしく聴きました。遅めのテンポで聴かせます。柔らかい響きですばらしい。広上淳一は指揮棒なしで指揮。この日はリハーサルでも本番でも指揮棒は使いませんでした。1回通しただけで終わり。

続いて、ムソルグスキー作曲(ラヴェル編曲)/組曲「展覧会の絵」。途中で止めることなく全曲を続けて演奏。ほとんど無言で指揮しました。たまに指揮しながら指示を叫ぶこともありましたが、客席とステージが離れているので聴きとれませんでした。広上の指揮は腰を回転させたり、両手を重ねて上下左右に回したり、曲線的な動きが多く見られました。まだ朝だからかアインザッツが揃わないことが多かったです。「小人」は、2〜3小節の全休符と6小節のフェルマータの違いをはっきり見せました。「古城」のアルトサクソフォーンは、ファゴットの横で演奏。「チュイルリー」はゆっくりしたテンポ。「ビドロ」のテューバソロは、第2トロンボーン奏者がユーフォニアムで演奏。「殻をつけたひなの踊り」では広上が腰を左右に動かして踊りました。「リモージュの市場」は遅めのテンポ。「バーバ・ヤーガの小屋」は、すっきりした音響。85小節からのホルンとトロンボーンの応答を強調。全曲終わると、広上は「どうもありがとうございました。ブラーボ」と話しました。

最後にアンコール。ブラームス作曲/ハンガリー舞曲第6番。弦楽器が軽く、ウィーンフィルのニューイヤーコンサートを聴いているような高級な音色。ちなみに広上淳一は7月に東京都交響楽団を指揮して、ハンガリー舞曲集(全21曲)を演奏しています。
通し終わると、広上は「どうもありがとうございました。休憩してください」と話しました。予定よりも早く11:20にリハーサルが終了しました。



<第17回京都の秋音楽祭開会記念コンサート> 14:00開演

京都コンサートホールの中にあるレストラン「La muse」でランチ。リハーサルを見学した人が多く利用したようで、満席の盛況でした。余裕を持ってふたたびホールへ。
オーケストラのチューニングの後、門川大作京都市長が和服を着て舞台袖で挨拶。定期演奏会で完売が続いていることへの感謝を述べ、東京オリンピック開催決定にからめて、「おもてなしの本場は京都」「本家の京都で文化芸術」と京都をアピールし、開会を宣言しました。

プログラム1曲目は、J.ウィリアムズ作曲/リバティ・ファンファーレ。広上淳一は指揮台に上がるとすぐに指揮を始めました。本番も指揮棒なしで指揮。午前中のリハーサルよりもゆったりしたテンポで落ち着いた響き。市長の格式ある挨拶に感化されたのでしょうか。

プログラム2曲目は、ブルッフ作曲/ヴァイオリン協奏曲第1番。ヴァイオリン独奏は松田理奈。松田は27歳で、結婚と出産を経験したとのこと。黒のドレスで登場。色白の肌に映えました。松田のブログによると、広上とは初共演だったようです。松田は正確な演奏を心がけていましたが、音が小さい。強奏でもあまりホールに響きません。音色はきれいなのに残念。演奏スタイルはソリストらしく堂々としていました。
広上は前曲よりも積極的に動きました。京響の伴奏も充実。松田の音が小さいので音量を抑えて演奏しましたが、ヴァイオリン独奏が休みのときは貯めこんでいたものが爆発させるようによく鳴りました。二管編成でも音量に不足はありません。まさに理想的な伴奏です。

拍手に応えて松田がアンコール。クライスラー作曲/「前奏曲とアレグロ」よりアレグロを演奏。曲目紹介なしに弾き始めましたが、間違えたようで「もう1回すいません」と話して、最初から演奏。珍しい。テンポが速く、左手の運指が大変そうな難曲。ブルッフよりもアンコールのほうが松田の持ち味が出ていました。

休憩後のプログラム3曲目は、ムソルグスキー作曲(ラヴェル編曲)/組曲「展覧会の絵」。上述した午前中のリハーサルよりもいい出来。リハーサルでアインザッツが合わなかったり音を外したりしたミスも、本番ではきっちり修正できていました。

演奏終了後に、広上が挨拶。「宣伝を」と切り出し、京響の新しいCD(広上淳一指揮 京都市交響楽団定期演奏会 名曲ライブシリーズ3)をPR。発売日は9月20日ですが、ロビーで先行発売するとのこと。広上はCDを手にしながら「ライブの生なんですが、世界クラスの音になっている。今でしょ」「半沢直樹がもうすぐ最終回ですが、10倍返しにしたい」と流行語を交えながら解説しました。「本日も満席で幸せでございます」と話し、指揮台に上がって、アンコールを指揮。ブラームス作曲/ハンガリー舞曲第6番を演奏。午前中のリハーサルよりもテンポの緩急を自在につけました。ハンガリー舞曲集はもともとピアノ連弾のための作品で、ブラームス自身は第6番の管弦楽編曲はしていませんが、ロビーのホワイトボードに編曲者は書かれませんでした。
終演後のロビーでは、松田理奈のサイン会が開催されて、長い行列ができました。

広上淳一の指揮スタイルに変化が感じ取れました。まずリハーサルでも本番でも指揮棒を使いませんでした。またほとんど前拍を振らなくてもアインザッツが揃うようになりました。指揮棒を使わなくてもアイコンタクトなどの阿吽の呼吸でタイミングが図れるようになったということでしょう。以前は指揮台の上でジャンプしたり、大振りしたりしていましたが、アクションがだいぶ小さくなりました。積極的にオーケストラをリードしなくても、オーケストラがついてこれるようになったということでしょう。
京響もさらにうまくなって、響きに磨きがかかって柔らかくなりました。個人やパートではなくオーケストラとしてまとまって聴こえるようになりました。演奏会本番でアクシデントが起こることがありましたが、今回は本番での大きなミスはありませんでした。これからも完成度の高い演奏に期待したいです。

地下鉄北山駅出入口3番

(2013.9.18記)




特別コンサート ヴァレリー・アファナシエフ「展覧会の絵」 京都市交響楽団大阪特別公演