第26回京都の秋音楽祭開会記念コンサート
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<第26回京都の秋音楽祭開会記念コンサート 公開リハーサル>
2022年9月17日(土)10:30開演 原田慶太楼指揮/京都市交響楽団 ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第3番 座席:自由 <第26回京都の秋音楽祭開会記念コンサート> 2022年9月17日(土)14:00開演 原田慶太楼指揮/京都市交響楽団 ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第3番 座席:全席指定 3階C1列25番 |
本番2日前の9月15日に出演者変更が発表され、ピアニストの髙木竜馬が体調不良のため降板して、亀井聖矢(まさや)が代役で出演することになりました。髙木は8月末に京都コンサートホールのYouTubeチャンネルに、演奏動画も掲載していたのに残念。なお、本公演の翌日に開催予定だった「ピアノの森ピアノコンサート2022」(浜離宮朝日ホール)は延期になりました。
京都コンサートホール・ロームシアター京都Club会員と京響友の会会員を対象に、本番当日のリハーサルが公開されました。リハーサルというよりも正確にはゲネプロですね。ファックスで申し込み。定員は200名。直前でしたが、めでたく参加票のハガキが届きました。
10:00から受付。着席範囲(1階17列~31列)が図示された紙が渡されて、ホワイエで整列して待機。10:15にスタッフから、ピアニストが亀井に交代したことの報告と、リハーサル終了後に原田と亀井によるトークが15分程度行われるとのアナウンスがありました。客席に入場。団員はステージ上で音出し中で、亀井もステージ上のピアノで練習中でしたが、オーケストラの音がうるさい中でも亀井のピアノは浮かび上がるようによく響きます。原田が亀井の隣で何やら話し合っていました。
10:30にコンサートマスターの泉原隆志が立ち上がってチューニング。原田が指揮台へ。「おはようございます」と団員にあいさつ。客席に振り向いて「おはようございます」とあいさつしましたが、リアクションが薄かったため、「元気がないですね。もう一度。おはようございます」と手を振りました。渡された紙に「私語や拍手は禁止」と書かれていましたが、原田は気にしないということでしょう。弦楽器は対向配置で、左から、第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリン、チェロの後ろにコントラバス。
すぐに指揮を開始して、ラフマニノフ作曲/ピアノ協奏曲第3番を第1楽章から演奏。原田は左右を見渡すような指揮で、指揮棒をすばやく動かします。オーケストラはもやがかかったような音色。朝が早いからか、オーケストラは本調子ではありませんでした。亀井は打鍵がきつくない。原田と亀井はよくアイコンタクトをとります。練習番号11の9小節のTempo Iで演奏を止めて、原田が少しコメント。ピアノ独奏が難所に入る練習番号13の11小節からのPiu vivoも速いテンポのまま。Cadenzaの前の弦楽器は、さざ波のように聴かせます。亀井のカデンツァは、高音が伸びやかできらびやか。第1楽章が終わると、すぐに原田がスコアを持って亀井の横に行って打ち合わせ。練習番号23のテンポ感をもう一度。また亀井のリクエストで、カデンツァが終わった後の練習番号19(Meno mosso)のテンポ感をもう一度。
第2楽章冒頭は原田の指揮が大きく、音量が大きい(スコアはmf指定)。ピアノは練習のしすぎなのか、調律が少し甘いのが気になってきました。第2楽章終わりから3小節のsffを四分音符分長めに伸ばしました。そのまま第3楽章へ。速めのテンポですが、オーケストラはピアノ以上の音量は出しません。練習番号51の7小節からは、右手の四分音符だけ取り出して弾いているように聴こえました。練習番号41の前のシンバルが弱い。練習番号70の4小節前から小太鼓が入って戦闘モード。演奏が終わると、団員から亀井に拍手が送られました。練習番号77からオーケストラだけでもう一度。練習番号77の4つ前から全員でもう一度。第2楽章に戻って、オーケストラのみの練習番号24をもう一度。原田は「硬い音にならないように」と話しました。原田が「全体を通して質問はありますか?」とオーケストラに聞きましたが、何もなかったため、「ありがとうございました」と話して、11:23に終了。
原田と亀井が客席の通路に下りてきて、マイクでトーク。スタッフから「撮影OK」とのアナウンスがありました。ファンサービスがすごい。ただし、オーケストラは音出し中なので、二人の声がとても聞こえにくい。急遽決まったのかもしれません。原田が亀井に「2日前に出演依頼の電話があったときにどう思ったか」と質問。亀井は「3~4回弾いたことがある。やるの一択だった。二日前に決まったとか意識せずに音楽に没頭してほしい」と答えました。ちなみに、京都コンサートホール大ホールで演奏するのは初めてとのこと。原田は「この曲は一番難しくて、一番音符が多いピアノ協奏曲」と説明しました。原田が「どういうことを考えて演奏しているか」と聞くと、亀井が「やるせなさやどうしようもなさ、悲しみを乗り越えて、昔の幸せを感じるが、ひたりすぎないようにする」などと話しましたが、上述したように声が聞きとりにくい。原田も「美しいメロディーなのに、ハーモニーはマイナー」と同感。原田が客席に「質問はありますか?」と聞いたところ、お客さんが亀井に「手を広げてほしい」というリクエスト。亀井は「生まれつき手が大きかった」とのことですが、原田も手が大きく、二人で手の大きさを比較。原田が亀井に「これから挑戦したい曲は?」と聞くと、亀井は「ジョリヴェの赤道コンチェルト」と答えました。
原田は「ラフマニノフの3番は高木が選曲したが、最近は曲が作曲された歳にこだわっている」とのことで、本番で後半に演奏するチャイコフスキーについて、「チャイコフスキーは37歳で交響曲第4番を作曲したが、今の自分と同い年。チャイコフスキーは結婚した後に「ゲイなの」と告白した。冒頭の運命のテーマは神様から「お前ちゃんとしろ」というお告げ。曲にストーリーをつけて演奏メンバーにも話した」とのこと。「今すぐチケットを買って欲しい」と呼びかけて、11:40に終了。開演前のプレトークで話してもらいたいような内容でした。ちなみに、原田慶太楼のTwitter(@khconductor)に、亀井聖矢がステージ上で練習する動画が掲載されました。本番直前らしいですが、努力家です。
なお、写真撮影については、NHK交響楽団も9月の定期公演からカーテンコールでの写真撮影をOKにしたとのことで、時代は変わりつつあるようです(日本フィルも9月22日から解禁)。
演奏後は原田と亀井がステージで抱き合いました。亀井が舞台袖に下がると、原田はピアノのイスを手で拭いて、右腕をグルグル回してお客さんにアンコールをアピール。亀井が戻ってきて、すぐにアンコール。リスト作曲/ラ・カンパネラを演奏。全曲を聴くとけっこう長い曲です。ラフマニノフとは雰囲気が変わって、高音が澄んでいて、連符の粒立ちもいい。アシュケナージに似た美感があるかもしれません。原田は指揮台に座って聴きました。拍手のボリュームが大きく、チケット完売の威力はすごい(最近の京都市交響楽団定期演奏会は満席にならないので)。
休憩後のプログラム2曲目は、チャイコフスキー作曲/交響曲第4番。原田は客席を見ながら笑顔で登場。コンサートマスターと握手しないで、そのまま指揮台へ。仲が悪いのかと思いましたが、Twitterでは一緒に写真に映っているので、わざわざお客さんに見せない主義なのかもしれません。譜面台に、ポケットスコアを置いて指揮。黄色の表紙だったので、オイレンブルク版でしょう。ホルン×4が指揮者の対面に横一列で並びました。
第1楽章冒頭は、トランペットは2本ですがよく響きます。原田は腰を左右に動かして指揮。70小節からのティンパニのトレモロが小さい。102小節アウフタクトからの八分音符+四分音符の繰り返しが激しい。134小節(Ben sostenuto il tempo precedente)は超弱奏で演奏。スコアはpp指定で、313小節からも同様です。168小節でティンパニがクレシェンドして、ホルンのメロディーにつなげる流れが見事。たまにスコアの指定がない場所で、音量を落としてからクレシェンドして単調にならないような工夫がありました。278小節に至るまでは弦楽器に対して激しい指揮。403小節からは金管楽器を悲劇的に鳴らします。最後のフェルマータの小節は、ティンパニをクレシェンドして締めくくりました。
第2楽章は原田が激しく動きます。広上淳一以上かもしれません。休みなく続けて第3楽章。ピツィカートの部分は原田はほとんど動かず直立不動でした。休みなく続けて第4楽章。金管楽器はよく鳴りますが、全体的にはオーケストラはおさえめで、鳴らし方がいつもの京響とは違って、筋肉質のチャイコフスキーですが、うるさくはなりません。チャイコフスキーと同い歳ということで、血気盛んな指揮で、ありあまるほどのエネルギーを感じました。カーテンコールの最後は、両手を振ってスキップ気味に退場しました。