椎名林檎十五周年 党大会 平成二十五年神山町大会
椎名林檎十五周年 班大会 平成二十五年浜離宮大会 ライブビューイング


   
    
<椎名林檎十五周年 党大会 平成二十五年神山町大会>
 2013年11月25日(月)19:00開演 Bunkamuraオーチャードホール 1階19列24番

<椎名林檎十五周年 班大会 平成二十五年浜離宮大会 ライブビューイング>
 2013年11月29日(金)18:30開演 TOHOシネマズ二条 SCREEN 1 G列14番

椎名林檎(vox&piano)、斎藤ネコ(conduct&violin)、林正樹(piano)、グレート栄田(violin)、佐藤芳明(accordion)、山田雄司(viola)、鳥越啓介(bass)、藤森亮一(cello 11月25日)、笠原あやの(cello 11月29日)、みどりん(drums)、朝川朋之(harp)


椎名林檎がデビュー15周年を迎えた2013年秋に「椎名林檎十五周年 党大会 平成二十五年神山町大会」が開催されました。「東京事変 Live Tour 2012 Domestique Bon Voyage」以来、待望のライヴです。「椎名林檎(生)林檎博'08 〜10周年記念祭〜」から、もう5年経ったのですね。早いものです。ライヴの開催は2013年8月1日に配信された「月報 紅玉 第百二十四号 〜癸巳 葉月〜」で唐突に発表されました。日程は11月18日(月)、19日(火)、20日(水)、25日(月)、26日(火)の5回公演。すべて平日なので、関西在住者にはなかなか厳しい日程でした。先行して、11月13日には客演集アルバム「浮き名」とライブベストアルバム「蜜月抄」がリリースされました。
会場は、Bunkamuraオーチャードホール。総客席数は2150席。クラシックの演奏会で2回行ったことがありますが、まさか椎名林檎がここで聴けるとは思いませんでした。オーチャードホールのホームページを見たところ、「党大会」前後もバレエやクラシックなどの公演で埋まっていました。ちなみに、タイトルにある「神山町(かみやまちょう)」は、Bunkamuraの近くにありますが、Bunkamuraの所在地ではありません。
また、間髪入れずに「椎名林檎十五周年 班大会 平成二十五年浜離宮大会」が開催されました。林檎班の会員限定ライブで、「第1回林檎班大会 アダルト・オンリー」(2005.12.12〜13 恵比寿ザ・ガーデンホール、2005.12.20〜21 代官山UNIT)以来8年ぶり2回目です。「党大会」から中一日というこんな短期間で連続してライヴを行なうとは全く予想外でした。2013年9月1日に配信された「月報 紅玉 第百二十五号 〜癸巳 長月〜」で発表されました。
「班大会」の日程は11月28日(木)と29日(金)の2日間。会場は浜離宮朝日ホール。座席数はわずか552席。林檎班の会員数からすれば、会場のキャパシティがかなり小さい。浜離宮朝日ホールはもともとアンサンブルやソロコンサートを行うような室内楽向けの小さなホールで、「班大会」の前後にも公演が行われます。椎名林檎がここで演奏するのは初めてです。11月29日(金)の公演は、「椎名林檎十五周年 班大会 平成二十五年浜離宮大会 ライブビューイング」と題して、全国の映画館(80館以上)で生中継で上映されることが「林檎班 貴賓革命速報 第百七十三報」(2013年9月17日配信)で発表されました。「ライブシネマ 東京事変 Live Tour 2012 Domestique Bon Voyage」に続くライブビューイングの取り組みです。詳細は後述します。

チケット確保
<党大会> 林檎班チケット先行予約の受付が8月26日(月)12:00から9月2日(月)16:00までの期間に行なわれました。第5希望まで申し込めましたが、複数公演は当選しないというものでした。チケットは全席指定で8000円。9月7日(土)18:00に申し込み結果が発表され、第1希望の11月25日(月)公演に当選しました。言うまでもなく、この日は椎名林檎35歳の誕生日です。幸せすぎます。一年の運を使い果たしたでしょうか。
今回は、チケットの発送がありません。決済で使用したクレジットカードを当日に持参して、専用のカードリーダーで本人確認した後、座席印字のレシートを発券して入場するとのこと。座席がどこなのか当日まで分かりません。オークションでの転売を防ぐためとのことですが、ものものしいですね。
<班大会> 林檎班会員限定のイベントなので、チケットの一般発売はなし。全席指定で6300円。申込期間は9月9日(月)12:00から13日(金)16:00までの期間で行なわれました。会員1人につきチケット1枚の申し込み。第2希望までエントリー可で、第1希望を29日(金)、第2希望を28日(木)にして申し込みました。9月21日(土)18:00に当落結果が発表されましたが、両日とも落選しました。残念。
<班大会ライブビューイング> 「班大会」のチケットが取れなかったので、班大会ライブビューイングに参戦です。11月29日(金)18:30上映開始で、チケット代は3500円。こちらは会員1名につき4名まで申し込めました。林檎班チケット先行予約が9月21日(土)18:00から27日(金)16:00の期間で行われました。京都ではT・ジョイ京都とTOHOシネマズ二条で上映されます。職場から近い「TOHOシネマズ二条」を第1希望で申し込み。申込結果発表が10月4日(金)18:00に行なわれ、めでたく当選しました。

椎名林檎十五周年記念 大会フェスタ
SR猫柳本線ポケットに特設ページ「椎名林檎十五周年記念 大会フェスタ」が開設されました。「党大会+連動企画大会」の「アドベンチャーゲーム ドキュメント党大会」は、立憲620りんご党所属の国会議員、弘前乙女(ひろさきおとめ)が党首選挙に立候補して、党大会で見事に党首に当選するゲームです。「週刊誌で、なぜか「熱愛発覚中」の記事が出た」という選択肢に対して、正解は「まったくやましいところはない。捨て置け。」。なかなかたくましいメッセージです。ゴール後の宝物コーナーは「IT WAS YOU」ミュージック・ビデオのオフショット写真でした。
「GO GO!リンゴビンゴ大会」では、当選番号が毎日発表され、ビンゴが完成した人先着100名に、ポケットオリジナルのメダルがプレゼントされるとのこと。毎日やっていたところ、めでたくビンゴ。株式会社EVENTIFYからポケット特製メダルが郵送されました。なぜか「平成20年」と刻印されています。何かの使い回しでしょうか。
ポケット特製メダル(表) ポケット特製メダル(裏)

党大会 開場
今回も特殊開発グッズが制作され、開場前販売が14:00から行なわれました。15:00頃に到着したところ、すでに多くの人が並んでいました。平日の午後なのにびっくり。この日は公演4日目ですが、予想以上に長い行列でした。過去の手旗を持ったり、「東京事変 live tour 2010 ウルトラC」のニッポニアジャージを着たコアなファンが多くいました。すごく時間がかかりそうなので、開場前にグッズを購入することを断念。オーチャードホールの周囲をしばらく散歩してみました。5分ほど歩くと、今回のライヴのタイトルにもある「神山町」に着きました。周囲の松濤地域は閑静な高級住宅街です。開場までBunkamuraに併設されている東急百貨店本店を探索。平日の午後は閑散としていました。
18:00に開場。クレジットカード決済とそれ以外の決済で入場列が分かれました。クレジットカード決済では、入場口でスタッフがクレジットカードを機械に通すと、座席が印字された「入場控え」と書かれたレシートのような紙が出力されました。座席は入場順ではなく、購入時に決まっているようです。この「入場控え」をスタッフに見せることで案外早く入場できました。ちなみに、クレジットカード以外の決済では、入場時に有効な身分証明書で本人確認が行われたので、時間がかかったようです。
本日のBunkamura 特殊開発グッズ開場前販売 神山町東交差点

党大会 信任投票
入場時に「椎名林檎十五周年 党大会 平成二十五年神山町大会」と書かれた正方形の「来場者カード」(上部画像参照)と透明の袋が渡されました。袋の中には、「投票案内」、「特殊開発グッズのご案内」などが入っていました。
「投票案内」(下部画像参照)は本物の選挙ハガキそっくりに作られています。印字されているQRコードを読み取って、投票ページにアクセス。そこで「信任」か「不信任」かを選択します。入場者全員に投票資格がありました。党大会が始まる前に投票するのも変な話ですが、もちろん「信任」で投票。投票した人は、ライヴ終了後に「党大会現場報告書」が見られるという特典です。ちなみに「不信任」に投票すると、「党大会にて、不信任の票が投じられました。よって、離党を勧告いたします。これまでのご支持、ありがとうございました。」という怖いメッセージが表示されました。
投票に続いて「饅頭怖いスピードくじ」に挑戦。抽選で「紅白饅頭」(日本橋の日月堂製造)がプレゼントされましたが、残念ながらハズレでした。参加賞はポケットオリジナルの待ち受け画面。「党大会記念品」と書かれたのし袋のデザインでした。
なお、上述した「ポケット特製メダル」を持参すれば、「紅白饅頭」と交換できましたが、食べてしまうとなくなってしまうのでやめておきました。
投票案内

グッズ購入
開演前にホール内で特殊開発グッズを購入。こちらのほうが開場前販売よりも行列は長くなく、はるかに早く買えました。以下の4つのグッズを買いました。SR猫柳本線によると「凛々しさ meets 可愛さの不思議を、これらのグッズでご堪能ください。」とのこと。「東京事変 live tour 2010 ウルトラC」「東京事変 Live Tour 2011 Discovery」「東京事変 Live Tour 2012 Domestique Bon Voyage」と同じく、レシート(商品お買上明細票)が発行されました。下部に印字されたメッセージは「本日のお買い上げは、我が党の運営資金に充てられます。」でした。
・ステッカー「入党セット」(600円):15枚セットのシール。「党大会」と「班大会」のロゴ、「SR Der Parteitag(=党大会)」「SR Die Vereinsversammlung(=班大会)」「Tシャツ フィフティーン」「Tシャツ 繭検定 赤い繭」「Tシャツ 仔猫のあかつき」「Tシャツ 結党T」のデザイン、などのシールです。
・ノートブック「書記帳」(1500円):表紙は「Tシャツ 結党T」と同じデザイン。中身は緑色の五線譜ノートで、一枚ずつ切り外せます。椎名林檎のこれまでのアルバムジャケットのステッカーが封入されていました。
・褒章セット「授受-juju-」永久党員(1500円):「SR Der Parteitag」と描かれたリボン、「党大会」がデザインされた小さなチャーム、椎名林檎×指紋モチーフのバッチの3種類。
・手旗シンパ(300円):今回も手旗が制作されました。「手旗ドメス」(東京事変 DOMESTIC! Virgin LINE)、「手旗エキス」(椎名林檎(生)林檎博'08 〜10周年記念祭〜)、「手旗パクス」(東京事変 live tour 2010 ウルトラC)、「手旗ミツケ」(東京事変 Live Tour 2011 Discovery)、「手旗シルベ」(東京事変 Live Tour 2012 Domestique Bon Voyage)に続いて、6作目の旗です。今回は赤色の生地に中央が白丸。黄色の放射線線が半円状に伸びています。「シンパ」とはおそらくシンパサイザー(支持者)の略でしょう。
なお、「椎名林檎十五周年 班大会 平成二十五年浜離宮大会」では、当日のチケットを持っている人限定で「班大会 限定グッズ」が会場で発売されました。私は買えませんでしたが、12月17日(火)17:00から、林檎班の「好事家ストア」通販が開始されました。次の1点を購入しました。
・褒章セット「授受-juju-」名誉班員(1500円):「SR Der Vereinsversammlung」と描かれたリボン、「班大会」がデザインされた小さなチャーム、椎名林檎×指紋モチーフのバッチの3種類。上述した褒章セット「授受-juju-」永久党員とほとんど同じです。

党大会 開演! (全体の感想は後述します)
※11月26日の東京公演5日目を収録したDVD「党大会 平成二十五年神山町大会」(2014年3月19日発売)および11月25日公演を収録した特典CD「Holiday Jazz on 25th November,2013」を鑑賞して補筆しました。
座席は1階席のほぼ中央でした。Bunkamuraオーチャードホールは縦長のホールなので、ステージからはけっこう遠い。客席は女性が多い。開演前のBGMはビートの効いた洋楽でした。アナウンスでは「開演」を「開会」、「客」を「党員」と表現していました。
ブザーが鳴って開演。前奏が始まり、ステージの緞帳が上がるとともに、椎名林檎が入場。白と黒と金のロングドレスに、金髪で頭に王冠を載せていました。右肩にタスキをつけていました。1曲目は「都合のいい身体」。アルバム「三文ゴシップ」に収録されていますが、テンポが早い。伴奏はピアノ(林正樹)とアコーディオン(佐藤芳明)という意表を突く伴奏でした。ステージ向かって左端がピアノ、右端にアコーディオン。ホリゾントには手旗シンパのデザインが映し出されました。椎名林檎の声量は相変わらずでした。DVDで確認すると「Now I'm in misery I like big histories」「But I'm in misery」は林正樹が歌っています。
演奏が終わると、椎名林檎はピアノの席に座ってMC。「改めましてこんばんは。ようこそ。渋谷のど真ん中のいいところでお目にかかれてうれしいです」と話しました。また、「今日は電気楽器を禁じて、生の楽器を楽しんでもらおうと思います」と企画の趣旨を説明。「お座りいただいても結構です」と話しました。11月26日公演でもほぼ同じで「ようこそ党大会へ。いつもみなさんにビリビリしていただきたくてエレキ楽器を使ったりしてまいりましたけれども、本日はオーチャードですので、選りすぐりの各首席奏者に集まっていただいて、本日は生楽器でお届けしたいと思います。ですので、みなさんお好きなようなお座りお掛けになっていただいてもけっこうですし、お好きなように楽しんでいただいて、いつもよりももっと深ーいところでビリビリしていただきたいと思っております」と話しました。「オーチャードってどういう意味だか、みなさんご存知でした?」と聞くと、客席から「果樹園」との声が飛ぶと、「あー、よくご存じですね。学がある。私は昨日ピアノの人に聴いて初めて知りました。ぴったりですよね。果樹園です。よろしくお願いします」と話しています。11月25日の公演は観客は立っていましたが、DVDを見ると11月26日の公演は観客は座って聴いています。
2曲目は「IT WAS YOU」。バート・バカラックからの提供曲で、「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2008 in EZO」(2008年8月16日)で初めて披露されました。アルバム「浮き名」にも収録されています。伴奏は弦楽四重奏(斎藤ネコカルテット)。半円形に、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの順に並びました。歌詞は英語で、日本語訳がホリゾントに映りました。DVDにも日本語訳詞が収録されていますが、すごくいい歌詞ですね。「最期に天使が私へ問い掛けるの 愛とはなにか教えてと 私は云う あなたの存在だと」。聴いていてゾクっとします。間奏から椎名林檎のピアノが加わりました。
コントラバスとハープを追加して、3曲目は「カーネーション」。コントラバスは弦楽四重奏の後ろ、ハープはステージ向かって右側です。歌詞は英語で、日本語訳がホリゾントに映りました。椎名林檎はステージ中央に戻って歌いました。
1曲ごとに楽器編成が変わって、ヴァイオリン、コントラバス、アコーディオン、ピアノで、4曲目は「カリソメ乙女 TAMEIKESANNOH ver.」。歌詞は英語でした。まったりムードのアレンジです。間奏で斎藤ネコがソロ。
5曲目の前奏で、椎名林檎が「みなさん、SOIL&"PIMP"SESSIONSからドラムス、みどりん」と話し、みどりんを紹介。5曲目は「MY FOOLISH HEART」。ドラムソロから始まります。SOIL&"PIMP"SESSIONS×椎名林檎名義で、アルバム「浮き名」のボーナス・トラックに収録されている「MY FOOLISH HEART 〜crazy in shibuya〜」よりもテンポが遅い。歌詞は英語。ドラム、キーボード(後奏はピアノ)、コントラバスで演奏。椎名林檎は柔らかい声で、抑揚をつけずに歌いました。キーボードとピアノのパートはCD(11月25日)とDVD(11月26日)では違うので、ソロはアドリヴでしょう。
ドラムがそのまま続けて、斎藤ネコが腕を上げた合図で6曲目は「浴室」。伴奏メンバー9名が初めて全員で演奏しました。ステージ配置は、中央に弦楽四重奏、それを取り囲むように、向かって左から、ピアノ、コントラバス、ドラムス、ハープ、アコーディオンが並びました。コントラバスとアコーディオンは立って演奏しました。男性は全員黒の燕尾服でした。歌詞は日本語です。アコーディオン奏者がピアニカを演奏しました。間奏ではピアニカソロ。青い照明がきれい。ラストはビートがアップして、力強く歌いました。「退屈なんか怖れていない」からはハープのみで伴奏。椎名林檎は歌いながら登場しました。
椎名林檎が退場したまま、7曲目は「熱愛発覚中」。椎名林檎と中田ヤスタカ(CAPSULE)名義で、アルバム「浮き名」に収録されています。ライヴ初披露です。この曲での椎名林檎は加工された歌声で、ライヴで歌うと口パクになってしまうので、椎名林檎がいないときに演奏するとはうまい演出です。激しい打ち込みのビートはカットされて、椎名林檎の歌声だけが流れ、ステージのメンバーが伴奏して、このライヴだけのコラボレーションが実現しました。こういうことをやってのけるのが椎名林檎の発想力のすごいところです。演奏もすばらしい。ホリゾントにメンバーのCARTE(顔写真入りの履歴書)が1人ずつ映り、そのメンバーが立ち上がったりソロを演奏したりしました。CARTEはDVD「党大会 平成二十五年神山町大会」に冊子で封入されています。
曲が終わると、録音された椎名林檎のナレーションが明るい声で流れ、「ちゅーことでやってまいりました。噂の真相のコーナー。椎名林檎ことあたくし椎名林檎の中の人に関するあらゆる巷の噂。実際のとこどうなの? 少々お答えいたしましょう」と唐突に始まりました。「まずひとつめ。極秘出産説」と『女性自身』(2013年9月3日発売)の報道について自ら取り上げました。「極秘ってのはむしろ椎名林檎の顔のことなのではないでしょうか。お得意様ですら毎回違って見えるとおっしゃるではありませんか。ですから意図せずひとりでに常時この顔が秘密めいちゃっているという状況が考えられます」と整形疑惑について取り上げましたが、整形の事実は認めませんでした。さらに「実態のないこの面下げて、日々正々堂々兼業主婦をやっております。そんな中念願の女の子を授かりまして、現在育児中です」と出産していたことを発表しました。予想外の発表に会場からは拍手。ここで発表した理由は「ごめんなさい。特にそのときご報告申し上げなかったのは、赤ちゃんのリリースと椎名林檎最新シングルのリリース(=いろはにほへと/孤独のあかつき)が見事にバッティングしており、せっかくのまっさらな命を図らずも親の商売の宣伝に駆り出す格好にしてしまうような事態を危惧したためです。とはいえ、待望の出来事でしたから、お得意様には直接お目にかかって早くお話ししたかったです」と弁明しました。「こうして皆様と音楽を軸に、お互いの息災を確認しあえるなんて、つくづく贅沢なこって。人生いろいろ、しょっぱかったり苦かったり、そうした連続のなかにほんの少しおいしいことが隠されてる。だからこそあまーく感じられるのでしょうか」と人生について語りました。含蓄があるメッセージです。続いて、「さて、党大会っていったい何党大会?」と問いかけて、「なんとなんと林檎ですもの。甘党大会に決まってますでしょ」と話して、ホリゾントに椎名林檎のアニメーションが出て、「甘党大会」の字幕が出ました。「党大会」に掛けた言葉遊びでしょう。けっこう早口だったのでライヴではよく聞き取れなかった部分もありましたが、DVDにちゃんと収録されているのがうれしいです。
椎名林檎が着替えて再入場。金髪に白のワンピースでした。8曲目は「二人ぼっち時間」。アルバム「三文ゴシップ」に収録されています。ピアノ、コントラバス、ドラムスの編成。間奏では「林くん」と紹介して、ピアノソロ。最後は「Grazie!(グラッチェ)」で終わりました。
9曲目は「色恋沙汰」。アルバム「三文ゴシップ」に収録されています。ピアノ、コントラバス、ドラムス、ハープ、アコーディオンの編成。DVDでは前奏で椎名林檎が改めてメンバー紹介をしています。ホリゾントには東京の景色が映りました。
次の曲が始まるまでの間に、客席から「誕生日おめでとう!」の声がかかりました。椎名林檎は「ありがとうございます。おかげさまで35周年迎えさせていただきました。みなさまのおかげで今のところすごくいい人生送らしてもらってます。どうもありがとう」と話しました。このMCは「Holiday Jazz on 25th November,2013」で聴けます。
10曲目は「いろはにほへと」。ライヴ初披露です。全員で演奏。ドラムが効いています。アレンジがいい。椎名林檎は黒いタンバリンを叩きました。ステージ上部からの目つぶしの照明が強烈。
11曲目は「おいしい季節」。栗山千明への提供曲のセルフカバーで、「東京事変 Live Tour 2012 Domestique Bon Voyage」を思い出しました。全員で演奏。「Your words wash over me」などのバックコーラスも椎名林檎が自分で歌いましたが、浮雲のバックコーラスが恋しくなりました。
12曲目は「旬」。アルバム「三文ゴシップ」に収録されています。全員で演奏。長い後奏で、ホリゾントに地球が現れ、太陽系からどんどん遠くなっていきます。正方形で英語のメッセージが挿入されました。DVDを見ると「While we are alive」「everything is in season」「Give this substantiation」「and fulfillment」「Feel now」「and」「remember now」「more than」「you always do」「Live,live,」「let us live on together」が確認できます。歌詞の英語訳でしょうか。
13曲目は「女の子は誰でも」。伴奏はピアノだけ。椎名林檎の声量はあまり強くありません。後半は英語歌詞で、日本語訳がホリゾントに映りました。歌い終わると、椎名林檎が退場。
ここでふたたび録音された椎名林檎のナレーション。「お待ちかね。噂の真相のコーナーその2」。観客も立っているのがしんどくなったのか席に座りました。「今度は活動そのものに関する巷の疑問へ、椎名林檎の中の人が制作会社黒猫堂代表としてお答えします」と話しました。最初は「ライヴのハコって一体どういう基準で決めてんの? ハコつまり会場についてですね。基本的には響きのよさを第一に、立地など条件のいいところで行ないたいと常々考えております。もちろんそういうところは人気があります。だいたいどこも1年前の抽選でどの催しが開かれるか決めているようです。重ねて土日祝日などこちらが開催したい日などどうしても倍率が高こうございます。なお、5周年、10周年、15周年と今まで記念年だけはなんとかお客様のご要望をお聞きするようにしてまいりました。まず5年目(=雙六エクスタシー)に初の武道館。10年目(=「椎名林檎(生)林檎博'08 〜10周年記念祭〜」)に初のアリーナ(さいたまスーパーアリーナ)。15年目に初のオーチャードといった具合です」と紹介。「お客様は大きいハコで行なえば豆粒すぎるとおっしゃるし、小さいハコで行なえばチケット取れないとおっしゃる。あちらを立てればこちらが立たず。おっしゃる通りでございます。毎度ありがとう存じます」とホールの選定についてはいろいろな意見が届いているようです。「党大会」は1年前には計画されていなかったという準備不足を認めて、平日公演しかできなかったことへのお詫びでしょうか。また、「現在は次のデビュー記念日までの1年を15周年祭ととらえ、まだまだ皆様から頂戴しているご要望へお応えしてまいりたいと思っております。椎名林檎の中の人は本業が作家業。どうしても書くことを優先して物事を進めてしまいがちです。が、みなさまがおっしゃるように演奏家業も細々続けるべく、健康第一で務めてまいりたいと思います。引き続きどうぞ末永くご愛顧くださいますよう改めましてよろしくお願い申し上げます」と話しました。作家業が優先で、演奏家業が二の次というのは、一時期の東京事変では考えられなかったことなのでびっくりです。
14曲目は「孤独のあかつき」。椎名林檎はステージに登場せずに、録音が流れました。ライヴ初披露です。シングル「いろはにほへと/孤独のあかつき」では日本語でしたが、ここでは英語の歌詞で歌われました。日本語訳の歌詞が右上に映されました。椎名林檎は「熱愛発覚中」と同じように加工された歌声で、ステージ上のヴァイオリン、キーボード、コントラバス、ドラムス、ハープ、アコーディオンとのコラボレーションでした。
椎名林檎が再登場。白と赤のシャネルのマークが入った頭巾に、赤いサングラス、半袖の白いシャツ、赤いスカート、赤いハイヒールという衣装でした。椎名林檎が登場すると観客はまた立ち上がりました。15曲目は「都会のマナー」。ともさかりえへの提供曲のセルフカバーです。ヴァイオリン、キーボード、コントラバス、アコーディオンの編成。DVDでは中盤で林正樹とみどりんがバックコーラスを歌っているのが確認できます。この編成にぴったりのアレンジで、何回でも聴けます。全セットリストの中でもお気に入りの一曲です。
16曲目は「今」。初披露の新曲です。アコーディオン伴奏から始まって、だんだん盛り上がります。ヴァイオリン、ピアノ、コントラバス、ドラムス、アコーディオンの編成。なかなかいい曲です。歌詞は英語。アコーディオンやヴァイオリンやピアノのソロパートはCD(11月25日)とDVD(11月26日)では違うので、アドリヴでしょう。DVDでは斎藤ネコが最後立ち上がってタイミングを合図しています。歌い終わると、椎名林檎が「今という新曲でした」と短く紹介。11月26日はもう少し長めに「これは未発表の新曲です。とりあえず仮タイトル「今」とつけております」と説明しています。さらに、11月26日には「もう一回出てきてくださったので、ちょっと紹介さしてください」と話し、メンバーを一人ずつ起立させて紹介しました。DVDではこのMCからメガネを外しています。
17曲目は「月夜の肖像」。栗山千明への提供曲のセルフカバーです。栗山千明は日本語で歌っていますが、歌詞は英語でした。メンバー全員での演奏。まったりムードです。
18曲目は「密偵物語」。アルバム「三文ゴシップ」に収録されています。全員で演奏。歌詞は英語です。テンポが早い。ミラーボールの明滅がまぶしい。椎名林檎は手旗シンパを持ちましたが、振りませんでした。間奏のアコーディオンソロの超絶技巧がすごい。
休みなく19曲目は「殺し屋危機一髪」。SOIL&"PIMP"SESSIONSと椎名林檎名義で、アルバム「浮き名」に収録されています。全員で演奏。間奏で椎名林檎がメガネを外しました。
椎名林檎がMC。「最後までお付き合いいただけますか」とあいさつ。11月26日では「長い時間ご清聴くださいましてまことにありがとうございます。お目にかかれてうれしかったです。最後の1曲お聴きください」と話しました。20曲目は「茎(STEM)」。ピアノソロから始まり、歌詞は英語です。歌い終わると礼をして退場しました。続いてメンバー全員も退場して暗転。
会場の拍手に応えて、メンバーが再入場。アンコール1曲目は「丸の内サディスティック」。ドラムソロから始まって、椎名林檎が入場。「アンコールどうもありがとう」と話しました。椎名林檎はグッズの「Tシャツ 仔猫のあかつき 白」に着替えていました。ピアノ、コントラバス、ドラムス、ピアニカの編成。椎名林檎は手旗シンパを振って歌いました。一番は英語歌詞で、二番は日本語歌詞。「東京は愛せど」でマイクを客席につきだしました。客席からの「シャドー」のレスポンスがほしかったようですが、客席はだれもついてこれずに沈黙。客席から笑い声が漏れました。椎名林檎は笑いながら「ありがとう」と話しました。その後ふたたび英語歌詞に戻りました。最後はドラムで終わるのではなく、ピアノで余韻を持った終わらせ方でした。
椎名林檎が「記念日にお目にかかれてすごくうれしいです。ありがとうございます。予定つけてもらって幸せです。最後の1曲だけお付き合いいただきたい」と話しました。11月26日は「お目にかかれてうれしかったです。本当に長い時間ご清聴くださってありがとうございます、本当に。お忙しいでしょうに、都合つけてお越しくださって幸せです。おかげさまで35周年も迎えられましたし。ありがとうございます。みなさまのおかげと思っております。これからもどうぞ末永くよろしくお願い申し上げます。申し上げたいことは山ほどあるんですけれども、今日はこの辺でお開きとさせていただきたいと思います。1曲だけ最後お付き合いください。ピアニスト林正樹とともに」と挨拶しました。
アンコール2曲目は「幸先坂」。真木よう子への提供曲のセルフカバーです。ピアノだけの伴奏。林正樹はシングル「幸先坂」でも真木よう子のピアノ伴奏を担当しました。「今日は何かいいことがありそう」という歌詞は、今の心境を歌ったのでしょうか。真木よう子ほどではありませんが、椎名林檎も音を外していました。この曲は歌うのが難しいようです。最後に一礼して退場しました。
緞帳は下りずに20:40に終演。恒例のエンドロールはありませんでした。場内アナウンスで、ソーシャルネットワークでのネタバレは禁止との注意喚起がありました。会場の外はすっかりクリスマスムードでした。
なお、11月26日の模様はニコニコ動画で一部生中継されました。自宅のパソコンからアクセスを試みましたが、定員オーバーで視聴できませんでした。残念。
Bunkamuraオーチャードホール Bunkamura正面エントランス

椎名林檎十五周年 班大会 平成二十五年浜離宮大会 ライブビューイング
上述したように、「党大会」から中1日空けて、「班大会 平成二十五年浜離宮大会」が行なわれました。2日目の11月29日(金)の浜離宮朝日ホールの模様が、全国の映画館でライブビューイング上映されました。「ライブシネマ 東京事変 Live Tour 2012 Domestique Bon Voyage」では、全国114か所の映画館と、香港、台湾、シンガポールの映画館という規模でしたが、今回は上映規模が縮小されて、国内90館でした。京都では「TOHOシネマズ二条」と「T・ジョイ京都」の2館で上映されました。「TOHOシネマズ二条」ではSCREEN 1(280席)での上映でした。当日もアナウンスが放送されていたので、満席ではありませんでした。京都においては「東京事変ファン>椎名林檎ファン」の公式が成り立つようです。
18:00開場。開演前にはグッズ販売の案内などがスクリーンに映されました。18:30開演。まずPV集が上映されました。1曲目は「メロウ」。DVD「私の発電」に収録されています。巻き舌が懐かしい。2曲目は「流行」。DVD「性的ヒーリング〜其ノ四〜」に収録されています。3曲目は「幸福論」。DVD「性的ヒーリング〜其ノ壱〜」に収録。このころの椎名林檎は目がきつくて若い。4曲目は「この世の限り」。椎名林檎×斎藤ネコ+椎名純平名義です。インストゥルメンタルで流れたエンドクレジットが途中で終わって、生中継画面に切り替わりました。浜離宮朝日ホールは本当に小さなホールで、ステージと客席の間に幕はありません。ステージには楽器が置かれていました。会場にはBGMが流れていました。
照明が暗くなって、18:45に開演。ピアノとアコーディオンの前奏が始まって、1曲目は「党大会」と同じ「都合のいい身体」。椎名林檎が登場。金色のドレスに、頭に葉っぱのようなものをつけていました。先ほどまで聴いていたPVに比べると、ライヴ中継は音質があまりよくありません。ただ、カメラアングルは豊富で、小さなホールなのに期待以上でした。客席は座って聴いていました。歓声も飛んでいないようで静かです。
2曲目は「カーネーション」。歌詞は英語です。「党大会」では日本語訳がホリゾントに映りましたが、「班大会」では字幕を映す演出はありませんでした。浜離宮朝日ホールにそういう設備があるのかも不明です。ライブビューイング映像では楽器ごとにクローズアップさせる映像がありました。「党大会」と違ってチェロ奏者が藤森亮一ではなく女性でした(後述)。
椎名林檎のMC。「こんばんは。ようこそ班大会へ。客席との近くてうれしいですが、よろしくお願いします」。手旗シンパを振って「ご清聴ください」と話しました。磯野貴理子のような顔でした。
3曲目は「カリソメ乙女 TAMEIKESANNOH ver.」。歌詞は英語でした。
みどりんが入場して、椎名林檎が「ご紹介します。SOIL&"PIMP"SESSIONSからドラムス、みどりん」と話し、みどりんを紹介。4曲目は「MY FOOLISH HEART」。そのままドラムソロでつなげて、5曲目は「浴室」。ここまでは「党大会」でも演奏しました。「退屈なんか怖れていない」からはハープのみで伴奏。椎名林檎は歌いながら登場。
椎名林檎が退場したまま、6曲目は「熱愛発覚中」。「党大会」と同じですが、ホリゾントがないため、メンバー紹介のCARTEの上映はありません。
「党大会」ではここで椎名林檎のナレーションによる「噂の真相」のコーナーがありましたが、「班大会」でも男性のMCで「質問のコーナー」がありました。「最後の晩餐は何を食べますか?」という質問。舞台袖にいる椎名林檎に実際にインタビューしているようで、姿は見えませんでした。椎名林檎の答えが何だったかは忘れてしまいました…。
椎名林檎が再入場。白のノースリーヴ、赤色の長ズボンで、メガネはかけていませんでした。7曲目は「茜さす 帰路照らされど…」。「班大会」のみのセットリストです。ドラムが盛り上がりました。
椎名林檎のMC。「この曲(茜さす 帰路照らされど…)はリアル女子高生のときの作品」と話しました。ここで、ゲストが紹介され、谷口崇がアコースティックギターを持って登場しました。谷口と椎名林檎は最近はほとんど接点がなかったので意外な登場でした。椎名林檎は谷口について「パイセン。5つくらい先輩」と紹介しました。谷口は椎名林檎について「なんだこいつはという衝撃はありましたよ」と話しました。椎名林檎が「すごくショックだった1曲」と話して、8曲目は「becoming」をデュエット。懐かしい。谷口崇のアルバム「becoming」(1998年)に収録されていますが、椎名林檎の客演集アルバム「浮き名」にも収録されています。谷口崇は声が高い。裏声も使って歌いました。椎名林檎はイスに座ってバックコーラス。いいハモリです。この曲がライヴで聴けるとは夢にも思いませんでした。
椎名林檎が「もう1曲だけ一緒にお付き合いください。お願いします」と話し、9曲目は「ありあまる富」。1番は椎名林檎が歌い、谷口がギター伴奏。2番は谷口崇が歌いました。椎名林檎はひざに置いたタンバリンを右手で少し叩きながら歌いました。谷口崇は独特の歌い方です。こうして聴いてもいい曲ですね。歌い終わると椎名林檎が「谷口崇くんでした」と話して、谷口を見送りました。
椎名林檎が「今日の演奏家のみなさんも紹介させてください」と話して、メンバー紹介。紹介されたメンバーが起立しました。「ここまでがカミセンで、次からはトニセン」と話して、客席から笑いが起きました。何のことだか分かりませんでしたが、V6で年長組を「20th Century(トゥエンティース・センチュリー)」(トニセン)、年少組を「Coming Century(カミング・センチュリー)」(カミセン)と称しているのを真似たようです。「党大会」と同じメンバーですが、チェロだけ藤森亮一から笠原あやのに交代していました。笠原あやのは、「党大会」の11月18日から20日まで出演したようです。
椎名林檎のMCが続き、「会場の鳴りに一番あった編成を考えた」と説明しました。「党大会」も同じ編成だったのに、オーチャードホールでの演奏は何だったのでしょう…。また「ご要望もあり、大人になったのでこれからはこんな感じで。エレキもやるけど」と話しました。
演奏に戻って、10曲目は「いろはにほへと」。椎名林檎はタンバリンを叩きました。
11曲目は「錯乱」。「班大会」のみのセットリストです。歌詞は英語。椎名林檎はたまに片足立ちで歌いました。
12曲目は「罪と罰」。「党大会」では5日目のみ演奏されたので、DVD「党大会 平成二十五年神山町大会」には収録されています。やはりいい曲です。「サイレン 爆音」ではエコーが入りました。少しだけ巻き舌が聴けました。ステージを横に歩いて「小部屋が孤独を甘やかす」で終わり、後奏はありませんでした。
13曲目は「夢のあと」。この曲も「班大会」のみのセットリスト。歌い終わると一礼して退場しました。
14曲目は「孤独のあかつき」。「党大会」と同じように椎名林檎はステージに登場せずに、録音が流れました。
続いて「質問のコーナー2」。先ほどと同じ男性のMCで「生まれ変わったらどんな職業になりたいですか」の質問に、椎名林檎は「医師です」と答えました。医師のなかでも「外科だそうです」とのこと。男性は緊張しているようで、噛んでいました。
15曲目は「今」。アコーディオンの前奏で、椎名林檎が再入場。黒の小さな帽子、銀色のリボン、ピンク?のノースリーブ、白のスカートで、バレリーナみたいな衣装でした。
16曲目は「月夜の肖像」。17曲目は「おいしい季節」。椎名林檎は「Your words wash over me」などの英語の歌詞は顔を横に向けて歌いました。
続けて18曲目は「旬」。椎名林檎は後奏では後ろを向いていました。
椎名林檎が「長い間ご清聴ありがとうございました。最後の1曲になってしまいました」と話すと、客席から「えー」の声が。椎名林檎は笑って「いつも最後の1曲だと思って歌ってます」と話しましたが、照れくさくなったのか「しらじらしいったい」と方言が出ました。客席からの「もっと」の声に、椎名林檎は「そういうことはあとでおっしゃって」と答えました。19曲目は「女の子は誰でも」。ピアノの林正樹とのデュエット。椎名林檎は笑顔で歌いました。歌い終わると「ありがとう」と話して退場しました。暗転。
拍手に応えてアンコール。椎名林檎が再登場。赤のスカートに、班大会特殊開発グッズ「Tシャツ サッシュ 霜降りホワイト」を着て登場。「映画館のみなさんはこの熱気がある?ない?」と話しました。「すいません。弊社員が」と話し、噂の真相コーナーで男性のMCが噛んでいたことを謝罪。黒猫堂で働きたいという就職口の相談もあることを紹介しました。「もう少しだけお付き合いください」と話して、アンコール1曲目は「歌舞伎町の女王」。「班大会」のみのセットリストで、椎名林檎はアコースティックギターを弾きながら歌いました。ドラムス、アコーディオン、ピアノ、コントラバスの編成。改めて聴くとすごい歌詞ですね。
「お目にかかれてうれしかったです」と話して、アンコール2曲目は「幸先坂」。「党大会」よりも音程は合っていました。歌い終わると一礼してマイクを床に置いて退場しました。暗転となり、場内が明るくなってナレーションが流れました。20:30に終演しました。
全体の感想としては、「班大会」はスピーカーがないように見えたので、完全に生音でのコンサートだったようです。楽器にマイクが付けられていて、椎名林檎はマイクを持って歌いましたが、映画館に配信するためだった可能性があります。「党大会」と「班大会」はまったく別のセットリストと予想していましたが、共通している曲が何曲かあり、伴奏者もほとんど同じでした。カメラアングルは豊富でよかったのですが、技術的な問題なのか映像が音よりも遅いので、観ていて少し変な感じがしました。映画館では拍手は起こらず静かに観ていましたが、座ってじっくり聴くにふさわしいコンサートでした。椎名林檎は手旗シンパを一度も振りませんでした。「班大会」を「党大会」といい間違うことがあって、「党大会」が気に入っていると明かしました。

DVD「党大会 平成二十五年神山町大会」
2014年3月19日にライヴDVD「党大会 平成二十五年神山町大会」がリリースされました。11月26日(火)の「党大会」最終公演を収録しています。特典映像などのおまけはなく、純粋なライヴ映像です。上述したようにDVD「党大会」で映されたCARTEが冊子で封入されています。グレート栄田は「グレート栄田嘉彦」と書かれています。
初回限定盤は「ケース付きハードカバー・ブック仕様」。また、DISC2として「Holiday Jazz on 25th November,2013」が付いています。私が参加した11月25日(月)の「党大会」4日目の公演から5曲が収録されています。「今」「旬」「茎」「(サ)」「MY FOOLISH HEART」の5曲で、拍手や歓声に加えて椎名林檎もMCも一部収録されています。CDの収録順は実際のライヴの順番とは一致していません。一発撮りですが、CDと変わらない完成度なのはすごい。ただ、「党大会」よりも「班大会」のほうがいい選曲だったので、「班大会」の記録がDVD化されなかったのは残念です。谷口崇とのデュエットなどもう一度聴いてみたいです。

全体の感想
デビュー15周年を記念したライヴでしたが、出産報道があった後でも椎名林檎の人気は衰えていませんでした。週刊誌でネタにされたことを逆手にとって「噂の真相」コーナーを設けたのも面白い。ライヴで出産を発表したのは驚きました。
オペラやバレエを上演できるするオーチャードホールで、どんなライヴをするのか期待していましたが、「椎名林檎(生)林檎博'08 〜10周年記念祭〜」のように大人数のオーケストラをピットに入れるわけでもなく、いろいろな設備があるホールなのに、あえてシンプルな演出でした。モニターもなかったので、椎名林檎の表情はよく分かりませんでしたが、DVDで確認できます。椎名林檎の歌唱力を堪能する上級者向けのコンサートといえるでしょう。衝撃的に感じるよりも、後からじわじわ味わうタイプの演奏でした。DVDで繰り返し聴けるのはありがたいです。11月25日の公演(CD)よりも11月26日(DVD)のほうが、演奏の即興性が増しているようです。ただ、楽器編成が少ないと、続けて聴くとどうしても曲想が似てきてしまいます。手旗シンパを振る機会はほとんどありませんでした。英語の歌詞の曲が多かったのもノリが悪かった原因でしょう。東京事変ファンはがっかりでしょうか。
「党大会」の「噂の真相のコーナーその2」や、「班大会」のMCを総合すれば、おそらく「班大会」の企画が先にあったが、浜離宮朝日ホールのキャパシティでは採算が取れないので、オーチャードホールでの「党大会」に発展したのではないでしょうか。12日間で7公演というハードスケジュールでしたが、見事にこなしました。
伴奏は少数精鋭でいい演奏でした。アコースティック楽器で伴奏が9名という編成は、「RISING SUN ROCK FESTIVAL 1999 in EZO」の1名(斎藤ネコのヴァイオリンだけ)、「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2008 in EZO」の4名に次ぐ少なさでしょう。曲によって楽器編成が変わる演出もうまい。アコーディオンが加わることで、伴奏の表現力が増しました。奏者もアドリヴが多く、即興演奏を楽しんでいるようでした。椎名林檎が楽器を演奏したのは、ピアノ(IT WAS YOU ※党大会のみ)とタンバリン(いろはにほへと、ありあまる富※班大会のみ)とアコースティックギター(歌舞伎町の女王 ※班大会のみ)でした。
セットリストは最近の曲が中心でした。特にアルバム「三文ゴシップ」(2009年)から5曲(都合のいい身体、旬、二人ぼっち時間、色恋沙汰、密偵物語)、客演集アルバム「浮き名」から5曲(IT WAS YOU、MY FOOLISH HEART、熱愛発覚中、殺し屋危機一髪、becoming)、セルフカバーも4曲(おいしい季節、都会のマナー、月夜の肖像、幸先坂)演奏されました。東京事変の曲はまったくありませんでした。
MCは「椎名林檎(生)林檎博'08 〜10周年記念祭〜」よりも多く、軽やかでした。緊張が解けてきたのでしょうか。今後の活動については、「班大会」で「これからはこんな感じで」と語りましたが、同時に「エレキもやる」と話しました。東京事変を解散した後、誰とバンドを組むのかが気になります。
なお、『bridge』(VOL.77)、『SWITCH』(2014年1月号)、『ROCKIN'ON JAPAN』(2014年2月号)に「党大会」の記事が掲載されました。

椎名林檎十五周年 党大会 平成二十五年神山町大会(2013.11.25 Bunkamuraオーチャードホール)
1.都合のいい身体 (作詞・作曲:椎名林檎)
2.IT WAS YOU (作詞・作曲:Burt Bacharach・Tonio K)
3.カーネーション (作詞・作曲:椎名林檎)
4.カリソメ乙女 TAMEIKESANNOH ver. (作詞・作曲:椎名林檎)
5.MY FOOLISH HEART (作詞:椎名林檎 作曲:丈青・元晴)
6.浴室 (作詞・作曲:椎名林檎)
7.熱愛発覚中 (作詞・作曲:椎名林檎)
8.二人ぼっち時間 (作詞・作曲:椎名林檎)
9.色恋沙汰 (作詞・作曲:椎名林檎)
10.いろはにほへと (作詞・作曲:椎名林檎)
11.おいしい季節 (作詞・作曲:椎名林檎)
12.旬 (作詞・作曲:椎名林檎)
13.女の子は誰でも (作詞・作曲:椎名林檎)
14.孤独のあかつき (作詞:渡辺あや 作曲:椎名林檎)
15.都会のマナー (作詞・作曲:椎名林檎)
16.今 (作詞・作曲:椎名林檎)
17.月夜の肖像 (作詞・作曲:椎名林檎)
18.密偵物語 (作詞:Jack Brown 作曲:椎名林檎)
19.殺し屋危機一髪 (作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎・タブゾンビ)
20.茎(STEM) (作詞・作曲:椎名林檎)
<アンコール>
E1.丸ノ内サディスティック (作詞・作曲:椎名林檎)
E2.幸先坂 (作詞・作曲:椎名林檎)

椎名林檎十五周年 班大会 平成二十五年浜離宮大会(2013.11.29 浜離宮朝日ホール)
1.都合のいい身体 (作詞・作曲:椎名林檎)
2.カーネーション (作詞・作曲:椎名林檎)
3.カリソメ乙女 (作詞・作曲:椎名林檎)
4.MY FOOLISH HEART (作詞:椎名林檎 作曲:丈青・元晴)
5.浴室 (作詞・作曲:椎名林檎)
6.熱愛発覚中 (作詞・作曲:椎名林檎)
7.茜さす 帰路照らされど… (作詞・作曲:椎名林檎)
8.becoming (作詞:谷口崇 作曲:谷口崇・幸克哉)
9.ありあまる富 (作詞・作曲:椎名林檎)
10.いろはにほへと (作詞・作曲:椎名林檎)
11.錯乱 (作詞・作曲:椎名林檎)
12.罪と罰 (作詞・作曲:椎名林檎)
13.夢のあと (作詞・作曲:椎名林檎)
14.孤独のあかつき (作詞:渡辺あや 作曲:椎名林檎)
15.今 (作詞・作曲:椎名林檎)
16.月夜の肖像 (作詞・作曲:椎名林檎)
17.おいしい季節 (作詞・作曲:椎名林檎)
18.旬 (作詞・作曲:椎名林檎)
19.女の子は誰でも (作詞・作曲:椎名林檎)
<アンコール>
E1.歌舞伎町の女王 (作詞・作曲:椎名林檎)
E2.幸先坂 (作詞・作曲:椎名林檎)

2014.6.4 記




東京事変 Live Tour 2012 Domestique Bon Voyage 椎名林檎 ちょっとしたレコ発2014 〜大阪港へ逆輸入〜