椎名林檎 ちょっとしたレコ発2014 〜大阪港へ逆輸入〜


2014年6月5日(木)19:00開演
サンケイホールブリーゼ

椎名林檎(vox)、林正樹(piano&keys)、佐藤芳明(accordion&keys)、鳥越啓介(bass)、みどりん(drums)

座席:指定席 1階R列19番


2014年5月27日に椎名林檎が16回目のデビュー記念日を迎えました。1998年5月27日にデビューシングル「幸福論」がリリースされてから16年です。私は「勝訴ストリップ」以来のファンですが、気がつけば、現代日本を代表する歌手になりました。うれしい限りです。
そのデビュー16周年目の記念日である2014年5月27日にセルフカバーアルバム「逆輸入 〜港湾局〜」がリリースされました。「逆輸入」の意味について、椎名林檎は「これまでいろいろな歌手の方に私がお書きした曲を、今度は私が歌わしていただく」(YouTubeコメンタリー映像)と語っています。11曲が収録されていますが、曲によって編曲者も演奏者も全て異なるという贅沢なアルバムです。これに連動して、ライヴ「椎名林檎 ちょっとしたレコ発2014」が開催されました。「椎名林檎十五周年 党大会 平成二十五年神山町大会」「椎名林檎十五周年 班大会 平成二十五年浜離宮大会」以来、半年ぶりのライヴです。ライヴタイトルに「レコ発」が入っているので、アルバム「逆輸入 〜港湾局〜」からの選曲は予想されましたが、曲によって演奏者がバラバラなので、どういう編成で演奏されるのかも注目でした。
ライヴの開催は2014年3月24日に配信された「林檎班 貴賓革命速報 第百九十一報」で発表されました。横浜と大阪の2会場4公演。ライヴのタイトルが横浜と大阪で異なります。横浜は「椎名林檎 ちょっとしたレコ発2014 〜横浜港へ逆輸入〜」。5月26日(月)と27日(火)で、会場は横浜大さん橋ホールにて。大阪は「椎名林檎 ちょっとしたレコ発2014 〜大阪港へ逆輸入〜」。6月5日(木)と6日(金)で、会場はサンケイホールブリーゼで行なわれました。「椎名林檎十五周年 党大会 平成二十五年神山町大会」「椎名林檎十五周年 班大会 平成二十五年浜離宮大会」と同じくすべて平日でしたが、大阪で行なわれたのがラッキーでした。なお、5月27日(火)の横浜公演2日目は、WOWOWプライム(有料放送)で生中継されました。

チケット確保
チケットは全席指定で7560円。「林檎班チケット先行予約」と「モバイルサイト「SR猫柳本線ポケット」全有料会員先行予約」の受付が同じ日程で行なわれました。3月26日(水)12:00から4月6日(日)23:59までに申し込み。今回は会場のキャパシティが小さいため、1人1公演1枚のみ購入可能でした。「林檎班」で6月6日(金)の公演を、「SR猫柳本線ポケット」で6月5日(木)の公演をエントリー。4月9日(水)18:00に申し込み結果が発表され、「林檎班」の6月6日(金)公演は落選しましたが、「SR猫柳本線ポケット」で6月5日(木)に当選しました。晴れて大阪公演1日目に行けることになりました。その後、「「逆輸入 〜港湾局〜」予約購入者限定特典・チケット先行抽選予約」も行なわれました。
椎名林檎十五周年 党大会 平成二十五年神山町大会」と同じく、今回も転売防止のためチケットの発送がありません。座席がどこなのか当日まで分かりませんでした。

グッズ購入
今回のツアーも特殊開発グッズが製作されました。SR猫柳本線によると「ちょっとしたライブの、まさにちょっとした物たちを、どうぞ記念にお買い求めください」とのこと。注目アイテムとしては「東京事変 live tour 2010 ウルトラC」で大人気を博した「ニッポニアジャージ ホーム」(13,000円)の後継として、「ニッポニアジャージ2020 ホーム」(15,000円)が発売されました。また、今回は「東京事変 DOMESTIC! Virgin LINE」から続いてきた恒例の「手旗」が制作されませんでした。前回の「椎名林檎十五周年 党大会 平成二十五年神山町大会」でも客が旗を振るシーンはほとんどなかったので、いったん小休止でしょうか。
また、今回は「会場にお越しになれないという方がたくさんいらっしゃることを考慮いたしまして、5月27日(火)よりWEBでの注文受付を開始いたします」(2014年5月23日配信 林檎班 貴賓革命速報 第二百報)とのことで、 横浜公演2日目の5月27日から「林檎班好事家ストア」と「SR猫柳本線猫キヲスク」で通販が開始されました。いつもはライヴ終了後しばらく経ってからの通販開始でしたが、いち早く注文できました。通販開始初日に以下の3点を購入しました。商品は7月になってから届きましたが、いつも開演前に大行列ができてしまうことを考えると、並ばなくてよくなったのはすごく便利。ただし、通販ではいつもユニークなコメントが印字される「レシート(商品お買上明細票)」が発行されませんでした。
・「Vネック シーナJAPAN Mサイズ」(4200円):間もなく開催されるFIFAワールドカップブラジル大会を戦うサッカー日本代表のユニフォームにそっくりなTシャツ。青地に胸元には日の丸とワッペン。ワッペンには林檎マークと「FCSR」と書かれています。「フットボールクラブ椎名林檎」の意味でしょう。裏は「417(=椎名)」の背番号入り。
・「ステッカー これっぽっち」(600円):シールが5枚。「SR REIMPORT 2014」や、Vネック シーナJAPANのワッペンのデザイン、林檎マークのロゴなど。「椎名林檎 ちょっとしたレコ発2014 〜横浜港へ逆輸入〜」のシールはありましたが、「〜大阪港へ逆輸入〜」のシールはありませんでした。大阪公演のライヴ会場で購入すればこういうことにはならないでしょう。残念。
・「カードセット 付け届け」(1000円):カードが10ページで、ハガキとして切り離せるようになっていますが、実質的なパンフレットと言っていいでしょう。「八九三」のメンバーが和服姿で写っています。椎名林檎は淡い赤色のワンピースドレス。裏面は「きかは便郵」と右から左に書かれているのが渋い。

チケット発券
公演当日12時頃にチケットぴあから「「椎名林檎 ちょっとしたレコ発 2014」入場方法の再案内」と題するメールが届きました。それによると、15時から6階の発券所でチケットの発券を行なうとのこと。「決済で使用しましたクレジットカードを会場に設置された専用の読み取り機に通すことで、ご購入者様ご本人様かどうかのチェックを行います」との説明でした。「椎名林檎十五周年 党大会 平成二十五年神山町大会」は入場時に「入場控え」のレシートが発行されましたが、今回は入場前には座席が分かることになりました。
15時頃にサンケイホールブリーゼに到着。ライヴタイトルに「大阪港」とありますが、大阪港からはかなり離れています。JR大阪駅桜橋口から徒歩5分で、ブリーゼタワー7階にありました。6階の発券所へ行くと、窓際に発券機が並んでいました。自分で発券機にクレジットカードを通すと、いつもの「チケットぴあ」のチケットが出力されました。あっという間に発券完了です。スタッフに何かをしてもらうでもなく、自分で発券できました。ちなみに、クレジットカード以外の決済では、スタッフが身分証明書で本人確認をした後に、発券機に行けました。
サンケイホールブリーゼ サンケイホールブリーゼ 6階チケット発券所

シュッとした福引抽選会!
7階のロビーではグッズ販売の行列ができていました。上述したように、今回はすでに通販で注文したので、会場では購入していません。SR猫柳本線ポケット企画で「シュッとした福引抽選会!」が行なわれました。商品は特製カステラ [文明堂謹製]とポケット港湾サイダー。スタッフにSR猫柳本線ポケットのトップ画面を見せることで参加できました。リニア会員なので、2回ガラガラ抽選機を回しました。残念ながら2回とも参加賞で、「ポケットのポケットティシュー」でした。ちなみに、「ポケット特製メダル」を持参すると、2等のポケット港湾サイダーと交換できましたが、飲むとなくなってしまうので、今回も交換しませんでした。
7階グッズ販売 シュッとした福引抽選会!案内 ポケットのポケットティシュー

開場
18:15に開場。入場時に「www.Yumebanchi.jp」と書かれた透明の袋が渡されました。袋の中にはアルバム「逆輸入 〜港湾局〜」のチラシや9月21日に行なわれる「京都音楽博覧会2014 IN 梅小路公園」のチラシなどが入っていました。 なお、上述のメールに「椎名林檎公式ファンクラブ、「林檎班」の会員先行チケット予約にてお越しの方にのみ、ご入場時に特製の来場者カードを配布いたします」とのメッセージがありました。実際には入場時ではなく、ホワイエにスタッフが立っていて、チケットに印字されたマークを見せることで入場者カードを配布していました。私はSR猫柳本線ポケット全有料会員先行予約でチケットが当選しましたが、林檎班チケット先行予約で外れたので対象外とのこと。林檎班会員なのに少し釈然としないところはありますが、運が悪かったようです。入場者カードをもらった人を見ていると、緑色で細長いカードのようです。

開演! (全体の感想は後述します)
※5月27日の横浜公演2日目を収録したWOWOW「椎名林檎 思い付きライブ ちょっとしたレコ発2014 〜横浜港へ逆輸入〜」 を観て補筆しました。
サンケイホールブリーゼは2008年にオープンした比較的新しいホールで、客席数は912席。内装が黒色でシックな雰囲気。座席は1階席のほぼ中央でした。開演前のBGMは洋楽でした。「ニッポニアジャージ」を着た客がちらほらいました。
有名な「ブラジル(Aquarela Do Brasil)」のBGMで、メンバーと椎名林檎が入場。なお、メンバーの入退場はすべて上手(舞台向かって右)からの入場でした。メトロノームのカチカチという音から始まって、1曲目は「ポルターガイスト」。アルバム「加爾基 精液 栗ノ花」に収録されています。1番が終わった間奏で椎名林檎が中央の台に置かれたメトロノームを自分で止めたので、本物のメトロノームの音でした。WOWOWでは椎名林檎がメトロームを操作する様子がよく映っています。椎名林檎は長い黒い髪を後ろで束ねていました。白のスリットの入っていないチャイナドレスのような落ち着いた衣装です。ときどきひざを曲げて歌うのは、「賣笑エクスタシー」(2003.2.23 九段会館)でも見られました。伴奏は向かって左からオルガン(林正樹)、アコーディオン(佐藤芳明)、コントラバス(鳥越啓介)の3名。男性メンバーの衣装は白のコートでした。客は誰一人立つことなく、座って聴きました。WOWOWで放送された「〜横浜港へ逆輸入〜」の影響があったかもしれません(詳細は後述)。
ドラムス(みどりん)が入場。ドラムスの配置は一番右で、東京事変と同じです。この配置は椎名林檎のこだわりでしょう。2曲目は「母国情緒」。東京事変のアルバム「教育」に収録されています。椎名林檎が間奏でメンバー紹介。ドラムス(みどりん)、ベース(鳥越啓介)、アコーディオン(佐藤芳明)、ピアノ(林正樹)の順に紹介。ここだけドラゴンクエスト「序曲のマーチ」を交代で演奏しました。ベースは電子的に加工された音で演奏しました。WOWOWで見ても普通にコントラバスを演奏しているので、スピーカーを通すときに音を変えているのでしょう。
椎名林檎がMC。「ようこそ、ちょっとしたレコ発へ。おおきに。やっとお目にかかれてうれしいです。アルバムをリリースしてしまいましたので、その中からいくつかなどなど、ちょっとしてやらしてもらおうと思います」と話しました。横浜公演2日目のMCは「いらっしゃいませ。本日で16周年目、16年目にキャリアが重なってきたというお話です。おかげさまです。本当にありがとうございます。そしてそんな日にお忙しいでしょうに、平日にお越しくださりありがとうございます。そして今日はお茶の間でも見ていただいているんですよね。なにとぞよろしくお願い申し上げます。「ちょっとしたレコ発」というのはお客様がやってほしいっていうお手紙くださったそのままのフレーズなんですよ。お客様がおっしゃった通りのタイトルでゆるく、ご要望いただいた通りどこまでゆるくやれるかっていう今日は挑戦ですので、楽しんでいただけたらなと思います。いつもとちょっと違った感じになるといいなと思っております。よろしくお願いします」と挨拶しました。
3曲目は「カプチーノ」。ともさかりえへの提供曲で、アルバム「逆輸入 〜港湾局〜」にも収録されています。椎名林檎は左右にステップ。 鳥越啓介がエレキベースを演奏。
ドラムソロから始まって、4曲目は「SG 〜Superficial Gossip〜」。シングル「ありあまる富」のカップリング曲で、ライヴ初披露です。前半は鳥越啓介がカウベルをたたいて、佐藤芳明がマラカスを振りました。林正樹はキーボードを演奏。
5曲目は「労働者」。アルバム「三文ゴシップ」に収録。椎名林檎はタンバリンをたたきながら、ノリノリで歌いました。会場も手拍子。みどりんがバックコーラス。いい伴奏で、4人でも不足感がありません。間奏ではNat Adderley(ナット・アダレイ) の「Work Song(ワークソング)」を違和感なく引用。もう1回聴きたいです。
アコーディオンとピアノのデュオから始まって、6曲目は「喧嘩上等」。東京事変のアルバム「大人」に収録されています。なつかしい。テンポが早い。歌詞は英語ですが、日本語訳詞の字幕は出ません。間奏はNirvana(ニルヴァーナ) の「Smells Like Teen Spirit(スメルズ・ライク・ティーン・スピリット)」を引用。眼つぶしのライトとコントラバスのノイズがすごい。林正樹はキーボードを演奏。
淡々と進んで、7曲目は「雨傘」。TOKIOへの提供曲です。1番と3番は日本語歌詞で歌いましたが、2番はアルバム「逆輸入 〜港湾局〜」で歌われた英語歌詞でした。椎名林檎の声の伸びがすばらしい。いい曲です。
打ち込み音が流れて、8曲目は「青春の瞬き」。栗山千明への提供曲。「東京事変 Live Tour 2012 Domestique Bon Voyage」でも演奏されました。アルバム「逆輸入 〜港湾局〜」と同じく、冨田恵一のアレンジが流れて、メンバーの楽器演奏との共演です。四方八方のスポットライトから椎名林檎が照らされました。後半はアルバム「逆輸入 〜港湾局〜」で追加された英語歌詞で、録音された音声でした。最後に「I get back in my heart」と歌って椎名林檎が退場。なお、横浜公演2日目では椎名林檎は目に涙を浮かべて歌っています。
男性メンバー4人が白のコートを脱いで、白の長袖カッターシャツ、ネクタイ、ピンクのチョッキとズボンになりました。アコーディオンソロから始まって、9曲目は「望遠鏡の外の景色」。野田秀樹の舞台「エッグ」への提供曲で、アルバム「逆輸入 〜港湾局〜」にも収録されています。椎名林檎なしでメンバー4人のインストゥルメンタルでの演奏です。中盤でいったんパウゼ。終わる間際に椎名林檎が赤いロングスカートのドレスで登場。最後に「me olvide de todo.」(スペイン語で「すべてを忘れましょう」)と歌って終わりました。ちなみに「me olvide de todo.」の歌詞は、CD「NODA・MAP「エッグ」BOX」にはなく、アルバム「逆輸入 〜港湾局〜」(村田陽一編曲)で追加されました。
10曲目は「天国へようこそ」。東京事変のアルバム「大発見」に収録されています。日本語の歌詞で、早いテンポで軽快なノリ。ドラムが入って間奏は轟音。照明効果もすごくいい。
11曲目は「とりこし苦労」。アルバム「加爾基 精液 栗ノ花」に収録されています。椎名林檎がアコースティックギターを弾いて歌いました。佐藤芳明がピアニカを演奏。
12曲目は「少女ロボット」。ともさかりえへの提供曲で、「東京事変 “DOMESTIC!” Just can't help it.」でも演奏されました。椎名林檎は引き続きアコースティックギターを弾いて歌いました。怪しげな赤い照明で終わりました。
ベースソロから始まって、13曲目は「遭難」。東京事変のアルバム「教育」に収録されています。ものすごく落ち着いたアレンジでガチャガチャしません。椎名林檎も年齢を重ねた証拠でしょうか。佐藤芳明がウッドブロックを演奏。「真実等に興味は無い…」の後には椎名林檎が舌打ちも披露。
14曲目は「禁じられた遊び」。東京事変のアルバム「大発見」に収録されています。早めのテンポ。椎名林檎は鬼気迫る歌い方でした。ストロボの点滅がすごい。ちょっとやりすぎで、目がチカチカしました。演奏はすごくいいのに、照明で損しましたね。
15曲目は「愛妻家の朝食」。シングル「真夜中は純潔」に収録されています。懐かしい。おそらくライヴで演奏されたのは初めてでしょう。よくまとまったサウンドでした。間奏はアコーディオンソロとピアノソロ。後奏は長いアコーディオンソロ。ちなみにシングルではcobaが演奏しています。
休みなく16曲目は「化粧直し」。東京事変のアルバム「大人」に収録されています。落ち着いていてあまり抑揚をつけない歌い方でした。後奏はアップテンポ。林は左手でピアノ、右手でキーボードを弾くという離れ業を披露。
17曲目は「私の愛するひと」。シングル「カーネーション」のカップリング曲で、ライヴ初披露。前奏で椎名林檎が赤いコートを脱いで、背中が見える色っぽい白いランニングシャツに黄緑色のスカートになりました。男性メンバー全員で「雲を動かし」「陽を照らさせる」「花を開かせ」「実を熟れさせる」など、CDでは椎名林檎の加工された歌声になっていた部分を歌いました。
伴奏はそのままのテンポで演奏を続けて、椎名林檎がMC。早口でよく聞き取れませんでしたが、横浜公演2日目では「最後にみなさん、EMIガールズにおける私の相方、宇多田ヒカル嬢が結婚しました。このやり場のない胸の高鳴りを今ここで共有さしていただけませんか」と話しました。5月23日にイタリア人と再婚した宇多田ヒカルへのお祝いでしょうか。18曲目は宇多田ヒカルの「traveling」。椎名林檎と宇多田ヒカルは「i won't last a day without you」(「唄ひ手冥利〜其ノ壱〜」収録)で共演していますが、椎名林檎が宇多田ヒカルをカバーするとは意外すぎる選曲です。聴いてみると宇多田ヒカルではなく、ちゃんと椎名林檎の曲になっているのが不思議です。何度も登場する「Traveling」の部分は、客席にコールを求めました。林正樹とみどりんもバックコーラス。客席からも手拍子。なお、「〜横浜港へ逆輸入〜」の後、「traveling」をカバーしたことを知った宇多田ヒカルがTwitterで「お?!なんて素敵なことをしてくれるんだ!林檎ちゃんにはご祝儀まで頂いちゃって…ありがたや。「東芝EMIガールズ」いつか再結成したいです…!」とツィート。ヤフーニュースのトップにも掲載されました。
椎名林檎のMC。「お目にかかれて光栄でした。ちょっとしましたね」と話しましたが、大阪以外からも多くの人が来ていることを知ると、「そんな遠くからも」と驚いて、「全然ちょっとしてないですね」「最後の1曲です。ありがとうございました」と話しました。横浜公演2日目では「お目にかかれてうれしかったです。ちょっとしたやつだから、あと1曲になってしまいました。最後1曲です。今日は本当にありがとう」と話しました。
19曲目は「主演の女」。PUFFYへの提供曲で、アルバム「逆輸入 〜港湾局〜」に収録されています。真っ赤な照明。「唯一無二(とくべつ)な方法」で、左手を上から下に動かしました。高音の伸びがいい。「刹那(いま)を奪うな」の後で、丸サステップも披露。ラストはメンバー4名で乱れ打ちするなか、椎名林檎が退場。演奏が終わると、メンバーも退場して暗転。横浜公演2日目では前奏で椎名林檎がマイクスタンドを床に倒しています。
拍手に応えて、メンバーが再入場。男性メンバーは特殊開発グッズの「Tシャツ 水兵リーベ」を着ていました。椎名林檎は白シャツの中央に赤い丸が描かれていて、日の丸のようです。「本当はみなさまのお近くに行きたい。そのためにも健やかでいらしてください」と話しました。「ちゃんとメンバー紹介してなかったですね」と話して、メンバー紹介。「893(はちきゅーさん)と名付けました」と話して、「ドラムス どりんちゃん」「ベース 鳥越くん」「アコーディオン 佐藤くん」「ピアノ 林くん」と紹介。4人とも「椎名林檎十五周年 党大会 平成二十五年神山町大会」「椎名林檎十五周年 班大会 平成二十五年浜離宮大会」で演奏しましたが、見た目が違うので分かりませんでした。
アンコール1曲目は「逆さに数えて」。椎名林檎は「新曲です。この人々(893)のために書き下ろした」と紹介しました。6月11日にリリースされるシングル「NIPPON」のカップリング曲で、シングルでもこの893のメンバーが演奏しています。もちろんライヴ初披露。林正樹はキーボードを演奏。テンポがいい曲で、椎名林檎の高音もいい。
椎名林檎が「もう1曲だけお付き合いいただけますか。横浜でできなかったんですけど、「逆輸入」からもう1曲お届けします」と話し、アンコール2曲目は「真夏の脱獄者」。SMAPへの提供曲。SMAPへの提供は日本語歌詞ですが、今回はアルバム「逆輸入 〜港湾局〜」と同じく英語歌詞でした。椎名林檎(違ったかも?)がエレキギターを演奏。客は首を揺らして楽しみました。「bye-bye」まで歌うと椎名林檎は退場。後奏はメンバーのみで演奏しました。緞帳は下りずにBGMが流れて、20:30に終演しました。

WOWOW「椎名林檎 思い付きライブ ちょっとしたレコ発2014 〜横浜港へ逆輸入〜」
5月27日(火)の横浜公演2日目の様子が、WOWOWプライムで生中継されました。番組名は「椎名林檎 思い付きライブ ちょっとしたレコ発2014 〜横浜港へ逆輸入〜」。横浜大さん橋ホールは、横浜港大さん橋国際客船ターミナルの2階で、同じフロアには出入国ロビーもあります。「逆輸入」がアルバムにもライヴタイトルにも入っているので、港に近い場所が選ばれたのでしょう。最大1200名が収容可能です。縦長のホールですが、柱はありません。横浜公演は会場が揺れやすい建築構造のため立見禁止で、着席での観覧となるとの注意が事前にありました。WOWOWで見たところ実際に立ちあがっている客はいませんでした。ホールの外観が映りましたが、本当にすぐそこは海です。
セットリストは「〜大阪港へ逆輸入〜」とアンコール2曲目以外は同じです。10曲目「天国へようこそ」の間奏でステージ後方のカーテンが左右に開いて、ガラス張りのステージの後ろで横浜港を航行する船が見えました。心憎い演出です。13曲目「遭難」でカーテンが閉まりました。11曲目「とりこし苦労」と12曲目「少女ロボット」が名演です。
アンコール2曲目は「恋のから騒ぎ」を演奏。その前のMCでは「せっかくの港湾です。みなさん一緒にこんなに海へしゃしゃり出てしまっている状態ですから、反則です。まさかと思うんですけども、あのナンバーを最後にお届けしたいと思います。今日は本当にありがとう」と話しました。冒頭の「みずぎわ干いては満ちて胸騒ぎ」から男性4人がバックコーラス。椎名林檎は黒のタンバリンを叩きながら歌いました。椎名林檎が「反則」と言ったのは、「浮かばれるか沈むか暗黙のTOKYO港湾(HARBOR)」という歌詞が今の状況にぴったりという意味でしょう。また、林正樹が「笑顔が」、佐藤芳明が「まぶしいね」、鳥越啓介が「見おさめ」、みどりんが「小雨」をリレーで歌って、椎名林檎がそれぞれに「いいね」と笑いながらつぶやきました。椎名林檎は歌い終わると「ありがとう」と話して、後奏で退場しました。
なお、生中継に先立って、5月25日(日)16:45〜「生中継直前!椎名林檎 WOWOW特別番組 〜セルフカバーアルバム「逆輸入」の件〜」がWOWOWプライムで放送されました。40分間の番組で、無料放送でした。椎名林檎がアルバム「逆輸入 〜港湾局〜」について語り、各アレンジャーに編曲を依頼した意図についてコメントしました。アレンジャーからのコメントもあって、大変興味深い内容です。椎名林檎ファンは必見。また、中目黒の「はし田屋」で行なわれた「逆輸入 〜港湾局〜」打ち上げ飲み会の模様も収録。椎名林檎、根岸孝旨、村田陽一、佐藤芳明、日高央、中山信彦、大沢伸一、小林武史、大友良英が一堂に会しています。また、「ちょっとしたレコ発2014」のライブリハーサル映像では、椎名林檎がメンバーに小節単位でコードを指示しています。「ちょっとしたレコ発」について、椎名林檎は「お客様がブルーノートで2ステージやるようなやつとか、ちょっとしたやつが見たいですって、いっつも定期的におっしゃる方がいらっしゃって。そうかーと思って。私もおばあちゃんになったらね、ミスティーを歌ったりするような毎週金曜にやったりとか、そういうおばあちゃんになりたいなと思ってましたけど。今かー、でもやってみっかなって思って。だからそのゆるい感じ、店みたいな感じが出たらいいなって思っているという状態です。そうなるかどうか」「(「逆輸入 〜港湾局〜」の曲は)やると思います。自動演奏のものも多いですからねー、アルバムは。レコードはレコード、ハコはハコで、その場その場でふさわしいことができたらいいなっていつも心がけてます。最新のオートクチュールで参りたいと思います」とコメントしています。

全体の感想
「ちょっとしたレコ発」というライヴタイトルでしたが、本格的なステージでした。どんなメンバーが伴奏するのか注目でしたが、「椎名林檎十五周年 党大会 平成二十五年神山町大会」「椎名林檎十五周年 班大会 平成二十五年浜離宮大会」から、弦楽四重奏とハープを除いた4名になりました。向かって左から、オルガン(林正樹)、アコーディオン(佐藤芳明)、コントラバス(鳥越啓介)、ドラムス(みどりん)の順。東京事変と比べれば、ギターがアコーディオンに置き換わったような印象です。ドラムスを右端に配置するのは椎名林檎のこだわりでしょう。引き続いて、生音志向でした。「893」のバンド名の由来についての説明はありませんでした。伴奏者は少なかったですが、「椎名林檎十五周年 党大会 平成二十五年神山町大会」よりもはるかにいい演奏でした。ただし、男性4人のバックコーラスはまとまっていなくて、素人臭さを感じました。コーラスの練習をお願いします。今後もこのメンバーで定着するかどうか注目です。椎名林檎が楽器を演奏したのは、タンバリン(労働者、今夜はから騒ぎ(※横浜公演のみ))とアコースティックギター(とりこし苦労、少女ロボット)でした。椎名林檎の衣装はシンプルで、派手さがなくなりました。MCも少なめで。893メンバーのMCはありませんでした。DVD化を希望したいですが、WOWOWで放送されたので多分ないでしょう。
セットリストではこれまでライヴで取り上げていない曲が多数演奏されました。セルフカバーアルバム「逆輸入 〜港湾局〜」の曲が多く、6曲(カプチーノ、雨傘、青春の瞬き、望遠鏡の外の景色、主演の女、真夏の脱獄者)が演奏されました。アルバム「加爾基 精液 栗ノ花」から2曲(ポルターガイスト、とりこし苦労)が演奏されたのが珍しい。「加爾基 精液 栗ノ花」のスコアブックは長期にわたって品切れ中なので、これを機にぜひ復刊に期待したいです。東京事変からも6曲(母国情緒、喧嘩上等、天国へようこそ、遭難、禁じられた遊び、化粧直し)選曲されました。逆に6月11日にシングルがリリースされる「NIPPON」が演奏されなかったのは意外でした。当然ながらアルバム「逆輸入 〜港湾局〜」とも異なるアレンジでしたが、どんなアレンジでも聴くことができます。原曲の完成度が高いからでしょう。間奏で別の曲を引用して演奏するスタイルが新しい。サンケイホールブリーゼはちょうどいい大きさでしたが、少しスピーカーの音量が大きい。後半から耳がガンガンしてきました。椎名林檎のマイクはいらないのではないかと思うほどでした。大阪にしては客層がおだやかでした。横浜公演をWOWOWを見た客が多かったのか、座ったまま聴いていました。
すでに、「京都音楽博覧会2014 IN 梅小路公園」や年末のツアーが発表されるなど、活動が活発になってきました。今年は忙しい1年になりそうです。
なお、『bridge』(VOL.79)および『ROCKIN'ON JAPAN』(2014年8月号)に記事が掲載されました。

1.ポルターガイスト (作詞・作曲:椎名林檎)
2.母国情緒 (作詞・作曲:椎名林檎)
3.カプチーノ (作詞・作曲:椎名林檎)
4.SG 〜Superficial Gossip〜 (作詞・作曲:椎名林檎)
5.労働者 (作詞・作曲:椎名林檎)
6.喧嘩上等 (作詞・作曲:椎名林檎)
7.雨傘 (作詞・作曲:椎名林檎)
8.青春の瞬き (作詞・作曲:椎名林檎)
9.望遠鏡の外の景色 (作詞・作曲:椎名林檎)
10.天国へようこそ (作詞・作曲:椎名林檎)
11.とりこし苦労 (作詞・作曲:椎名林檎)
12.少女ロボット (作詞・作曲:シーナ・リンゴ)
13.遭難 (作詞・作曲:椎名林檎)
14.禁じられた遊び (作詞:椎名林檎 作曲:伊澤一葉・椎名林檎)
15.愛妻家の朝食 (作詞・作曲:椎名林檎)
16.化粧直し (作詞・作曲:椎名林檎)
17.私の愛するひと (作詞・作曲:椎名林檎)
18.traveling (作詞・作曲:宇多田ヒカル)
19.主演の女 (作詞・作曲:椎名林檎)
<アンコール>
E1.逆さに数えて (作詞・作曲:椎名林檎)
E2.真夏の脱獄者 (作詞・作曲:椎名林檎)

2014.9.20 記


椎名林檎十五周年 党大会 平成二十五年神山町大会、椎名林檎十五周年 班大会 平成二十五年浜離宮大会 ライブビューイング 京都音楽博覧会2014 IN 梅小路公園