石田泰尚&上原彩子 デュオ・リサイタル
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2026年7月26日(日)14:00開演 宗次ホール
石田泰尚(ヴァイオリン)、上原彩子(ピアノ)
チャイコフスキー/懐かしい土地の思い出 スクリャービン/ピアノ・ソナタ第9番「黒ミサ」(上原彩子ソロ) 山岡耕筰/無伴奏ヴァイオリンのための「荒城の月」の主題による変奏曲(石田泰尚ソロ) R.シュトラウス/ヴァイオリン・ソナタ
座席:指定席 1階D列14番
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石田泰尚と上原彩子のデュオ・リサイタルを聴きに、宗次ホールに行きました。すごい大物2人の共演で、こんな顔合わせが実現するとは本当に驚きでした。プログラムがかなりマイナーな曲でした。
石田泰尚は、神奈川フィルハーモニー管弦楽団首席ソロ・コンサートマスター、京都市交響楽団ソロコンサートマスター、横浜みなとみらいホール「プロデューサー inレジデンス」第3代プロデューサー、第12期川崎市市民文化大使を務めています。本公演の2週間前に
京都市交響楽団第713回定期演奏会でコンサートマスターを務めました。石田のデュオコンサートを聴くのは、
KCH的クラシック音楽のススメVol.5「石田泰尚 ヴァイオリン・コンサート」以来です。石田が組長を務める石田組は、8300人を動員した日本武道館公演(2024.11.10)に続いて、今年は大阪城ホール公演(2026.10.11)が予定されています。
上原彩子は本公演が宗次ホール初登場でした。2024年から「ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全曲演奏会」に取り組んでいて、全8回のうち3回までが終了しました。東京藝術大学音楽学部器楽科准教授を務めています。
熱狂コンチェルト2026 ラフマニノフ ピアノ3連投!!で聴いて以来ですが、これまで協奏曲のソリストやソロリサイタルは聴きましたが、上原のデュオコンサートを聴くのは本公演が初めてです。
石田と上原は、本公演に先立って、第22回みなとみらいアイメイトチャリティーコンサート(2026.5.21 横浜みなとみらいホール大ホール、横浜ライオンズクラブ主催)で共演しました。デュオのプログラムは本公演と同じです(ソロのプログラムは異なります)。
この日の名古屋市の最高気温は38.2℃を記録しましたが、宗次ホール代表の宗次德二がみずから建物の前でお出迎え。お客さんは女性が多い。
開演。上原→石田の順に登場。石田は黒い長袖シャツに白縁のメガネでした。全曲譜面台つきで演奏。上原は水色のドレス。近くで見ると体格がデカイ。譜めくりの女性つき。演奏前に石田が後ろを向いて入念にチューニング。石田が持つとヴァイオリンが小さく見えました。前から4列目の真ん中の席でしたが。ステージの位置が低いので、石田の足元が見えないのが残念。
プログラム1曲目は、チャイコフスキー作曲/懐かしい土地の思い出。石田は1音ずつしっかり丁寧に弾きました。上原のピアノは意外に無表情。石田と上原はアイコンタクトはなく、第1曲「瞑想曲」の終わり方が、本番ではあまりうまくいかなかったようですね。第2曲「スケルツォ」の前にまた後ろを向いて石田がチューニング。上原のピアノがよく響きました。第3曲「メロディ」は、もっと激しくなるかと思いましたが、しっとり弾きました。
プログラム2曲目は、上原彩子のピアノ・ソロ。演奏前に上原がイスに座って「エチュード作品42-5を弾きます」と自分で話して、追加曲の
スクリャービン作曲/エチュード嬰ハ短調op.42-5を楽譜なしで演奏。
デビュー20周年×ザ・シンフォニーホール開館40周年 上原彩子プレミアム・リサイタルのアンコールで弾きました。第1曲とは打って変わって上原の本領発揮で、響きに深みがあります。肩を揺らしながら弾きました。嵐のような曲で、右手はいいメロディーですが、左手の低音が強力です。
続けてそのままプログラム2曲目は、スクリャービン作曲/ピアノ・ソナタ第9番「黒ミサ」。単一楽章の作品です。緩急のつけ方がうまく、ゾクゾクする瞬間がありました。お尻を浮かせて立ち上がりそうになったり、足を踏み鳴らしたり、上原らしい選曲と演奏でした。楽譜なしで演奏できるのもすごい。
休憩後のプログラム3曲目は、石田泰尚のヴァイオリン・ソロで、山岡耕筰作曲/無伴奏ヴァイオリンのための「荒城の月」の主題による変奏曲。山岡耕筰は山田耕作と一文字違いですが、当然別人で、東京藝術大学名誉教授も務めたヴァイオリニストです。本作は「荒城の月」(滝廉太郎作曲)を無伴奏ヴァイオリンのための変奏曲として作曲され、2015年に出版されました。序奏と主題に続いて10の変奏がありフィナーレで締めくくります。こんな作品があったんですね。初めて聴きました。
石田は譜面台を立てて演奏。美しく響いて、丁寧に変奏を展開します。ピツィカートもあって、変奏の難易度が上がっていき、ヴァイオリンの技巧が楽しめますが、変奏の構成がパガニーニの「カプリース第24番」に似ています。他のヴァイオリストでも聴きたい曲です。
プログラム4曲目は、ふたたび石田と上原のデュオで、R.シュトラウス作曲/ヴァイオリン・ソナタ。R.シュトラウス初期の作品で、3つの楽章からなります。初めて聴きました。それ以前にリヒャルト・シュトラウスにこんな作品があることを知りませんでした(恥)。石田は譜面台つきで演奏。第1楽章はテンポが早い。石田のヴァイオリンは響きを絞った演奏で、上原のピアノは残響が多めで巨匠風で豪快に弾きました。石田と上原の丁々発止のやり取りは躍動感があり、白熱した演奏でした。第2楽章は、気分を変えて落ち着いた音色。途中で石田のヴァイオリンから「ブチッ」という音がしたので弦が切れたかと思いましたが、第3楽章の前のチューニングで楽器を点検したところ問題がなかったようでそのまま演奏。上昇する音階で石田は伸び上がるような動きで演奏。上原のピアノは華やかに響きました。石田と上原の掛け合いで大きく盛り上がりました。
カーテンコールは2人ともなかなか登場しませんでしたが、アンコール。石田の入念なチューニングに続けて、石田がいきなりクライスラー作曲/美しきロスマリンを弾きはじめたので、客席がどっと湧きました。優雅な昼下がりといった雰囲気の演奏。最後はピツィカートで締めくくりました。
続けてアンコール2曲目は、プロコフィエフ作曲/「3つのオレンジへの恋」第3曲「行進曲」。石田は「京都市交響楽団 プロコフィエフの陣~交響曲全曲演奏会「参」」(2026.11.28)でコンサートマスターを務めることが発表されています。最後は飛び上がるような動きで終わりました。
2人がマイクを持ってMC。石田が「ありがとうございました」「上原さんです」「コンサートマスターを務めるオーケストラで、チャイコフスキーをソリストで弾かれてすばらしかった」と上原を紹介。上原は京都市交響楽団とはチャイコフスキーの協奏曲を共演していないので、おそらく神奈川フィルと共演した「華麗なるコンチェルト・シリーズ2021【特別版】第2回「チャイコフスキー3大協奏曲」」(2021.8.28)のことでしょう。「いつかデュオしたいと思っていたが、引き受けていただきました」とのこと。石田から上原に声をかけたんですね。二人とも「とても光栄です」と話しました。上原は「初めての宗次ホールでしたが、響きが豊かで、刺激をたくさんいただけた」と話しました。
石田が「また来年」と話したので、来年も聴けるのかと客席が前のめりになりましたが、石田が間を空けて「大阪とか」と話すと「名古屋じゃないんかーい」と意味の笑いが起こりました。なお、プログラム最後の曲が終わった後のカーテンコール中に限り舞台上の演奏者を写真撮影してもよい「特別タイム」が設けられました。
石田が「もう1曲。ラフマニノフのヴォカリーズを」と話して、アンコール3曲目はラフマニノフ作曲/ヴォカリーズを演奏。いい曲ですねー。この日一番いい演奏でした。2番はより弱音で演奏しました。15:55に終演。
終演後のサイン会はなし。その代わりなのか、ホワイエに2人のサイン入りの本公演のポスターが展示されました。石田は「名古屋暑いっす!!」、上原は「はじめまして!! よろしくお願いします」と書いています。終演後の石田と上原と宗次との記念写真は、宗次德二のX(@tokujimunetsugu)に掲載されました。上原彩子はX(@ayako_uehara_pf)で「初めての宗次ホール、非常にまろやかで美しい響きを堪能しました! 噂に聞いていたケータリングのCoCo壱のカレーも、美味しくいただきました🍛 1月のリサイタルも楽しみです❤」と綴っています。昼食はカレーハウスCoCo壱番屋のケータリングだったようですね。「1月のリサイタル」とは、来年1月9日(土)に宗次ホールで開催されるピアノ・リサイタルのことで、「速報」のチラシが封入されていました。ベートーヴェンとシューベルトのピアノ・ソナタを演奏する予定です。
上原彩子のデュオを聴くのは初めてで、協奏曲のようにもっとバリバリ進めるかと思ったら、遠慮がちでした。まあ相手が石田泰尚なら当たり前でしょうか。石田と上原の演奏の方向性が異なるので、演奏の一体感ではいまひとつでしたが、演奏頻度が少ない作品が聴けて貴重な体験でした。カーテンコールでも石田が触れましたが、来年5月にザ・シンフォニーホールで、この二人のデュオがまた聴けます。プログラムは、ベートーヴェン「ヴァイオリン・ソナタ第5番「春」」やブラームス「ヴァイオリン・ソナタ第3番」で、本公演よりは有名な作品が演奏されます。