Osaka Shion Wind Orchestra第161回定期演奏会
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2025年6月28日(土)14:00開演 ザ・シンフォニーホール 齊藤一郎指揮/Osaka Shion Wind Orchestra オール《モーリス・ラヴェル》プログラム 座席:S席 2階CC列22番 |
「吹奏楽で「オーケストラの魔術師」に挑む!」と銘打って、今年生誕150周年のラヴェルの作品を吹奏楽編曲で演奏するOsaka Shion Wind Orchestraの定期演奏会に行きました。5曲の編曲者がそれぞれ異なるのも興味を惹かれました。客演指揮は齊藤一郎。2014年度からセントラル愛知交響楽団の首席客演指揮者を務めています。齊藤の指揮を聴くのは、Osaka Shion Wind Orchestra第138回定期演奏会以来です。
チケットは 「がんばれ!Shion応援団」レギュラー応援団限定先行発売で、Shionオンラインチケットで5%割引で購入しました。チケットはセブンイレブンで発券しました(発券手数料は127円)。また、CURTAIN CALLによってライブ配信されました(視聴料金は3,000円)。ShionのX(@OsakaShion)によると、リハーサルは6月25日からスタートしました。
近畿地方は6月27日に梅雨明けしました。平年より22日も早くて、史上最速です。梅雨入りしてからほとんど雨が降らなかったのに、あっというまに夏が来ました。
ロビーでは、今年1月に亡くなった汐澤安彦と最後に共演した「だったん人の踊り」(2022.1.22 第140回定期演奏会ライブ録音)のCDが発売されました。プログラムと一緒に配られた「シオンタイムズNo.76」には、齊藤一郎のインタビュー記事が掲載されています。「これまでの指揮活動で思い出に残っていることは?」のエピソードがおもしろい。お客さんは5割程度。C席は完売しましたが、客入りが少しさみしい。オーボエのGでチューニング。齊藤は背が高い。全曲指揮棒なしで指揮しました。
プログラム1曲目は、スペイン狂詩曲(編曲:森田一浩)。第1曲「夜への前奏曲」の冒頭は、原曲のヴァイオリンのパートを、E♭クラリネットが担当しましたが、高音を弱奏で演奏するのが大変のようです。ソロの精度がやや低くて残念。第4曲「祭」はやや速めのテンポ。トゥッティはハキハキと演奏。雛壇の最後列は、打楽器×8、ハープ×2、チェレスタでしたが、打楽器が強力でカスタネットとマリンバがよく聴こえました。齊藤は振りが大きくて踊るような指揮。指揮台の上でジャンプもありました。
プログラム2曲目は、バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲(編曲:佐藤正人)。同じ佐藤正人の編曲を祝100周年! オオサカ・シオン・ウインド・オーケストラ特別演奏会「カルミナ・ブラーナ」で大植英次の指揮で聴きました。第1曲「夜明け」は、練習番号161からトランペットが付点四分音符+八分音符(ターラターラ)の動機(原曲では合唱が歌うメロディー)を演奏するのがおもしろい。練習番号162からはっきり浮かび上がらせました。まぶしい太陽のイメージがありました。2曲目「無言劇」は鉄琴(グロッケンシュピール)を聴かせました。練習番号189からはもっと長いフレーズ感で歌ってほしい。第3曲「全員の踊り」は、前述の大植の演奏よりも躍動的で、齊藤はジャンプして盛り上げましたが、木管楽器はもっと頑張ってほしい。練習番号218からあまり音量を落とさずにかなり盛り上げました。カーテンコールで齊藤は「無言劇」のフルートソロと握手して、2回も立たせました。
休憩後のプログラム3曲目は、管弦楽のための舞踏詩「ラ・ヴァルス」(編曲:西村友)。Osaka Shion Wind Orchestra第135回定期演奏会で西村の指揮で聴きました。打楽器×8にハープ×2とピアノが加わる編成。齊藤はインテンポで進めて、ワルツの間でもテンポを溜めずに進みます。ねっとりしたワルツではなく、すっきり聴きやすく、齊藤の音楽性に合っています。練習番号66の前で長めのパウゼ。齊藤は野球の投球フォームのような独特の指揮。後半は右腕を大きく回転しました。
プログラム4曲目は、古風なメヌエット(編曲:青山るり)。メンバーが減りましたが、原曲はピアノ曲で、ラヴェルによる管弦楽版もあります。バロック風でいいサウンドです。
プログラム5曲目は、ボレロ(編曲:大橋晃一)。東京佼成ウインドオーケストラが委嘱した編曲です。スネア2台を雛壇の前(木管楽器の後ろ、金管楽器の前)に移動して、横に2台並べました。ハープ×1、チェレスタ×1が加わる編成で、やや速めのテンポ。冒頭のヴィオラとチェロのピツィカートのリズム音型は、サクソフォンとバスクラリネットがスタッカートで演奏。その後はクラリネットに受け継がれますが、パート間の引き継ぎやソロのメロディーの歌い方があまり均一ではありません。149小節からのピッコロ2本の不協和音は、不協和音のメロディーの方を強めにしておもしろい。原曲ではヴァイオリンがメロディーを担当する221小節からも、このアレンジでは滑らかに響きます。239小節から鉄琴と木琴の3人が派手に入って、華やかにメロディーを彩ります。鍵盤楽器が活躍できていいアレンジです。291小節からスネアが2台になって、アッチェレランド気味にテンポアップ。
アンコールは、ラヴェル作曲(鈴木英史編曲)/「マ・メール・ロワ」より妖精の園。先週に京都市交響楽団第701回定期演奏会で聴いたばかりで、リハーサルで見せた沖澤のどかの綿密さに比べると、音符の扱いが軽い印象を受けました。最後に一度も出番がなかったチャイムがついに使われました。心憎い。15:50に終演。
齊藤一郎は、拍感を意識した大変躍動感があるダイナミックな指揮で飽きません。また来てほしいです。Osaka Shion Wind Orchestraはどうしても京都市交響楽団と比較してしまいがちになりますが、ソロが安定するとよいでしょう。次回は第163回定期演奏会(2025.11.22)のR.シュトラウス「アルプス交響曲」他を聴きに行く予定です。なお、本公演後に、打楽器奏者として沓野勢津子が6月28日付で入団したことが発表されました。第159回定期演奏会や本公演に客演奏者で鍵盤楽器を演奏されていましたが、確かなマレットさばきが目を引きました。入団おめでとうございます。
なお、翌日の京都市交響楽団大阪特別公演も同じザ・シンフォニーホールで開催されるので、自宅と往復せずに、たまには十三のホテルに1泊することにしました。