はじめに尼崎市長の松本眞(しん)が挨拶。ヤンマー株式会社と山岡記念財団の紹介と、姉妹都市アウクスブルクとの連携について話しました。司会は堀江政生(朝日放送テレビアナウンサー)。支援参加の大阪フィルハーモニー交響楽団メンバー他(12名)を起立させて紹介。オーケストラにはないサックスとユーフォニアムは相愛大学講師を務める奏者が担当しました。
演奏曲は、主催の山岡記念財団が日本とドイツの文化交流の思いを継承するために設立されたこともあり、大植が指揮した第6回まではドイツ音楽が演奏されましたが、今回はイタリアの作曲家レスピーギが取り上げられました。
第1部は、尼崎市立園田中学校吹奏楽部と尼崎市立塚口中学校吹奏楽部の中学校2校が出演。尼崎市立園田中学校吹奏楽部は53名で、今年度の兵庫県吹奏楽コンクール東阪神地区大会(中学校Aの部)で金賞を受賞しました。園田中学校は初出演で、これで尼崎市内中学校のすべての吹奏楽部が、このレッスンコンサートに出演したとのこと。評価されるべきすごい偉業です。尼崎市立塚口中学校吹奏楽部は54名で、今年度の兵庫県吹奏楽コンクール(中学生A部門)で銀賞を受賞しました。クレジットされていませんが、尼崎市立尼崎双星高等学校吹奏楽部の部員も少人数参加しました。大編成です。
演奏曲は、
シェルツァー作曲/バイエルン分列行進曲(編曲者は不明)。最初に顧問の指揮で演奏。尼崎市立塚口中学校吹奏楽部顧問の遊喜秦弘が指揮。ホワンとした演奏で、メロディーが聴こえません。スネア(2台ある?)が強い。
前回のフチーク「フローレンス行進曲」より演奏がやさしい曲が選ばれましたね。
続いて寺岡清高が登場。メガネをかけています。口元のマイクで話しました。「なるべく早く仲良くなりたい」と抱負を話すと、堀江から「作戦は?」と聞かれましたが、「ノープラン」と答えました。堀江が「今14:20だが、15:00までに終了してください」と、指揮台の前に大きなアナログ時計が置かれました。
レッスンがスタート。寺岡は「さっそくやってみましょう」と言って指揮。指揮者が代わるだけで聴きやすくなりました。「1、2というテンポ感に呼吸を合わせる。楽器を構えるのもテンポ」「シンバルに休符をカウントする。1小節と2小節の長い音符は強く、3小節と4小節の弱い音符は短くしてフレーズを作る」と説明。寺岡の口調は「~かな」「~してくれる」と優しい話し方です。やや早口ですが、ときどき生徒に質問しながら練習を進めました。生徒からの反応が無言のときは、少し困った様子も見せました。「8小節の3つ目の八分音符は強くならない」と話して、リズム型の楽器を取り出して練習した後、全員で演奏。次はメロディー。「ターン(turn)の入れ方がバラバラ。ミファミレミラの最後ラの音が大事で一番強くなるように。伴奏の人はメロディーをキャッチする」。また、∧と>のアクセント記号の違いについて説明。「山型アクセントは帽子をかぶせるようなイメージで。>のアクセントは少しディミヌエンドしてもかまわない」。
「Aから白い音符がある人演奏してほしい」と言ってから、パート名を指示。演奏して欲しいパートを明確に伝えて分奏するので、生徒にも分かりやすい。楽譜の構造を説明して「自分の音を聴く。周りの音も聴く」と話しました。まだ伴奏の音量が大きいですが、あまり音量調整はしませんでした。反復記号があるので、「繰り返しはどういう気分?」と質問。寺岡は「ごはんのおかわり。もう1回聴きたいからが基本で、2回目のほうが少しがんばる。2回目でバテてたら繰り返しがないほうがいいと思われる」と分かりやすく説明。26小節からのTrioへ。ここでもグループ別に練習。「少しキャラクターを変えてくれる?」「スネアは柔らかい音に変えられる?」となかなか高度なリクエスト。
30小節のメロディーは「最初の3つの音符が半音で進行するのは、テンションが高いということ。クレシェンドする」と、音楽理論をもとに説明します。「アウフタクトのアウフは、上向きの意味なので、スピードを上げる」と応用できそうな奏法のヒントをたくさん話しました。中学生には難しい内容ですが、ハイレベルだと思わせません。32小節からトランペットは「2つのパートに別れて人数が減るので聴こえないので、少し音量を大きくして補強する」とリクエスト。「スネアはもっとやさしい音で音色が大事」「バスドラのソロは「目立ちなさい」という指示」「「1のメロディーのテナーサックスが聴こえない」「最後(60小節)の音符は(間隔が)開いちゃう。3つ同じでいい」「60小節はディミヌエンド。打楽器は音が一番大きいから一番えらい」と説明。「本番までに楽譜を見て復習しておいてください」と話して、時間通りに練習が終了。堀江は「いつもはオーバーすることが多い」と驚きの表情でした。堀江が生徒に何を学んだのかインタビュー。「いつもと別の教え方だった」などと答えました。
本番の演奏は、メロディー以外の音量を落とすようにあまり言わなかったので、メロディーがあまり聴こえませんでした。Trioの木管楽器のメロディーは厚みが出てよくなりました。
休憩後の第2部は、尼崎市立尼崎双星高等学校吹奏楽部が出演。今年度の関西吹奏楽コンクールでは4年連続の金賞を受賞しました。この公開レッスンコンサートには、第2回、
第3回、第4回、
第5回、第6回(支援参加)、
第7回に出演していて常連です。部員は114名いますが、第1部のメンバーと入れ替わったようで、第1部よりもステージの人数は減りました。指揮台を客席よりも遠くに移動。チェレスタ、ピアノ、ハープ、コントラバスクラリネットなど、本格的な楽器編成です。B♭でチューニングして、スケールの練習。
演奏曲は、レスピーギ作曲(加養浩幸編)/バレエ音楽「シバの女王ベルキス」より第1曲「ソロモンの夢」、第4曲「狂宴の踊り」(プログラムには「ベルギス」と記載されているが誤り)。「尼崎市立尼崎双星高等学校吹奏楽部を支援する会」のYouTubeチャンネル(@sosei-suibu-amagasaki)で、「ジョイントコンサート2024」(2024.3.25 あましんアルカイックホール)で演奏した動画が視聴できます(ただし、約8分にカットした演奏です)。今回は第1曲も第4曲もカットせずに演奏しました。
まず顧問の宮嵜三千男が指揮。第1曲「ソロモンの夢」冒頭のフルートとクラリネットの怪しげなハーモニーがうまい。14小節からのソロは、前列右端のイングリッシュホルン(コールアングレ)が担当(原曲通り)。32小節からはやや速めのテンポ。70小節からの原曲のチェロのソロは、イングリッシュホルンが担当。続きの87小節からのソロはオーボエ(原曲通り)。第4曲「狂宴の踊り」は、104小節からのトランペットソロは、第1トランペット奏者が移動して、上手舞台裏から演奏。扉を開けたままにして、指揮が見えるようにしていました。
続いて、寺岡のレッスン。堀江が「45分くらいで」とリクエストして退場。第1曲「ソロモンの夢」は、無駄な音が減って、より静謐な雰囲気に。寺岡は「最初のクラリネットは、アウフタクトに聴こえてしまうので、2拍目を長く」と繰り返し練習。「5小節は異国情緒を出す。13小節は短調を味わってから、3拍目で長調に変わる」と音符単位で細かな指示。「ソロはすばらしいですね」と賞賛。「コールアングレは、4拍子の4拍目、3拍子の3拍目は器が大きくたっぷり。もう少しそこにいて大丈夫」。「32小節からのSolenneはどういう意味?。ちょっとだけ軽く急いで聴こえる」と質問。生徒が「荘厳に」と答えると、「人物的にはラスボス。すごくえらい人が出てくる」とイメージを共有。四分音符のパートだけ取り出して練習すると、整理されたサウンドになりました。「メロディーは33小節の4拍目から34小節の1拍目に突っ込まない。人間の耳は不思議でアウフタクトに聴こえる」と説明。37小節は「トランペットはf(フォルテひとつ)なので楽に吹いて、40小節のアクセントを強調する」。47小節から「ホルンがあまり聴こえないので、カノンに聴こえない。48小節の1拍目の付点八分音符にフレーズの重心がくるように演奏できる?」と指示。寺岡は次々と交通整理していくのがうまい。「62小節のスタッカートは短くしすぎる。60小節のエコーみたいな感じで」。70小節からのハープは「ここは目立とう。もったいつけて全部前出しで」と拍に入る前に演奏を指示。87小節のクラリネットは「あったかい音で吹けるかな?」。93小節は「バランスが悪い。フルートとバスクラリネット以外が大きい」。107小節のバスクラリネットのソロは「お客さんはミュートトランペットに目がいっているので、「次はこっち見て」の要素が必要」。
第4曲「狂宴の踊り」は「15小節から付点四分音符のあとの八分音符が弱くなるので、誰かが補強する」「53小節からの裏(2拍目と4拍目)を演奏するパートが聴こえない」。その後はそのまま通して、「最後(237小節)にトランペットにクレシェンド入れられる?」と話して終了。
堀江が登場して生徒にインタビュー。ハープを演奏していたのは男子生徒でした。ハープをやりたかったとのこと。テューバにしては珍しく連符が出てくるとのこと。
本番の演奏は、よく聴き合えているのかすっきりした音響。寺岡の指示にすぐに対応できて、メンバーの能力が高い。取り出して練習しなかったところも自然に改善されて、第4曲「狂宴の踊り」203小節からのトランペットとトロンボーンのファンファーレも聴きやすくなりました。寺岡は「反応してくれるので時間が足りなかった。朝から聴いていたが、日頃の練習の積み重ね」と話しました。
顧問の先生方が登場。尼崎市立園田中学校の坂上敦司、尼崎市立塚口中学校の遊喜秦弘、尼崎市立尼崎双星高等学校の宮嵜三千男と寺岡の4人に花束が贈呈されました。宮嵜は「明日ここで定期演奏会がある。素材は同じなのに、回転寿司と寿司くらいプロの方は違う。コンクールは時間制限があるので、ゆっくりやりたくても焦ってしまう」と感想を話しました。
最後にアンコール。このメンバーで、シェルツァー作曲/バイエルン分列行進曲を演奏。低音がよく響いて、余裕が感じられました。最後に堀江から「来年は6月15日(日)に開催する」と案内されました。開催時期が11月から6月に変わります。17:00に終演。
寺岡清高は同じ行進曲でも大植英次や北原幸男と指導法が違って興味深かったです。本番だけでは分からない指揮者のキャラクターが分かっておもしろい企画です。寺岡は音量を落とすようにはあまり言いませんでした。生徒への指示が聞き取りやすく、練習の進め方が上手い。この部分を練習している意図や、今何をしているかと説明して、他のパートも無関係ではないことを示唆していました。