第17回京都市ジュニアオーケストラコンサート


  
   
2022年1月30日(日)14:00開演
京都コンサートホール大ホール

広上淳一指揮/京都市交響楽団

サン=サーンス/歌劇「サムソンとデリラ」から「バッカナール」
チャイコフスキー/幻想序曲「ロメオとジュリエット」
ラフマニノフ/交響曲第2番

座席:全席指定 3階C3列26番



京都市ジュニアオーケストラコンサートに行きました。年に1回開催される定期演奏会の位置づけで、今年で17回目。聴きに行くのは、2010年の第5回京都市ジュニアオーケストラコンサート以来12年ぶりでした。指揮は、2008年度からスーパーヴァイザーを務める広上淳一(京都市交響楽団第13代常任指揮者兼芸術顧問、京都コンサートホール館長)。
コロナ禍の影響を受けてか、今回から全席自由ではなく、全席指定(1,000円)でした。

1月27日に京都府にまん延防止等重点措置が発令されましたが、京都コンサートホールは、大声での歓声等が想定される公演でなければ、これまで通り定員以内での利用が可能でした。クロークも営業していました。客の入りは5割程度。なお、この日の京都府の感染者数は先週よりも約1000人増の2548人で、前日に次いで過去2番目の多さでした。また、日本全国では7万人を超え、感染拡大に歯止めがかかりません。

プログラムに掲載された出演者によると、今回の出演者は109名。12歳から23歳で構成されています。ハープ単独で奏者が二人もいます。京都市交響楽団のメンバーのエキストラでの出演はありません。弦楽器はほとんど全員が3曲とも出演します。管楽器は人数が多いからか、1〜2曲の出演でした。上が白で、下が黒の衣装。弦楽器と打楽器はマスクを着けていました。

プログラム1曲目は、サン=サーンス/歌劇「サムソンとデリラ」から「バッカナール」。弦楽器のレベルが高く、音程や表現力もすばらしい。ティンパニの乱打に導かれて、後半のうねりも見事。広上はメガネをかけて指揮。

プログラム2曲目は、チャイコフスキー/幻想序曲「ロメオとジュリエット」。フルートの和音がきれいにハモって、強奏では京都市交響楽団よりもよく鳴ります。中盤は速いテンポですが、細かな音符もよくそろっています。広上の指揮にうまく乗せられて演奏しました。

休憩後のプログラム3曲目は、ラフマニノフ作曲/交響曲第2番立命館大学交響楽団第126回定期演奏会で聴きました。流麗なフレージングと洗練された音色で、若さあふれる堂々たる演奏。立命館大学交響楽団よりも上かもしれません。特に弦楽器の完成度が高い。ちゃんとパートしてよくまとまって響きます。京都市ジュニアオーケストラの歴史に残る名演で、CD化してもいいレベルです。8月の京都市ジュニアオーケストラ ミュージック・サマー・コンサート@京都市呉竹文化センターよりもレベルアップしました。広上はメンバーの積極性を重視したいためか、弱奏でも音量を落としません。第3楽章はやや速めで、弦楽器はたっぷり歌います。第4楽章も速めのテンポ 。広上の指揮は絶好調で、華麗にジャンプ。

広上淳一がマイクであいさつ。「大人でも大変なプログラムだったが、こういう言い方は本当に好きではないが日本一。世界的に見てもAクラス」と絶賛。「大人が顔負けの音楽性で、音楽以外にもいろんな勉強をしている人が集まっている。京都にあるのが誇らしく思う」と話しました。
広上に呼ばれて、「かわいい3人」が登場。合奏指導を務めた大谷麻由美、岡本陸、小林雄大が、それぞれ自己紹介とコメント。大谷は、「京都市立芸術大学に30歳で入学して、下野竜也の指導を受けた」とのこと。京都市交響楽団創立60周年記念特別演奏会で、ジョン・ケージ「5つのオーケストラのための30の小品」を指揮しました。岡本陸は、なんと京都市ジュニアオーケストラでヴァイオリン(コンサートマスター)を担当し、広上の指揮で演奏したことがきっかけで東京音楽大学に入学して、今年3月に卒業したとのこと。洛星高校出身のようで、「佐渡裕とスーパーキッズオーケストラ」副指揮者を務めています。「自発的で自分たちでもっと音楽をよくしたいという気持ちがある」と話しました。小林雄大は、岡本と同級生。「吸収力が早く、いろんなことにトライする純粋な気持ちがある。ひとつのものを作り上げるエネルギーが高い」と話しました。

アンコールは、ドリーブ作曲/「コッペリア」から「前奏曲とマズルカ」を演奏。ラフマニノフが降り番だったメンバーも立奏で演奏し、合奏指揮の3人が、岡本、小林、大谷の順でリレーで指揮。広上はヴァイオリンの後方でピアニカを吹きました。演奏後に全員で一礼。16:30に終演しました。

期待以上に完成度が高い演奏が聴けました。この中から京都市交響楽団に入団する人が育ってほしいです。次回の第18回は、中田延亮が指揮します。

広上淳一は、3月で京都市交響楽団第13代常任指揮者兼芸術顧問を退任します。京都コンサートホール館長は継続しますが、京都市ジュニアオーケストラコンサートのスーパーヴァイザーを継続するかどうかはまだ不明です。なお、広上淳一は、4月からオーケストラ・アンサンブル金沢のアドバイザーに就任し、9月からはアーティスティック・リーダーに就任することが1月に発表されました。

(2022.2.20記)

京都市交響楽団第663回定期演奏会 第5回京都市立芸術大学サクソフォン専攻生によるアンサンブルコンサート「Saxtation」