〔演奏会レポート〕立命館大学交響楽団第126回定期演奏会

２０２１年１２月１７日（金）18:00開演
京都コンサートホール大ホール
森田龍舞・阪哲朗指揮／立命館大学交響楽団

ムソルグスキー／交響詩「禿山の一夜」
チャイコフスキー／バレエ「眠れる森の美女」組曲
ラフマニノフ／交響曲第２番

座席：全席自由

1955年に創設されて、「地域に根差したオーケストラ、国内最高水準の学生オーケストラ」を活動理念にしています。本公演は、３回生の集大成で、休団していた４回生も出演します。プログラムの出演者の名前が記載されているのは、大学院生1名、４回生31名、３回生23名、２回生36名、１回生39名、他大学5名（同志社大学、京都教育大学、京都産業大学、京都ノートルダム女子大学）、OB3名、賛助1名の138名です。

立命館大学交響楽団は、５月に第125回定期演奏会（立命館いばらきフューチャープラザグランドホール）を開催しましたが、緊急事態宣言のため、無観客で立命館大学交響楽団公式YouTubeで無料ライブ配信されました。なお、９月には大学オーケストラでは珍しい第１回オペラ公演（滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール中ホール）を開催し、フンパーディンク／歌劇「ヘンゼルとグレーテル」を上演しました。意欲的な取り組みで注目していましたが、京都市交響楽団×石丸幹二音楽と詩（ことば）メンデルスゾーン：「夏の夜の夢」と同じ日だったので行けず…。

チケットは全席自由（前売1,000円）で、京都コンサートホールチケットで購入でき、当日にチケットが受け取りできました。ポディウム席には客入れはありませんでしたが、８割程度の入り。なお、立命館大学交響楽団のTwitterによると、集客人数は1,211人だったようです。第１回オペラ公演と同様に、LIVE配信（700円）も行なわれました。ライブ配信限定で、開演前や休憩中に阪や団員のインタビューが配信されたようですが、アーカイブは残されていないのでどんな内容かは分かりません。

オーケストラは対向配置で、ホルンはヴィオラの後ろ（テューバの右）に配置。弦楽器と打楽器の奏者は、マスクを着けていました。メンバーの座席表が入っていましたが、団員が多いため、１人１～２曲の出番のようです。

プログラム１曲目は、ムソルグスキー作曲／交響詩「禿山の一夜」。指揮は、学生指揮者の森田龍舞（りょうま）（３回生）。原典版ではなく、リムスキー＝コルサコフによる編曲版でした。速いテンポでしたが、アンサンブルの乱れはありませんが、弦楽器は人数が多い割には客席まで響きません。学生指揮は力のこもった指揮でしたが、指揮台をあちこち動くのが落ち着かない感じで残念。

プログラム２曲目は、チャイコフスキー作曲／バレエ「眠れる森の美女」組曲。メンバーが総入れ替えのようで、いったん全員が退場。阪哲朗が団員と一緒に入場しましたが、気づきませんでした。指揮台の上で入場してくるのを待ち、チューニングが終わると、全員起立させて一礼しました。阪は京都市出身で、2006年度から立命館大学交響楽団オーケストラアドヴァイザーに就任しています。山形交響楽団常任指揮者やびわ湖ホール芸術参与も務めています。マスクなしで指揮。

５曲です。前曲と共通して、大きな音量を要求しないので、こじんまりしていますが、弱奏は安定していて、なかなかの完成度でした。「１．序奏・リラの精」はリズミカル。「２．アダージョ、パ・ダクション」冒頭の長いハープソロは、客演ではなく打楽器奏者が演奏。「３．パ・ド・カラクテール」は、木管楽器のアンサンブルがなかなか聴かせます。「４．パノラマ」は３拍子が優雅。「５．ワルツ」が最も有名です。テンポが速くなってから、弦楽器がなめらかな響き。

休憩後のプログラム３曲目は、ラフマニノフ作曲／交響曲第２番。演奏会では初めて聴きました。意外に長く、作曲者による短縮版もあるのがうなづけます。やや単調だったので、もう少し表情の切り替えができるとよいでしょう。第３楽章は期待以上で、中盤の盛り上がりを聴かせました。第４楽章は第２主題が好きです。20:15に終演。アナウンスにしたがって、分散退場。

過去の定期演奏会では音程の悪さが耳につきましたが、今回は格段に向上しました。YouTubeで視聴した５月の定期演奏会よりもはるかにレベルアップしました。京都、滋賀、大阪の３つのキャンパスに分かれていますが、授業と両立させてよく頑張りました。オーケストラアドヴァイザーを務める阪哲朗の手腕も称賛されるべきでしょう。もう少し縦線が合えば、輪郭がはっきり聴こえるでしょうか。