第5回京都市立芸術大学サクソフォン専攻生によるアンサンブルコンサート「Saxtation」


  
   
2022年2月12日(土)18:30開演
コミ協ひがしなり区民センター大ホール

京都市立芸術大学サクソフォン専攻生
須川展也(ソプラノ・サクソフォン)、國末貞仁(アルト・サクソフォン)、新水美奈(ピアノ)

江原大介/インフィニティより第3楽章
ベッファ/花火
長生淳/パガニーニ・ロスト
ウェーバー(森田拓夢編)/オペラ座の怪人

座席:全席自由



今年も京都市立芸術大学サクソフォン専攻生によるアンサンブルコンサート「Saxtation(サクステーション)」に行きました。第2回第4回に続いて、聴きに行くのは3回目です。今年度のサクソフォン専攻生は8名。院2回1名、4回生2名、3回生1名、2回生2名、1回生2名で、男性が1名、女性が7名です。

会場は、今回はコミ協ひがしなり区民センター大ホールでした。第1回が京都コンサートホールアンサンブルホールムラタで、第2回〜第4回は京都府立府民ホールアルティで、今回は大阪での夜開催になったので行くかどうか迷いましたが、ご丁寧に封書で案内が届きました。チケットは今年はGoogleフォームで申し込んで、当日に受付で名前を言って、現金で1,500円を支払うと、チケットが渡されました。楽しみにしていた京都市立芸術大学第168回定期演奏会 大学院オペラ公演「修道女アンジェリカ/カヴァレリア・ルスティカーナ」は開催中止になってしまいましたが、無事に開催できてよかったです。大阪府にもまん延防止等重点措置が適用中で、この日の新規感染者数は6746人でした。

コミ協ひがしなり区民センター(大阪市立東成区民センター)には初めて行きました。大阪市東成区にあり、大阪メトロ千日前線の今里駅から徒歩3分で、大阪環状線(鶴橋)の外側に位置します。2011年に開館して、2021年度から5年間は、一般財団法人大阪市コミュニティ協会がネーミングライツパートナーとなって、「コミ協ひがしなり区民センター」の愛称が使用されています。8階には東成図書館もあります。ちなみに、東成区役所は別の場所にあります。

大ホールは2階にあり、定員は615名。京都府立府民ホールアルティ(560席)よりも収容人数は多いですが、ステージに近い平土間に置かれているスタッキングチェアは、本公演ではかなり間引いて置かれていました。階段式の座席(ロールバックチェア)は、1席ずつソーシャルディスタンスを呼びかける紙が貼られていました。ステージは、中編成のオーケストラが乗れるほど広い。客の入りは120名程度でしょうか。

プログラム1曲目は、江原大介作曲/インフィニティより第3楽章。8名全員で演奏。黒の衣装で、左からソプラノ、アルト、テナー、バリトン2、テナー、アルト、ソプラノの左右対称の配置。2012年にサクソフォン八重奏のために作曲されました。冒頭からスピード感がよくて、聴かせどころが多い。オープニングにふさわしい作品です。中間部(Grave)のユニゾンは、伊福部昭のような独特の音階が聴けます。

司会は4回生が担当して、プログラム2曲目は、ベッファ作曲/花火。カロル・ベッファは、フランスの作曲家でピアニスト。4つの楽章からなり、もともとはクラリネットカルテットのために作曲されて、サクソフォン四重奏のために編曲されましたが、いたってサックス向きの作品と言えます。左から、ソプラノ、テナー、バリトン、アルトの順で演奏。 ピアニストが作曲したせいか、やたら音符が細かく、長い音符がほとんどありません。また、ほとんど休符がなくずっと演奏しています。第4楽章まで同じ調子なので、タンギングが大変でしょう。演奏は難しそうでしたが、聴いているほうはあまり面白くなく、花火らしい曲にも聴こえませんでした。

プログラム3曲目は、長生淳作曲/パガニーニ・ロスト。休憩後に出演する須川展也の委嘱により2008年に作曲されました、吹奏楽編曲版の「パガニーニ・ロスト イン・ウィンド」のほうが有名ですが、今回はアルト・サクソフォン2本とピアノによる演奏。ピアノは京都市立芸術大学音楽学部ピアノ専攻4年生の新水(しんすい)美奈が演奏。ピアノの前で、アルトサックス二人が立って演奏。3人とも4回生です。
アルト・サクソフォンの二人の音色がよく揃っていて、きれいにハモります。テンポが速い部分は超難曲ですね。ピアノがもっと聴こえてほしいですが、ステージが広いせいかあまり客席まで響かなくて残念。

休憩後のプログラム4曲目は、ウェーバー作曲(森田拓夢編曲)/オペラ座の怪人。4回生の吉田春乃が、須川展也(京都市立芸術大学客員教授)と國末貞仁(京都市立芸術大学非常勤講師)にインタビュー。國末は「NHKの「プロフェッショナル」で、伝統とは革新の連続と言っていた。今回は初めての大阪公演で、初めてピアノが出演している。その年のカラーは、四年生のカラーが出る」と語りました。國末が「初めて来た人」と「5回とも来た人」に挙手を求めましたが、どちらもそれなりに手が挙がりました。須川展也は、お客さんと対面で共有できる喜びについて語りました。須川がSaxtationに出演するのは第1回以来で、演奏を聴くのはトルヴェールの「惑星」以来でした。
ソプラノ・サクソフォンに須川展也と、アルト・サクソフォンに國末貞仁が加わって、サクソフォン10名とピアノによる演奏。左から、ソプラノ3、アルト3、バリトン2、テナー2で、後方にピアノです。女性は赤系のドレスに着替えて登場。編曲を担当した森田拓夢は、京都市立芸術大学大学院作曲専攻の修士1回生。第4回のレスピーギ「シバの女王ベルキス」の見事な編曲が印象に残っています。今回はミュージカルの挿入曲から5曲を抜粋しましたが、「ベルキス」よりも声部が複雑ではなく、むしろシンプルにできているため、わざわざ10名で演奏しなくてもよかったような気がします。須川展也のソプラノ・サクソフォンが絶品で、響き方が違います。ピアノは存在感が薄くて残念。私も高校時代にマーチングで演奏したことがあるので、懐かしく聴きました。
第1曲「Overture」は、あまりにも有名な曲。トゥッティでも須川の芯のある音色が際立ちます。第2曲「Think of Me」に続いて、第3曲「The Music of The Night」はメロディーをソロでリレー。第4曲「The Phantom of The Opera」は第1曲の続き。第5曲「All I Ask of You」で締めくくりました。編曲者の森田拓夢が座席で起立。

アンコールは、和泉宏隆作曲(小前奏人編)/宝島。昨年と同じで、今年は打楽器がありませんが、もともとの編曲はサクソフォンのみのようです。全員で立って演奏。須川はこの曲ではアルト・サクソフォンを演奏しました。20:10に終演しました。

Saxtation初めての大阪公演でしたが、今回のホールはサクソフォンアンサンブルにしては広すぎました。今後のホールは要検討ですね。京都府立府民ホールアルティは客席との一体感が感じられてよかったですが、次回はどうなるでしょうか。

コミ協ひがしなり区民センター コミ協ひがしなり区民センター 東成区民センターの愛称

(2022.2.27記)


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