京都市立芸術大学音楽学部第136回定期演奏会「更なる復活」


   
      
2010年12月5日(日)14:00開演
京都コンサートホール大ホール

広上淳一指揮/京都市立芸術大学音楽学部管弦楽団
上野洋子(ソプラノ)、馬場菜穂子(アルト)
京都市立芸術大学音楽学部合唱団

マーラー/交響曲第2番「復活」

座席:全席自由


広上淳一が京都市立芸術大学音楽学部第136回定期演奏会に客演しました。京都市立芸術大学創立130周年記念事業の一環で、京都市交響楽団常任指揮者を務める広上が特別に呼ばれたということでしょうか。広上淳一は東京音楽大学教授を務めているので、他大学のオーケストラを指揮するというのも珍しい試みです。
演奏曲はマーラー「復活」。広上淳一が大曲を取り上げるのが珍しい。京都市交響楽団定期演奏会のプログラムはいつも2〜3曲で構成されていて、1曲だけということはありません。また、常任指揮者に就任して以降は、京都市交響楽団ではマーラーは指揮していません。どういう演奏を聴かせるのか注目でした。
座席は全席自由。3階席Cブロックに座りました。客の入りは8割程度。

オーケストラ団員が徐々に登場してステージで音出し。ステージを埋め尽くすほどの大編成です。男女比では女性のほうが圧倒的に多い。プログラムに掲載されたメンバーを見ると、京都市立芸術大学音楽学部生の他に、卒業生、京都市立京都堀川音楽高等学校、教員が加わっていました。京都市交響楽団員が指導教員として出演しました。続いて、合唱団がポディウム席に着席。向かって左からソプラノ、テノール、バス、アルトの順。合唱団もソプラノの人数が多い。京都市立芸術大学音楽学部生に加えて、卒業生、市民有志で構成されていました。

広上が登場して開演。スコアをめくりながら指揮します。京都市交響楽団を指揮するときには見られないような激しいアクションで、跳んだり跳ねたりがすごい。ジャンプもタイミングよく着地しました。両手を広げて後ろにのけぞるような動きもありました。広上淳一の指揮を十分に堪能できました。うなり声もよく聴こえました。
オーケストラは予想以上に好演。ちゃんとマーラーの響きがしました。打楽器が派手に鳴り、最後列のトロンボーンがかなり強力。手に汗握る熱演でした。ぞくっとする瞬間が何回かありました。音程の正確さや音色の繊細さはプロのオーケストラには劣りましたが、京都市立芸術大学の歴史に刻まれる名演と言えるでしょう。
第1楽章冒頭の低弦はシャープで彫りが深い。第2楽章は冒頭の弦楽器がうまい。広上も踊るような指揮。第3楽章の前で、独唱者2名が入場。指揮台の前のイスに座りました。ソプラノの上野洋子は京都市立芸術大学音楽学部専任講師、アルトの馬場菜穂子は、京都市立芸術大学音楽研究科修士課程2回生。広上淳一とは京都市交響楽団スプリング・コンサートで共演しています。第3楽章はやや速めのテンポで、ついていくのがちょっと大変そう。休みなしに第4楽章へ。馬場の独唱はもう少しヴィヴラートを効かせて欲しいです。休みなしに第5楽章へ。舞台裏で演奏する楽器は、下手の舞台袖に配置。舞台裏とステージで大きくテンポがずれることがありました。音色も硬直していて残念。合唱団はよくまとまっていました。合唱の部分は広上淳一は指揮棒なしで指揮しました。ラストは目頭が熱くなりました。
演奏終了後はカーテンコールが行なわれましたが、広上は挨拶しませんでした。他大学の教員なので、話しにくかったのでしょうか。

今回の演奏を聴いた限りでは、広上淳一はマーラーが苦手だとか、マーラーの作品に共感を持っていないというわけではないようです。ぜひ京都市交響楽団の演奏会でも取り上げていただきたいと思います。

(2010.12.7記)


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