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2009年11月21日(土)13:30開演 京都コンサートホール大ホール 山下一史指揮/京都市交響楽団 メンデルスゾーン/交響曲第3番「スコットランド」 座席:全席自由 |
毎月1回行なわれている京都市交響楽団練習風景公開ですが、今回は京響友の会会員および京都コンサートホール会員限定の練習見学会です。「京都の秋音楽祭 クロージング・コンサート」となった「ミュージック・フリー」の前日練習を、京都コンサートホール大ホールで見学しました。去年も京都市交響楽団練習風景見学として、井上道義が指揮する京都市交響楽団の「ミュージック・フリー」の練習を見学しています。今年も企画していただけてうれしいです。9月の京都市交響楽団練習風景公開と一緒にファックスで申し込んだところ、定員50名でしたが、めでたく参加票のハガキが届きました。
今年の指揮者は、山下一史。京都市交響楽団は16:40からの「? 夏の夜の夢」(劇音楽「夏の夜の夢」抜粋)と、17:20からの「? フィナーレ」(交響曲第3番「スコットランド」)に出演します。いずれもメンデルスゾーン・プログラムでした。
13:00開場でしたが、練習スケジュールが押しているのか、しばらくロビーで待たされました。13:20頃にスタッフの先導でホール内へ。1階の通路より前の席で聴くことができました。オーケストラは私服で音出し中でした。13:30になって音が鳴り止んで事務局から事務連絡。今日の練習の1コマ目は公開練習であることがアナウンスされ、団員から拍手。コンサートマスターの泉原隆志が立ち上がってチューニング。山下一史がスコアを持って指揮台に上がりました。山下は黒い長袖カッターシャツに吊りバンドをしていました。
「おはようございます」と挨拶した後、すぐに指揮棒を構えて第1楽章から練習開始。山下は右手で拍を丁寧に振ります。足腰も使って、強奏では髪を振り乱すなどパワフルな指揮。この作品は全4楽章がattaccaで休みなく演奏されますが、第1楽章と第2楽章を続けて演奏。第2楽章まで通すと、指揮棒を止めて、指揮台の後ろの柵にかけていた白いタオルで汗を拭きました。タオルを持参しているとは汗かきなのでしょうか。この間一言も話さなかったので、京都市交響楽団練習風景公開での秋山和慶のようにほぼ通し演奏だけで、演奏に満足しているのかと思いきや、第1楽章冒頭に戻って細かく練習しました。山下の指揮は、京都大学交響楽団第180回定期演奏会「創立90周年記念特別公演」で聴いていますが、本番の演奏で感じたよりも、練習は予想以上に指示が細かい。音符単位で楽譜の意味や意図を説明するところは、広上淳一の練習(京都市交響楽団練習風景公開)によく似ています。ただし、京都市交響楽団練習場よりも指揮者の声が客席に聴こえにくいので詳しく聴き取れませんでした。残念。余談ですが、山下は練習記号のAは「アー」、Eは「イングランド」、Lは「ロンドン」、Mは「モーツァルト」と話しました。
京都市交響楽団の演奏は、最初は弦楽器のボリュームがもっと欲しいとか、管楽器がもっと聴こえて欲しいとか感じましたが、2回目は格段に充実した演奏を聴かせました。練習が進むうちにだんだんエンジンがかかりました。
第1楽章17小節からヴァイオリンだけ取り出してメロディーの歌い方をあわせました。山下も歌いながら指揮。「ppは控えめすぎ。ちょっとした違いなんだけど」と話しつつも、何回か繰り返しました。いじりだすと止まらないようです。コンサートマスターの泉原からも質問が出されました。「(パート譜に)鉛筆でfpが書いてあるようですがその通りやらない」と自己流の解釈を目指すようです。演奏に満足すると「大変結構です」と話しました。「練習記号Fの前のティンパニは入ってきたことが分かるように」。練習記号Gは「piu f」と話し、前に進み具合を確認。練習記号Hのヴァイオリンには「音にならないクレシェンドがある」。ヴァイオリンのK2小節の2拍目にアクセント、L8小節の1拍目にsfを追加。これは「1.の前には書かれているが、この部分はスコアに抜け落ちているとのこと。確認したところ山下が言う通りでした。スコアをよく研究しています。OからのAssai animato.は「金管楽器は入ってきたら消えて」。
第2楽章は、ソロクラリネットの演奏に満足して、指揮棒で指揮台をたたいて拍手。練習記号D9小節からのフルートは「もう少し控えめに」、H6小節前からのクラリネットとファゴットには「遠くに飛ばす感じで」など、再度演奏することはないものの、次々と指示が飛びました。
続けて第3楽章を通して、勢いよく第4楽章に入ったところで、「休憩しましょう」と話し、客席に「どうもありがとうございました」と挨拶しました。14:30に休憩に入りました。休憩後は第3楽章から練習が再開するのでしょう。ホールから出るとき、クロークでは明日のためにビラを並べてスタッフ数人でセットする作業をされていました。機械ではなく、手作業でされているんですね。
交響曲第3番「スコットランド」は、交響曲第4番「イタリア」と比べると、メロディーが親しみにくいです。1回聴いただけではなじみにくいですが、練習では繰り返し聴けるのがいいですね。聴けば聴くほど味が出る作品だと感じました。
(2009.11.23記)