京都大学交響楽団第180回定期演奏会「創立90周年記念特別公演」


   
      
2007年1月17日(水)19:00開演
京都コンサートホール大ホール

山下一史指揮/京都大学交響楽団

ワーグナー/楽劇「ニュルンベルクのマイスタジンガー」第1幕への前奏曲
フォーレ/組曲「ペレアスとメリザンド」
R.シュトラウス/アルプス交響曲

座席:S席 1階 20列15番


京都大学交響楽団が創立90周年を迎えました。1年に2回定期演奏会を欠かさず開催し、今回で180回を迎えました。記念すべき第180回定期演奏会は、「創立90周年記念特別公演」と題して、いつもの大阪公演(ザ・シンフォニーホール)と京都公演に加えて、東京公演(サントリーホール)を行ないました。
客演指揮は、山下一史。仙台フィルハーモニー管弦楽団の指揮者を務めています。京都大学交響楽団への客演は、今回で6回目とのこと。

チケットは、S席が前売で完売しました。座席は当日座席指定。ホールの1階入口で、座席券に交換します。いつもよりホールに着いたのが遅かったのですが、1階席の真ん中のとてもいい席でした。客席は約9割の入り。平日公演なのに、今回もたくさん入りました。

プログラム1曲目は、ワーグナー作曲/楽劇「ニュルンベルクのマイスタジンガー」第1幕への前奏曲。意外にも大編成での演奏でした。指揮の山下一史が登場。小柄でした。演奏は、周りの音が聴けていないようで、ごちゃごちゃしていました。全体の中で自分の楽器の役割をもう少し意識したほうがいいでしょう。音程ももっと定まればいいですね。

プログラム2曲目は、フォーレ作曲/組曲「ペレアスとメリザンド」。中編成での演奏。美しい音でバランスもいい。弱奏でも安定した演奏で、表情も豊かでした。気持ちよくなって、ついうとうとしてしまいました。

休憩後のプログラム3曲目は、R.シュトラウス作曲/アルプス交響曲。大編成での演奏。この曲を生演奏で聴くのは初めてでしたが、一気に聴けました。
音程と和音が正確に決まっていて、響きの純度がとても高い。また、表情が濃く、強奏での一体感がすばらしい。冒頭の「夜」から透明感のある響き。次第に盛り上がって「日の出」の強奏の鳴りがすばらしい。目頭が熱くなりました。ダイナミクスの幅も広い。最後まで集中力が切れずに演奏しました。惜しまれるのは、トランペットが高音で音を外すこと。もう少し精度を上げて欲しいです。なお、「登り道」でのホルンは、スコアでは「hinter der Scene(舞台の後ろで)」の指示がありますが、ステージ上で演奏していました。
この作品では珍しい打楽器が使われています。「牧場にて」で登場するカウベルは、打楽器奏者3人がステージ最後列で、左・中央・右に散らばって演奏。楽しく聴けました。カウベルは片手で持って、楽器を揺らすように演奏するんですね。また、「雷と嵐、下山」で登場するウインドマシーンは、女性が一生懸命ハンドルを回していました。座席から楽器が見えなかったのが残念。サンダーマシーンは、吊られた鉄板を両手で揺らして演奏。出番は、練習番号124から2小節だけなので、あっという間でした。
山下一史は、キビキビとした指揮でオーケストラをリードして、この大曲をうまくまとめました。パンフレットに掲載されたインタビュー記事で、カラヤンとベルリン・フィルによる「アルプス交響曲」に言及していますが、カラヤンの名盤を彷彿とさせるほどの指揮でした。

京都大学交響楽団の定期演奏会を聴いたのはこれで5回目ですが、「アルプス交響曲」は第174回定期演奏会のショスタコーヴィチ作曲/交響曲第10番を超える名演で、改めて衝撃を受けました。学生オーケストラでここまで完成度の高い演奏ができるなんて驚異的です。下手なプロのオーケストラよりもよっぽど上手いでしょう。この演奏がS席1,500円、A席1,000円という安価で聴けるので、また聴きに行きたくなりました。
欲を言えば、1曲目と2曲目の完成度を高めて欲しいです。また、演奏技術に個人差がある(特に木管楽器)ので、各人がレベルアップに努めて欲しいです。

(2007.1.21記)


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