びわ湖の春 音楽祭2026~誘い~ 25-L-2「沖澤のどか(指揮)・京都市交響楽団」
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2026年4月25日(土)15:15開演 沖澤のどか指揮/京都市交響楽団 シュニトケ/モーツァルト・ア・ラ・ハイドン 座席:A席 4階4A列30番 |
「びわ湖の春 音楽祭」に初めて行きました。びわ湖ホールでは、2010年からゴールデンウィークの時期に音楽祭を開催しています。2010年から2017年までは「ラ・フォル・ジュルネびわ湖「熱狂の日」音楽祭」、2018年から2022年までは「近江の春 びわ湖クラシック音楽祭」で、2023年以降は「びわ湖の春 音楽祭」として開催されています。主催は滋賀県、公益財団法人びわ湖芸術文化財団。プロデュースは阪哲朗(2023年度からびわ湖ホール第3代音楽監督)が務めています。なお、阪の音楽監督の任期は2029年3月31日まで、さらに3年間延長することが発表されています。
今年のテーマは「誘(いざな)い」で、びわ湖ホール全館(大ホール、中ホール、小ホール、メインロビー)で、4月25日(土)と26(日)の2日間に渡って開催されました。昨年よりも公演が増えて、全34公演(無料公演を含む)です。メインビジュアルを今回初めて公募で募集して、41点の中から長友春菜(東京都在住)の作品が採用されました。なんと謝礼はなしという条件ですが、クオリティーが高い。
なお、2日間ともJR大津駅とびわ湖ホールを結ぶ無料シャトルバス(往路11便、帰路8便)が運行されました。私が乗車したバスは行きも帰りも満員でした。

15:15~16:15 25-L-2 沖澤のどか(指揮)・京都市交響楽団
お目当ては、沖澤のどかが指揮する京都市交響楽団でした。沖澤がびわ湖ホールで指揮するのは初めてで、阪哲朗がずっと出演をオファーしていたとのこと。ハイドン「告別」をメインにするところが渋い選曲です。チケットは、びわ湖ホールネットチケットで購入しました。びわ湖ホール友の会会員優先販売が一般発売の5日前にスタートしていたため、あまりいい席がないので、初めて4階席(A席)にしました。チケット代は、S席2750円、A席2200円(+コンビニ発券手数料110円)。なお、有料公演には公演番号が付けられており、「25-L-2」とは、25日に大ホールで開催される2公演目という意味です(ちなみに、大ホールがL、中ホールがM、小ホールがS)。
沖澤は、プロコフィエフ交響曲入門〜琵琶湖疏水を愛したある作曲家の肖像〜の後は、「京都市交響楽団70周年&サントリーホール40周年記念 沖澤のどか指揮 京都市交響楽団」(2026.4.14 サントリーホール大ホール)と、「ローム ミュージック フェスティバル2026 オーケストラ コンサート 10thアニバーサリー・プログラム with 沖澤のどか」(2026.4.19 ロームシアター京都メインホール)を指揮しました。びわ湖の春 音楽祭のX(@biwako_spring)によると、本番2日前の23日からびわ湖ホール大ホールでリハーサルが始まりました。なお、京都市交響楽団は、この日は朝から25-L-1「オープニング・コンサート」(11:00~12:00、大ホール)を阪哲朗の指揮で演奏しました。
4階席は最上階で開放感があるので、広く感じましたが、席数は意外にも2階席や3階席よりも少ない。視覚的にはいい席です。客の入りは5割くらいで、かなりの空席があり、4階席は10人以下しかいませんでした。プログラムがちょっとマイナーだったからでしょうか。
プログラム1曲目は、シュニトケ作曲/モーツァルト・ア・ラ・ハイドン。1977年の作品。原題は「Moz-Art à la Haydn for two violins and string orchestra」で、「ハイドン風モーツァルト」の意味。暗めの照明の中を、オーケストラと一緒に沖澤も入場。指揮台の左横に泉原隆志(コンサートマスター)、指揮台の右横に林七奈(大阪交響楽団ソロコンサートマスター)。その後ろに半円形で、左から、ヴァイオリン×3、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、チェロ、ヴィオラ、ヴァイオリン×3の左右対称で、弦楽器のみの13名で演奏。チェロとコントラバス以外は立って演奏しました。チューニングなしで、照明が暗いままスタート。沖澤は珍しく指揮棒なしで指揮。
口笛みたいな変な音で始まりました。指揮台の左右で演奏する泉原と林の音色がよく調和しています。全奏で照明が明るくなりました。途中でヴァイオリン×6とヴィオラ×2が歩いて少し前に移動。移動先にも譜面台が置いてありました。長めのグリッサンドで元の位置に戻りました。沖澤も一度指揮台から降りてまた戻りました。半円形のヴァイオリンとヴィオラが歩いて、舞台袖の左右にピツィカートを演奏しながら消えて、照明が真っ暗になって演奏が終わり。こんな終わり方をする作品とは知らなかったのでびっくり。カーテンコールでは全員がステージに戻ってきました。一聴しただけでは、つかみどころがない作品でした。
舞台の配置換え中に、沖澤がMC。本公演が沖澤の滋賀県デビューとのこと。本公演のプログラムを「フェスティバルらしからぬ曲」と語りましたが、「ちょっとひねりのあるほうがいいかなと思った」と説明しました。「この曲は告別に影響を受けた作品で、モーツァルトのモチーフを使う」「立ち位置が指定してあるが、ステージマネージャーの日高さんが考えてくれた」と日高を紹介。
プログラム2曲目は、ハイドン作曲/ 交響曲第45番「告別」。沖澤は、「宮廷の夏の別荘での滞在が長くなって、帰りたいと思っていた。終わりに一人ずつ立ち去る」と説明しましたが、「日本の感覚につながる。今住んでいるドイツは直接言わないと伝わらない」とそれとなく伝わることについての国際比較を説明。この曲を聴くのは都響プロムナードコンサートNo.309以来でした。
弦楽器は左から第1ヴァイオリン×8、ヴィオラ×4、チェロ×4、第2ヴァイオリン×6の対向配置で、チェロと第2ヴァイオリンの間の後ろにコントラバス×2。このホールはよく響きますが、輪郭はぼやけがちになるので、それを意識してか、アクセントが強め。沖澤はこの曲も指揮棒なしで指揮しました。第1楽章はテンポが速い。第2楽章はノンヴィブラートですごく音量を抑えた演奏ですが、よくまとまっています。第3楽章は変な終わり方。第4楽章は速いテンポで、活気があるアンサンブル。途中から別の楽章のように遅いテンポで、ステージの照明を中央にしぼって暗くして、演奏を終えたメンバーが左右の舞台袖に退場していきます。メンバーが減っていって、照明がより中央に絞られます。チェロも楽器を持って退場。コントラバスは置いたままで退場。弦楽器6人だけの演奏になったところで、なんと沖澤が退場。客席がどっと沸きました。これは新しい演出です。最後は向かい合う泉原と林だけが演奏して、照明が消えて終わり。照明が再び点くと、沖澤が上着を肩にかけてスーツケースを転がして登場。帰る気満々です。メンバーも楽器をしまった楽器ケースを持って登場しました。帰る準備をして登場するのがおもしろい演出でした。16:05に終演。途中で奏者が減っていく曲を続けて2曲聴ける珍しいプログラムでした。なお、京都市長の松井孝治(京都市交響楽団楽団長)が聴きに来られていたようです。
沖澤と京響は翌日には、26-L-3「ファイナル・コンサート」で、モーツァルト「フィガロの結婚」ハイライト(演奏会形式)を演奏しました。

有料公演を聴いたのは上記の1公演だけでしたが、メインロビーで無料公演が開催されました。事前申込も不要で、いずれも20分間で、長すぎず短すぎずちょうどいい長さでした。この日は7公演が開催されましたが、ついつい5公演も聴いてしまいました。プログラムも配布されました。ステージの前にイスが置いてあるのと、3階の回廊にもイスが置いてありましたが、立ち見も多く出ました。なお、9:30からメインロビーで行われた「開会宣言」は、滋賀県知事の三日月大造も登壇しました。
10:10~10:30 オープニングアクト「テノールだよ、全員集合!」
BIWAKO Great 10 Tenors(有ヶ谷友輝、有本康人、奥本凱哉、島影聖人、清水徹太郎、竹内直紀、谷口耕平、福西仁、古屋彰久、山本康寛)が出演。いずれもびわ湖ホール声楽アンサンブルのメンバーです。1列に並んで歌いましたが、テノール歌手だけが10人も揃う機会はまずなく、すごい声量でした。ピアノ伴奏は植松さやか。
「情熱すぎるメドレー!」と題して、プログラム1曲目は、ロッシーニ作曲/ラ・ダンツァ。10人が順番にリレーのように歌っていって、テンポがいい。プログラム2曲目は、デ・クルティス作曲/帰れソレントへ。プログラム3曲目は、カルディッロ作曲/カタリ・カタリ。プログラム4曲目は、プッチーニ作曲/誰も寝てはならぬを熱唱。プログラム5曲目は、デンツァ作曲/フニクリ・フニクラ。手拍子が起こりました。歌詞の2番は、鬼のかぶりものをして、「鬼のパンツはいいパンツ」「はこうはこう鬼のパンツ」の歌詞が、強烈に印象に残りました。アンコールは、カプア&マッツッキ作曲/オー・ソレ・ミオ。かなりの盛り上がりでした。固定ファンがおられるようですね。

13:20~13:40 藤木大地(カウンターテナー)、阪哲朗(ピアノ)
藤木大地のカウンターテナーは、読売日本交響楽団第31回大阪定期演奏会と京都市交響楽団特別演奏会「第九コンサート」で聴きました。藤木は今年4月から京都市立芸術大学音楽学部声楽専攻講師に着任しました。指揮専攻教授の阪哲朗とは同じ大学の同僚になりました。
桜や花にちなんだ選曲で、プログラム1曲目は、さくらさくら(日本古謡)。藤木のア・カペラで、ものすごくゆっくり歌いました。プログラム2曲目は、團伊玖磨作曲/花の街。「輪になって 輪になって かけていったよ」がいいメロディーですが、曲名を初めて知りました(恥)。プログラム3曲目は、中田喜直作曲/さくら横ちょう。プログラム4曲目は、瀧廉太郎作曲/花。伸びがあって美しい。プログラム5曲目は、菅野よう子作曲/花は咲く。ここでMC。藤木は話す声は普通なんですね。「360度から見られて歌うのは初めて」と話しました。阪とは20年来の知り合いとのこと。ピアノを担当した阪は「指揮はいつもは音出さないので、緊張しますね。音を出すのが大変かが分かる」とコメント。最後にアンコール。藤木が「生まれて初めて歌う」と話して、吉田千秋作曲/琵琶湖周航の歌。いいメロディーで、ちょっとうるっときました。最後の歌詞を「びわ湖いざない楽しんで」に変えて歌うのもしゃれています。藤木はこの後の25-S-3「藤木大地(カウンターテナー)」(小ホール)に出演しましたが、チケットは完売でした。人気がありますね。

14:20~14:40 ゲオルギー・ロマコフ(チェロ)
翌日の26-S-3「ゲオルギー・ロマコフ(チェロ)・古賀敦子(フルート)・田澤恭子(ピアノ)」で共演する古賀敦子が司会。ゲオルギー・ロマコフの名前が長いので「ジョラさん」と呼んでいると紹介。ドイツで活躍しているが、ウクライナ生まれとのこと。楽譜なしで演奏しました。よく響きました。
プログラム1曲目は、ブリテン作曲/組曲第1番より「カント・プリモ」。古賀が「幸せになる波を2分間で起こす」と説明。変わった音色で、高音がメロディーですが、音域が広く、重奏を多用する作品。プログラム2曲目は、ロマコヴァ作曲/マリーゴールド幻想曲。なんとロマコフの妹の作曲で、日本初演とのこと。古賀が「曲の途中で爆弾警報」と説明しましたが、高音が美しい。後半は切迫感がありますが、強烈な激しさはありません。プログラム3曲目は、ダウランド作曲(ロマコフ編)/カム アゲイン。スティングも歌った曲とのことですが、バッハみたいでした。プログラム4曲目は、タレガ作曲(ロマコフ編)/アルハンブラの思い出。ギターで演奏される曲を自分でチェロに編曲しました。ギターのトレモロをチェロの高音で演奏。これはすごい。テンポが速く、超絶技巧で、忙しく弓を動かしました。アンコールは、J.S.バッハ作曲/無伴奏チェロ組曲第1番からプレリュード。軽い響きが魅力です。

16:40~17:00 多田智大(津軽三味線)
クラシック音楽の公演で、津軽三味線は珍しい。多田智大(ちひろ)は、守山市出身で18歳。2025年の津軽三味線世界大会で優勝しました。滋賀県立守山高校を卒業して、東京藝術大学に進学しました。白い袴で登場。びわ湖ホールで演奏するのは初めてとのこと。プログラム1曲目は、さくらさくら。バチの音が強い。途中で拍手が起こりました。プログラム2曲目は、民謡「淡海節(たんかいぶし)」の弾き語り。歌声が若い。プログラム3曲目は、秋田船方節(ふなかたぶし)のアレンジ。「津軽三味線をかっこよく聴かせるための曲」と紹介しましたが、テンポが速く、途中で拍手が何度も起こりました。プログラム4曲目は、津軽じょんから節(青森県民謡)。伊藤康英の「吹奏楽のための抒情的「祭」」の冒頭で使われていますね。

17:25~17:45 ヤスミンカ・スタンチュール(ピアノ)
ウィーン生まれの女性で、25-L-1「オープニング・コンサート」では、阪の指揮でモーツァルト「ピアノ協奏曲第20番」を演奏しました。阪哲朗のInstagram(@tetsuroban_conductor)によると、これまで何度も共演してきたとのこと。よく響きました。プログラム1曲目は、モーツァルト作曲/幻想曲ハ短調。打鍵が強めで、ベートーヴェンのように聴こえました。プログラム2曲目は、モーツァルト作曲/幻想曲二短調。詩的で、ショパンにも聴こえる柔らかい響きでした。

飲食ブース
びわ湖ホール西側の屋外に飲食ブースがあり、13店舗が出店しました。注目は、びわ湖ホールのブースで、なんと過年度のグッズが無料で配布されました。すぐになくなったので早く来てよかったです。また、オーストリアブースでは、びわ湖ホールシアターメイツ特別顧問のにゃんばら先生のステッカーも先着順で配布されました。ただし、にゃんばら先生の着ぐるみには出会いませんでした。残念。

スタンプラリー
今年から始まった新企画で、びわ湖ホールの周辺施設に置かれている3ヶ所のスタンプをチラシに集めて、ゴール(びわ湖ホールメインロビー)に持参すると、抽選で景品がプレゼントされました。叶 匠壽庵(かのう しょうじゅあん、びわ湖ホールオフィシャルスポンサー)のぜんざいが当選しました。好評につき、抽選は午前中で終了したようです。 また、オーストリア産のワインが試飲できました。スタンプラリーとは別に、大津市周辺の店舗で、ワンドリンクキャンペーンやプレゼントキャンペーンもありました。このキャンペーンは、4月10日から5月6日まで開催されて、町中で音楽祭を盛り上げようとしているのがすばらしい。
びわ湖の春 音楽祭のXの更新が非常に早くてすばらしい。びわ湖ホール4階の展望プラザに初めて行きましたが、びわ湖が見渡せるいい景色でした。なお、翌日の26日の26-L-1「京都橘高等学校吹奏楽部」のマーチングステージは完売でした。大人気ですね。
びわ湖ホールは、1998年に開館してから27年が経過したため、今年7月から2028年2月まで大規模改修工事のため長期休館します。その間は、滋賀県内のホール(守山市民ホール、栗東芸術文化会館さきら、文化産業交流会館、ひこね市文化プラザ、草津クレアホール、草津アミカホール、ガリバーホールなど)を中心に公演を開催します。この音楽祭も来年度はどうなるでしょうか。

(2026.5.7記)