Kyoto Music Caravan 2025「ハープデュオ・コンサート」
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2025年10月26日(日)14:00開演 知恩院大方丈鶴の間
ハープデュオ・ファルファーレ
ドビュッシー/月の光 サルゼド/夜の歌 法然上人御作 浄土宗宗歌 八橋検校(宮城道雄編)/六段の調、雲井六段 サティ/ジュ・トゥ・ヴ ロンドンデリーの歌~庭の千草~アニーローリーメドレー ピアソラ/リベルタンゴ ポエニッツ/ヴァイキングの航海
座席:全席自由
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本公演は無料でしたが、事前申し込みが必要で、京都コンサートホールのホームページの応募フォームから申し込み。なんと限定40名という狭き門でしたが、9月27日に当選メールが届きました。本当によく当選したものです。会場内は土足厳禁のため、必ず靴下を着用するように案内されました。
知恩院の最寄りのバス停は知恩院前(祇園の一つ北)。東大路通から見える新門(表門)から知恩院道の坂を約5分歩いて上ると三門があります。すぐ南側に円山公園があって、駐車場に観光バスが多数停まっていて、外国人観光客が団体で来ていました。三門は国宝で、三門では国内で最も規模が大きいとのこと。通常は非公開の三門楼上が特別に公開されていました(1,000円)。そこからの石段(男坂)がかなり急ですが、すぐ横に緩やかな女坂があります。さらに三門前から御影堂(みえいどう)前までの無料シャトルバスもありますが、あまり利用されていないようです。御影堂(国宝)は広く、1600人が収容できるようです。宗祖法然上人の像が安置されています。
本公演の会場の大方丈(おおほうじょう)は、1641年の建立で、通常は内部は非公開です。新玄関から入って、大庫裏(おおこぐり)で靴を脱ぎます。本公演のスタッフから「ここから先は写真撮影は禁止」とのアナウンス。廊下が大変に広い。
大方丈には11の部屋があり、「鶴の間」は最も広く54畳です。鶴の間と呼ばれている理由は、16面ある金箔のふすまに鶴が描かれているためです。重要文化財で、鶴の間は普段は廊下(広縁)から見るだけで中には入れないようですが、今日だけ近くで見ることができます。室内が明るくないため、左右にライトを設置。広縁の障子が開けられていて、方丈庭園が見えます。左右に向かい合ってハープが2台置かれていて、それを囲むようにイスが並べられて、プログラムが置かれていました。
開演前に京都コンサートホールプロデューサーの高野裕子が、「Kyoto Music Caravan 2025」を締めくくるバリアフリーコンサート(みんなのやさしいコンサート)(2026.3.14 京都コンサートホール大ホール)のチケット発売日をアナウンス。続いて、知恩院総務部課長のお坊さんから「申し込み者は750人だったので、プラチナチケット」と紹介されて、驚きました。750÷40で倍率は約19倍ですね。「ふすまは狩野派の絵師によって描かれて、創建当時からある」と話しました。また、「大阪・関西万博のアイルランド館のパビリオンを知恩院に移設するために下見に行った。パビリオンの前にハープが置いてあって、アイルランドと縁がある」と紹介しました。後日談ですが、知恩院のホームページによると、アイルランド館の彫刻「Magnus RINN」(マグナス リン)が、知恩院三門の男坂に展示されるようです。
ハープデュオ・ファルファーレの二人が、青色系のレースのお揃いのドレスで登場。奥の仏間に一礼しました。暗くてよく見えませんでしたが、この仏間には阿弥陀如来像が置かれているとのこと。向かって左が姉の松村多嘉代、右が妹の松村衣里で。向かい合って演奏。妹の衣里は譜面台にライトをつけて、譜面を左手でめくりながら演奏。姉の多嘉代はタブレットのスコアのようです。
プログラム1曲目は、ドビュッシー作曲/月の光。衣里のソロから始まりましたが、すごくいい。ハープ1台でも表現力があって夢見心地です。2台のハープは、音色が微妙に違います。なお、二人とも靴は履いていないので、おそらくストッキングでペダルを踏んでいました。障子は開いていましたが、ハープの音量は十分で、外の音は気になりませんでした。演奏後はトーク。マイクはなしで、地声で話しました。自分たちでハープ2台のためにアレンジしたとのこと。
プログラム2曲目は、サルゼド作曲/夜の歌。爪で弦を撫でたり、楽器の下の部分(胴)を叩いたり(初めて見ました)、弦を下から上に速くなでて「キュイーン」という音を出したり、多彩な演奏技法が盛り込まれています。
プログラム3曲目は、法然上人御作 浄土宗宗歌。多嘉代が「幼稚園から高校まで仏教系の学校で学んだ」とのこと。なお、大学は相愛大学のご卒業です。「父親の母校の上宮高校で校歌になっているが、もともとは浄土宗の宗歌」と説明しました。お唱えとして、総本山知恩院の加藤良光(執事)と久保文香が登場。袈裟を着た加藤が歌詞を解説しました。歌詞は「月かげの いたらぬさとは なけれども ながむる人の 心にぞすむ」の31文字です。ハープの左右に立ち、1コーラスずつ、両手を合わせて合掌したまま歌いました。ハープは伴奏です。あまりにも歌詞が短くてびっくりしましたが、後からじわじわ来るいいメロディーですね。なお、上宮高校野球部が甲子園に出場した時も、上宮高校歌「月影」(作詞:法然上人 作曲:古旋律)としてワンコーラスだけ歌われています。和歌山市立紀之川中学校と並んで、日本一短い校歌とも言われています。
プログラム4曲目は、八橋検校作曲(宮城道雄編)/六段の調、雲井六段。もともとは琴の曲ですが、衣里はなんと琴を習っているとのこと。ハープで演奏すると、琴の硬さが取れて別の曲のように聴こえました。
多嘉代が「ハープを生で聴いたことがある人?」を聞くと、半分くらい手が上がりました。「オーケストラでは2台並行に並べるが、デュオでは向かい合って並べている。蝶々の羽根のように見えるのでイタリア語で「ファルファーレ」と名づけている」とデュオ名の由来を説明しました。
プログラム5曲目は、サティ作曲/ジュ・トゥ・ヴ。「君が欲しい」とも訳されます。サティは今年没後100年とのこと。演奏前にチューニングしましたが、ハープは弦の上のネジで調整するんですね。自分たちのアレンジとのことで、有名なメロディーが演奏されました。
プログラム6曲目は、ロンドンデリーの歌~庭の千草~アニーローリーメドレー。ハープはアイルランドの国の紋章にもなっているとのこと。「ロンドンデリーの歌」はいいメロディーです。「庭の千草」はアイルランドのメロディーとハープは親和性がありますね。「アニーロリー」もいいメロディーで、オルゴールのような音色です。
プログラム7曲目は、ピアソラ作曲/リベルタンゴ。ハープの胴をグー(げんこつ)で叩きました。ハープ1台では無理ですが、2台あるとこういう曲も演奏できるんですね。
プログラム8曲目は、ポエニッツ作曲/ヴァイキングの航海。「ポエニッツはリヒャルト・シュトラウスのハープ奏者だった」という紹介がありました。ハープ2台のために作曲されました。細かな音符は水面のきらめきでしょうか。ラストは力強くメロディーが弾かれ、高音から低音へのグリッサンドは、手前から奥へ手が流れるように演奏されて、見ていても気持ちよさそうでした。
拍手に応えてアンコール。衣里が洛和会ヘルスケアシステム公式キャラクターの「らくの助」のぬいぐるみを持って登場。床に置いて、海沼實作曲/里の秋を演奏。15:05に終演しました。厳かすぎる空間で、本公演に当選して無料で聴けたことは、一生自慢できるような最高の時間を過ごせました。なお、知恩院のInstagram(@chion_in)に本公演の動画が掲載されましたが、私の後ろ姿がばっちり映っています。
なお、開演前に大方丈が面する方丈庭園を見学しました。庭園拝観料は方丈庭園と友禅苑の共通券で500円。方丈庭園の拝観入口がどこか分かりにくいですが、知恩院の七不思議のひとつの「忘れ傘」から延びる「鴬張りの廊下」の先にあります。鴬張りの廊下は歩くと鶯の鳴き声に似た独特の音がします。方丈庭園から大方丈を見るとリハーサル中でハープが見えました。大方丈に隣接する小方丈(こほうじょう)を見て、権現堂は徳川家康、秀忠、家光の三代をお祀りします。石段を登って山亭庭園から見える京都市街の景色がいい。その先にある千姫の墓が大きい。豊臣秀頼の正室だった千姫の墓所は全国に2ヶ所あり、知恩院にも分骨されたとのこと。なぜ知恩院に分骨されたのかの説明はありませんが、千姫の父は徳川秀忠で、知恩院が徳川家とつながりが深いからでしょうか。なお、千姫の末裔をたどるとなんと徳川慶喜に行き着きます。
友禅苑は三門の近くにあり、枯山水の庭園です。友禅染の祖である宮崎友禅の生誕300年を記念して、1954年に改修造園されました。宮崎友禅の像があります。枯山水で猫が堂々と寝ていましたが、知恩院のInstagramによると、地域猫のようです。最後に大鐘楼もひさびさに見ました。