ミューズシンフォニーウインドオーケストラ第40回記念定期演奏会


  2025年11月1日(土)15:00開演
ザ・シンフォニーホール

髙島謙指揮/ミューズシンフォニーウインドオーケストラ

R.シュトラウス/交響詩「ドン・ファン」
ジョン・ウィリアムズ/映画「スター・ウォーズ」より「レベリオン・イズ・リボーン」「アクロス・ザ・スターズ(愛のテーマ)」「王座の間とエンドタイトル」
豊中市 学生ゲストステージ(
大矢珠生指揮/豊中市立第一中学校スクールバンド部、佐藤圭悟指揮/豊中市立第四中学校吹奏楽部
ホルスト/管弦楽組曲「惑星」

座席:全席指定 1階О列24番


アマチュア吹奏楽団「ミューズシンフォニーウインドオーケストラ(Muse Symphony Wind Orchestra)」の演奏会に初めて行きました。ミューズシンフォニーウインドオーケストラは、クラシック音楽の作品を吹奏楽に編曲して演奏する独自の取り組みで、以前から注目していました。

ミューズシンフォニーウインドオーケストラは1994年に吹奏楽コンクールに出場するために、関西一円の大学生が集まって結成されました。当時の名称は「Symphonic Band for Young Mind」で、大阪府吹奏楽コンクールに出場。2000年には関西吹奏楽コンクールで銀賞を、2005年に関西吹奏楽コンクールで銅賞を受賞しました。現在は、定期演奏会を優先して活動しているため、2019年を最後に吹奏楽コンクールには出場していません。2024年には創立30周年を迎えました。 

これまでの定期演奏会では、ベルリオーズ「幻想交響曲」、ブラームス「交響曲第1番」、チャイコフスキー「交響曲第4番」「交響曲第5番」「交響曲第6番」、ドヴォルザーク「交響曲第8番」「交響曲第9番「新世界より」」、リムスキー=コルサコフ「交響組曲「シェヘラザード」」、デュカス「交響詩「魔法使いの弟子」」、マーラー「交響曲第1番」、ガーシュウィン「ピアノ協奏曲」など、全曲が吹奏楽で演奏される機会がほとんどない作品を演奏しています。YouTubeチャンネル「MuseSymphonyWind」(@Muse-wo)で、過去の定期演奏会の動画を見ることができます。本公演は吹奏楽で「惑星」を全曲演奏する意欲的なプログラムです。

クラシック音楽の吹奏楽への編曲は、市販されている既成譜ではなく、わざわざ自分たちでオリジナルの編曲を行なっています。本公演のプログラムの紹介文には、「全楽章、全曲を演奏すること」「現調で演奏すること」「独自の編曲譜をもとにメンバーが相談して校正しながら楽譜を完成させること」を挙げています。オーケストラの管楽器と打楽器はそのまま演奏して、弦楽器のパートを管楽器に編曲しているようです。ただし、編曲者名の明記はなく、「団内アレンジャーこだわりの編曲譜」とのみ紹介されています。ミューズシンフォニーウインドオーケストラのInstagram(@muse_symphony_wo)によると、江坂で練習しているようです。なお、楽団名の表記は、「ウィンド」ではなく、「ウインド」が正しいようです。

本定期演奏会は40回を記念して、ザ・シンフォニーホールでの開催です。第15回(2004年)、第20回(2007年)、第30回(2017年)に続いて、ザ・シンフォニーホールでの定期演奏会開催は4回目です。
本公演はなんと入場無料でした。ただし。整理券が必要で、teketから指定席引換券(入場券)を申し込みました。10月17日に予定枚数の上限に達したため、申し込みを停止しましたが、来場できなくなった場合はキャンセルを受け付けるメールが届きました。最終的には約1500名の来場が見込まれました。

13:30から指定席券との引き換え開始。全席指定で、座席は選べませんでした。ザ・シンフォニーホール正面入口の左にある受付を先頭に、西側の外周道路に搬入口に向かって150人くらいの行列ができました。ザ・シンフォニーホールは全席指定の公演が多いので、なかなか見かけない光景です。窓口はふたつしかないので時間がかかりましたが、20分ほど並んでteketのQRコードをスキャンしてもらって、指定席券と引き換え。「Muse Symphony Wind Orchestra」のロゴ入りが入っていました(上の画像を参照)。

14:00に開場。指定席券がどういう順番で配付されたかは分かりませんでしたが、まあまあいい席でラッキー。パンフレットはカラー刷りで、創団からのHISYORYなどが掲載されています。パイプオルガンの左側に「Muse Symphony Wind Orchestra」のロゴの照明を映写。2階のバルコニー席の左右にカメラが設置されていました。本公演の動画もまたYouTubeにアップされたらうれしいです。お客さんは続々と来場して、2階バルコニー席に続いて、ポディウム席にも客入れしましたが、3階のバルコニー席を使用しなくても客入れが完了しました。

プログラムのメンバーリストに記載されたメンバーは88名(指揮者の髙島謙を含む)。プログラムによると年齢層は30~40歳代が多いとのこと。女性奏者はスカートに青色の布?を着けた衣装で、統一感があります。司会進行はチューバ奏者の男性が担当。トーク慣れしていて話がうまい。「初めて来た人?」にけっこう手が挙がりましたが、「常連さんは?」にも手がパラパラと挙がりました。「本公演は3部構成で、2部には中学生とのジョイントコンサートがある」と紹介しました。

プログラム1曲目は、R.シュトラウス作曲/交響詩「ドン・ファン」。司会者が「ドン・ファンは伝説の女たらし」と紹介して、主題の切り分けなど聴きどころを解説しました。楽器配置は、オーケストラの管楽器はそのままで、オーケストラの弦楽器を管楽器に編曲しているため、クラリネットやフルートは、オーケストラのもともとの木管楽器の位置と、オーケストラの弦楽器の位置の2ヶ所に分かれて座っています。オーケストラではハープは1台ですが、2台配置。
オーボエのGで木管楽器→金管楽器の順にチューニング。演奏は、全体的に音程とアーティキュレーションがもわっとしていて、もう少し精緻さが欲しい。金管楽器の音色が濁っていて残念。トロンボーンの音が割れ気味で美感をそぎます。ホルンが音を外しやすいのでもうひと踏ん張りして欲しいです。木管楽器はソフトな音色と触感です。73小節からの原曲のヴァイオリンのソロは、コンサートマスターの対面(最前列の一番上手側)のピッコロが担当。オーボエのソロが長い。

プログラム2曲目は、ジョン・ウィリアムズ作曲/映画「スター・ウォーズ」より「レベリオン・イズ・リボーン」「アクロス・ザ・スターズ(愛のテーマ)」「王座の間とエンドタイトル」。今度はB♭でチューニング。「レベリオン・イズ・リボーン」は、前曲より軽やか。「アクロス・ザ・スターズ(愛のテーマ)」は音量が大きい曲ではないので、ちょっと頼りなく聴こえました。「王座の間とエンドタイトル」は、金管楽器のファンファーレから始まり、ようやく有名なメロディーが出てきましたが、音色にきらびやかさが欲しい。

休憩の後は、豊中市 学生ゲストステージ。豊中市内の中学校(2校)の吹奏楽部が出演しました。まず、豊中市立第一中学校スクールバンド部。プログラムによると、33人での演奏。同部は今年度の大阪府吹奏楽コンクール北摂地区大会(中学生の部A組)で銀賞を受賞しました。指揮者は顧問の大矢珠生で、ミューズの衣装を着ていましたが、ミューズシンフォニーウインドオーケストラのクラリネット奏者です。生徒がMC。1曲目は、大森元貴作曲/点描の唄。Mrs. GREEN APPLEの曲です。2曲目は、和泉宏隆作曲/宝島。曲目紹介でも「いぇーい」とノリがいい。踊ったり手を叩いて参加してほしいということで、客席から手拍子。いつもの真島俊夫の編曲ですが、サックスソロはカット。大矢は振りが大きくメリハリがある指揮。2曲だけで退場。

続いて、豊中市立第四中学校吹奏楽部。同部は今年度の大阪府吹奏楽コンクール北摂地区大会(中学生の部A組)で金賞を受賞しました。人数がやや多く約40人での演奏。生徒がMC。顧問の佐藤圭悟は背が高い。1曲目は、槇原敬之作曲/世界に一つだけの花。パートごとに立ったり左右にステップを踏んだりのパフォーマンス。2曲目は、宮沢和史作曲/風になりたい。歌いました。客席からは手拍子。中学生としてはなかなかの演奏レベルでした。

最後に合同演奏。中学校2校とミューズシンフォニーウインドオーケストラの一部のメンバーが加わって、大人数に。大矢が指揮して、小渕健太郎・黒田俊介作曲/この地球(ほし)の続きをを演奏。コブクロが歌う10月13日に閉幕した大阪・関西万博のオフィシャルテーマソングです。「こんにちは 桜咲く」からのメロディーが分かりやすい。最後に顧問の二人に花束贈呈。中学生にとって、ザ・シンフォニーホールで演奏できたことは貴重な経験になったことでしょう。ミューズシンフォニーウインドオーケストラは、豊中市文化芸術振興助成金の交付を受けて、中学校吹奏楽部などとワークショップ等を通じた積極的な交流を行なうことを計画しています。しかし、中学校のクラブ活動は今後は地域移行される方向性が示されているので、豊中市に限らず今後の中学校の吹奏楽部はどうなるでしょうか。

2回目の休憩後のプログラム最後の曲は、ホルスト作曲/管弦楽組曲「惑星」。惑星の吹奏楽版は、Osaka Shion Wind Orchestra第146回定期演奏会でマーリン・パターソン編曲を聴きました。オーケストラでの弦楽器の位置は、左がクラリネット、中央と右がフルートで、フルートの後ろにサクソフォン。上手最後列にコントラバス×2。雛壇最後列は、中央のティンパニ×2の右が前からトランペット、その後ろがトロンボーン、その後ろがユーフォニアム。ホルンは下手側に配置。パイプオルガンやチェレスタもいて、オーケストラに近い配置です。B♭でチューニング。

演奏は、アインザッツでミスがあったり音を外したり精度が残念。トロンボーンがトランペットより音量が大きいので、バランスが悪い。トランペットがこんなにおとなしい吹奏楽団は珍しいでしょうか。弦楽器の代わりのクラリネットが存在感がうすい。パイプオルガンがよく聴こえました。編曲に違和感はありませんでしたが、指揮が拍通りで硬直的で、表現がせせこましいのが残念。
「火星 戦争をもたらす者」は、95小節のフェルマータの後に間を空けたので、スネアがフライングしてしまいました。113小節からトロンボーンのトゥッティが強力で、見せ場を作りました。最後の8小節で四分音符が八分音符と同じ長さなのは違和感がありました(つまり、四分音符が短い)。「金星 平和をもたらす者」はハープ×2が活躍。ソプラノサクソフォン、フルート、オーボエがソロを担当しました。「水星 翼のある使者」は遅いテンポ。さすがにインテンポでの演奏は難しかったようですが、ちょっとひやひやしました。189小節から原曲ではppで弦楽器が盛り上げていきますが、管楽器で演奏すると弦楽器にはない色彩感がありました。「木星 快楽をもたらす者」は、ティンパニが入る217小節から四分音符が短い。「土星 老いをもたらす者」は、冒頭のフルートは原曲はテヌートがついていますが、短くマルカート気味に演奏。30小節からのトロンボーンのメロディーはスラーで演奏。70小節からはホルンとトランペットがよく鳴りますが、81小節からの全奏が盛り上がりに欠けました。「天王星 魔術師」は、199小節からのティンパニ×2のリズムがあまりはまりません。「海王星 神秘主義者」の前に、女性メンバーのうち15人くらいがステージから舞台裏に移動。女声合唱を歌うためで、合唱は下手から聴こえてきました。楽譜の指示通りに、隣の部屋で歌ってるかは分かりませんが、指揮とちょっと遅れて聴こえます。合唱は少人数ですが、けっこう大きな声で歌っていて、ちょっと無理して声を張り上げているような生々しい歌声でした。音量は小さくてもいいので、もっと余裕がある歌声がいいですね。

拍手に応えてアンコール。マスカーニ作曲/歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲を、木管楽器とパイプオルガンで演奏。

MCが「もう1曲だけ」と話し、中学生が譜面台を立てて花道に再登場して、グランドフィナーレ(下手が第一中学校、上手が第四中学校)。団長のあいさつで「シンフォニーホールを満員にを合言葉にやってきた」と説明。司会が「シンフォニーホール満員の景色は見れたが、支援金箱が満杯になっているのも見たい」と話しました。
アンコール2曲目は、ジョン・ウィリアムズ作曲/映画「スター・ウォーズ」より「インペリアル・マーチ(ダースベーダーのテーマ)」。トランペットとトロンボーンが元気よく鳴りました。最後に全員で礼。18:10に終演。3時間を超える公演でした。ロビーの支援金箱には1000円札を入れている人が多かったです。最終的にはいくら集まったのでしょうか。

定期演奏会は年2回開催されているので、次回以降も楽しみです。ブラームスなどは吹奏楽で聴くとどんな響きがするのか興味があります。

開場 終演後のロビー 支援金箱 本日のアンコール曲

(2025.11.25記)

 
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