京都市交響楽団第674回定期演奏会
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2023年1月22日(日)14:30開演 京都コンサートホール大ホール
鈴木優人指揮/京都市交響楽団
プロコフィエフ/古典交響曲 ストラヴィンスキー/弦楽のための協奏曲 二調 ラフマニノフ/交響曲第2番
座席:S席 3階C2列25番
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京都市交響楽団を鈴木優人が指揮しました。2021年5月の
京都市交響楽団第656回定期演奏会で初めて指揮しましたが、緊急事態宣言のため、無観客ライブ配信となってしまいました。今回はそれ以来の2回目の指揮ですが、こんなに早く再演するとは思いませんでした。今回は、オール・ロシア・プログラムです。
土日昼に開催されている2日公演の2日目ですが、来年度の京響の定期演奏会は、金曜日の夜と土曜日の昼に開催日が集約されるため、日曜日の開催はなくなります。本公演が最後の日曜公演となってしまうのでしょうか。集客が難しいのが理由のようですが、日曜は行きやすかったので残念。
14:00からプレトーク。鈴木優人は41歳ですが、白髪が少し増えたでしょうか。「昨日の1日目の演奏は気持ちよかった」と語りました。本公演のプログラムについて、「3曲演奏するが、歳の若い順で、ラフマニノフが一番先輩」と説明しました。各曲の聴きどころを詳しく紹介して、丁寧な話し方で好感が持てました(詳細は後述)。本公演は「ジルベスターコンサートに始まって、ニューイヤーコンサートが続いたが、ようやくシュトラウスのないコンサート」と言って、笑わせました。ちなみに、「東急ジルベスターコンサート2022-2023」の年越しカウントダウンは、ドヴォルザーク/交響曲第9番「新世界より」第4楽章でした。
客の入りは、5割程度。コンサートマスターは、会田莉凡(特別客演コンサートマスター)。その左に、泉原隆志(コンサートマスター)が座りました。
プログラム1曲目は、プロコフィエフ作曲/古典交響曲。プレトークで、鈴木は「プロコフィエフは日本に2ヶ月いた間に、京都に1週間いた。古典交響曲はウィットと作曲技法が最大限に発揮された作品。第4楽章はヴィオラがわざと音を外しているので、それが分かるように指揮したい。ヴァイオリンが1拍ずれる」と話しました。演奏は各楽器の音色が融合されて、ブレンド感がすばらしい。やわらかい音色で、細部をおろそかにしません。鈴木の指揮は、大きめのアクションで指揮棒をよく回します。2回目の共演とは思えませんでしたが、もう少し細部をデフォルメしてもよかったでしょう。第1楽章はやや遅めのテンポ。演奏中に、第2ヴァイオリン奏者が退場。大変珍しいですが、楽器にアクシデントがあったようです(楽器の何かが取れた?)。第2楽章の前に再入場。第4楽章は上昇音型のフルートの高音の余韻がいい。なお、プレトークで鈴木が言っていた「ヴィオラがわざと音を外す」は、163~164小節のことでしょうか。「ヴァイオリンが1拍ずれる」はどこか分かりませんでした。
プログラム2曲目は、ストラヴィンスキー作曲/弦楽のための協奏曲 二調。プレトークで、鈴木は「ストラヴィンスキーがアメリカに着いて最初に作曲した。京都にも観光に来たことがある。協奏曲という作品だがソロはない。P席の人は指揮と音が一致しないが、それで正解」と話しました。弦楽器のみ40人程度で演奏。12分程度の作品で、初めて聴きました。3つの楽章からなりますが、Attaccaで続けて演奏されるため、どこが切れ目か分かりませんでした。第1楽章は変拍子のアーティキュレーションがよく揃って、一体感があります。こんな現代音楽も指揮するとは鈴木のレパートリーは広い。第2楽章にはコラールがあり、第3楽章では会田莉凡と泉原のデュエットもありました。変化が激しい作品で、演奏するのは技術的に難しかったことでしょう。
休憩後のプログラム3曲目は、
ラフマニノフ作曲/交響曲第2番。プレトークで、鈴木は「細工がパズルのように完璧で、メロディーからメロディーの移り変わりが完璧に組まれている」と紹介しました。今年はラフマニノフ生誕150年のラフマニノフイヤーです。この作品は、
立命館大学交響楽団第126回定期演奏会と
第17回京都市ジュニアオーケストラコンサートで聴きました。豊潤な響きが楽しめましたが、指揮者の個性は出にくい作品かもしれません。「細工が完璧」と語っていましたが、やはりこの作品は長く感じました。鈴木は「2」を描くような指揮を見せました。
第1楽章237小節からホルンがゲシュトプを強奏。第2楽章189小節からのMeno mossoはガラッと雰囲気を変えて、弦楽器をアクセント気味に演奏。第3楽章の小谷口直子のクラリネットソロはあっという間でした。94小節のフェルマータを長くとりました。第4楽章第2主題のクライマックスで、509小節からトランペットが聴こえませんでしたが、スコアの指定はfなので、ff指定の他の楽器よりも抑えたということでしょう。
鈴木優人は、2023年4月から関西フィルハーモニー管弦楽団の首席客演指揮者に就任します。京都市交響楽団を指揮する機会は激減すると思われます。