京都大学交響楽団第212回定期演奏会
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2022年12月16日(金)19:00開演 京都コンサートホール大ホール
西本智実指揮/京都大学交響楽団
シベリウス/交響詩「フィンランディア」 モーツァルト/交響曲第31番「パリ」 チャイコフスキー/交響曲第5番
座席:S席 3階C3列25番
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12月は立命館大学交響楽団第128回定期演奏会、京都市立芸術大学音楽学部・大学院音楽研究科第169回定期演奏会、大阪音楽大学第65回定期演奏会と、学生オーケストラの定期演奏会が3つ続きましたが、最後は京都大学交響楽団の定期演奏会に行きました。京都大学交響楽団第190回定期演奏会「創立95周年記念特別公演」以来、約13年ぶりでした。
京都大学交響楽団は、年に2回定期演奏会を開催していましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で、第207回(2020年6月、飯森範親指揮)、第208回(2020年12月、川瀬賢太郎指揮)、第209回(2021年6月、指揮者不明)の3回が中止となってしまいました。他大学に比べて規制が強かったようで、2021年3月に学生集会所(練習場)の利用がようやく再開され、京大生のみ、時間、人数等で制限はあるものの、活動が再開できたようです。第210回(2021年12月、井上道義指揮)はライブ配信のみで開催。第211回(2022年6月、下野竜也指揮)で観客を入れて開催しました。本公演は、この日の京都公演の2日前に、堺公演(12月14日 フェニーチェ堺)も開催されました。京都大学交響楽団にとってフェニーチェ堺で演奏するのは初めてだったとのこと。
本公演の指揮は西本智実。大阪市出身の52歳で、イルミナート芸術監督、大阪音楽大学客員教授(指揮)、広島大学特命教授(脳・こころ・感性科学研究センター上席特任学術研究員)などを務めています。2022年に公開された
映画「太陽とボレロ」に本人役で出演しました。西本智実オフィシャルブログ「智さんの小部屋」に掲載された「公演に寄せて」によると、2021年2月に指揮依頼があったとのこと。西本は京都大学交響楽団を指揮するのも、フェニーチェ堺で指揮するのも初めてとのこと。
チケットは、全席事前指定で、S席2,000円、A席1,500円、B席1,000円、オンライン配信(アーカイブあり)1,000円。チケットはteket(テケト)から購入。クレジット決済後にメールでQRコードが届き、ホールの入口でスタッフがハンディスキャナに読み込ませて入場します。京都公演は12月12日に全席完売しました。たまに空席はありましたが、満員御礼でした。
プログラムの演奏者一覧によると、メンバーは112名で、うち大学院生が15名と多い。パート紹介が知的かつユニークで、さすが自由な気風の京大生です。開演前に音楽部長の依田高典(経済学研究科教授)が挨拶。チューニングは、弦楽器→管楽器→全員の順で行ないます。全員マスクなしで演奏。西本智実は大股で出入り。背が高い。
プログラム1曲目は、シベリウス作曲/交響詩「フィンランディア」。管楽器は音程が不安定で、音色も汚い。弦楽器はまとまった響きでしたが、ちょっと期待外れ。西本は腕を大きく振る指揮がユニークで、指揮台で立ち位置を変えます。大阪音楽大学では指揮科ではなく作曲科の出身なので、指揮法は独自に修得されたのかもしれません。この日は低くて後ろのバーがない指揮台が使われました。譜面台に譜面を置いていましたが、まったくめくりません。気づきませんでしたが、指揮棒を途中で床に落としたようで、演奏後にヴィオラ奏者が拾って西本に渡しました。
プログラム2曲目は、モーツァルト/交響曲第31番「パリ」。人数が減って中編成での演奏。3つの楽章からなりますが、繊細なテクニックが必要で、ごまかしが利かない作品なので、自信がないと選曲できません。アマチュアオーケストラにしてはハイレベル。弦楽器のアンサンブルがすばらしい。西本は譜面をめくりながら指揮棒なしで指揮。
休憩後のプログラム3曲目は、
チャイコフスキー作曲/交響曲第5番。金管楽器の音色が汚い。弦楽器はプロ級でした。休みなく第2楽章へ。ホルンのソロはちょっとテンポが走ってしまったのが残念。128小節からのPiù mossoは速いテンポ。第3楽章は、華やかなワルツ。途中で西本の指揮棒が床に落ちました。指揮棒を落とす指揮者は初めて見ましたが、譜面台が使い慣れていないのでしょうか。続けて第4楽章へ。途中でコンサートマスターが指揮棒を拾って譜面台に置きました。西本は指揮棒を使わずそのまま指揮。勢いよく腕を動かしました。474小節からの弦楽器が伸びやか。
カーテンコールでは西本はパートごとに立たせる際には、ソロの有無にかかわらず、まずトップ奏者を立たせました。パートをまとめた功労者としての意味合いでしょうか。カーテンコールでもクールな印象で、すごくニコニコはしません。21:10に終演。
京都大学交響楽団が演奏すると、演奏が簡単そうな曲に聴こえるのが不思議です。弦楽器はすばらしかったですが、金管楽器がもう少し精度をあげてくれるとよいでしょう。 まだ他大学の学生とは一緒に活動できない状況とのことですが、今後の活動に期待します。
なお、西本は翌日は「第九ひろしま2022」のリハーサルのため、広島サンプラザホールに向かいました。忙しいです。
(2022.12.29記)