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2012年1月17日(火)19:00開演 京都コンサートホール大ホール 井上道義指揮/京都大学交響楽団 J.シュトラウス/ワルツ「天体の音楽」 座席:S席 1階23列16番 |
2012年の聴き初めです。京都大学交響楽団の定期演奏会に行きました。今回は「創立95周年記念特別公演」ということで、井上道義が客演。この日の京都公演に続いて、大阪公演(ザ・シンフォニーホール)、東京公演(サントリーホール大ホール)が行われました。チケットは全席完売。相変わらずの人気です。
席種は、S席(事前座席指定)とA席(当日座席指定)の2種類。S席は事前座席指定なので、楽々入場できました。
パンフレットによると、井上道義は京都大学交響楽団を過去4回指揮したことがあるとのこと。25年前の第140回定期演奏会「創立70周年記念特別公演」(1987年1月)では、今回と同じマーラー第9番を指揮しました。今なお名演として語り継がれ、CD化もされたとのことです。
今回の演奏会では、プログラムとは別に、わざわざ小冊子「別冊Special:対談集」も配布されました。井上道義や25年前に京大オケに在籍していた関係者のインタビューが収録されています。井上道義は「マーラー第9番を初めて指揮したのが、25年前の京大オケとの演奏だったこと」「当時の京都大学交響楽団は京都市交響楽団よりもうまかったこと」などを語っています。
開演に先立って、音楽部長(教授)の挨拶。今からちょうど17年前の1995年1月17日(阪神・淡路大震災の日)に、京大オケは佐渡裕の指揮でマーラー9番を演奏したというエピソードを紹介しました。京大オケにとって、特別な意味を持つ作品のようです。
団員が入場。弦楽器の配置が、左から、第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリンと並ぶ対向配置でした。チューニング前に全員で一礼。
プログラム1曲目は、J.シュトラウス作曲/ワルツ「天体の音楽」。弦楽器がよく歌います。三拍子が心地よい。ただし、低音は1拍目のアクセントがもっと欲しい。打楽器は少しうるさめ。井上道義は指揮棒なしで指揮。足腰を使った指揮でした。演奏後は早くも20分間の休憩。
休憩後のプログラム2曲目は、マーラー作曲/交響曲第9番。冒頭から自信を持って落ち着いて演奏しました。この奇々怪々な曲をじっくり聴かせました。ひさびさに聴きましたが、和音や対旋律の使い方がものすごいですね。こんな曲は他の学生オケではめったに演奏されませんが、文字通り手に汗握る熱演でした。
音程や音色が洗練されていることが求められるだけでなく、ソロもあり室内楽的な部分もあります。第2楽章では各楽器が断片的に受け持つ旋律をうまく受け渡す必要があります。学生オーケストラが演奏するには酷な曲ですが、かなりの水準をクリアーしていました。積極的に演奏していて、感情がこもった演奏。練習の成果がうかがえました。特にクラリネットとファゴットがうまい。第4楽章は完成度が増し、弦楽器が濃く深く響きました。
井上道義はこの曲も指揮棒なしで指揮。第2楽章は指揮台の上でダンス。第3楽章後半のPrestoはテンポが速く、手加減なしの本気の指揮でした。分析的に聴かせたいようでしたが、細部が聴こえすぎて何をやっているのか分からない部分もありました。もう少し容積の大きなホールで聴きたかったです。座席が1階席だったのもアンラッキー。強奏はゴツゴツした音響で、京都市交響楽団第510回定期演奏会の大友直人の指揮とは好対照の演奏でした。
終演後は、井上道義が興奮気味に拍手に応えました。演奏の出来に満足したようです。
(2012.1.24記)