避難訓練コンサート
|
|
|
2022年3月5日(土)14:00開演
フェニーチェ堺 大ホール
第1部 The Rev Saxophone Quartetコンサート
プラネル/バーレスク
サンジュレー/サクソフォン四重奏曲より第1楽章
フランセ/サクソフォン小四重奏曲
ハンコック(宮越悠貴編)/WATERMERON MAN
マーキュリー(宮越悠貴編)/Love of My Life
マーキュリー(旭井翔一編)/Bohemian Rhapsody
ビゼー(萩森英明編)/カルメン幻想曲
第2部 講話「堺市の災害リスクを知る〜命を守るために〜」
堺市消防音楽隊コンサート
すぎやまこういち(真島俊夫編)/吹奏楽による「ドラゴンクエスト?」より序曲
草野華余子(郷間幹男編)/紅蓮華
菅野よう子(郷間幹男編)/花は咲く
磯崎敦博編/ジャパニーズグラフィティー?〜日本レコード大賞・栄光の昭和50年代〜
座席:1階9列38番
|
2019年10月1日にグランドオープンしたフェニーチェ堺(堺市民芸術文化ホール)に初めて行きました。1965年に開館した堺市民会館が老朽化のために2014年3月末で閉館して、その跡地に建設されました。2019年10月2日に行われた「オープニング記念コンサート」は、大阪のオーケストラではなく、なぜか京都市交響楽団が演奏。広上淳一(京都市交響楽団常任指揮者兼ミュージック・アドヴァイザー)が、シューベルト 「未完成」とベートーヴェン「運命」を指揮しました。入場無料でしたが、抽選の結果、残念ながら落選しました。現在は堺市に本拠を置く大阪交響楽団が不定期に公演を行っています。
入場は無料ですが、定員は400名。1月末までに、sacayメイトオンラインチケットサービス(CNプレイガイド)で来場者の氏名を入力して抽選申し込み。抽選日は2月10日でしたが、2月15日に変更されました。抽選の結果、メールで当選の連絡が届きました。ファミリーマートで、チケットを発券。チケット発券手数料は無料で、発券時に座席が指定されました。抽選日が延期されてドキッとしましたが、無事に開催されてよかったです。
最寄り駅は、南海高野線の堺東駅。大阪メトロ堺筋線の終点の天下茶屋駅で南海高野線に乗り換えて、急行で1駅で着くので、京都から1時間半で行けました。堺東駅からは徒歩8分ですが、少し分かりにくい場所にあります。なお、堺市役所の展望ロビーは、新型コロナウイルス感染症の影響で閉鎖されていました。残念。
大ホール(2000席)が北側の建物で、小ホール(312席)が南側の建物で、入口が異なります。仁徳天皇陵が眺望できる屋上庭園もありますが、この日は行けませんでした。なお、「フェニーチェ堺」の「フェニーチェ」は「不死鳥」の意味で、ホール南側の国道310号線は、フェニックス通りの名称がついています。また、英訳は「FENICE SAKAY」で、堺がSAKAIではなく、SACAYになっているのは、1595年のテイセラ/オルテリウスの「日本図」に「Sacay」と記されていることに由来します。
防災パネル&グッズ展示(12:15〜15:15)
入場時に、飲料水(災害用備蓄水)と非常食(保存用ビスケット)が入った袋を受け取りました。 開場までの間、2階のホワイエで、防災関連グッズやグッズ展示が行なわれました。堺市消防局をはじめとする堺市の行政機関がブースを出展していました。阪神大震災や大阪府北部地震など堺市近辺で地震が発生し、南海トラフ地震が起こる可能性もあり、堺市民の防災意識は京都よりもはるかに高い。防災ガイドブックの配布や、段ボールで組み立てられる簡易ベッドやトイレ、避難時の長期保存食の展示がありました。温めずに食べられるレトルトカレーも配布していました。
13:15に開場。ホールの内装が黒色でシック。大ホールの客席は2000席で、4階席まであります。オペラ用にオーケストラピットもあります。全体の雰囲気としては、びわ湖ホール大ホールに近いでしょう。本公演は1席ずつ間を空けての配席で、客は1階席と2階席まででした。私の席は1階席前方の右端で、あまりいい席ではありませんでした。開演までの間、スクリーンでは堺市消防局の紹介ビデオなどが上映されました。客は3割くらいの入り。
開演
14:00に開演。司会はいまいしずか(漢字は不明)。「終盤に地震が起こるので、施設の外に避難する」と予告しました。
第1部は、The Rev Saxophone Quartet(ザ・レヴ・サクソフォン・カルテット)コンサート。2013年に結成されて、上野耕平(ソプラノ・サクソフォン)、宮越悠貴(アルト・サクソフォン)、都築惇(テナー・サクソフォン)、田中奏一朗(バリトン・サクソフォン)の4名です。なお、カルテット名の「レヴ」とは、エンジンの回転などを意味する「レヴ」に由来するとのこと。先月の2月19日には、『KCH的クラシック音楽のススメ』第2回「The Rev Saxophone Quartet」(京都コンサートホール アンサンブルホールムラタ)に出演しました。今回は無料で聴けるとはお得です。
左から、ソプラノ、アルト、バリトン、テナーの順に、座って演奏。ソプラノ・サクソフォンの上野耕平は、赤いマウスピースでした。楽譜は紙ではなく、譜面台にタブレットが置いてあり、触るとページがめくれる仕組みです。
プログラム1曲目は、プラネル作曲/バーレスク。アーティキュレーションがすごくそろっていて、4本で1つの楽器のような快活な演奏。演奏後に、上野がマイクでトーク。フェニーチェ堺での公演は今回が2度目で、前回は小ホールでコロナ禍前の最後の公演だった
とのこと。
プログラム2曲目は、サンジュレー作曲/サクソフォン四重奏曲より第1楽章。上野が曲順を間違えて、3曲目を解説しましたが、メンバーに指摘されて修正。この作品はサックスの楽器ができて間もない頃の作品とのこと。弦楽四重奏曲みたいで、モーツァルトのような古典的なメロディー。ソプラノがのびやかですが、私の席がちょうど対面の端の席だったのでよく聴こえました。
プログラム3曲目は、フランセ作曲/サクソフォン小四重奏曲。上野は「かわいくておしゃれな作品」と解説。3つの楽章からなります。第1楽章「ひやかし」は、アンサンブル力が高くて軽やか。第2楽章「カンティレーヌ」は、ソプラノが全楽章休みという世にも珍しい曲とのこと。もの悲しい曲想なので、高音はいらないということでしょう
。第3楽章「コミカルなセレナーデ」は、舌のタンギング音が出てきます。演奏後に「不思議な音」というリードを舌ではじく「スラップタンギング」を実演。ちゃんとドレミファソラシドと音階をつけることができます。
ここからは立って演奏。プログラム4曲目は、ハンコック作曲(宮越悠貴編)/WATERMERON MAN。立って演奏すると、バリトンとテナーがよく聴こえます。アルト・サクソフォンの宮越悠貴がアレンジしましたが、特大のスラップタンギングやグリッサンドなど、サックスの楽器の性能をよく知っている人ならではのアレンジでした。
2曲続けて、クイーンの曲。プログラム5曲目は、マーキュリー作曲(宮越悠貴編)/Love of My Life。しっとり聴かせました。プログラム6曲目は、マーキュリー作曲(旭井翔一編)/Bohemian Rhapsody。旭井が我々のために編曲していただいたとのこと。恥ずかしながら原曲を知りません…。
プログラム7曲目は、ビゼー作曲(萩森英明編)/カルメン幻想曲。我々のために書いてもらったとのことで、へたくそに吹けと楽譜に書いてある部分があるとのこと。
よく演奏されるサラサーテ「カルメン幻想曲」とは曲順が異なります。音型がはっきりしていて、ソプラノとアルトがきれいにハモりました。「ハバネラ」の途中で汚い音で音をつぶして吹きましたが、へたくそに吹くという部分でしょう。1時間のコンサートでしたが、あっという間でした。
休憩後の第2部は、まず司会から「コンサートの終盤に震度6の地震が起こる」「避難した後は集合せずにそのまま解散する」とのアナウンスがありました。
第2部の始めは、講話「堺市の災害リスクを知る〜命を守るために〜」。堺市危機管理室防災課の吉川千晶が講演しました。ベテランが話すのかと思いきや、今年度入庁したという若い女性でした。スクリーンにパワーポイントを映しながら説明。堺では、地震(上町断層帯地震)、洪水、内水氾濫、土砂災害の災害の可能性があり、ハザードマップによるとフェニーチェ堺でも0.5メートルの洪水が予想されるとのこと。また、南海トラフ巨大地震の発生確率が切迫していて、地震後の津波は約100分で到達するので、落ち着いて徒歩で避難するように説明されました。講話は他の避難訓練コンサートにはなかったので、非常にいい機会です。
続いて、堺市消防音楽隊コンサート。堺市消防音楽隊は1978年に発足。普段は消防士として勤務していて、「堺市消防音楽隊」と背中に書かれた制服を着て演奏します。
メンバーは30人くらいで、クラリネット3、フルート1ですが、テューバは2、トランペットは4、パーカッションは4もいて、少しアンバランスな編成のように思えましたが、「堺市消防音楽隊規程」で隊員の編成が定められているようです。コロナ禍の影響で、全員で演奏するのは2年ぶりとのこと。消防司令補の青山さちほ(漢字は不明)の指揮。ちなみに、京都市消防音楽隊は京都市の財政難で2022年3月末で廃止されてしまいました(泣)。
プログラム1曲目は、すぎやまこういち作曲(真島俊夫編)/吹奏楽による「ドラゴンクエスト?」より序曲。よく響くホールです。
演奏が終わると、メンバーから火災予防のお願い。住宅用火災警報器を実演しました。
2曲続けて演奏。プログラム2曲目は、草野華余子作曲(郷間幹男編)/紅蓮華。プログラム3曲目は、菅野よう子作曲(郷間幹男編)/花は咲く。最後列のドラムセットが頑張りすぎてややうるさい。普段は野外で演奏しているからでしょう
。演奏後は、4月にオープンする堺市総合防災センターの紹介。体験系防災学習施設で、フェニーチェ堺よりも大きいとのこと。このような施設があると、堺市民は安心しますね。
ここで、避難の仕方の説明。地震が起こったら、席に座って身をかがめて頭を守ること、係員の指示で落ち着いて避難することが説明されました。「お(押さない)」「は(走らない)」「し(しゃべらない)」「も(戻らない)」を覚えておくとよいとのこと。
プログラム最後の4曲目は、磯崎敦博編/ジャパニーズグラフィティー?〜日本レコード大賞・栄光の昭和50年代〜。「北の宿から」「北酒場」「ルビーの指輪」「勝手にしやがれ」のメドレーです。
演奏後もまだ地震は起こらず、拍手に応えてアンコール。スーザ作曲/星条旗よ永遠なれを演奏。客席から手拍子が起こり、最後まで演奏しました。
ゴーっという音が起こり、スクリーンには、フェニーチェ堺の外観が揺れている映像が映り、ホール内は停電したという設定のようで真っ暗に。ヘルメットをかぶったホールスタッフが「頭を覆ってください」と地声で繰り返し呼びかけ。工事現場などで使われる赤い光る棒(誘導棒)を持っていました。他の避難訓練コンサートではありませんでしたが、ホール内が真っ暗なので、光の誘導は効果的です。揺れが収まると、ステージにはハンドマイクの男性が出てきて、「安全を確認中」などの状況を説明しました。まず、けがや気分が悪い人を手を挙げさせて優先的に避難させました。余震の可能性に注意するようにアナウンスがあり、ブロックごとに避難。2階席と1階席にそれぞれ出口があるので、それぞれ後方の席から順番にアナウンスで退場。暗いままホールを退場して、16:30に終了しました。
避難の手順を確認するだけでなく、防災グッズの展示や講話など、参加者の防災意識を高めるいいイベントでした。他府県民が参加しても参考になる点が多かったです。
フェニーチェ堺ではホール体験会も開催されています。ミニコンサート、舞台見学、ピアニスト体験、舞台裏見学などのメニューで、各回抽選で選ばれた10名程度が参加しています。年に数回ですが、機会があれば行きたいです。