アルカイック防災フェスティバル 避難訓練コンサート


  2019年9月1日(日)14:00開演
あましんアルカイックホール

第一部 三藤和美指揮/尼崎市吹奏楽団
 バデルト(ワッソン編)/交響組曲「パイレーツ・オブ・カリビアン・呪われた海賊たち」
 メンケン(ハイデ編)/ノートルダムの鐘
 メンケン(星出尚志編)/ホール・ニュー・ワールド
 メンケン(真島俊夫編)/美女と野獣
 メンケン/リトル・マーメイド・メドレー

第二部 八巻昌広指揮/陸上自衛隊第3音楽隊
 アンダーソン/舞踏会の美女
 團伊玖磨/新・祝典行進曲
 デンツァ(リード編)/フニクリ・フニクラ
 ウェニャン/ラプソディー
 臼井真/しあわせ運べるように
 メンケン(ジェニングス編)/アラジン・メドレー
 スパーク/フィエスタ!

座席:全席自由


1923年9月1日に発生した関東大震災にちなんで制定された「防災の日」のイベントとして、あましんアルカイックホールで「アルカイック防災フェスティバル」が開催されました。午前中から「防災ミニ講話」などが行なわれ、 そのイベントの一つとして、「避難訓練コンサート」が開催されました。尼崎市吹奏楽団と陸上自衛隊第3音楽隊が出演しました。主催は公益財団法人尼崎市文化振興財団。入場は無料でしたが、往復はがきでの申し込みが必要でした。めでたく当選して、招待状が届きました。避難訓練コンサートに参加するのは、びわ湖ホール避難訓練コンサート〜オペラからアニソンまで〜に続いて2回目です。

あましんアルカイックホールは、1982年に建設され、2012年度から地元の尼崎信用組合が命名権スポンサーとなりました。 あましんアルカイックホール(大ホール、1820席)、あましんアルカイックホール・オクト(中ホール、650席)、アルカイックホール・ミニ(玉翔の間)(250席)などがあります。 なお、アルカイックとは「古風な」という意味です。最寄りの尼崎駅までは阪神梅田駅から直通特急で1駅7分。尼崎駅から徒歩5分で、意外に近いです。外観は少し古くなりました。1週間前は、関西吹奏楽コンクール(中学校の部、高等学校の部)が行なわれました。

ホール入口で「あまのお水」のボトル缶が配布されました。尼崎市水道局で作られた高度浄水処理水で10年備蓄できるとのこと。座席はびわ湖ホール避難訓練コンサート〜オペラからアニソンまで〜では当日座席指定でしたが、今回は自由席でした。残念ながら、客の入りは3割以下。2階席はエスカレーターやエレベーターがないため、階段を上るしかないからか、ガラガラでした。 びわ湖ホール避難訓練コンサート〜オペラからアニソンまで〜は中ホール(804席)だったので、1820席の大ホールでは大きすぎたのかもしれません。

司会の武田康子(FMあまがさきパーソナリティー)が趣旨説明。コンサートは2部構成だが、いつ地震が起こるかは分からないとのこと。続いて、尼崎市文化振興財団理事長の仲野好重が挨拶。

第1部は尼崎市吹奏楽団の演奏。創設以来53年間にわたって同楽団を率いてきた辻井清幸が、2018年で理事長兼常任指揮者を勇退しました。その後、常任指揮者は福原隼人が務めていますが、 今年の吹奏楽コンクールは兵庫県大会金賞止まりで、関西大会には進めませんでした。全日本吹奏楽コンクールに29回出場していますが、2013年を最後に遠ざかっています。今回は60名ほどのメンバーで演奏。指揮は三藤和美(大阪市立工芸高校吹奏楽部顧問)でした。

演奏曲目は当日発表でしたが、いずれもディズニーの音楽でした。プログラム1曲目は、バデルト作曲(ワッソン編)/交響組曲「パイレーツ・オブ・カリビアン・呪われた海賊たち」。2階席で聴いたからか、このホールは響きやすいため、音符を短めに処理したほうがいいですね。 プログラム2曲目は、メンケン作曲(ハイデ編)/ノートルダムの鐘。伴奏が厚いので、メロディーとの差があったほうがいいです。 プログラム3曲目は、メンケン作曲(星出尚志編)/ホール・ニュー・ワールド。コントラバス×3とテューバ×4の低音がしっかり響きました。プログラム4曲目は、メンケン作曲(真島俊夫編)/美女と野獣。プログラム5曲目は、メンケン作曲/リトル・マーメイド・メドレーでしたが、同じ作曲家の作品が続くと、少し飽きてしまいました。三藤の指揮は平凡で頼りない。

20分休憩の後、第2部は陸上自衛隊第3音楽隊の演奏。男女ともに同じ制服を着ています。約35名でしたが、女性の隊員は7名でした。起立姿がシャキッとしていてさすがです。 男性隊員が司会。ハキハキと話しました。第3師団直轄の音楽隊で、伊丹市の千僧(せんぞ)駐屯地で活動しているとのこと。指揮は1等陸尉の八巻晶広。
プログラム1曲目は、アンダーソン作曲/舞踏会の美女。縦線重視で、音符は短め。3拍子が行進曲のように聴こえました。プログラム2曲目は、團伊玖磨作曲/新・祝典行進曲。5月に即位した今上天皇と雅子皇后が26年前のご成婚のために作曲されました。打楽器の拍感やリズムのキレがいい 。プログラム3曲目は、デンツァ作曲(リード編)/フニクリ・フニクラ。トランペット担当の男性隊員がうたを担当。ナポリ語と日本語で歌いました。マイクで歌いましたが、いい声でした。日本では「鬼のパンツはいいパンツ」の歌詞で有名 です。プログラム4曲目は、ウェニャン作曲/ラプソディー。アンドレ・ウェニャンはベルギーの作曲家で、珍しい曲です。アルトサックス独奏は前に出て、譜面なしで立奏しました。細かい音符が連続します。プログラム5曲目は、臼井真作曲/しあわせ運べるように。阪神・淡路大震災のときに作曲されたとのことですが、初めて聴きました。プログラム6曲目は、メンケン作曲(ジェニングス編)/アラジン・メドレー。ドラムセットのテンポに乗って、トランペットとトロンボーンがよく響きました。プログラム7曲目は、スパーク作曲/フィエスタ!。テンポが速い。いつ地震が起こるかは分からないとのことでしたが、結局第2部の最後まで演奏しました。なんとアンコール。スーザ作曲/美中の美を演奏。かっこいい。客席から手拍子が起こりました。

すると、緊急地震速報のチャイムが鳴り、全館放送で「訓練地震」というアナウンスのあと、地震でカシャカシャと揺れる音が聴こえました。観客は自分の身の安全を守るシェイクアウト訓練。ホール内の電気が消えて真っ暗になりました。 その後電気は復旧しました。陸上自衛隊第3音楽隊の隊員もステージのイスの下でずっと身を屈めていました。ステージにハンドマイクを持ったホールスタッフが現れ、施設の点検と避難経路を確認中と説明しました。このときに、他のホールスタッフ数人も客席で同じことを話していたのですが、声が重なってしまって、何を言っているか聴き取りづらかったです。防災センターからの全館放送で、けが人がいるので、救護班に急行するようスタッフに指示がありました。先にけが人から搬送するとのこと。確認に意外に時間がかかりましたが、実際に地震が起こるとこれくらいの時間を要するのでしょう。防災センターからの全館放送で、「南海トラフ地震が発生し、震度6弱。津波警報が発令され、尼崎市への到達は17:50頃 。避難場所はホール北側」とアナウンスされ、スタッフの指示で移動を開始すようにとのこと。先に2階席から移動するとのことで、通常の階段を歩いて、そのままホール外へ移動しました。避難できたら建物の外でそのまま流れ解散となりました。16:05頃に終了しました。いろいろなお客さんがおられたようで、人数が多くて広い大ホールでの指示誘導は難しそうですね。満席だったら本当に大変だと感じました。

びわ湖ホール避難訓練コンサート〜オペラからアニソンまで〜では、観客の人数を把握していて、集合場所で全員が集合した後、防火管理者から説明がありましたが、今回はありませんでした。また、今回のシミュレーションで津波が来るのであれば、どこに避難すれば安全なのか、アナウンスがないと実際の地震では困ります。もっとも尼崎市は海岸に近く平地なので、市外に避難したほうがよさそうですね。

また、びわ湖ホールでは、早く安全に避難するため、普段は通行できない楽屋通路が開放されたり、「避難口 EXIT」と書かれた日英併記のプラカードが用意されていました。びわ湖ホールのほうが準備が整っていました。なお、今回は解散した後に、「訓練火災」が発生したとのことで、ヘルメットをかぶった消防関係者も出入りしていました。びわ湖ホール避難訓練コンサート〜オペラからアニソンまで〜では、地震の後に火災が発生したうえでの避難訓練だったので、もう少し複雑なシミュレーションにしてもよかったかもしれません。

神田北通1丁目交差点付近から望む 立体遊歩道から望む あましんアルカイックホールゲート 避難訓練コンサート立て看板 あましんアルカイックホール入口 あましんアルカイックホールロビー 流れ解散の様子

(2019.9.23記)


大阪交響楽団第107回名曲コンサート「ラプソディー」(夜の部) 避難訓練コンサート