避難訓練コンサート


  2019年9月16日(祝・月)14:00開演
神戸文化ホール中ホール

井村誠貴指揮/神戸市混声合唱団、沢田真智子(ピアノ)
松浦晴信指揮/兵庫県警察音楽隊

座席:1階8列17番


アルカイック防災フェスティバル 避難訓練コンサートに続いて、今度は神戸文化ホールでの避難訓練コンサートに参加しました。Kiss PRESSのTwitter(@KissPRESS)で知りました。主催は兵庫県警察本部警備課。神戸文化ホールでは、初めての避難訓練コンサート開催とのこと。

入場は無料でしたが、事前申し込みが必要でした。募集人数は約700名で、申込者多数の場合は抽選とのこと。ホームページからダウンロードできる所定の申込用紙と返信用封筒を同封して申し込みました。締切は7月16日でしたが、9月になってようやく入場券が届きました。もう落選したと思っていたので、びっくり。どうやら申込締切を8月23日まで延長したようです。入場券は座席が指定されていました。演奏曲目が書かれた紙とアンケートも同封されていました。

神戸文化ホールは、高速神戸駅から徒歩8分。1973年に開館し、外観はボロい印象です。大ホール(2043席)と中ホール(904席)からなります。この日、大ホールでの公演はなく、避難訓練コンサートのみが開催されました。なお、大ホールは天井や壁面の補修のため昨年10月下旬から休館していましたが、今年2月から再開しました。

中ホールは1階にあります。エントランスホールは狭く、開場前には多くの人で混雑しました。開場時に入口で入場券を確認するだけで、何も配られませんでした。ホールの座席列が後方から付番されているのが珍しい。つまり、ステージに一番近い最前列は28列で、私の座席(8列)は前から8列目ではなく、後ろから8列目でした。客の入りは1階席で8割くらいの入りでした。

開演。まず、兵庫県警察本部警備部警備課の職員から趣旨説明。「9月26日からラグビーワールドカップが開催されるが、スポーツイベントがテロの標的になることがある 。テロが発生したときの対応として、演奏中に不明物件が確認されたという想定で避難訓練を行なう」と説明されました。ちなみに、ワールドカップ期間中に兵庫県内では神戸市御崎公園球技場で4試合が予定されています(日本戦はありません)。
これまで参加した避難訓練コンサート(びわ湖ホール避難訓練コンサート〜オペラからアニソンまで〜アルカイック防災フェスティバル 避難訓練コンサート)はいずれも地震発生を想定した避難訓練でしたが、今回は不審物発見という設定がこれまでと大きく異なります。また、「避難訓練はいつ開始されるか分からない。避難先で解散となるので、貴重品は各自で管理すること。慌てずに避難すること。アンケートへ回答いただきたい」と説明されました。

前半の出演は神戸市混声合唱団。指揮者の井村誠貴(まさき)について「2013年には年間オペラ公演回数が日本人一位になった」と紹介されました。現在は、オーケストラMFI指揮者、春日井第九演奏会音楽監督を務めています。神戸市混声合唱団は「1989年に神戸市が設立したプロの合唱団」と紹介されました。今年で設立30周年を迎え、ホームページの団員紹介では、ソプラノ11名、アルト8名、テノール7名、バス8名、ピアノ8名(!)の写真が掲載されています。あの宇野功芳氏が指揮したCDもリリースされています。
合唱団員が入場。向かって左に女声16名、右に男声8名が2列で並びました。ソプラノ、アルト、テノール、バスの順で、ピアノ伴奏(沢田真智子)です。

プログラム1曲目は、アンダーソン作曲/トランペット吹きの休日。「パパパ」や「プルプル」などで歌い、歌詞がありません。井村は指揮台も指揮棒もなし。よく動きます。以降は女声の一人が司会で進行。
続いて、アカペラで2曲。プログラム2曲目は、ブストー作曲/アヴェマリア。この曲以降は楽譜を持って歌いました。プログラム3曲目は、熊本民謡/おてもやん。セリフなみたいな部分があります。うまい。井村もうまくまとめています。
プログラム4曲目は、中島みゆき作曲/糸。男2名と女2名が前に出てきて歌いました。最後は、それぞれ思い思いの場所に移動して歌いました。名曲ですね。
プログラム5曲目は、源田俊一郎編曲/混声合唱のための唱歌メドレー「ふるさとの四季」より。原曲は12曲ありますが、今回は「ふるさと」「春の小川」「夏は来ぬ」「紅葉(もみじ)」「雪」「ふるさと」を休みなく続けて合唱。井村の指揮が分かりやすく、音楽の方向性を的確に示しました。スラー、スタッカート、クレシェンドの違いがはっきり分かります。
プログラム最後の6曲目は、マスカーニ作曲/復活祭の合唱(「カヴァレリア・ルスティカーナ」より)。有名な「間奏曲」のメロディーから始まりました。客席が明るくなって、一部の団員が客席の通路でも歌いました。上手から女声が出てきて、ソロで歌いました。オペラの場面を再現しているようでした。
拍手に応えてアンコール。山田耕筰作曲/赤とんぼをアカペラで合唱。三木露風の歌詞が意味深いですね。
神戸市混声合唱団の充実した合唱が楽しめました。井村誠貴の指揮もすばらしい。合唱を聴くにはちょうどいいホールの大きさでした。

15分間の休憩。休憩中に神戸市がシステム開発中の「LINEを活用した災害情報共有実験」(SIP-KOBE実証実験)の参加者募集がアナウンスされました。ホワイエに置いてあるチラシのQRコードを読み取ることで参加でき、来年1月17日に大地震が発生したという想定で、LINEを情報収集実験が行なわれるとのこと。災害時の情報収集の手段として注目されます。神戸市在住以外でも参加できるとのことなので、私も登録しました。

後半は、兵庫県警察音楽隊の演奏。「昭和26年に創設され、全員が警察官」と紹介されました。指揮は楽長の松浦晴信。隊員は上下とも白い服で25名くらい。司会は兵庫県警察音楽隊カラーガード隊「HOPPS(ホップス)」の女性が担当しました。パレードコスチュームで、ナースのような小さな帽子を被っていました。

プログラム1曲目は、團伊玖磨作曲/新・祝典行進曲アルカイック防災フェスティバル 避難訓練コンサートでも、陸上自衛隊第3音楽隊が演奏しました。新天皇が即位した今年はよく演奏されているようです。演奏は残念ながらあまりうまくなく、陸上自衛隊第3音楽隊のほうがうまかったです。兵庫県警音楽隊の編成は、木管楽器が少なく、ピッコロ1、フルート1、クラリネット3、サックス2でした。逆に金管はトランペット4、トロンボーン3、ホルン3、ユーフォニウム3、チューバ2と分厚く、打楽器は4、エレキギターも1名いて、いつもこの編成かなのかどうかは分かりませんが、金管重視の編成です。
プログラム2曲目は、事前に案内していたプログラム(子供の四季(秋))を変更して、大友良英作曲/いだてんメインテーマを演奏。カラーガード隊「HOPPS」の6名がスタンドマイクで「ルルルー」や「ラー」を歌いました。あとで調べて分かったことですが、「HOPPS」は6名の女性警察官で構成されているとのことで、つまり今回のステージには6名全員が出演していることになります。まさに少数精鋭です。
プログラム3曲目は、米津玄師作曲/パプリカ。「HOPPS」6名のうち2人が歌い、4人がダンスを踊りました。名曲です。
プログラム4曲目は、Fly me to the moon。「ジャズの名曲」と紹介されました。フルートソロが立って演奏しました。
プログラム5曲目は、黒うさP作曲/千本桜。「HOPPS」が扇子を持って演技。本格的でうまい。京都発!アイドルグループ「Purpure☆(パーピュア)」がよく踊っていたのを思い出しました。
プログラム6曲目は、ディスコ・パーティーII。「ホット・スタッフ」「ヴィーナス」「ジンギスカン」の3曲からなります。勢いある合奏で、ドラムセットが軽快。トランペットがハイトーンに挑戦しましたが、残念ながら精度はいまひとつ。
プログラム最後の7曲目は、フレディ・マーキュリー作曲/Don't stop me nowチャールズ・ツィマーマン作曲/錨を上げてを続けて演奏。「HOPPS」がチアリーダーの衣装に着替えて登場。ポンポンを持って踊りました。「錨を上げて」は全員で立奏。
拍手に応えてアンコール。「HOPPS」と他数名が、今度は「祭」と書かれたハッピを着て登場。林直樹編曲/YOSAKOIソーラン節を演奏。和太鼓からスタート(わざわざこの曲だけのために用意されていました)。「ドッコイショ ドッコイショ」「ソーラン ソーラン」などの掛け声で盛り上げます。「HOPPS」は旗を振りました。最後は前でソーラン節を踊っていた5人がハッピの裏地を見せると、それぞれ「兵」「庫」「県」「警」「察」とプリントされていました。うまい演出です。会場から大きな拍手。アンコールが一番印象に残りました。やはりカラーガード隊が出演してくれると視覚的にも楽しめます。

ここでチャイムが鳴って、「不審物が発見されたので、公演を中断します」とのアナウンスが放送されました。もうアンコールも終わったので、会場からは少し笑い声も起こりました。スタッフの指示で屋外に案内するとのこと。ステージにハンドマイクを持ったスタッフが現れ、まず2階席と1階席後ろ5列までの人に移動を指示 しました。先ほどまで演奏していた隊員やカラーガード隊もステージから客席に降りて、観客に落ち着くように説明しました。後ろから5列ずつ退場させるようで、私は後ろから8列目だったので、あまり待つことなく退場しました。スタッフは積極的には誘導はせず、どの出口から退場するかも観客の自主性に委ねていました。ホワイエに出ると、入場時の入口とは違う出口から建物の外へ出ました。建物を出て北側に、「避難出口 こちらです」と書かれたプラカード持ったスタッフが立っていて、その下に集合しましたが、人が増えてきたためか適宜解散となりました。15:40に終了しました。

本当に不審物が発見された場合は、パニックになって急いで走って逃げる人がほとんどだと思うので、動線を広く確保しないといけないでしょう。地震が発生した場合は、その場にとどまることが正しい行動ですが、不審物発見時では早く避難させることが大事になります。爆破予告等もあるため、どうすれば早く観客を避難させることができるか、他のホールや施設でもシミュレーションしておいたほうがいいでしょう。

中央区楠町4丁目交差点から神戸文化ホール壁画「あじさい」を望む 神戸文化ホール 本日の中ホールの催し物 開場 プラカードの元に集まる 流れ解散の様子

(2019.10.9記)


アルカイック防災フェスティバル 避難訓練コンサート 第3回大植英次による中学・高校吹奏楽部公開レッスン&コンサート