第2回京都市立芸術大学サクソフォン専攻生によるアンサンブルコンサート「Saxtation」


2019年2月23日(土)18:30開演
京都府立府民ホールアルティ

京都市立芸術大学サクソフォン専攻生、國末貞仁(アルト・サクソフォン)

イベール/5つの小品
ドビュッシー/弦楽四重奏曲より第1楽章・第4楽章
真島俊夫/ラ・セーヌ
グラズノフ(福田彩乃編)/サクソフォン協奏曲
ムソルグスキー(山田忠臣編)/組曲「展覧会の絵」

座席:全席自由


第2回京都市立芸術大学サクソフォン専攻生によるアンサンブルコンサート「Saxtation(サクステーション)」に行きました。京都市立芸術大学サクソフォン専攻生の演奏は、京都市立芸術大学 芸大祭2017「弾丸はチョコレイト」の「学生コンサート」で、ピアソラ作曲/ブエノスアイレスの春の名演を聴いて注目していました。

プログラムによると、「Saxtation(サクステーション)」とは、SaxとStationを掛け合わせた造語で、「まだ見ぬ終着点を目指して、行き着く先を探しつつ、時には途中下車しながら色々な世界を見ていけるような学生時代を過ごしたい、そしてたくさんの人を乗せて京都から世界へ羽ばたいていけるように頑張っていきたいという気持ちを込めました」と述べられています。

チケットは全席自由で、前売り1,000円。高円宮殿下メモリアル第19回日本マスターズオーケストラキャンプ「初春コンサート」で、京都府立府民ホールアルティを訪れた際に窓口で購入しました。客の入りは7割程度でした。

京都市立芸術大学サクソフォン専攻生のメンバーは11名。1回生2名、2回生2名、3回生2名、4回生2名、5回生1名、院1回生1名、院2回生1名で、男女比は男性10名、女性1名です。

プログラム1曲目は、イベール作曲/5つの小品。原曲は、オーボエ、クラリネット、ファゴットの木管三重奏ですが、今回はサクソフォン(ソプラノ、アルト、バリトン)で演奏されました。院2回生と4回生による演奏で、左から、ソプラノ、バリトン、アルトの順で、立って演奏しました。作品名が示す通り5曲からなります。上述したように原曲が木管三重奏曲であるためか、サクソフォン三本がそれぞれ個性を出そうとしていました。ソプラノ・サクソフォンの軽い音色が印象に残りました。第5曲「Allegro quasi marziale」のようにスピード感がある曲はサクソフォンで演奏するのにふさわしい。息を吸う音がよく聴こえました。なお各曲間ではメンバーが舞台袖で曲目解説などを話しました。

プログラム2曲目は、ドビュッシー作曲/弦楽四重奏曲より第1楽章・第4楽章。この作品は全曲をトルヴェールの「惑星」で聴きました。左から、ソプラノ、アルト、バリトン、テナーの順に座って演奏しました。4本で一つの楽器のようなすばらしいアンサンブルでした。演奏しながらよく揺れて視覚的にも揃っています。原曲のトレモロはブレスが大変です。第4楽章の中間部は聴かせ方が難しい。ぜひ全楽章を聴きたいです。

プログラム3曲目は、真島俊夫作曲/ラ・セーヌ。パリのセーヌ川に架かる37の橋のうち、3つの橋の周辺の情景を描いたとのこと。原曲はクラリネット八重奏ですが、真島本人によってサクソフォン八重奏のために編曲されました。左から、ソプラノ、アルト、バリトン、テナーの順に各パート2名で、8名で座って演奏しました。
第1楽章「Pont Neuf(ポン・ヌフ)」は、途中でワルツになったりノリがよくて楽しめます。ソプラノ・サクソフォンの福田彩乃の揺れ方がキレています。第2楽章「Pont Mirabeau(ミラボー橋)」は、弱音で音の立ち上がりが遅くなるのが残念。第3楽章「Pont Alexandre III(アレクサンドル三世橋)」は、リズミカル。

プログラム4曲目は、グラズノフ作曲(福田彩乃編曲)/サクソフォン協奏曲。サクソフォン独奏は、國末貞仁(京都市立芸術大学非常勤講師)。なお、京都市立芸術大学にはサクソフォンの専任教員はおらず、客員教授の須川展也と非常勤講師の國末が指導しています。原曲は、アルト・サクソフォーンと弦楽オーケストラによる演奏ですが、今回は院2回生の福田彩乃が編曲したサクソフォンのみの演奏。なお、この曲は京都市立芸術大学入試の課題曲になっているとのこと。3楽章からなりますが、切れ目なく続きます。國末は中央で立って演奏。長身なので、アルトサクソフォンが小さく見えました。譜面台無しで暗譜でした。伴奏はサクソフォン専攻生11人全員で演奏。左から、ソプラノ2、テナー3、バリトン3、アルト3の順。サクソフォン独奏は聴かせどころが多く、カデンツァもあります。國末の音色は上品。伴奏は少しモゴモゴしていたので、スッキリしたほうがよいでしょう。演奏終了後は、國末がメンバー全員と握手。

休憩後のプログラム5曲目は、ムソルグスキー作曲(山田忠臣編)/組曲「展覧会の絵」 。メンバーのシャツが白からカラフルな色に変わりました。11名全員で演奏で、メンバーは前曲と同じです。アレンジとしてはサクソフォン8名で演奏できるようです。
曲間は間を開けないで続けて演奏しました。響きにまとまりがありましたが、意外にあっさりした演奏でした。音色を均一に鳴らすのが難しいようです。
冒頭の「プロムナード」は、アルトIのソロから開始。ラヴェルの管弦楽編曲にはないアーティキュレーションがあり、スタッカートがありました。第1曲「小人」で、ラヴェル編曲がムチを使うところは、奏者が足を踏んで鳴らしました。第2曲「古城」はラヴェル編曲と同様にアルトIがソロ。途中からテンポが速くなってしまったのが残念。第4曲「ビドロ(牛車)」は打楽器がないと拍感と盛り上がりに欠けました。第5曲「卵の殻をつけたひな鳥のバレエ」は、ソプラノ(左)とアルト(右)の掛け合いが楽しい。第6曲「サムエル・ゴールデンベルクとシュムイレ」でトランペットソロはソプラノIIが担当しました。

國末が登場してMC。サクソフォン科が来年から6年目を迎えられることへの謝辞を述べ、國末がメンバーの名前を一人ずつ読み上げて紹介しました。アンコールは、マティシア作曲/デビルズ・ラグ。國末もソプラノ・サクソフォンで加わって、12名で立奏しました。長めのアンコール曲でしたが、サクソフォンアンサンブルには、こういうテンポが速くて、エッジが立っている曲が似合います。

レベルの高いサクソフォンアンサンブルを聴くことができました。今後の活動も期待しています。

(2019.5.12記)


京都府立府民ホールアルティ 



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