京都市交響楽団第648回定期演奏会


   
   
<京都市交響楽団第648回定期演奏会ゲネプロ公開>

2020年8月29日(土)10:30開演
京都コンサートホール大ホール

阪哲朗指揮/京都市交響楽団

レスピーギ/組曲「鳥」
ウォーロック/弦楽オーケストラのための「カプリオール組曲」から第1曲「バズ・ダンス」

座席:自由


<京都市交響楽団第648回定期演奏会>

2020年8月30日(日)11:00開演
京都コンサートホール大ホール

阪哲朗指揮/京都市交響楽団
石田泰尚(ヴァイオリン)

ヴィヴァルディ/協奏曲集「四季」
レスピーギ/組曲「鳥」

座席:S席 3階C1列19番



京都市交響楽団は7月から定期演奏会を再開しました。第647回定期演奏会(7月25日(土)・26日(日))は各回の座席数を減らす代わりに、2回公演を3回公演に増やして開催。指揮者はパスカル・ロフェから秋山和慶に変更し、曲目も変更(休憩なしの約80分)されました。京響友の会会員を優先した結果、一般発売された公演は7月26日(日)11:00開演の2回目の公演のみとなりました。

8月の第648回定期演奏会は、当初は8月29日(土)14:30開演の1回公演で、曲目は、廣瀬量平とモーツァルトとR.シュトラウスでしたが、なんと3回公演に増やして、曲目もヴィヴァルディ「四季」とレスピーギ「鳥」の2曲に変更。休憩なしの約80分の演奏会となりました。私にとっては、変更後の曲目のほうが興味があったので、よかったです。ただし、1回目の公演(8月29日(土)15:00開演)は京響友の会会員の再配席で満席で、一般発売は2回目の公演(8月30日(日)11:00開演)か3回目の公演(8月30日(日)15:00開演)のどちらかとなりました。一般発売は7月25日から行われ、2回目の公演に聴きに行きました。

なお、今年4月から京都市交響楽団特別客演コンサートマスターに就任した石田泰尚にとっては、本公演が就任披露公演となりました。石田は神奈川フィルハーモニー管弦楽団で首席・ソロコンサートマスターを務めています。阪哲朗の指揮を聴くのは、ローム ミュージック フェスティバル2019 オーケストラ コンサートII「二大コンチェルトの饗宴〜日下紗矢子・反田恭平 with 京都市交響楽団」以来でした。阪は京都市出身で、山形交響楽団常任指揮者を務めています。



<京都市交響楽団第648回定期演奏会ゲネプロ公開> 2020年8月29日(土)10:30開演

京都コンサートホールClub会員と京響友の会会員を対象に、1回目の公演の午前中のゲネプロが公開されました。ファックスで申し込み。当初の定員は240名でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を考慮して、150名に縮小されました。定員が減ってしまいましたが、めでたく参加票のハガキが届きました。

10:00から受付。大ホールの入口を狭くしたうえで入場して、まず検温。固定カメラの横を通ると、温度がモニターに色で表示されるようです。アルコール消毒をして、参加票のハガキを自分で箱に入れて、テーブルに置かれたチラシを取るという方法で、スタッフとの接触の機会を減らしていました。

京響のスタッフは「京響メンバーによるアウトリーチコンサート」ではフェイスシールドをしていましたが、今回はマスクでした。しばらくホワイエに待機して、10:10からホール内に入場。指定エリア(1階席17列から31列の間)に座りました。ソーシャルディスタンスを保つため、1席ごとに「Social Distance このお席はご利用になれません。」の紙が貼ってありました。

団員はステージ上で音出し中。弦楽器は対向配置。全体的に奏者間の間隔を空けていて、ヴァイオリンは4列しかありません。弦楽器も譜面台は1人で1台でした。 第1ヴァイオリンの1列目は石田だけで、コンサートマスターの泉原隆志も2列目に座りました。最後列は管楽器ですが、ひな壇はなく、床面と完全にフラット。飛沫防止のための透明のアクリル板が、管楽器奏者の前に設置されていました。もっとも1階席から管楽器奏者はよく見えませんでした。 しばらくすると、石田が登場。私服がユニークで、黒のワンピース(ズボンではなくてスカート)でした。なお、指揮台の対面(ポディウム席)から、壁時計がかけられていました。

10:30に音が鳴り止み、事務局から団員への連絡事項。9月からのステージ上のディスタンスについての説明と、団員もホール内ではマスクを着用するよう話がありました。 石田が立ち上がってチューニング。阪哲朗が登場して、客席に向かって「おはようございます」と一礼しました。阪は黒い半袖ポロシャツと黒いズボンに、黒いマスクをしていました。体が細い。

レスピーギ作曲/組曲「鳥」を演奏。実は初めて聴きましたが、おもしろい曲でした。最初に全曲を通して演奏しました。阪は指揮棒なしで指揮。足腰を使って動きが軽やか。今年で52歳ですが、身のこなしが若い。1曲目「前奏曲」の前半で縦線が少し乱れました。 2曲目「鳩」の途中で、阪が1階席の通路まで降りてきました。やはりステージのセッティングがいつもと違うので、ホールの響きを確認したようです。3曲目「めんどり」はトランペットが活躍。ステージ左の隅に座っていたので、気づきませんでした。4曲目「うぐいす」もステージ右隅にホルンがいることに気がつきました。5曲目「かっこう」は、最後に第1曲「前奏曲」のテーマが回帰して終わります。
全曲演奏を終えると、第5曲から第1曲の順番でさかのぼってふりかえり。団員に指示していましたが、ステージと離れていたので、阪の話はよく聞き取れませんでした。残念。pの位置の移動、クレシェンド&デクレシェンドの調整など。「もう少しいただけますか?」と音量も調整しました。

早くも11:00頃に終了。管楽器奏者が退場して、アンコールの練習。曲名はこのときは分かりませんでしたが、本番でウォーロック作曲/弦楽オーケストラのための「カプリオール組曲」から第1曲「バズ・ダンス」 と分かりました。とても短い曲です。 通して演奏した後、少し指示の後、もう一度繰り返して、11:05頃に終了しました。 事務局から11:30に再開するとのアナウンスがあり、阪が客席に向かって「ありがとうございました」と一礼。休憩に入りました。11:30終了の予定が、かなり早くゲネプロ公開は終了しました。



<京都市交響楽団第648回定期演奏会> 2020年8月30日(日)11:00開演

上述したように、3回公演のうち、2回目の公演に行きました。運営の問題からか、当日券は販売されませんでした。私はチケットを当日に受け取ったので知らなかったのですが、時差入場が設定されていたようです。受付でチケットを提示して、半券は自分でもぎって箱に入れました。パンフレットは机に置いてあって、各自で取って入場しました。販売する座席数を減らしているとはいえ、かなりの空席があり、もともとのホールのキャパシティからすると、客の入りは2割くらいでしょうか。なお、ポディウム席や3階左右のバルコニー席のチケットは販売されなかったようです。当初予定のプレトークは中止になりました。ビデオカメラの撮影がありました。

プログラム1曲目は、ヴィヴァルディ作曲/協奏曲集「四季」。対向配置で、第1ヴァイオリン6、チェロ4、ヴィオラ4、第2ヴァイオリン6、コントラバス2の編成で、ヴァイオリンは3列でした。チェンバロは阪が演奏。大阪フィルハーモニー交響楽団第520回定期演奏会の大植英次と同じように、客席から阪の顔が見えるように配置。中央ではなく、やや上手側の位置に配置されていました。団員入場時に、客席から拍手が起こり、指揮者の阪哲朗とコンサートマスターの泉原隆志も同時に入場しました。泉原が立ち上がってチューニング。
石田泰尚が白い長袖シャツで登場。白縁のメガネをかけていて、下は黒のダボダボの作業着のようなズボンでしたが、後述するように、石田の演奏スタイルで動き回っても楽だからでしょう。石田は立って演奏。譜面台つきでした。 怖そうな風貌には似合わないほど、明るく美しい音色。のびやかさもあって、少し古風な香りもしました。両ひざを曲げたり立ち位置を変えたりして弾くパフォーマンスは豪快ですが、奏でられる音は繊細。作品の間(例:春→夏)では自分だけでチューニングしていて、音程に細心の注意を払っていました。ステージを振り向いて、アンサンブルを見渡すなど、石田が実質的に指揮者の役割も果たしていました。京響が石田組(石田が主宰する硬派弦楽アンサンブル)になったようでした。どんなリハーサルだったのか見たかったです。
たまに阪も座ったまま両手で指揮。オーケストラの人数は少ないですが、音量不足は感じません。いつもと違う環境でも、団員が高いアンサンブル力でカバーしているようです。ゲネプロでは、全員がマスクをつけていましたが、本番ではつけている人とつけてない人がいました。阪と石田はマスクなしで演奏。

「春」第2楽章のヴィオラ(犬の鳴き声)は大きめ。「夏」第1楽章31小節からのソロは、石田が頭を上下に激しく動かし、ひざを曲げて演奏。第2楽章の弱音は繊細です。 「秋」第1楽章のラスト3小節は、コントラバスを効かせて激しく終わりました。第2楽章は独奏ヴァイオリンパートがないため、石田はヴァイオリンを右手に持って、団員のほうを向いて仁王立ちで聴いていました。クラシックの演奏会ではなかなか見られない光景です。第3楽章ラスト4小節もffで終わりました。 「冬」第1楽章12小節からのソロは、速いテンポで疾走。第3楽章201小節から石田が猛スピードで演奏。あまりの速さにオーケストラと少し乱れました。最後の音符のフェルマータでは、石田が勢い余って後ろにのけぞりました。

休憩なしで舞台転換の後、プログラム2曲目は、レスピーギ作曲/組曲「鳥」。人数が増えて、第1ヴァイオリン7、チェロ6、ヴィオラ5、第2ヴァイオリン7、コントラバス4の編成。最後列は左からトランペット2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン1。その前列にフルート2、オーボエ1、チェレスタ1、ハープ1 でした。石田泰尚が黒い服に着替えて登場。阪は指揮棒なしで指揮。
この作品は、プログラムの解説によると、鳥の声を模倣した作品をレスピーギが編曲したとのこと。中編成程度の規模ですが、いつもの演奏会よりも響いているのが不思議です。第1曲「前奏曲」は、コントラバス×4がよく響いて、まろやかなサウンド。ただし、「四季」が刺激的だったからなのか、前日のゲネプロよりもおもしろく感じませんでした。

拍手に応えて、アンコール。ウォーロック作曲/弦楽オーケストラのための「カプリオール組曲」から第1曲「バズ・ダンス」を演奏。イギリスの作曲家ウォーロックが1926年に作曲し、ウォーロックの作品で最も有名とのことですが、レスピーギ「リュートのための古風な舞曲とアリア」に似た響きがしました。 カーテンコールの後、石田が一礼して、12:20に終演しました。ここから、時差退場のアナウンス。 1階席後方→1階席前方→2階席と3階席の順に退場しました。最後のグループだったので5分ほど待ちましたが、スムーズに退場できました。

石田泰尚の特別客演コンサートマスター就任披露としては大成功で、石田を招いた京響もすごくいい仕事をしたと言えるでしょう。石田は人気もあり、カリスマ性も十分で、追っかけと思われる女性も来場していました。ステージマナーで愛想がないように見えますが、シャイなのでしょうか。京響との化学反応に今後も注目です。

当初の1回公演を3回に増やしたのはまさに大英断で、本拠地の公演だからこそできる京響の強みでもあります。3回もソロを弾いた石田もよく引き受けてくれました。十分な感染症対策がとられていて、スタッフのおかげで安心して音楽を楽しめました。感謝です。京都市交響楽団オフィシャルブログ「今日、京響?」によると、2日間で1,200名以上の来場者があったとのこと。ということは単純計算で1公演約400名。京都コンサートホールの客席数は1,833席なので、客の入りはまだまだといったところでしょうか。

なお、次回9月の第649回定期演奏会(9月12日(土)・13日(日))は、4月から首席客演指揮者に就任したジョン・アクセルロッドの就任披露公演でしたが、政府による新型コロナウイルス感染症に関する水際対策の強化に係る措置により、来日できなくなったため、常任指揮者兼芸術顧問の広上淳一が指揮することになりました。曲目も、マーラー「復活」から、オール・チェコ・プログラム(途中休憩ありの約120分)に変更されました。通常よりも少ない客席数での公演となり、京響友の会会員で満席になってしまうため、一般発売は行われないことになりました。残念です。広上淳一は、マーラー「復活」が、ロンドン交響楽団の来日公演でも演奏されることについて、「絶対負けない」とコメントしていましたが、まさかの両方とも聴けなくなってしまいました。
また、10月の第650回定期演奏会(10月9日(金))も、指揮者がゲルゲイ・マダラシュから沼尻竜典に変更になり、曲目を変更して開催されます(休憩ありの約120分)。一般発売はありません。さらに、特別演奏会「第九コンサート」(12月26日(土)・27日(日))は中止となり、同日に特別演奏会「情熱のチャイコフスキー・ガラ」が開催されることになりました(休憩ありの約120分)。3人のソリストが出演し、指揮は広上淳一が務めます。一般発売はC席とP席のみ発売されます。第九コンサートの中止は衝撃的です。合唱団が加わる作品の演奏はしばらく難しいでしょうか。今後もスケジュールが目まぐるしく変わりそうです。

「Social Distance このお席はご利用になれません。」

(2020.9.1記)


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