日本センチュリー交響楽団第25回星空ファミリーコンサート2020第2夜


  2020年8月30日(日)19:30開演
服部緑地野外音楽堂

佐渡裕指揮/日本センチュリー交響楽団
石橋栄実(ソプラノ)、橘知加子(アルト)、清水徹太郎(テノール)、晴雅彦(バリトン)
日本センチュリー合唱団

バーンスタイン/「キャンディード」序曲
賛美歌(三村総撤編)/アメイジング・グレイス
中島みゆき(三村総撤編)/時代
指揮者体験コーナー ドヴォルザーク/交響曲第9番「新世界より」第4楽章
ベートーヴェン/交響曲第9番「合唱付き」第4楽章

座席:全席自由


日本センチュリー交響楽団の星空ファミリーコンサートに行きました。毎年8月後半の土日に2日間にわたって開催されます。昨年も第2夜に行きましたが、開場前の突然の雨で中止となりました(日本センチュリー交響楽団第24回星空ファミリーコンサート2019第2夜を参照)。25回を迎えた今年は佐渡裕が初めて指揮しました。佐渡裕は、ウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団音楽監督、兵庫県立芸術文化センター芸術監督、シエナ・ウインド・オーケストラ首席指揮者、サントリー「1万人の第九」総監督を務めています。

入場は無料で、昨年までは事前の申し込みは不要でしたが、今年は往復ハガキで事前申し込みが必要でした。定員も感染症拡大防止対策のため各日1000名で、申し込み多数の場合は抽選とのこと。昨年は先着2,000名だったので、今年は半分の定員です。ちなみに、野外音楽堂は2700名(固定席1700名+芝生席1000名)が入れます。 8月5日(水)当日消印有効で、参加者の名前を全員書いて、第2夜に申し込み。無事に当選して、入場券のハガキが届きました。なお、第1夜と第2夜は、前半の演奏曲が一部異なり、第1夜にはセンチュリー・ユースオーケストラが単独で、シベリウス「フィンランディア」を演奏しました。

今回は、豊中市のふるさと納税を活用したクラウドファンディング(ガバメントクラウドファンディング)が行なわれました。2012年に豊中市が「音楽あふれるまちの推進に関する協定」を締結した日本センチュリー交響楽団を支援し、第25回星空ファミリーコンサート2020の開催費用に活用するとのこと。目標額は500万円で、ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」(https://www.furusato-tax.jp/)から申し込めました。お礼の品は3万円の寄付で、飯森範親指揮の日本センチュリー交響楽団のCD(フランス管弦楽の色彩orブラームス交響曲全集)でした。

また、今回は第1夜も第2夜もYouTubeの日本センチュリー交響楽団チャンネルで無料配信されました。雨天の場合でも練習場(センチュリー・オーケストラハウス)から配信するとのこと。 雨天中止の場合は、16:30にHPやSNSで発表するとのこと。17:00頃に日本センチュリー交響楽団のTwitterで予定通り開催すると発表されましたが、17:30頃に大雨が降り、昨年の中止を思い出してヒヤッとしましたが、18:30の開場時には止みました。座席が濡れているということで、スタッフが「マチカネくんタオルハンカチ」を配布。心配りがすばらしいです。

入場時には、各自で「大阪コロナ追跡システム」(大阪府が運用)に登録。スタッフが検温して、手指の消毒、プログラム入りの透明の袋を各自で取りました。透明の袋の中には、昨年と同じく、日本センチュリー交響楽団オフィシャルスポンサーの金鳥の提供で、虫よけ(プレシャワー アクティブプラス)が入っていました。ありがとうございます。座席は全席自由ですが、テープが貼ってある席は使用不可とのこと。2席に1席の割合で貼ってありました。客席でもマスクを着用するよう繰り返しアナウンスがありました。

団員が少しずつ入場してステージで音出し。団員は私服で、半袖シャツとかジーパンとかラフな服装で、マスクをつけていました。ステージは大人数で、弦楽器の譜面台も通常通り2人で1台を使用。この日の午前中の京都市交響楽団第648回定期演奏会とは大違いですが、野外なので問題ないでしょうか。よく響くと思ったら、オーケストラの中にマイクが設置されていて、スピーカーから音が出ていました。YouTube配信のためかと思っていましたが、いつもマイクは設置されているようですね。

コンサートマスターの後藤龍伸が入場してチューニング。佐渡裕が入場。黒の長袖シャツと黒ズボンでした。少し痩せたかもしれません。プログラム1曲目は、バーンスタイン作曲/「キャンディード」序曲。上述したように、スピーカーから音が聴こえて、生音は聴こえません。会場内にいる者としては、スピーカーなしの音で聴きたいですね。ラストは速めに疾走。
佐渡裕が司会も担当。この曲は「5年前まで担当していた「題名のない音楽会」のテーマ曲にしていた」と解説しました。「日本センチュリー交響楽団とは、前身の大阪センチュリー交響楽団で首席客演指揮者を1994年から3年間務めさせてもらった。初めてのポジションでいっぱい勉強させてもらった 」と感謝を述べました。かなり前のことなのにちゃんと覚えていて、感謝する謙虚な姿勢を見習いたいです。

プログラム2曲目は、賛美歌(三村総撤編)/アメイジング・グレイス。アルト独唱の橘知加子が登場。透明のマウスシールドに、あごヒゲのように長いマスクをつけていました。指揮台の左でスタンドマイクで歌いました。オーケストラアレンジも後半に向けて盛り上がりました。編曲を担当した三村総撤は、日本センチュリー交響楽団のホルン奏者で、インスペクターも務めています。佐渡は「感染予防のためにヒゲのようなマスクをつけていただいている。オーケストラは活動を再開したが、歌の人は大変」と話しました。ちなみに、このマスクは名古屋二期会に使われている「歌えるフェイスシールド」に似ています。

プログラム3曲目は、中島みゆき作曲(三村総撤編)/時代。バリトン独唱は、晴雅彦。同様のマスクをしていました。この曲が男声で歌われるのが珍しい。

プログラム4曲目は、指揮者体験コーナー ドヴォルザーク作曲/交響曲第9番「新世界より」第4楽章。この星空ファミリーコンサートでは毎年行われている企画のようです。 まず「こんな曲です」と佐渡裕が冒頭から25小節を指揮。「指揮したい人?」と佐渡が募ると、客席から手が挙がりました。1人目は6歳の男子小学生。「指揮者はおかしな仕事」と佐渡がコメント。団員がちゃんと指揮棒に合わせて演奏しました。2人目は50代の男性。大振りの指揮。3人目は5才の女の子。指揮棒が途中で急に止まったりして大爆笑。佐渡は「独創的でいいねぇ」とコメント。佐渡は指揮中はマスクなしでしたが、トーク中はマスクをつけました。

ここで、楽団長の望月正樹が登場して、豊中市のふるさと納税への協力のお願い。すでに目標額の90%を達成しているが、9月29日まで受け付けているとのこと。金鳥(大日本除虫菊株式会社)のご厚意で、虫除けスプレーが配付されていることも報告されました。さらに限定グッズを紹介。佐渡裕のサインプリント入りの星空コンサートのマフラータオル(1000円)、マスクケース(各500円)、マチカネくんセット(1000円)の3種類。また、会場内に募金箱を設置するとのことで、佐渡裕からも寄付が呼びかけられました。

プログラム5曲目は、ベートーヴェン作曲/交響曲第9番「合唱付き」第4楽章。佐渡は「ヨーロッパには春から行けていないし、今年の「1万人の第九」もまだどうなるか分からない。日本センチュリー交響楽団とは、21世紀の第九で長い間共演させていただいた」と話しました。日本センチュリー合唱団が入場。ポディウム席の中央に一席間隔で配置されました。総勢40名くらいです。独唱4名は合唱の最前列で、ひとりひとりの前にマイクがありよく聴こえました。一方で合唱団は立てられているマイクが少ないからか、ちょっと弱い。いつもは肌寒い季節に聴く「第九」ですが、聴いている方も軽く汗をかきながら聴くのは新鮮です。虫の音がよく聴こえました。330小節のフェルマータが長い。543小節からの有名なフレーズは、トランペットの合いの手が豪快に響きました。佐渡の指揮は動きが少なめでしたが、ラストはガッツポーズのような指揮で、よく鳴らして盛り上げました。

独唱4名がステージに降りてきてカーテンコール。佐渡が阪神タイガースの縦じまのユニフォームを着て登場。ユニフォームの名前は「SADO」で、背番号は「10000」。これは「1万人の第九」を指揮しているからでしょうか。アンコールは、J.シュトラウスⅠ世作曲/ラデツキー行進曲。佐渡が客席を向いて拍手を指揮。トリオに入らずに、いきなり「六甲おろし」。合唱団が歌いました。またラデツキー行進曲に戻って締めくくり。なお、YouTube動画配信では、「シュトラウス(宮川彬良編):ラデツキー行進曲 合唱付き」と表示されたようです。手を振って退場。20:40に終演しました。
アナウンスに従って規制退場。左右両側から退場して5分ほどかかりました。出口に募金箱を持ったスタッフがいましたが、残念ながらあまり募金はされていないようです。限定グッズのマフラータオル(1000円)を購入しました。

野外公演のため天気に左右されるところが難点で、今年も前日の第1夜は前半に雨が降ったようです。第2夜は開演前に雷鳴がときどき聴こえましたが、開演中は雨が降りませんでした。無事に聴けて良かったです。星空ファミリーコンサートにふさわしく、星が見えたらよかったですが、月はきれいに見えました。

なお、上述したYouTube無料ライブ配信の視聴者は2日間で約2万人とのこと。意外に少ないです。リアルタイム配信のみで、アーカイブは残されていません。残念。なお、クラウドファンディングは、9月5日現在で、176人が4,791,000円を寄付して、達成率は95.8%です。9月29日までに目標額を達成するでしょうか。

YouTube配信サイトのQRコード 服部緑地東の横断歩道から東中央広場を望む 開場前 入場待ち 終演後

(2020.9.5記)


京都市交響楽団第648回定期演奏会 兵庫芸術文化センター管弦楽団特別演奏会「佐渡裕 アルプス交響曲」