ザ・シンフォニーホールで開催予定の「真夏のチャイコ３連投！熱狂コンチェルト」が、延期になりました。大変残念です。

この演奏会は、ザ・シンフォニーホールの主催公演で、チャイコフスキーの協奏曲３曲が一度に聴ける珍しい演奏会でした。３人のソリストもすばらしく、上原彩子は2002年のチャイコフスキー国際コンクールで第１位に輝き、東京藝術大学音楽学部早期教育リサーチセンター准教授を務めています。 川久保賜紀も2002年のチャイコフスキー国際コンクールで第２位（第１位なし）で、桐朋学園大学院大学教授を務めています。 伊藤悠貴は2010年のブラームス国際コンクールと2011年のウィンザー祝祭国際弦楽コンクールで第１位を受賞し、イギリスのナイツブリッジ管弦楽団芸術監督を務めています。 上原彩子のチャイコフスキーは、日本フィルハーモニー交響楽団第134回サンデーコンサート以来、川久保賜紀のチャイコフスキーは、大阪フィル×ザ・シンフォニーホール ソワレ・シンフォニーVol.11以来となる予定でした。

日本センチュリー交響楽団は、今年度から秋山和慶がミュージックアドバイザーに就任し、首席指揮者の飯森範親よりも格上のポジションに就きました。緊急事態宣言解除後は、6月20日（土）の「ハイドンマラソンHM.19」（ザ・シンフォニーホール）で、３ヶ月半ぶりに演奏活動を再開しました。この公演は全国で初めてのフルオーケストラの演奏会再開となり、ニュース等でも注目されました。また、この公演からザ・シンフォニーホールも２月以降の再始動となりました。さらに、定期演奏会も6月29日（第244回定期公演）から開始しました。

7月24日に本公演の「公演延期・チケット払い戻しのお知らせ」がメールで届きました。「新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、政府によるイベント入場制限の緩和が見送られた影響で、延期させて頂くことになりました」とのこと。近畿圏の各オーケストラで演奏再開の動きが高まってきたので、この時点での演奏会の延期は大変残念です。 「政府によるイベント入場制限の緩和の見送り」というのは、会場収容率50％以内で5000人以下としてきた制限を、８月１日から「5000人以下」の制限をなくす予定でしたが、東京などで感染が再拡大したことを受けて、この緩和が８月末まで延期されて先送りになったことを指しています。

なお、日本センチュリー交響楽団は、同じザ・シンフォニーホールで、８月７日（金）に「ハイドンマラソンHM.20」と、８月９日（日）に「Best of Beethoven BB Vol.1「皇帝」」を開催しました。いずれも飯森範親の指揮で、左右を１席ずつ空けた座席に振り替えて開催されましたが、状況は同じはずなのに、本公演が延期になったのはメールにあった「イベント入場制限の緩和の見送り」以外の別の理由があるように感じました。ステージの演奏者のソーシャルディスタンスが確保できなかったのか、チケットの再配置が間に合わなかったのかもしれません。 なお、ソリストの３名は、いずれも日本に滞在しているようです。

ちなみに、2021年4月から首席客演指揮者に久石譲が就任することが7月22日に発表されました。意外な人選でびっくり。久石の本業は言うまでもなく作曲家ですが、近年は指揮活動を活発に行っており、2004年から新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ（W.D.O.）音楽監督を務め、2016年から音楽監督を務めている「フューチャー・オーケストラ・クラシックス」（ナガノ・チェンバー・オーケストラ）を指揮して、ベートーヴェン「交響曲全集」のＣＤをリリースしました。2020年9月からは、新日本フィルハーモニー交響楽団の「Composer in Residence and Music Partner」にも就任します。どんな曲を指揮するのか注目です。