第16回京都の秋音楽祭開会記念コンサート


      
2012年9月16日(日)14:00開演
京都コンサートホール大ホール

広上淳一指揮/京都市交響楽団

J.ウィリアムズ/オリンピックファンファーレとテーマ
ハイドン/交響曲第104番「ロンドン」
ホルスト/組曲「惑星」

座席:全席指定 1階 21列14番


今年も京都コンサートホールで「京都の秋 音楽祭」が行われます。そのオープニングを飾る開会記念コンサートに行きました。毎年、京都市交響楽団が務めています。指揮は、常任指揮者の広上淳一。広上が2008年4月に京都市交響楽団常任指揮者に就任して以降は、2009年(秋山和慶)を除いて広上が開会記念コンサートを指揮しています。今回の演奏会は、今年の夏に行なわれたロンドンオリンピックにちなんだ選曲とのこと。
入場料は全席2,000円というお手頃価格。さらに京都市民400名が抽選で無料で招待されました。チケットは当日券なしの全席完売でした。
なお、京都コンサートホールClub会員を対象に、この日の10:30からゲネプロが公開されました。ファックスで申し込みましたが、定員50名という狭き門だったので、残念ながら落選しました。

開演前にステージ上で門川大作京都市長が挨拶。和服を着ていました。主催の京都市も力を入れていますね。

プログラム1曲目は、J.ウィリアムズ作曲/オリンピックファンファーレとテーマ。大編成オーケストラでの演奏。サウンドがまとまっていてすばらしい。無理に大きな音量で鳴らそうとせず、抑制された美しさがあります。広上の指揮もあまり大振りではありませんでした。

プログラム2曲目は、ハイドン作曲/交響曲第104番「ロンドン」。この曲は、京都市交響楽団第511回定期演奏会「第12代常任指揮者就任披露演奏会」で演奏されたので、4年半ぶりの再演となります。広上淳一はこの曲が好きなようですね。ハイドンの遊び心をうまく表現した演奏。京都市交響楽団第511回定期演奏会「第12代常任指揮者就任披露演奏会」よりも、作品の特徴や魅力がよく伝わる演奏でした。第4楽章も整理され、見通しが効いていました。柔らかい音色も素晴らしい。広上&京響の進化を聴くことができました。ただし、第1楽章はアインザッツがあまりそろわなかったり、低音が遅れて聴こえたりしたので、もう少し細部にも気を使ってほしいです。
広上淳一はたまに指揮棒なしで指揮。頭の揺れや、腰のひねり、膝の震えなど、全身を使った指揮でした。第2楽章42小節からのffは激しく指揮。第4楽章は広上を見ているだけで楽しくなりました。

休憩後のプログラム3曲目は、ホルスト作曲/組曲「惑星」オーケストラ・ディスカバリー2012 〜こどものためのオーケストラ入門〜 「名曲のひ・み・つ」第1回「作曲家に隠された真実(作曲家編)」で「木星」が演奏されましたが、今回は待望の全曲演奏です。
京都市交響楽団第516回定期演奏会の井上道義指揮の演奏と比べると、広上のほうがノーブルな響きで、成熟された表現でした。広上の指揮のバリエーションも増えました。ただし、演奏はたまに音を外すなど、ノーミスというわけにはいきませんでした。細部の完成度を求めたいですね。
「火星」は、広上は5拍子を3拍子+2拍子ではなく、5拍子で指揮していました(海王星も同じ)。さすが指揮科の教授だけあって、スコアに正確です。40小節からのfffで、広上が左腕を突き上げました。ラストのffffのトゥッティは遅いテンポで演奏。「金星」はやや速めのテンポ。「木星」はやや遅めのテンポ。有名な第4主題が最高に雄大ですばらしい完成度。「土星」冒頭のフルートはテヌートの指定ですが、やや減衰気味に演奏。「天王星」は、冒頭4小節のフェルマータをあまり長くのばしません。「海王星」はやや速めのテンポ。25小節からサスペンデッド・シンバルを聴かせました。女声六部合唱のパートは、なんとパイプオルガンで演奏。他に演奏例はあるかどうか分かりませんが、珍しい試みでしょう。2000円というチケット価格では女声合唱団を呼べなかったのでしょうか。いつもよりもオーケストラのパートがよく聴こえました。ただ、パイプオルガンはステージからの遠隔操作で演奏されましたが、機械的な問題で弱奏になると高音はアインザッツが遅れるのが気になりました。

演奏後は、広上淳一は両腕を広げて拍手に応えました。「開会のコンサートに大勢来ていただいて幸せです。ハッピーな曲を用意しています。お金がいっぱいあるような曲です」と挨拶し、アンコールはウォルトン作曲/戴冠式行進曲「王冠」。テレビで聴いたことがある曲です。作品名に負けないほどの貫禄を感じさせる演奏でした。

(2012.9.19記)




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