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＜京都市交響楽団第533回定期演奏会練習風景公開＞
２０１０年３月２７日（土）10:30開演 広上淳一指揮／京都市交響楽団 プッチーニ／交響的奇想曲 座席：自由
＜京都市交響楽団第533回定期演奏会＞ ２０１０年３月２７日（土）14:30開演
広上淳一指揮／京都市交響楽団 プッチーニ／交響的奇想曲 座席：Ｓ席 ３階 Ｃ−３列２６番 |
京都市交響楽団の３月定期演奏会は、広上淳一が登場。常任指揮者就任２年目のシーズンを締めくくります。ソリストにはベルリンフィル元首席ホルン奏者のラデク・バボラークという超大物が出演します。よく京都に来ていただけました。感謝。
チケットは、３週間前に早くも完売しました。京響定期の歴史に残るほどの売れ行きと言えるでしょう。今回も当日券（後半券・学生券）の発売はありませんでした。また、翌日には同じ曲目で東京公演（地方都市オーケストラ・フェスティバル2010 すみだトリフォニーホール）にも出演します。
本番当日の午前中に、京響友の会会員および京都コンサートホール会員限定で、練習風景が公開されました。９月の京都市交響楽団練習風景公開、１１月の京都の秋音楽祭 練習風景公開と一緒にファックスで申し込んだところ、めでたく参加票のハガキが届きました。京都市交響楽団の練習風景公開はこれまでに何回か行っていますが、本番当日の練習（ゲネプロ）を見るのは今回が初めてでした。
10:00開場。ホワイエで待たされた後、10:20にホール内に入場。１階席中央の通路よりも後ろの席に座るように指示がありました。団員は私服で音出し中。10:30になって音が鳴り止んで、事務局の方から団員に向けて連絡事項。ゲネプロの曲順は、プッチーニ、ベートーヴェン、アンコール、休憩後にシュトラウス、シューマン。明日の東京公演のゲネプロは、13:00からとのこと。
コンサートマスターの泉原隆志が立ち上がってチューニング。広上淳一が舞台袖からスコアを持って登場。コンマス、サブコンマスと握手して、指揮台へ。指揮台に置いてあったイスには座らずに、下に降ろしました。服装は、緑色の半袖Ｔシャツで、背に縦書きで「京響」と白字で書いてありました。こんなＴシャツいつ作ったんでしょうか。メガネをかけていました。
練習前に、広上が「昨日バボラークと晩ご飯を食べた」という話をして、団員から笑いが起きていました。ステージから離れていたので、詳しくは聴き取れませんでした。
プッチーニ作曲／交響的奇想曲からゲネプロがスタート。プッチーニの管弦楽曲とは珍しい曲です。音楽院の卒業作品として作曲されたとのこと。シンフォニックなサウンドと静かな部分との対比、中間部のリズミカルな３拍子、優雅なメロディーなど、聴きどころが多い曲です。今の京響の魅力を引き出せる選曲で、いわゆる秘曲といえるでしょう。冒頭はあまり濃厚な響きではなく、木管楽器もまだ朝だからなのか不安定。広上淳一はスコアをめくりながら指揮。中間部から次第に本番さながらの激しいアクションで、両腕を激しく上下させました。指揮しながら、たまに団員に指示しますが、途中で演奏を止めることはしません。最後まで通ると「よろしくお願いいたします」と話して、１回通しただけで終わりました。
団員が入れ替わり、ベートーヴェン作曲／交響曲第４番。指揮をしながら、アーティキュレーションやバランスなどについて指示しました。また、大きな声で歌いながら指揮。「テケテケ」「ティヤティヤ」など、明確に聴かせたい音型を歌いました。
第１楽章の冒頭ですぐに指揮棒を止めて、弦楽器に「最初（１小節の四分音符）のppはfでいいです」と話しました。ゆっくりしたテンポで進められ、Allegro vivace（39小節）からもあまり速くありません。音符を短く処理しないので、響きが重い。もう少し速いほうが私は好きです。反復記号はすべて繰り返しました。183小節のコントラバスの四分音符を強調。312小節以降などヴァイオリンは連符の受け渡しに神経を使っていました。第１楽章が終わると楽章間では何も話さずに、第２楽章へ。木管楽器に「ごきげんですね」とご満悦。第２楽章が終わると、ヴァイオリンに「100小節入ったら、そのままのテンポで行ってください」と話しました。第３楽章は77小節と78小節のffで、広上のパンチが２発炸裂。終わると「ぶらあぼ」とつぶやきました。第４楽章はあまり速くないテンポ。66小節からの管楽器と弦楽器の掛け合いにはコントラバスに向かってパンチ。320小節からの木管楽器に「あわてなくていいです」。345小節からのヴァイオリンに「入りはもう少し大きくていいです」。続く348小節のファゴットのフェルマータは「消えすぎちゃう。ちょっとひねったほうがいい」と話しました。
終わろうとしましたが「アンコール忘れてた」と話し、アンコールの練習。バルトーク作曲／ルーマニア民族舞曲集から第４曲、第７曲（曲名は本番で知りました）。弦楽器のみでの演奏です。第４曲は泉原がソロ。ヴァイオリンが高音でエレジーのメロディーを演奏します。第７曲はビートの効いたリズミカルな舞曲。終わると、広上が「おつかれさまでした」と話し、練習が終わりました。
ここで、新井浄シニアマネージャーがステージに登場。３月で退団する団員のセレモニーをしたいとのこと。降り番だった団員も集まりました。退団する団員３人が１人ずつ立って挨拶。11:35に休憩に入りました。
帰ろうとしたところ、事務局から「広上からみなさまにお話がある」とのことで、広上淳一が客席まで降りてきて見学者にあいさつ。「みなさまのご支援がすべて、レストランと同じでお客様が入らなければ閉めるしかない。今後ともご支援をお願いします」と話しました。
広上の練習を見たのは、京都市交響楽団練習風景公開以来２回目でした。今回は本番当日のゲネプロなので、途中で演奏を止めることなく流しました。広上の声が聞こえにくかったのですが、団員への指示は音符単位で細かく話していました。
13:30に開場。１階のスロープの入口で、私服姿（上述した緑のＴシャツに黒の上着）の広上淳一が携帯電話をいじっていました。お客さんもまったく気づかずに通り過ぎていました。レストラン「ラ・ミューズ」で昼食を取っておられたようです。開演前の指揮者を見れるなんてなかなかないのでびっくり。
プログラムに「ＣＤ発行のお知らせ」という記事が掲載されていました。広上が指揮した定期演奏会のライヴ録音が、ＣＤ２枚組で１１月に発売されるとのこと。曲目は、今回の「ベートーヴェン作曲／交響曲第４番」に加えて、第527回定期演奏会の「チャイコフスキー作曲／イタリア奇想曲」「プロコフィエフ作曲／ヴァイオリン協奏曲第２番」「ラフマニノフ作曲／パガニーニの主題による狂詩曲」。また、第535回定期演奏会（2010.5.21）で演奏される「シューマン作曲／交響曲第３番「ライン」」が収録される予定とのこと。楽しみです。ゲネプロの最中に、天井から吊り下げられたマイクを上下させて位置を調整していましたが、録音用だったようです。
開演前の14:10からプレトーク。広上淳一が上述した私服姿で登場。いつものように「来年度の京響の演奏会の宣伝です」と話し、2010年度定期演奏会の聴きどころを紹介。４月の秋山和慶は「定期演奏会への出演はかなり久しぶり」。５月に広上と共演するヴァイオリン奏者のボリス・ベルキンは「京都は初めて。世界で３本の指に入る名手」。６月は「マーラーの７番はめった演奏しない渋い曲。前半にウェーベルンと組み合わせることで、どうマーラーが聴こえるか」。７月に広上と共演するアリス＝紗良・オットは「２ヶ月ほど前に「情熱大陸」に出た」。９月のシベリウスは「私は曲を知りません」と暴露。マイナーな曲のようです。１１月の飯森範親は京響定期初登場。「「好きなソリストを選んでちょうだい」と言ったところ、マリンバの三村奈々恵を選ばれた」。2011年３月に共演するヴァイオリンのシン・ヒョンスは「東京で一度共演した。すばらしい才能。ぜひお聴きいただきたい」と話しました。また、特別演奏会では、第九コンサートは「コバケン先生。炎のコバケン」。翌々週のスプリング・コンサートは、「「運命」の予定でしたが「田園」に変更しました。ごめんなさい。事情はあまりないんですが」と話しました。
続いて、バボラークと共演する京響のホルン奏者とトーク。垣本昌芳（副首席奏者）、澤嶋秀昌、寺尾敬子の３人が登場しました。広上は「バボちゃんどうですか？」と聞きました。バボラークを「バボちゃん」と呼ぶのが笑えます。団員たちは「年下だけど、風格があって、気さくな方」などと絶賛。「バボラークが演奏する１番ホルンは難しい」と話しました。広上はバボラークの体格について「お相撲さんとは言わないけど、素敵な身体」と話しました。「これから着替えます」と話して、退場しました。バボラークは登場しなくて残念。
プログラム１曲目は、プッチーニ作曲／交響的奇想曲。どういうわけかゲネプロのほうが魅力的に聴こえました。３階席は１階席よりも響きが薄いですね。終盤の弦楽器の柔軟性のある音色はすばらしかったですが、ゲネプロに比べると音量が物足りない感じです。木管楽器の精度もゲネプロ同様いまひとつ。広上淳一はゲネプロよりも指揮棒を細かく揺らして指揮しました。
プログラム２曲目は、Ｒ．シュトラウス作曲／ホルン協奏曲第１番。ホルン独奏はラデク・バボラーク。当初のプログラムでは２曲目と３曲目の演奏順が逆で、プログラムに「演奏曲順変更のお知らせ」と書かれた紙が封入されていました。バボラークは恰幅がよくてデカい。楽器が小さく見えます。軽い響きにびっくり。こんなにやわらかいとは木管楽器のようです。金管楽器とは思えない音色です。レガートで演奏して音符につけられたスラーが目に見えそうでした。荒々しい部分はまったくなし。楽器を完全にコントロールしていました。音量はあまり大きくありません。オーケストラと同化していました。京響の伴奏も表情豊かでした。
休憩後のプログラム３曲目は、シューマン作曲／４本のホルンのための小協奏曲。ホルン独奏はラデク・バボラーク、垣本昌芳、澤嶋秀昌、寺尾敬子。指揮者とコンサートマスターの間に、正方形の形で並びました。前列向かって左から、２番（垣本）、１番（バボラーク）、後列は左から４番（寺尾）、３番（澤嶋）。譜面台を立てて立奏しました。ホルンがオーケストラに埋もれがちであまり目立ちません。オーケストラの中に溶け込んでいました。ホルンは言うまでもなくベルが後ろを向いているので、３階席では聴こえにくいようです。また、４本のそれぞれが何をやっているのかがよく分かりません。もう少しクリアーに聴かせてほしいです。作品も地味でした。あえてホルンが４本も必要なのかどうか。演奏後は、バボラークは後ろのポディウム席も向いて礼。礼儀正しい。
プログラム４曲目は、ベートーヴェン作曲／交響曲第４番。ごまかしが効かない曲ですが、健闘しました。全体的にもう少し音量がほしいです。テンポはゲネプロと同じでした。第１楽章はゲネプロよりもスピード感が出ました。第２楽章はうとうとしそうでした。第３楽章は管楽器と弦楽器がうまくかみ合っていません。自信なさげで、ちょっとヒヤヒヤしました。ゲネプロのほうがよかったですね。
演奏終了後に、広上がマイクで挨拶。「今日も満員御礼です。来年もこれにも増してご支援をお願いします」と話しました。また、３月で退団する団員の卒業式。広上から紹介されて、３人の団員が起立。団員から花束が贈呈されました。
「もう１曲あります」と話して、アンコール。「今日は大河ドラマの曲はやりません。今度（スプリング・コンサート）まとめてやります」と話して、客席がどっと沸きました。「バルトークの小曲を２曲続けて」と話して、バルトーク作曲／ルーマニア民族舞曲集から第４曲、第７曲を演奏。
広上淳一が指揮する定期演奏会の終演後は、レセプションが大ホールホワイエでが行なわれますが、今回は翌日の東京公演の移動のためありませんでした。残念。
前週の都響プロムナードコンサート��337でインバルの濃厚で力強い響きを聴いたせいか、響きが薄く感じられました。技術的な完成度はいいレベルですが、アンサンブルが積極性に欠けるのが今後の課題でしょうか。
今シーズンを振り返ると、「学生券」や「後半券」の導入の効果か、定期演奏会のチケットが完売することが珍しいことではなくなってきました。京響ファンが確実に増えています。常任指揮者就任３年目の演奏も楽しみにしています。ちなみに、首席クラリネット奏者の小谷口直子が今年２月から１年間「文化庁派遣芸術家在外研修員」として、ウィーン国立音楽大学に留学中とのこと。この日は筒井祥夫がトップを吹いていました。
また、京都コンサートホールの最寄り駅の京都市営地下鉄烏丸線北山駅の駅名標の下に「京都コンサートホール前」という案内標が新たに設置されていました。
(2010.4.3記)
