読売日響第114回東京芸術劇場マチネーシリーズ


   
      
2009年9月23日(祝・水)14:00開演
東京芸術劇場大ホール

スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮/読売日本交響楽団
アンドレ・ワッツ(ピアノ)

ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番
ブルックナー/交響曲第9番

座席:A席 2階G列44番


スクロヴァチェフスキ待望のブル9です。スクロヴァチェフスキがザールブリュッケン放送交響楽団を指揮したブルックナー交響曲第9番のCDを聴いてブルックナー開眼した私にとって、絶対に聴き逃せない演奏会でした。シルバーウィーク最終日の東京へ向かいました。チケットは全席完売。

プログラム1曲目は、ベートーヴェン作曲/ピアノ協奏曲第4番。ピアノ独奏は、アンドレ・ワッツ。黒人です。ワッツはピアノのイスに座る前に、スクロヴァチェフスキを指揮台に勧めました。その光景を見て、客席が少し沸きました。
ワッツのピアノはキャンキャンと明るい音色。ショパンのように響きます。静かな第2楽章は息を潜めて聴きました。休みなく続けて、第3楽章へ。
オーケストラは中編成での演奏。しっかり鳴りますが、そんなに重くなりません。やわらかさも兼ね備えていて、まろやかに響きました。アクセントは強めの音圧でまとまった響きを聴かせますが、ホールの豊かな残響であまりきつく感じません。木管楽器が弱い。読売日響みなとみらいホリデー名曲コンサート読売日響名曲シリーズ(西宮公演)でも感じたので、スクロヴァチェフスキはあまり木管楽器を聴かせないのかも知れません。
演奏終了後はアンドレ・ワッツに熱狂的拍手。カーテンコールが何回か行なわれましたが、最後はステージ中央まで行かずに、ステージ横でおじぎしました。今日の演奏会の主役はスクロヴァチェフスキだということでしょう。

休憩後のプログラム2曲目は、ブルックナー作曲/交響曲第9番。すごいものを聴きました。スクロヴァチェフスキの集大成と言っていいでしょう。これまでに読売日本交響楽団を指揮した他のどの演奏よりもよかった。心拍数が上がって、呼吸困難になりそうでした。汗と涙でぐっしょりでした。余韻を楽しみたいので、しばらく他の音楽は聴きたくありません。
読売日本交響楽団も大健闘。響きに一体感がありました。細かなキズはありますが、なかなかの完成度でじゅうぶん合格点を与えられます。低音がしっかり鳴ってバランスもいい。トランペットとトロンボーンの強奏の鳴りっぷりも文句なし。木管楽器の合いの手の細かな音符も強調しました。東京芸術劇場のホール音響もブルックナーに理想的でした。マイクがぶら下がっていておそらくライヴ録音されたようなので、ぜひCD化を切望したいです。来年3月に演奏されるブルックナー交響曲第8番も名演必至でしょう。
スクロヴァチェフスキは譜面台なしで指揮。ホルンの音量が大きいようで、ときどき左の手を広げて左右に振って指示していました。
第1楽章はザールブリュッケン放送交響楽団を指揮したCDよりも全体的に速めのテンポ設定。冒頭からしびれました。27小節からの第1ヴァイオリンは、二分音符と四分音符をスラーでつなげるように演奏。63小節からの強奏は、胸が熱くなりました。190小節は第2クラリネットをリタルタンドさせてから次の小節へ。253小節からはやや速めに進めるなど、緩急をつけたテンポ設定でした。356小節からのホルンのゲシュトップをかなり強調。ラストは559小節からのホルンとトロンボーンが大盛り上がりで感動しました。
第2楽章の前にチューニング。第2楽章はやや速めのテンポで荒々しい。雛壇最上段に配置されたティンパニも強め。Trioはゆっくりしたテンポでした。
第3楽章は、冒頭の弦楽器がしっかり歌い込みます。5小節からの金管楽器は控えめ。17小節からのティンパニのトレモロは小節単位でアクセントをつけました。これはザールブリュッケン放送交響楽団を指揮したCDにはない新解釈です。171小節のオーボエとクラリネットによる八分音符は大きめに演奏。199小節からのクライマックスの金管楽器も圧倒的。小節のフェルマータは長く伸ばしました。

演奏終了後はカーテンコールが4回行なわれましたが、意外にもあっさり終了しました。少し物足りなく思っていたところ、CD購入者限定でスクロヴァチェフスキのサイン会が行なわれるとのこと。まさかこんな機会が設けられるとは思わなかったので、迷わず参加しました。ロビーのHMVの出店でCDを購入することが参加条件です。読売日本交響楽団を指揮したCDにしようかと思いましたが、やはりこの日の演奏曲目のほうがいいと思ったので、すでに持っていますが、ザールブリュッケン放送交響楽団を指揮したブルックナー交響曲第9番(エームス・クラシックス国内盤 BVCO-38015 1575円)を購入しました。
読売日響第160回東京芸術劇場名曲シリーズのシルヴァン・カンブルランのサイン会は、ロビーで行なわれましたが、今回の会場はホールの楽屋とのこと。大ホール1階廊下の楽屋口前に100人くらいが並びました。ホールの中に入るのはもちろん初めてでしたが、楽屋口の扉の向こうは、ステージの下手袖になっていました。意外に広い。演奏を終えた楽団員が通行されていました。衣装箱などが置かれていて、終演後の後片付けの様子も分かりました。
楽屋の前に机が置かれていて、スクロヴァチェフスキが座っていました。ご高齢のため、サインは1点のみ、握手は不可、2ショットの写真撮影も不可という条件だったので、サイン会は流れ作業のようにどんどん流れていきます。少し味気ない気もしました。
私の順番が来たので、CDジャケット表面にサインしてもらいました。せっかくの機会なので「I came from Kyoto」と自己紹介。また「西宮に来ていただいてありがとうございました」と読売日響名曲シリーズ(西宮公演)のお礼をしました。スクロヴァチェフスキの隣に立っていた女性の通訳が、英語でスクロヴァチェフスキに話していただきました。スクロヴァチェフスキは、厳格で気合いが入っている指揮台での表情とは異なり、力が抜けておだやか。やはり86歳はご高齢だなと感じました。私の話には「ああ」という感じで聞いていただきましたが、特にお返事はありませんでした。下を向いて、黙々とサインされました。

スクロヴァチェフスキは来年3月に読売日本交響楽団常任指揮者を退任します。私が聴くのはたぶん最後の演奏会になりそうです。退任後は来日の頻度は少なくなるでしょうが、ぜひ今後も客演していただいて、演奏を聴きに行きたいです。

(2009.9.27記)


スクロヴァチェフスキポスター 大ホール催し物ポスター 大ホールエスカレーター 大ホール催し物ポスター スクロヴァチェフスキサイン会



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