|
|
2009年9月17日(木)19:00開演 兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮/読売日本交響楽団 バルトーク/管弦楽のための協奏曲 座席:A席 1階Q列6番 |
2010年3月で読売日本交響楽団第8代常任指揮者を退任するスクロヴァチェフスキが、兵庫県立芸術文化センターに凱旋です。バルトークとラヴェルの興味深いプログラムで、2日前の「第164回東京芸術劇場名曲シリーズ」と同一プログラムですが、平日に東京に行くのは無理なのであきらめていました。関西で聴けるとは本当にラッキーです。スクロヴァチェフスキは今年で86歳なのに、来ていただいて感謝感激です。スクロヴァチェフスキを聴くのは、読売日響みなとみらいホリデー名曲コンサート以来です。
客の入りは9割ほど。TVカメラが数台入っていました。また、ロビーで次期常任指揮者シルヴァン・カンブルランの就任披露演奏会となる「読売日響名曲シリーズ大阪公演」(2010.5.3)の特別先行予約を受け付けていました。
プログラム1曲目は、バルトーク作曲/管弦楽のための協奏曲。スクロヴァチェフスキがゆっくり登場。ステージには雛壇が4段も積まれています。前列から木管楽器が2列、金管楽器、最後列の打楽器は高い位置にあります。スクロヴァチェフスキはスコアをめくりながら指揮。演奏は音程が正確。オーケストラが自由に歌うことなく、スクロヴァチェフスキにコントロールされています。局地的なデフォルメも少なく、正攻法の音楽作りでした。楽器別では、ヴィオラが強いボウイングでよく聴こえます。管楽器はセーブされていて控えめ。もう少し鳴らして欲しいです。
第2楽章「対の遊び」が、スクロヴァチェフスキらしい演奏。遊びは少なく、まじめにスコアを追求した演奏でした。メロディーよりも弦楽器の細かな音符を主張させます。123小節からの金管楽器のコラールはスラーをはっきり切りました。第3楽章は74小節からのホルンのcon sord.は長め。第5楽章188小節からはゆっくりしたテンポからはじめてテンポアップしました。
休憩後のプログラム2曲目は、ラヴェル作曲/スペイン狂詩曲。スクロヴァチェフスキが指揮するフランス音楽は初めて聴きます。縦線や拍感を重視して、抑揚は控えめ。響きが硬く、音色を融合させることなく各楽器の個性を残しているので、色彩感に乏しい。表情は打楽器で味付けしていました。
プログラム3曲目は、ラヴェル作曲/ボレロ。やや速めのテンポ設定。小太鼓が超弱音でスタート。どこで演奏しているのか分かりませんでしたが、ヴァイオリンとヴィオラの間の3列目(雛壇の手前)で演奏していました。ただ、小太鼓は響きすぎ。中盤ですでに盛り上がってしまって少しうるさく感じました。291小節からのもう1台の小太鼓は、雛壇最上段の左に配置されていました。小太鼓に比べてメロディーは抑えすぎ。最後までリズム音型が大きく聴こえたので、メロディーはもっと高揚してほしいです。また、メロディーを担当するソロ楽器の受け渡しも楽器によって音量に差があるなどいまいち。小太鼓の音符の粒や音量があまり揃っていなかったり、ソロホルンの伴奏が3連符と6連符を間違ったりしたので、技術的には京都市交響楽団第525回定期演奏会のほうが上でした。
スクロヴァチェフスキはこの曲は譜面なしで指揮。指揮棒をあまり動かさないで指揮しました。京都市交響楽団第525回定期演奏会のジョン・アクセルロッドとは対照的です。
練習番号4からのヴァイオリンとヴィオラの伴奏は京都市交響楽団第525回定期演奏会と同じく、楽器を寝かせてギターのように演奏しました。サックス2台はフルートの左隣で演奏。
演奏終了後は、スクロヴァチェフスキがコンサートマスターを連れ立って退場しました。
(2009.9.20記)