読売日響みなとみらいホリデー名曲コンサート


   
      
2009年3月22日(日)14:00開演
横浜みなとみらいホール大ホール

スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮/読売日本交響楽団

チャイコフスキー/弦楽セレナーデ
ストラヴィンスキー/管楽器のための交響曲
ブラームス/交響曲第4番

座席:B席 3階C 1列18番


読売日本交響楽団第8代常任指揮者に就任したスタニスラフ・スクロヴァチェフスキの任期は、当初2007年4月から2009年3月までの2年間でした。その後、2010年3月まで1年間任期を延長することが2008年4月に発表されました。この日の演奏会は、本来であれば、2年間のスクロヴァチェフスキの常任指揮者としての最後のステージとなった演奏会です。読売日本交響楽団は、横浜で「読売日響みなとみらいホリデー名曲コンサート」を年に8回行なっています。チケットは神奈川芸術協会で取り扱っています。
また、演奏曲目に変更がありました。プログラム2曲目は、スクロヴァチェフスキ作曲の「読売日響・ミネソタ管他共同委嘱作品」が予定されていましたが、2月になって、ストラヴィンスキー作曲/管楽器のための交響曲に曲目変更されました。曲目変更を知らせるハガキが届き、ホール内でも繰り返しアナウンスされました。変更された理由は「作曲者・スクロヴァチェフスキ氏の都合」と説明されていますが、作品名が明らかにされなかったことから考えると、作曲が間に合わなかった可能性が高いと思われます。結果的に、プログラム1曲目(チャイコフスキー)は弦楽器、2曲目(ストラヴィンスキー)は管楽器、3曲目(ブラームス)は、トゥッティというプログラム構成になりました。ブラームスの交響曲は、2007年から始まった交響曲全曲演奏の完結編です。第1番と第2番はライヴ録音でCD化されています。

横浜みなとみらいホールで聴くのは、日本フィルハーモニー交響楽団第193回横浜定期演奏会以来、実に5年ぶりで、東急東横線の桜木町駅が廃止されてからは初めてです。横浜みなとみらいホールはクイーンズスクエア横浜の建物と一体になっています。クロークがホール入口の外にあるのが珍しい。座席は前に聴いたときと同じ3階席のCブロックにしました。高い場所にあるので、ステージ全体がよく見渡せます。視覚的にもステージに近いです。2階席のCブロックは全席が雨宿り席なので、2階席よりは3階席のほうが音響的にはいいかもしれません。客の入りは7割程度で、意外に空席がありました。

プログラム1曲目は、チャイコフスキー作曲/弦楽セレナーデ。弦楽器奏者が入場。大編成での演奏です。スクロヴァチェフスキがゆっくり登場。豊かな響きですが、コントラバスのアクセントがよく効いています。あまり流されずに、音符の粒立ちをはっきり聴かせます。スラーやタイの有無など、アーティキュレーションをはっきり聴かせます。伴奏にもしっかり主張が感じられました。CD化されたら買いたいです。楽章の間であまり間を置かず、4つの楽章を続けて聴かせたいようでした。スクロヴァチェフスキは、スコアをめくりながら指揮。小刻みに指揮棒や腕を動かしました。
第1楽章から速めのテンポ。6小節2拍目の2連符をテヌート気味に演奏。7小節でスビト・ピアノの後にクレシェンド。スクロヴァチェフスキらしい表現です。第3楽章は、第12回京都の秋音楽祭開会記念コンサートのアンコールで、広上淳一指揮/京都市交響楽団の演奏を聴きました。広上淳一はメロディーに伴奏を巻き込んで大きな流れを作り出しましたが、スクロヴァチェフスキはメロディーと伴奏の役割分担をさせた上で、伴奏の上に載せるようにメロディーを演奏させました。21小節からのピツィカートの受け渡しも強調。第4楽章44小節からのAllegro con spiritoは、細かな音符の縦線を正確に合わせましたが、きっちりしすぎてベートーヴェンを聴いているようでした。最後の音符は長く伸ばさずに、スコア通りの長さで切り上げました。

プログラム2曲目は、ストラヴィンスキー作曲/管楽器のための交響曲。弦楽器奏者が全員退場して、今度は管楽器奏者が登場。打楽器は使用しません。管楽器奏者は通常の通り雛壇に座りました。指揮台の上で指揮するスクロヴァチェフスキとの距離が離れているので、見た目は少し変な感じです。
この作品は「交響曲」というタイトルですが、単一楽章で12分程度の作品です。あっという間に終わってしまいました。作曲された時期としては、「春の祭典」よりもだいぶ後なので、新古典主義の影響を受けた作品といえますが、作品に魅力が感じられませんでした。スクロヴァチェフスキも交響曲というよりも小品として聴かせましたが、演奏がいただけませんでした。上述したように曲目変更があったため、少し練習不足でしょうか。全体的に頼りなさげに聴こえてしまったので、アクセントを鋭くつけてほしいです。また、木管楽器が聴こえないので、もっとがんばってほしいです。終盤のコラールも緊張感に欠けます。最後の終わり方も中途半端。カーテンコールではスクロヴァチェフスキは管楽器奏者の横に並んで、拍手を受けていました。

休憩後のプログラム3曲目は、ブラームス作曲/交響曲第4番。スクロヴァチェフスキはこの作品は譜面台なしで指揮。予想に反して、かっちり固めないで、横に流れる演奏でした。音色もやわらかい。強奏は聴きごたえがありますが、弱奏は緊張感に欠けます。1曲目のチャイコフスキーのほうがスクロヴァチェフスキの個性がよく現れた演奏でした。読売日本交響楽団第501回名曲シリーズに続いて、メインの曲が期待外れで残念。前曲のストラヴィンスキーに続いて、木管楽器が弱い。ホールの座席の問題でしょうか。
第1楽章の冒頭もなめらか。57小節からのヴァイオリンのピツィカートは大きく演奏。394小節頃から徐々にアッチェレランドして、盛り上がりました。第2楽章はちょっと長く感じました。第3楽章は弦楽器がよくそろっています。第4楽章も旋律をよく歌いこみました。ただ、ヴァイオリン主導なので、それ以外の楽器ももう少しがんばってほしいです。最後の音符は長く伸ばさずに、スコア通りの長さで切り上げました。
演奏終了後は、カーテンコールが何回か行なわれた後、最後はスクロヴァチェフスキがコンサートマスターの手をつないで一緒に退場しました。少し疲れたようです。

(2009.3.29記)


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