京都大学交響楽団第179回定期演奏会


   
      
2006年6月28日(水)19:00開演
京都コンサートホール大ホール

藤岡幸夫指揮/京都大学交響楽団

シベリウス/交響詩「フィンランディア」
シベリウス/交響曲第7番
チャイコフスキー/交響曲第6番「悲愴」

座席:S席 1階13列23番


京都大学交響楽団の定期演奏会は一流の指揮者が客演して、安価なチケット代で聴けるので毎回楽しみにしています。今回は関西フィルハーモニー管弦楽団正指揮者の藤岡幸夫が客演しました。
いつものように1階ホール入口で座席券を受け取る当日座席指定方式でした。平日公演なのにホールはほぼ満席でした。びっくり。

プログラム1曲目は、シベリウス作曲/交響詩「フィンランディア」。藤岡幸夫がステージに登場するときに、舞台袖で「よしっ」という藤岡氏の(?)大きな声が聞こえました。演奏は、音が正確に出ないなど技術的な精度に欠ける内容で、いまひとつの出来。パート内での響きのまとまりも乏しく、バランスも悪い。藤岡氏は左手のこぶしを震わせて音量を要求するなどエネルギッシュな指揮でしたが、その反面荒削りな演奏になってしまったのが残念。

プログラム2曲目は、シベリウス作曲/交響曲第7番。私の大好きな曲なので、演奏会で聴くことができて感激です。全体的にダイナミクスの幅やメリハリに欠ける演奏で、作品のおもしろさが半減してしまいました。特にテンポが変わる寸前の演奏があいまいで、きっちりギアチェンジできていません。強奏ではもっと濃密な響きや雄大で宇宙的な広がりが必要でしょう。もっとドラマティックな作品だと思うのですが、平凡な演奏になってしまったのが残念。一番の聴きどころの第4楽章は、管楽器の音量が小さくて、息の長いメロディーが聴こえませんでした。終盤の盛り上がりでは、星が激突したような爆発的なエネルギーが欲しいです。弦楽器による「天上の響き」はすばらしかったです。

休憩後のプログラム3曲目は、チャイコフスキー作曲/交響曲第6番「悲愴」。メインの曲にしては不出来な演奏。特にテンポキープができていませんでした。藤岡幸夫は指揮棒を使って縦線を合わせようとしていましたが、団員は指揮をあまり見ていないようでした。技術的に大変難しい曲なようで、勢いまかせの一般的なアマチュアオーケストラの演奏水準になってしまったのがとても残念。第1楽章は、強奏での音色が汚いのが気になりました。第2楽章も5拍子のせいかだんだんテンポが早くなりました。第3楽章は、テンポキープがかなり危なっかしい部分がありました。第3楽章から第4楽章は続けて演奏。おそらく第3楽章の後で拍手する人がいるからでしょう。第4楽章は、技術的に平易に書かれているので、まとまった響きが聴けました。この響きを最初から聴きたかったです。やや速めのテンポで、重たく引きずるようなテンポ設定ではありませんでした。藤岡幸夫の指揮も自己主張がいまひとつで、何を聴かせたいのかがよく分かりませんでした。
演奏終了後はカーテンコールが数回あっただけで、アンコールもなく終了。ちょっとあっさりすぎました。

藤岡幸夫の指揮は若々しく情熱的な指揮でした。奏者の自主性を尊重した音楽造りでしたが、緻密な音楽設計に欠けるように感じました。
京都大学交響楽団の定期演奏会には、今まで3回(第174回第175回第178回)行きましたが、今回の演奏会が一番不出来な演奏でした。プログラムの選曲ミスなのかもしれません。1月と6月に定期演奏会を開催していますが、1月の定期演奏会のほうが完成度の高い演奏を聴かせているので、オーケストラのレベルが下がったわけではないと理解しておきます。国内で活躍する指揮者の実力を聴きくらべできるので、また聴きに行こうと思います。次回の第180回定期演奏会は創立90周年記念特別公演として、大阪(ザ・シンフォニーホール)、京都(京都コンサートホール)、東京(サントリーホール)で公演するようです。

(2006.7.3記)




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