京都大学交響楽団第175回定期演奏会


   
      
2004年6月26日(土)19:00開演
京都コンサートホール大ホール

曽我大介指揮/京都大学交響楽団
エピファニオ・コミス(ピアノ)

ベートーヴェン/「エグモント」序曲
ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第2番
フランク/交響曲

座席:S席 1階 20列23番


京都大学交響楽団は、1月の第174回定期演奏会ですばらしいショスタコーヴィチを聴いて以来、私が最も注目するアマチュアオーケストラになりました。今回の演奏会は土曜日ということもあって、当日券が発売されないほどの盛況でした。座席は当日座席指定でしたが、発券にけっこう時間がかかりました。こちらの希望を聞いてもらえるわけではなく、機械的に席を割り振っているだけなのですが、もう少し改善を望みたいです。客席はほぼ99%の入り。学生オーケストラにしては快挙です。
客演指揮の曽我大介は、現在ルーマニア国立放送交響楽団の首席客演指揮者を務めています。2003年まで大阪シンフォニカー交響楽団の音楽監督・常任指揮者を務めていました。曽我がステージに登場。予想以上に長身でした。オーケストラの配置は、前回と違って通常の配置でした。

プログラム1曲目は、ベートーヴェン作曲/「エグモント」序曲。音程など正確に演奏していましたが、いまひとつ迫力に欠けました。4月の第17回NTT西日本N響コンサートでのスクロヴァチェフスキとNHK交響楽団の演奏が頭にあったのか、響きがまとまりきっていない印象を受けました。低音はもっと欲しいです。曽我は腕を突き出して、激しい指揮を見せました。

プログラム2曲目は、ラフマニノフ作曲/ピアノ協奏曲第2番。ピアノ独奏はエピファニオ・コミス。曽我がこの演奏のためにイタリアから呼んできたらしいです。コミスのピアノは、イタリア風の澄み切った明るい音色でしたが、アクセントがとても弱いので、ロシア音楽らしい力強さを感じさせません。この作品を弾くには少し冷静すぎるように感じました。薄っぺらく感じてしまう部分もありました。また、コミスのテンポが遅いようで、曽我が煽っていましたが、あまりテンポは上がりませんでした。オーケストラも協奏曲の伴奏は慣れていないのか、やや無表情でした。
演奏後、拍手に応えてコミスがアンコール。ショパン作曲/夜想曲作品48-2を演奏。明瞭なタッチで聴かせました。

休憩後のプログラム3曲目は、フランク作曲/交響曲。演奏の精度は高いですが、オルガン的な響きが聴かれませんでした。この作品はCDでカラヤンやチェリビダッケの名演を聴いているだけあって、やや物足りなさを感じました。強奏になるとバランスが悪くなるのは、曽我のアプローチの問題でしょう。あまりフランス音楽らしい演奏ではありませんでした。金管がやや粗いのが残念。トランペットはよく鳴りましたが、音色がやや汚い。トロンボーンはもう少し音量が欲しいです。ヴァイオリンはすばらしい演奏を聴かせました。

前回は学生オケ離れした演奏にカルチャーショックに近い衝撃を受けましたが、今回は学生オーケストラとして聴いていませんし、かなり期待して聴いたので、その分受けた感銘はあまり大きくありませんでした。今回の選曲はごまかしがきかないというか、細かな技術を要求される作品だったように感じました。また次回の演奏会に期待です。

(2004.6.27記)




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