京都大学交響楽団第178回定期演奏会


   
       2006年1月21日(土)19:00開演
京都コンサートホール大ホール

北原幸男指揮/京都大学交響楽団

フンパーディンク/歌劇「ヘンゼルとグレーテル」前奏曲
メンデルスゾーン/交響曲第4番「イタリア」
ショスタコーヴィチ/交響曲第5番

座席:S席 1階 17列28番


2006年の聴き初めです。第174回定期演奏会でショスタコーヴィチ作曲/交響曲第10番を熱演した京都大学交響楽団が、ショスタコーヴィチ生誕100年に当たる今年は交響曲第5番をプログラムに入れました。今回の客演指揮は、北原幸男氏。

17:30から座席券交換開始でしたが、すでに長い行列ができていました。15分ほど並んでやっと座席券を受け取りました。ホールはポディウム席までほぼ満席。聞くところによると、当日券は発売されなかったようです。

プログラム1曲目は、フンパーディンク作曲/歌劇「ヘンゼルとグレーテル」前奏曲。北原氏が登場。背が高い。演奏ですが、ヴァイオリンが正確な音程で、なめらかな音色を奏でました。全体的にあまり表情をつけなかったのは、北原氏の好みでしょうか。管楽器は音の跳躍が少し不器用。

プログラム2曲目は、メンデルスゾーン作曲/交響曲第4番「イタリア」。この作品もヴァイオリンが大活躍で、縦線や音程も完璧。第4楽章のPrestoも食らいつくように演奏。「プロ級」というよりも、ここまでできると「プロ」です。ヴァイオリンがオーケストラ全体を主導していました。ただ、ヴィオラ以下の弦楽器の音量が小さく、ほとんど聴こえません。全体的にこじんまりした演奏になってしまったのが残念。強奏はもっと鳴らして欲しいです。また、管楽器は意外に音程の悪さが目立ちました。過去の定期演奏会と比べると、管楽器は少しレベルダウンしたような印象を受けました。ちょっと期待はずれ。
北原氏はこの作品は譜面台なしで指揮。強奏でもあまり大きく振ることはありませんでした。

休憩後のプログラム3曲目は、ショスタコーヴィチ作曲/交響曲第5番。前半のプログラムで感じた不安は解消し、オーケストラの総合力を遺憾なく発揮した演奏となりました。第1楽章から透明感のある音場にびっくり。Allegro non troppo以降の盛り上がりもすばらしく、何回か目頭が熱くなりました。第1楽章は作品がいいですね。第2楽章と第3楽章はほぼインテンポで演奏。第3楽章の練習番号82の4小節でクレシェンドの前にスビトピアノを仕掛けたのは、スコアにない北原氏の独自の解釈。第4楽章のコーダはゆっくりしたテンポで演奏。
北原氏はこの作品も譜面台なしで指揮。前半と同じく冷静な指揮でしたが、ところどころで腕を大きく上下に動かしていました。

北原幸男は、誠実な指揮でした。スコアを逸脱するような解釈はなく、作品を丁寧に演奏する姿勢が感じられました。

京都大学交響楽団は、今回の演奏会でも学生オーケストラ離れした演奏を聴かせてくれました。交響曲第10番に続いて第5番を聴きましたが、ショスタコーヴィチはこのオーケストラにぴったりの選曲のように感じました。またショスタコーヴィチを取り上げて欲しいです。
これだけ完成度の高い演奏がお手頃価格(S席1,500円)で聴けるのが魅力です。客演指揮者も知名度の高い指揮者なので、毎回楽しみです。次回も都合がつけば聴きに行きたいです。

(2006.1.23記)

 



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