京都大学交響楽団第218回定期演奏会
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2026年1月17日(土)19:00開演 京都コンサートホール大ホール 田中祐子指揮/京都大学交響楽団 リスト/交響詩「レ・プレリュード」 座席:S席 3階C2列26番 |
2026年の聴き初めです。京都大学交響楽団の定期演奏会に行きました。京大オケは1916年(大正5年)12月に創団されて、今年で創立110周年を迎えました。
今回の客演指揮は田中祐子。現在はフリーの指揮者です。京都大学交響楽団とは第204回定期演奏会(2019.1.9 ザ・シンフォニーホール、2019.1.11 京都コンサートホール大ホール)以来の7年ぶり2回目の客演で、ベルリオーズ「幻想交響曲」が名演だったようです。田中の指揮を聴くのは、京都フィルハーモニー室内合奏団創立50周年記念第248回定期公演A「室内オーケストラで聴く大作Vol.5」以来です。京都大学交響楽団のX(@kyodaioke)で、2025年6月に客演指揮者(田中)とヴァイオリン独奏(篠崎史紀)が発表されました。8月に曲目が決定。10月には田中祐子と篠崎史紀を招いて2日間のホール練習。12月25日には田中祐子と夫の長哲也(東京都交響楽団首席ファゴット奏者)が夫婦で指導しに来たようです。
本公演の2日前に大阪公演(2026.1.15 ザ・シンフォニーホール)が開催されました。チケットは全席指定で、S席2,000円、A席1,500円、オンライン配信1,000円(京都公演のみ)。チケットはteket(テケト)で10月26日から発売開始。座席指定で購入できました。11月25日に早くも京都公演のチケットが完売しました。続いて、12月30日には大阪公演のチケットも完売しました。
京都大学交響楽団は1月1日に放送されたテレビ朝日系「芸能人格付けチェック!2026お正月スペシャル」に出演しました。「チェック⑤ オーケストラ」(プロVSアマチュア)で、松崎しげるのボーカルで「愛のメモリー」(1977年)を演奏。日本センチュリー交響楽団(粟辻聡指揮)との聴きくらべでしたが、京都大学交響楽団のほうがうまく感じました。弦楽器の音量を抑えて、打楽器や木管楽器の色彩感はプロ級でした。出演者で正解できたのはGACKT(86連勝)と伊野尾慧(Hey! Say! JUMP)だけで、不正解者が続出しました。音楽部長の依田高典(経済学研究科教授)が1月2日にX(@takanoriida) で、「反響が大きそうなので「大学オケがプロオケよりも上手い」という誤解が起きないようにご説明をいたします。」とポスト。「演奏した20数名は選りすぐりの精鋭で音大生並みの技量を持ち、もしも音楽を職業に選んでいたならばプロになれた者も含まれています。(略)しかし、ソロまたは大編成で大曲難曲を通しで演奏すれば、大学オケがプロに適うはずがありません。」と解説しました。Yahoo!ニュースでも取り上げられて、このテレビ出演によって、京都大学交響楽団の知名度がさらに増しましたね。いやー、お見事でした。
メールに届いたQRコードを、ホールの入口でスタッフが手持ちのスキャナに読み込ませて入場します。プログラムの演奏者一覧によると、メンバーは客演を含めて134名で、大学院生が8名います。他大学の団員も28名います(京都工芸繊維大学、京都芸術大学(=瓜芸)、京都府立大学、京都府立医科大学、京都女子大学、同志社大学、同志社女子大学、立命館大学、滋賀大学、大阪電気通信大学、奈良女子大学)。メンバー配置図がプログラムに挟み込まれていました。プログラムの作品解説はメンバーが執筆していて、譜例付きで本格的です。パート紹介が今回もユニークでおもしろい。
開演10分前に、音楽部長の依田高典(経済学研究科教授)が挨拶。いつものようにプログラムに掲載されたあいさつ文をそのまま読みました。団員の入場時に盛大な拍手。京響の入場時以上の音量で、本公演の期待の高さがうかがえます。コンサートミストレスはなんと同志社大学3回生。
プログラム1曲目は、リスト作曲/交響詩「レ・プレリュード」。前回に田中が客演した第204回定期演奏会でも1曲目で演奏されました。1曲目から大編成です。弦楽器の一体感がすばらしい。響きの深さや分厚さは京響以上です。管楽器の音色が汚く感じるので、洗練されればなおよいでしょう。弦楽器がすばらしいので目立ってしまいました。オーケストラは田中の指揮棒に機敏に反応しました。田中の指揮は両腕を広げるなど師匠の広上淳一譲りなのか分かりやすい。
プログラム2曲目は、メンデルスゾーン作曲/ヴァイオリン協奏曲。ヴァイオリン独奏は、篠崎史紀(ふみのり)。篠崎は62歳で、「MARO」の愛称で呼ばれることが多い。2025年3月末でNHK交響楽団特別コンサートマスターを退任しました。2024年度から九州交響楽団ミュージックアドバイザーを務めています。パンフレットのプロフィールが幼少期の細かすぎるエピソードが掲載されてユニークですが、本人が執筆したのでしょうか。
篠崎を聴くのはおそらく初めてでした。ヴァイオリンのヘッド(糸巻きがある方)をぶら下げるように持って登場(石田泰尚に似ています)。恰幅がよく貫禄があります。白髪でメガネはかけていません。オーケストラは中編成。冒頭のヴァイオリン独奏は弱奏でスタート。ソロが終わると、篠崎は62小節からオーケストラを向いてトゥッティのパートを一緒に演奏。篠崎は大きな音量を出しません。この曲はこれまで何回も聴いてきたのに、あまり好きではなかったのですが、この演奏を聴いて作品のイメージが変わりました。初めてこの作品の魅力が分かったといっても過言ではありません。篠崎は抑揚をつけてアクセントを強めにつける独特のアーティキュレーションです。休みなく第2楽章へ、篠崎はまたも弱奏ですが、オーケストラも音量を合わせました。イタリアを感じさせる明るい音色です。休みなく第3楽章へ。速めのテンポ。篠崎のソロをオーケストラが好サポート。
演奏後に花束贈呈。篠崎は花束を指揮者の譜面台に置いてアンコール。ハイドン作曲(クライスラー編)/オーストリア皇帝讃歌を演奏。重音が多い。カーテンコールでは篠崎は田中と手をつないで出入りしましたが、田中の指揮を評価しているようでした。なお、篠﨑は本公演の翌日に「篠崎 “MARO” 史紀のニューイヤーコンサート2026」(東京芸術劇場コンサートホール)に出演しました。超ご多忙です。なお、大阪公演では、休憩中に田中と篠崎のトークがあったようですが、京都公演ではありませんでした。
休憩後のプログラム3曲目は、ラフマニノフ作曲/交響曲第2番。第1楽章からヴァイオリンがなめらか。50小節のffに向けてゆっくり着実に盛り上げます。64小節からのイングリッシュホルンが大きい(スコアではp)。69小節(Allegro moderato)からやや速めのテンポ。メロディーが聴こえにくいところがあり、もう少し抑えて欲しいパートがあります。ちょっと盛り上がりやすく熱くなりすぎるでしょうか。ヴァイオリンが表情の豊かさが格別で、大学オケだということを忘れるほどです。第2楽章も標準的なテンポ。ヴァイオリンのメロディーは跳躍もあって難しいはずですが、楽々と演奏しました。189小節(Meno mosso)から第2ヴァイオリン→第1ヴァイオリン→ヴィオラ→チェロの順に、八分音符のパッセージが受け継がれていきますが、弦楽器のアンサンブルはうまいなあと感心しました。技術的な問題をまったく感じません。第3楽章はよく歌います。87小節に向けてものすごい盛り上げ方。弦楽器の安定感がプロ級です。最後の小節のディミヌエンドは、チェロとコントラバスのフェルマータがすごくきれいに消えていきました。第4楽章はにぎやかに鳴ります。131小節からの主題は、田中の指揮棒に合わせて変幻自在に抑揚をつけます。弦楽器のすばらしさを改めて再確認しました。21:25に終演。
学生オーケストラと思えないレベルの高さを再認識しました。特に弦楽器がすばらしい。管楽器も頑張ってください。田中祐子はX(@yukolin78)で、「想像以上の集中力。学歴は関係ない。(中略)彼らがプロより上手いかどうかは愚問。そもそもそんな単純な土俵で生きていない。多くを学んだ半年でした✨ 京大オケ最高‼️」とポストしています。また客演して欲しいです。
本公演に先立って、12月6日(土)16:30から河原町ガーデン1階ピロティで、アンサンブルステージが開催されました。第215回定期演奏会の開催前にも同所で演奏していて、定番の情宣となりつつあります。チケット販売ブースもありましたが、この時点ですでに京都公演のチケットが完売したのは想定外だったことでしょう。木管五重奏、金管五重奏、弦楽四重奏を披露しました。屋外なのでけっこう寒く、四条河原町交差点の信号機の音がうるさく、途中で救急車のサイレンでかき消されてしまいましたが、演奏する方も大変だったことでしょう。クリスマスが間近ということで、クリスマスソングが多く演奏されました。
トップバッターの木管五重奏は、左から、フルート、オーボエ、ホルン、ファゴット、クラリネットの編成で、3曲演奏しました。1曲目は近衛秀健編曲「クリスマスソング・コレクション」。音色がきれい。2曲目は、石川亮太編曲「山の音楽家じゅんばん協奏曲」。ドイツ民謡「山の音楽家」、チャイコフスキー「白鳥の湖」情景、モーツァルト「ホルン協奏曲第1番」第1楽章、ビゼー「アルルの女」間奏曲、デュカス「魔法使いの弟子」、ポーランド民謡「クラリネットポルカ」の有名なメロディーがメドレーで続きます。5人でも立派に聴こえます。よく響いていい選曲です。3曲目はフォスター作曲「おおスザンナ」。
続いて、金管五重奏。左から、トランペット、トロンボーン、チューバ、ホルン、トランペット。サンタクロースの帽子をかぶって演奏。サンタの帽子のおかげで、立ち止まって写真を撮る人が多い。1曲目はJohn Iveson編曲「Christmas Crackers」。「ジングルベル」の冒頭はトランペット奏者が鈴を鳴らしました。「荒野の果てに」も演奏、チューバがバリバリ吹いて存在感があります。2曲目は「Take On Me」。ジャジーな曲で、5人でも重厚な響きです。3曲目は「魔女の宅急便」メドレー。メドレーの最後に主題歌の荒井由実「ルージュの伝言」が演奏されました。
最後に、弦楽四重奏。左から、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの順で、サンタの帽子やトナカイの角をつけて登場。弦楽四重奏は音量が小さい。1曲目は「きよしこの夜~ホワイトクリスマス~ジングルベル~サンタが街にやってくる」、2曲目は「ホール・ニュー・ワールド」、3曲目は「踊り明かそう」。17:25に終演。京都大学交響楽団のXに抜粋映像が掲載されました。
