管・打楽三昧


 

2025年12月20日(土)14:00開演
京都市立芸術大学堀場信吉記念ホール

京都市立芸術大学音楽学部・大学院 管・打楽専攻生

第1部 14:00~15:20
 カンジェローシ/ジャズ・オン・サターン〔打楽器5重奏〕
 ベートーヴェン/2本のオーボエとイングリッシュホルンのための三重奏曲より第1楽章〔オーボエ3重奏〕
 チータム/A Brass Menagerie〔金管5重奏〕
 クレスポ/アメリカ組曲第1番〔金管5重奏〕
 ライネッケ/木管八重奏曲より1,2楽章〔木管8重奏〕

第2部 15:35~16:45
 ライヒ/マレット・カルテット〔鍵盤打楽器4重奏〕
 真島俊夫/レ・ジャルダンより1,3楽章〔クラリネット4重奏〕
 伊藤康英/ユーフォニアムパフェ〔ユーフォニアム4重奏〕
 葛西竜之介/白風〔フルート8重奏〕
 スメタナ(福田彩乃編)/連作交響詩「我が祖国」より第2曲「モルダウ」〔サクソフォン10重奏〕

第3部 17:00~18:15
 ジヴコヴィッチ/トリオ・パー・ウノ〔打楽器3重奏〕
 ベーメ/金管六重奏曲〔金管6重奏〕
 ラフ/シンフォニエッタより1,4楽章〔木管10重奏〕
 リード/金管と打楽器のための交響曲〔金管・打楽器アンサンブル〕

座席:自由


 
今年も京都市立芸術大学の管・打楽専攻生による演奏会「管・打楽三昧」に行きました。京都市立芸術大学が崇仁キャンパスに移転した2024年度から始まって、「管・打楽合奏」の授業の締めくくりのアンサンブルコンサートです。昨年の管・打楽三昧で開催が予告されました。オータムウィンズフェスト「京芸ウィンズとめぐる東洋と西洋」でチラシが配布されました。入場無料ですが、前日までに予約フォームから申し込みが必要でした。今回は「京都市立芸術大学の管・打楽器を丸ごと楽しめる1日」というキャッチコピーがつきました。
 
昨年の管・打楽三昧は「打楽器三昧」「木管三昧」「金管三昧」の3部構成でしたが、今回は木管楽器、金管楽器、打楽器のアンサンブルがランダムに出演しました。12月17日に京都市立芸術大学管・打楽専攻(通称:京芸ウィンズ)の公式Instagram(@kyogeiwinds)で、プログラムと出演順が発表されました。セッティングの関係で、打楽器アンサンブルが各部のトップバッターです。当初は14:00開演で17:00終演予定(途中休憩2回)の予定でしたが、「学生の演奏意欲がすごくて終演予定時間が17時→18:15となってしまいました」とのこと。3部構成で、全14曲が演奏されました。Instagramで練習風景の動画が掲載されました。映像の編集も凝っています。
 
プログラムには、演奏者名と奏者からの聴きどころのメッセージが掲載されました。出演者名簿によると、フルート9名、オーボエ6名、クラリネット8名(うち1名は交換留学生)、バスーン2名、サクソフォン10名、トランペット9名、ホルン6名、トロンボーン7名、ユーフォニアム4名、チューバ3名、パーカッション8名です。お客さんは昨年の管・打楽三昧よりも多く、120人くらいでした。ただし、曲間で入退場は自由だったので、延べ人数ではもっと多いでしょう。
 
プログラム1曲目は、打楽器5重奏で、カンジェローシ作曲/ジャズ・オン・サターン。いきなりサスペンデッドシンバルのシャーンという音色が目が覚めるように鮮やか。5人がそれぞれ3~4種類の楽器を担当して、ウッドブロックやムチなどいろんな音色が聴こえます。中盤でカラフルなクラッカーを左右から発射。打楽器アンサンブルは昨年の管・打楽三昧も衝撃的な演奏でしたが、今年もむちゃくちゃレベルが高い。
 
舞台転換の間に、4回生が二人ずつ司会を担当して、演奏を終えた奏者にインタビューしました。「オープニングなのでクラッカーがある曲を選んだ」「スコアにはパーティーホッパーと書かれていて、このホールでは火薬が使えないので、火薬なしのクラッカーをAmazonで調べて使った」とのこと。研究熱心ですばらしい。
 
プログラム2曲目は、オーボエ3重奏で、ベートーヴェン作曲/2本のオーボエとイングリッシュホルンのための三重奏曲より第1楽章。左から、オーボエ、イングリッシュホルン、オーボエの順で、ベートーヴェンにこんな編成の曲があるとは知りませんでした。すごくよく響いて、3人で演奏しているとは思えません。細かな連符や長い伸ばし(ロングトーン)など技術力が必要な作品です。演奏前のインタビューで「体力的に大変」とコメントしましたが、3人ともほとんど休みがないので、確かに演奏は大変でしょう。
 
プログラム3曲目は、金管5重奏で、チータム作曲/A Brass Menagerie。メナジェリーとは「珍しい動物を収容する動物園」とのこと。左から、第2トランペット、ホルン、チューバ、トロンボーン、第1トランペットの順で、座って演奏。5つの楽章があり、楽章ごとに動物を表現しているとのことでしたが、鳴き声のような分かりやすいヒントはないので、何の動物か分かりませんでした。第1楽章はテンポが速く、すばしっこさを表現。あまり大きな音を出さなくても、柔らかい響きがホールを満たしてくれます。

プログラム4曲目は、金管5重奏で、クレスポ作曲/アメリカ組曲第1番。演奏前のインタビューでは「学年が違うが、フランクに楽しく練習した」とのこと。カラーシャツに黒ジャケットで、胸ポケットに花を差していました。5つの楽章があります。バランス的にはチューバがもっと響いてほしいです。トランペット×2が前面に出て輝かしく演奏。
 
プログラム5曲目は、木管8重奏で、ライネッケ作曲/木管八重奏曲より1,2楽章。左から、フルート、オーボエ、ホルン×2、ファゴット×2、クラリネット×2の編成。カラフルなカラーシャツで登場。ホルン×2とファゴット×2の編成が珍しい。中低音がどっしりした響きで、2楽章は響きがよくまとまっていました。
 
第1部が予定より時間が押して、第2部は15:40から開演。プログラム6曲目は、鍵盤打楽器4重奏で、ライヒ作曲/マレット・カルテット。前列にビブラフォン×2、後列にマリンバ×2がハの字に配置。マリンバは一定のリズムでずっと和音を叩きます。同じライヒの「ドラミング」に雰囲気は似ています。左の第1ビブラフォンが先行して、右の第2ビブラフォンがメロディーの内声を担当。ビブラフォンの二人で一つのメロディーのようで、ビブラフォンはペダルを頻繁に踏んだり上げたりで足も忙しい。中間部はマリンバがなくなり、ゆったりしたテンポ。後半はまた速いテンポ。第1ビブラフォンが大学院2回生で、リサイタルのような貫禄でした。演奏後のインタビューでは、「メロディーが一定の間隔でずれる」「拍子が違うのですごい集中力が必要」と話しましたが、技術的な難しさを感じさせない名演でした。
 
プログラム7曲目は、クラリネット4重奏で、真島俊夫作曲/レ・ジャルダンより1,3楽章。レ・ジャルダンとは、フランス語で「庭」の意味。2008年の作品です。左から、B♭クラリネット×3、バスクラリネットで立って演奏。第1楽章「画家の庭」はフレージングがよく揃っていて伸びやか。第3楽章「音楽家の庭」はリズミカル。第1クラリネットがずっとメロディーを担当します。
 
プログラム8曲目は、ユーフォニアム4重奏で、伊藤康英作曲/ユーフォニアムパフェ。原曲は「4本のフルートのための組曲「フルーツ・パフェ」」で、第1楽章「フルーツ・パフェ」はちょっと発音がモゴモゴしました。曲が短く、すぐに終わります。第2楽章「マロン・ミロンガ」は、左から1~3人までが大きなミュートを使います。第3楽章「チョコレート・ダモーレ」は伊藤康英の他の作品で聴いたことがあるメロディー。第4楽章「ジェラート・コン・カフェ」は、チョコレート・ダモーレのメロディーが回帰します。
 
プログラム9曲目は、フルート8重奏で、葛西竜之介作曲/白風(びゃくふう)。2017年の作品。演奏前のインタビューで、「アルトフルート、バスフルート、コントラバスフルート(4のやつと説明)が使われる」と説明しました。作品名に合わせて、白い衣装で登場。前列は左からアルトフルート、バスフルート、アルトフルートが座って演奏。後列は左からフルート×2、コントラバスフルート、フルート、ピッコロが立って演奏。なんとも和風なメロディーで、神社のBGMのようです。ピッコロがさわやかな風のようなメロディー。ピッコロがむちゃくちゃうまいと思ったら大学院2回生でした。さすがです。中間部のコントラバスフルートのソロは、フルートとは思えない不思議な音色でした。葛西竜之介は1995年生まれ(若い!)で、フルートの可能性を感じる作品でした。選曲も演奏もすばらしい。
 
プログラム10曲目は、サクソフォン10重奏で、スメタナ作曲(福田彩乃編)/連作交響詩「我が祖国」より第2曲「モルダウ」。福田彩乃は京都市立芸術大学の非常勤講師を務めています。演奏前のインタビューで、「編曲者のレッスンを受けられるのが貴重だった」「オーケストラのような繊細な表現ができるか話し合った」と話しました。左から、ソプラノ×2、アルト×3、バリトン×2、テナー×3の順。やや速めのテンポ。冒頭の原曲のフルートの旋律は、エッジを立てないで演奏。この柔らかさはサクソフォンで表現するのは難しいはずですが、これはすごい。細かな音符をすごくがんばっています。ヴァイオリンで演奏される有名なメロディーは、ソプラノサクソフォンで演奏されました。優雅でなんといいメロディーなんでしょう。続く「農民の婚礼」はサクソフォンによく似合います。低音を担当する第1バリトンサクソフォンがかなり大変ですが大奮闘。その次の「月光と水の精」はゆっくりしたテンポで色彩感がいい。ここは原曲よりもよかったです。フレーズの滑らかさがサクソフォンで演奏しているとは思えないほど。サクソフォンで演奏するのにふさわしい曲ではないと思いますが、すごい挑戦です。サクソフォンだけの編成ですが、打楽器が聴こえてくるような部分がありました。後半の「聖ヨハネの急流」は原曲とは少しメロディーを変えていますが、原曲通りのほうがよかったです。楽譜は全員がタブレットで、譜めくりはすばやく押しましたが、ほとんど休みがないので、タイミングよく押して、押し損なわないようにする特異な技術が身につきそうです。演奏後には、客席で聴いていた福田が立ち上がって拍手。
 
第3部は17:10から開演。もともと終演予定の時間だったからか、お客さんが減りました。プログラム11曲目は、打楽器3重奏で、ジヴコヴィッチ作曲/トリオ・パー・ウノ。ステージには左、中央、右の3ヶ所に異なる楽器がセッティングされていて、楽章によって使う楽器がまったく変わります。第1楽章はステージ左のドラムを使用。中央に大きな大太鼓が水平に置かれていて、3人がそれを取り囲んで120°の位置に立ち、3人にはそれぞれコンガとシンバルがあります。速いテンポでスティックさばきが見物。シンバルは音の高さの違いが楽しめます。第2楽章はステージ右の鍵盤楽器へ。ヴィブラフォン1台を2人で一定のリズムで演奏。もう1名が小物の打楽器を担当。赤い筒(Rain Stickと言うらしい)を傾けて水の音を表現したり、小さなシンバル(クロテイル)を叩いたり弦の弓でこすったり。第3楽章はステージ中央の楽器を使用。1人にドラム×3とスネアが配置されて、また120°の位置に立ちます。「はっ」「おー」など叫びながらドラムを連打。ちょっと狂気的です。最後はスネアを演奏。完成度が高いアンサンブルでした。同じステージにセッティングされたので、京都市立芸術大学はこんなに多くの種類の打楽器を所有していることも分かりました。
 
プログラム12曲目は、金管6重奏で、ベーメ作曲/金管六重奏曲。コルネット入りの金管六重奏で、左から、トランペット×2、ホルン、チューバ、トロンボーン、コルネットの順で、コルネットがメロディーを担当します。コルネットが加わると華やかさが増しますが、中低音はもう少し整理して聴きたいです。また、旋律があまり魅力的ではないのが残念。
 
プログラム13曲目は、木管10重奏で、ラフ作曲/シンフォニエッタより1,4楽章。前列が左からフルート×2、オーボエ×2、クラリネット×2。後列が左からホルン×2、ファゴット×2。このホールの編成としてはちょうどいいでしょうか。木管楽器の響きが明るく春らしい曲。
 
プログラム14曲目は、金管・打楽器アンサンブルで、リード作曲/金管と打楽器のための交響曲。23人で演奏。半円形に左から、トランペット×4、コルネット×2、ホルン×4、ユーフォニアム×2、チューバ×2、トロンボーン×4。後列の打楽器は5名。今年度から管・打楽合奏の非常勤講師を務める高木宏之(元カレッジ・オペラハウス管弦楽団トランペット奏者、大阪音楽大学卒)が指揮しました。演奏前のインタビューで、高木は「京都市立芸術大学はすばらしい環境がうらやましい。学生も対応力がある」と話し、「リードさん(リードを「さん」づけで呼ぶ)は交響曲が5曲あるが、最初に書いた交響曲。第1楽章は3拍子だが前進力がある、第2楽章はコラール、第3楽章はラテンのリズム」と紹介しました。高木の譜面台が設置されて、指揮棒を持って指揮。第1楽章から迫力があるサウンドでよく鳴ります。ホルンがベルアップするなど、重厚感がすばらしい。アーティキュレーションもシャープで、私が好きな鮮烈な演奏。昨年の管・打楽三昧の早坂宏明とは違ってパワーみなぎる演奏でした。本公演でこれまで演奏されたアンサンブルでは聴けなかった張りのある音です。第2楽章はかっこよく響きます。奏者も自分やパートごとの役割が把握できています。第3楽章は吹いているほうも気持ちよさそう。整理された明快なサウンドでした。本公演を締めくくるにふさわしい名演でした。
 
18:30に終演。4時間半の長丁場の演奏会でしたが、あっという間でした。昨年の管・打楽三昧は5時間半だったので、これでも短くなりました。
どのパートも総じてレベルアップしているのは、充実した練習環境のおかげでしょうか。オータムウィンズフェスト「京芸ウィンズとめぐる東洋と西洋」よりも聴きごたえがあって、しかも無料なのがすばらしい。来年も期待しています。

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(2026.1.4記)

 

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