オータムウィンズフェスト「京芸ウィンズとめぐる東洋と西洋」


 

2025年11月12日(水)18:30開演
京都市立芸術大学堀場信吉記念ホール

京都市立芸術大学シンフォニック・ウィンズ(京都市立芸術大学音楽学部・大学院管打楽専攻生)

第1部
 M.フォーブス/コズミック・ヴォヤージュ
 伊藤康英/地球はおどる
 平尾貴四男/木管五重奏曲より第3楽章「無礼講の饗宴」
 ホルスト(ザウアー編)/惑星より「火星」-戦争をもたらす者-
第2部 指揮:加瀬孝宏
 パーシケッティ/ページェント
 サン=サーンス/東洋と西洋
 エレビー/パリのスケッチ
 リード/アルメニアン・ダンス パート1

座席:全席自由


 
京都市立芸術大学管・打楽専攻生による吹奏楽の演奏会「オータムウィンズフェスト」に初めて行きました。「オータムウィンズフェスト」は、管・打楽専攻の授業成果発表演奏会で、昨年のキャンパス移転にあわせて始まりました。2回目の今年は「京芸ウィンズとめぐる東洋と西洋」をテーマに開催されました。本公演を聴きに行った理由は、エレビー「パリのスケッチ」が演奏されるからでした(詳細は後述)。第2部で指揮を務めた加瀬孝宏のInstagram(@kasetakahiro_oboe)によると、本公演は最上回生にとっては最後の吹奏楽のコンサートになるとのことです。
 
京都ロータリークラブ創立100周年記念チャリティーコンサートのプログラムに入っていた「演奏会スケジュール2025」の案内で、本公演の開催を知りました。入場料は全席自由で1,000円。京都市立芸術大学チケット取扱システムから申し込み。クレジットカード決済ができましたが、セブンイレブン発券手数料に127円かかりました。 お客さんの入りは7~8割。プログラムは大学院生や学部生が執筆していて、曲目解説や推しポイントなどが掲載されました。
 
本公演は2部構成で、第1部は、アンサンブル。プログラム1曲目は、M.フォーブス作曲/コズミック・ヴォヤージュ。ユーフォニアム・テューバ四重奏での演奏。舞台裏でチューニングしてから入場します(第1部は同じ)。左から、ユーフォニアム×2、テューバ×2の編成。すごくよく響きます。第1ユーフォニアムのメロディーが伸びがあって、ホルンのように聴こえます。終盤は細かな音符が連続しました。
セッティング換えの時間を利用して、大学院生が交代で司会を担当しました。「コズミック・ヴォヤージュ」は、日本語に訳すと「宇宙旅行」と解説しました。
 
プログラム2曲目は、伊藤康英作曲/地球はおどる。2006年に作曲されたサクソフォン8重奏のための作品です。今回はサクソフォンアンサンブル10名での演奏。バス・サクソフォンを加えた編成で、最近楽器を購入したようです。バス・サクソフォンは初めて見ましたが、バリトン・サクソフォンよりも大きくて、約10キロもあるとのこと。演奏前に、ソプラノ、アルト、テナー、バリトン、バスの5種類のサックスの音色を聴きくらべ。
左から、ソプラノ×2、アルト×3、バス、バリトン×2、テナー×2の順(バス・サクソフォンはオプションで、なくても演奏は可能とのこと)。以前はほとんど女子だったのに、今年はついに女子が2人だけになりました。ホルスト「木星」のメロディーが断片的に現れます。伊藤康英の作品で「木星」のメロディーが使われる作品は「木星のファンタジー」が有名ですが、それ以外にこんな作品があったとは知りませんでした。演奏は音符の粒やアーティキュレーションが見えたほうがよいでしょう。
 
プログラム3曲目は、平尾貴四男作曲/木管五重奏曲より第3楽章「無礼講の饗宴」。木管五重奏での演奏。平尾貴四男(きしお)(1907-1953)は初めて聞きましたが、1950年代の作品です。選曲が渋い。左から、フルート、オーボエ、ホルン、ファゴット、クラリネットの順。風変わりなタイトルですが、日本らしさは感じられず、平尾がパリに留学したこともあってか、フランス風の華やかさがあります。最後の音符でファゴットの筒の先端に何かを突っ込んで演奏。ミュートでしょうか。珍しい奏法です。
 
プログラム4曲目は、ホルスト作曲(ザウアー編)/惑星より「火星」-戦争をもたらす者-。演奏前に村上哲(管・打楽専攻教授)にインタビュー。村上は「この曲は1年前から選曲した」とのこと。「750年前の暦は、3月からはじまり12月で終わっていた。Mars(マース)は農耕の神でもあり、マースがマーチになった。火星は5にこだわっていて5度の和音がでてくる」と解説しました。譜面台を置いて村上が指揮。18人での演奏で、前列は左から、ホルン×4、トランペット×4。後列は左から、打楽器×3、ユーフォニアム、トロンボーン×4、テューバ×2。金管アンサンブルでこの曲を聴いたのは初めてでしたが、多様な音色が楽しめました。冒頭はミュートを多用。音色が柔らかく、金管アンサンブルとして音色にまとまりがあり、プロ級の響きでした。ただし、音を外すなど、ちょっとミスがあって残念。
 
休憩後の第2部は、吹奏楽の合奏。演奏は、京都市立芸術大学シンフォニック・ウィンズ(京都市立芸術大学音楽学部・大学院管打楽専攻生)。プログラム掲載の演奏者を数えると、総勢83名です(クラリネットで客演が4名を含む)。指揮台が設置されました。指揮は管・打楽専攻准教授の加瀬孝宏。昨年度に着任しましたが、それまでは東京フィルハーモニー交響楽団で首席オーボエ奏者を務めていました。加瀬は細身でメガネをかけています。木管楽器の配置がユニークで、下手側がクラリネット。中央の前列はオーボエ、後列はファゴット。上手側の前列はフルートで、その後列はサックスという並びでした。ダブルリードの楽器を中央に固めるのが珍しい。上手にはコントラバス(弦楽器)×2もいます。
 
プログラム5曲目は、パーシケッティ作曲/ページェント。メロディーが無機質であまりおもしろくない作品。強奏でも音色が汚なくなりませんが、パート間で音を聴けるとよいでしょう。クラリネットはフルートよりも人数が多いのに、ホールのせいか聴こえません。

プログラム6曲目は、サン=サーンス作曲/東洋と西洋。もともと吹奏楽のために作曲されました。強奏はサウンドとしてまとまりがあり、伸びやかで余裕が感じられます。音色もブレンドされています。中盤は打楽器のリードで東洋風のメロディー。後半は華やかに盛り上げます。

プログラム7曲目は、エレビー作曲/パリのスケッチ。マーティン・エレビーはフランス人ではなくイギリス人です。私が吹奏楽コンクールで演奏したことがある曲ですが、めったに演奏されないので約25年ぶりに聴きました。ピアノが加わります。第1楽章「サン=ジェルマン=デ=プレ」は、もう少しクラリネットが聴こえて欲しい。第2楽章「ピガール」は、打楽器と金管楽器をよく鳴らします。打楽器は見せ場が多く、ピアノを除いて7人もいます。第3楽章「ペール・ラシューズ」はもう少し音量を落として、音色も柔らかいほうがいい。第4楽章「レ・アル」はこんな曲だったんですね。当時の私は自分のパートだけで全体が見えていなかったと実感しました。
  
加瀬にインタビュー。「水曜日午後の管打合奏の授業で1ヶ月半、7回取り組んだ」と話し、「失敗も笑い飛ばそう。プロでもそうしている。リラックスして、合奏は恐いところではなく楽しい場所」と指導の方針を話しました。また、「同時に大学院生は器楽演習の授業として、セッティングやタイムスケジュールについて学んでいる」と紹介しました。オータムウィンズフェストについては、「これで2回目だが、秋の京都の風物詩になるようにしたい」と意気込みを話しました。
 
プログラム8曲目は、リード作曲/アルメニアン・ダンス パート1。加瀬は「歌心を大切に」と話しましたが、あまりセーブしない演奏。縮こまらないのはいいことですが、もう少し周りの音を聴いて欲しいです。加瀬の指揮は大振りしません。「おーい、僕のナザン」は、変拍子のテンポがあまりはまっていないところがありました。ラストの「行け行け」はテンポが速い。雛壇最後列の打楽器が頑張りすぎでちょっとうるさく感じられました。
 
拍手に応えてアンコール。ヤン・ファン・デル・ロースト作曲/アルセナールを格調高く演奏。拍手に応えてもう1曲。加瀬が何か紙をメンバーに見せて、リード作曲/アルメニアン・ダンス パート1より「行け行け」を演奏。このアンコールはメンバーにとっても想定外だったようです。 最後のテンポが速いところをもう1回演奏。最後の力を振り絞って、全開の演奏でしたが、この演奏はいまひとつ。おつかれさまでした。最後に全員で一礼。20:50に終演しました。
 
合奏に慣れることはもちろん大事ですが、芸大生にふさわしい緻密なスコアリーディングにもとづく演奏も聴きたいです。なお、本公演に合わせて、京芸ウィンズ(管・打楽合奏)の公式Instagram(@kyogeiwinds)ができました。練習風景などの動画が掲載されています。

塩小路高倉から望む 本日のアンコール曲目のお知らせ 堀場信吉記念ホールからニデック京都タワーを望む

(2025.12.10記)

 

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