【延期】井上道義 ザ・ファイナル・カウントダウン Vol.1
~道義×小曽根×大阪フィル ショスタコーヴィチ&チャイコフスキー~


  2023年7月17日(祝・月)14:00開演
ザ・シンフォニーホール

井上道義指揮/大阪フィルハーモニー交響楽団
小曽根真(ピアノ)

チャイコフスキー/歌劇 「エフゲニー・オネーギン」より「ポロネーズ」
ショスタコーヴィチ/ピアノ協奏曲第2番
チャイコフスキー/交響曲第4番

座席:A席 2階BB列33番


 
2024年末での引退を表明している井上道義が大阪フィルハーモニー交響楽団を指揮する「井上道義 ザ・ファイナル・カウントダウン」がスタートしましたが、第1回の公演が延期となりました。残念ながら、兵庫芸術文化センター管弦楽団第142回定期演奏会「井上道義 最後の火の鳥」に続いてのキャンセルになりました。
 
「井上道義 ザ・ファイナル・カウントダウン」はABCテレビの主催で、ザ・シンフォニーホールを会場に、井上道義が2014~2016シーズンに首席指揮者を務めた大阪フィルハーモニー交響楽団を指揮します。チラシには「やりたいことを全部やる!」と書かれてあり、井上は「やりたいことは全部やってきたけど、最後までやり尽くそうと思って作ったプログラム」と語っています。
毎日新聞の記事によると5回シリーズで、第2回(2023年12月17日)は「道義 最後の第九」、第3回(2024年4月)はサン・サーンス「オルガン付き」など、第4回(2024年7月)はモーツァルト「交響曲第25番」とブルックナー「交響曲第7番」、第5回(2024年11月)はベートーヴェン「田園」と「運命」とのこと。
 
第1回のプログラムはチャイコフスキーとショスタコーヴィチ。ピアノ独奏の小曽根真は、京都市交響楽団スプリング・コンサートの頃はラフマニノフばかり弾いていましたが、レパートリーが広がったようで、本公演ではショスタコーヴィチのしかも1番ではなく2番!を演奏するので注目でした。小曽根は第2番を初めて演奏するようです。ザ・シンフォニーホールのチケットWEB先行予約は1月20日でした。 
 
6月29日に本公演の延期が発表されました。「井上道義氏は、<結石性腎盂腎炎>の影響により指揮活動が難しい状態にあり、体調を万全の状態に戻す必要があるため、やむを得ず7月17日の公演は中止し、2024年3月28日(木)に延期させて頂くことになりました」とのこと。ご丁寧に公演数日前に電話もかかってきました。ザ・シンフォニーホールのホームページに掲載された「井上道義氏よりメッセージ」によると、「引退を決めた2024年末に向けて5回のやりたいことをやるシリーズをやろう!と、ABCプロデューサーの由井くんが俺に言ってきてくれたことはとても嬉しいことだった。意気揚々とプログラムを相談したよ。だが、当時の俺は1年後の自分自身の体調を予想出来なかった…当然だけど。いまの道義は、指揮はおろかまっすぐに歩くこともできず、腎臓の感染症のための激しいだるさのあまり「今日から引退する」と言いたくなるようなマイナススパイラルに身体と精神が陥っている。7月中に指揮活動を行うのは到底無理と言うことが分かった。」と現状を報告しました。中止ではなく、関係者の努力によって、同一出演者と同一プログラムで来年3月に延期されますが、井上は「ただ今回は神による采配なのか、2024年3月へ延期という選択をすることができました。小曽根さん、大阪フィル、ザ・シンフォニーホール、井上の4者が合わないと延期できないのだが、奇跡的にそれを選ぶことが出来た。」と報告しています。小曽根真はTwitterで「来年3月までに今回初挑戦のショスタコ2番をピッカピカに磨き上げます!」と綴っています。
井上道義はブログ「Blog ~道義より~」でも、「今まだ高台の病室にいる。四日間の休止符のような日を数えなければ、もう40日以上寝たきり。(中略)今やっとパソコンに向かう身体と精神状態になりつつある。」「ヨレヨレの病人がベートーベンなんか出来っこない。」と状況を報告し、「いま、「もうこの際全部辞めなさい!」と神様に言われているように感じる。」と弱気になっているようですが、「はやく自伝をまとめたい。そのために時間が要る。」とも綴っています。
 
本公演が延期されたことで、「井上道義 ザ・ファイナル・カウントダウン」は、Vol.2「道義 最後の第九」(2023.12.17)の後に、Vo.1の延期公演(2024.3.28 19:00開演)が開催されることになります。チケットはそのまま延期公演で使用できるとのことでしたが、残念ながら年度末の平日公演を聴きに行くのは無理なので、やむなく払い戻し。8月25日(金)までにザ・シンフォニーホール チケットセンター窓口に、チケットと印鑑を持参するようにとのことなので、ラフマニノフ生誕150周年記念 熱狂コンチェルト2023で行った際に払い戻しました。チケット代(7,800円)+発券手数料(110円)+発送手数料(550円)が返金されて、8,460円でした。
 
井上道義は東京交響楽団第131回新潟定期演奏会(2023.6.4)の後に入院して以降、降板が続いています(詳しくは兵庫芸術文化センター管弦楽団第142回定期演奏会「井上道義 最後の火の鳥」を参照)が、7月4日に、新日本フィルハーモニー交響楽団を指揮する予定だった「オーケストラ・キャラバン〜オーケストラと心に響くひとときを〜」(2023.8.3 徳島公演・美馬市地域交流センター(ミライズ)、2023.8.4 香川公演・ハイスタッフホール(観音寺市民会館)大ホール)と、「フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2023 新日本フィルハーモニー交響楽団 〜道義のザ・ベートーヴェン!〜」(8月6日 ミューザ川崎シンフォニーホール)の計3公演の降板が発表されました。演奏曲はいずれもベートーヴェン/交響曲第6番 「田園」と交響曲第5番「運命」でしたが、「結石性腎盂腎炎により当面の間治療が必要との医師の診断を受けたため、本公演を含む 8 月上旬までの全ての公演出演をやむを得ず降板することとなりました」とのこと。指揮者を変更して、徳島公演と香川公演は秋山和慶が代役で指揮、「フェスタ サマーミューザ KAWASAKI」は「広上淳一のザ・ベートーヴェン!」に変更して、広上淳一が代役で指揮しました。
7月12日の井上道義のTwitterの投稿で、前日に「第54回サントリー音楽賞」の贈賞式に出席した写真が掲載されました。「一進一退の40日の病室生活は非常に辛い。(中略)この痩せた身体を、人前にさらしたくないし、実際危険だと医者からもストップされたが、2時間の外出許可をもらい贈賞式に参加してきた。感謝。」とのこと。少しやせられた感じですが、特に変わりはなく思ったよりお元気そうでひと安心。なぜか池辺晋一郎も一緒に写っています。
また、7月26日に井上道義のブログ「Blog ~道義より~」が更新されて、2ヶ月ぶりに退院したことが報告されました。「罹患前より5キロ、元気だったころより10キロ痩せちまった」「まっすぐに姿勢よく立てない。自宅でちょこっと何かするとすぐ目の前に変なさざ波が見える感じ。とてもじゃないが(ベートーヴェンの)5番も6番も振れない」「今の俺には無理無理無理。やれば冒涜!」「食欲は落ち、今は終戦直後の両親の引揚時のように痩せている。俺はこういう姿で人前に出る気に全くなれないのだ・・・」「頑張るけど…何のためか、わからない。」とずいぶん弱気になっていて心配です。
続いて8月4日には「夏の第九Hiroshima」(2023.8.19 読売日本交響楽団他、広島文化学園HBGホール)も降板が発表されました。「指揮者の井上道義氏は、6月から結石性腎盂腎炎の治療を行い、この公演での復帰に向けて準備してきましたが、医師から「まだ少しの間療養が必要」との診断を受けたため、残念ながら出演できなくなりました」とのこと。代役はアンドリス・ポーガ(ノルウェーのスタヴァンゲル交響楽団首席指揮者、ラトビア国立交響楽団アーティスティック・アドヴァイザー)が務めます。ポーガは8月25日からNHK交響楽団を指揮する予定で、早めの来日になるでしょうか。
 
次に井上道義が指揮するのは、井上道義 ザ・ファイナル PARTⅠ「道義×小曽根×新日本フィル」(2023.9.17 すみだトリフォニーホール大ホール)です。ザ・シンフォニーホールのシリーズとは別に、すみだトリフォニーホールでも新日本フィルを指揮して引退に向けてのシリーズがスタートして、その初回公演です。ここでも小曽根真と共演しますが、モーツァルト/ピアノ協奏曲第9番「ジュノーム」とショスタコーヴィチ/ピアノ協奏曲第1番を演奏します。退院後にゆっくり療養していただきたいです。
 

(2023.8.14記)

 

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