大阪フィルハーモニー交響楽団京都特別演奏会

  
    2022年10月30日(日)15:00開演
京都コンサートホール大ホール

小泉和裕指揮/大阪フィルハーモニー交響楽団

メンデルスゾーン/交響曲第4番「イタリア」
チャイコフスキー/交響曲第6番「悲愴」

座席:B席 3階C4列27番


 
大阪フィルハーモニー交響楽団は、毎年秋に京都特別演奏会を開催しています。聴きに行くのは2006年以来で、交響曲2曲の重量級プログラムです。
 
今回の指揮者は、小泉和裕。京都市交響楽団にも客演していますが、これまで機会がなかったので初めて聴きます。京都市出身で、京都市立堀川高校音楽科を卒業。1973年のカラヤン指揮者コンクールで第1位を獲得して、今年で73歳です。現在は、東京都交響楽団終身名誉指揮者、九州交響楽団音楽監督、名古屋フィルハーモニー交響楽団音楽監督、神奈川フィルハーモニー管弦楽団特別客演指揮者を務めています。
 
チケットは、大阪フィル・チケットセンターと京都コンサートホールで取り扱い。京都コンサートホールで購入したので、10%割引が適用されて当日引き取りもできましたが、京都コンサートホールでの取り扱いがもともと少なかったようで、3階席のやや後ろの席を購入しました。
 
コンサートマスターは、崔文朱(ソロ・コンサートマスター)。The Power of Music 〜いまこそ、音楽の力を〜 京都コンサートホール presents 兵士の物語にヴァイオリンで出演した芝内もゆる(当時は相愛大学大学院)が、8月からヴィオラのトップ奏者(首席ヴィオラ奏者)に就任していてびっくり。客の入りは、6割ほど。
 小泉和裕が足早に颯爽と登場。譜面台なしで指揮しました。腕をよく動かします。
 
プログラム1曲目は、メンデルスゾーン作曲/交響曲第4番「イタリア」。小細工なしで正統派の演奏。第1楽章は速めのテンポ。ゴツゴツゴリゴリした響きではなく、温和な響きで、肩の力が抜けています。第2楽章は4小節からスコアはpですが、音量を落とさずに演奏。第3楽章は92小節から小泉の指揮テクニックが堪能できました。第4楽章は速いテンポで、今まで聴いた演奏で最速かもしれません。スコアの速度記号はPrestoですが、速いテンポを最後まで維持。239小節からは感傷に浸る余裕もありません。トランペットとティンパニは弱めで目立ちませんでした。
 
休憩後のプログラム2曲目は、チャイコフスキー作曲/交響曲第6番「悲愴」。響きが濃厚になって、中身の詰まった音でしたが、アインザッツなど細部の詰めはいまひとつ。小泉は立ち位置は変えずに、アクセントでは腕を強く降り下ろします。第1楽章161小節(Allegro vivo)からの展開部は速い。小泉の指揮が、演奏よりも速いテンポで振っているように見えましたが、指揮法として正しいのでしょうか。335小節(Andante come prima)からの終結部は、小泉の指揮がオーケストラの中を泳いでいるように見えました。第2楽章はゆったり。57小節(con dolcezza e flebile)からの中間部からはテンポを落としました。
第3楽章は速いテンポ。205小節からはクレシェンドしながら、アッチェレランド気味に盛り上げます。304小節からの終結部もさらにテンポアップ。演奏している方はついていくのに大変でしょうが、聴いているにはおもしろい。大盛り上がりで拍手不可避の状況でしたが、拍手は起こらず第4楽章へ。集中力と一体感が最高潮に達して、まさに巨匠の風格。147小節からの終結部は、ヴィオラ、チェロ、コントラバスのsfを強調。最後のppppでも大きく指揮しました。
崔の取り計らいで、長めのカーテンコール。小泉はカーテンコールでは指揮台に上がりませんでした。
 
小泉和裕はオーソドックスな演奏解釈で、聴いていて新しい発見はありませんが、作品に対するストイックな姿勢を感じました。速いテンポをとても速く指揮しましたが、年齢を重ねるとテンポが遅くなる指揮者が多い中で、このスピード感は新鮮です。カラヤンの指揮に似てきたと言われているのにも納得です。次はドイツ音楽を聴いてみたいです。
 
京都コンサートホールのスロープに飾られている小泉和裕の写真とサイン

(2022.11.3記)

 

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