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2006年9月2日(土)15:00開演 京都コンサートホール大ホール 大植英次指揮/大阪フィルハーモニー交響楽団 モーツァルト/歌劇「魔笛」序曲 座席:S席 3階 C−2列13番 |
「大阪フィルハーモニー交響楽団京都特別演奏会」は年に1回、京都コンサートホールで開催されています。これまでは年度末に開催されていましたが、今年は9月の開催。音楽監督の大植英次が初めて登場しました。チケットは全席完売。
ロビーでは新グッズとなる「大植英次人形」を初回限定20個、2,000円で販売していました(2曲目のあとの休憩時には完売していました)。ホールでは、大阪フィルの団員が次々に出てきて音出しをしていました。
プログラム1曲目は、モーツァルト作曲/歌劇「魔笛」序曲。オーケストラは中規模編成での演奏。大植英次がゆっくりと登場。全曲譜面台なしで指揮しました。指揮台は、京都コンサートホールの備品ではなく、おそらく持ち込んだものでしょう。指揮台の段が2段になっていて位置が高く、手すりが金色でした。
演奏は、洗練された音色で丁寧な演奏。表情はあまり濃くありません。気になったのは、響きが薄いこと。本拠地としているザ・シンフォニーホールと京都コンサートホールの響き方の違いによるものかもしれません。大植英次も大きな音量は要求していませんでしたが、少し遠鳴りしていました。
プログラム2曲目は、ラフマニノフ作曲/ピアノ協奏曲第2番。ピアノ独奏は清水和音。清水和音のピアノを初めて聴きましたが、落ち着いて淡々と弾きます。余裕のある弾き方で、強奏でも大きなアクションを見せません。固めの音質で、はっきりしたタッチを聴かせました。ただし、音量があまり大きくないので、強奏ではオーケストラに埋もれがちになるのが残念。
オーケストラ伴奏はまさに好対照の演奏で、あまり拍感を感じさせないゆるやかな演奏。ただ、この曲でもオーケストラの響きが薄いのが残念。ラフマニノフの作品ならもっと豊かでおもしろい響きが聴けるはずだと思うのですが、残念。打楽器の音量が大きすぎて、雰囲気をぶち壊していました。大植英次は大きな指揮ぶりで、清水和音を見ながら一生懸命テンポを合わせていました。第2楽章と第3楽章は続けて演奏。
演奏後の拍手に応えて、清水和音がアンコール。スクリャービン作曲/「24の前奏曲」より変ト短調(op.11-13)を演奏(ホールで掲示されなかったので、インターネット上の情報です)。静かな曲でした。
休憩後のプログラム3曲目は、チャイコフスキー作曲/交響曲第4番。久しぶりのこの作品を聴きましたが、つまらない作品に聴こえてがっかりしました。演奏が一本調子なのか、長く感じました。弦楽器は響きの一体感がすばらしく、ハイレベルな演奏を聴かせました。木管楽器は強奏ではほとんど聴こえないため、色彩感に乏しくなります。金管楽器はあまり大きな音量を出さず控えめな演奏。手加減しているように聴こえてしまうので、もっとがんばって欲しいです。
演奏終了後に、大植英次がマイクなしで挨拶。「(音楽監督に就任した)3年前から京都でぜひ演奏したい、みなさんとともに音楽を作りたいろ思って今日やってきました。感激しています。」と話して、アンコール。ビゼー作曲/「アルルの女」第2組曲から「ファランドール」を演奏しました。
大植英次は、以前までの大振りの指揮から、指揮の動作がかなり小さくなっています。大振りしなくとも、少しの動きでオーケストラの団員に聞かせたい音楽を伝えられるという自信の現れでしょう。指揮棒をほとんど動かさず、目線だけで指揮しているようにも感じられました。オーケストラに大きな音量を要求する場面もあまりありませんでした。また、先日の大阪フィルハーモニー交響楽団星空コンサートの成功など、かなり人気が出てきたように思います。人気にかまけることなく、音楽作りをして欲しいです。
今回の演奏会で何よりも気になったのは、聴衆のマナーが最悪だったことです。今まで行った演奏会の中でもワースト3に入るでしょう。演奏中にしゃべる人や、チラシをガサガサする人、途中で出て行く人、客席で指揮する人など、かなりストレスのたまる演奏会でした。「演奏会に行く」ことが目的で、「演奏を聴く」ことが目的でないように思える人が散見されました。そういう人は演奏会に来ないでくださいとは言いませんが、私の近くの席(=S席)のチケットを買わないで欲しいです。大植英次や大阪フィルの団員も演奏にしにくかったのではないでしょうか。
(2006.9.3記)